さすらいの青春(223)
𝓛𝓮 𝓖𝓻𝓪𝓷𝓭 𝓜𝓮𝓪𝓾𝓵𝓷𝓮𝓼
————————【223】———————————
... Lorsque, grâce au froid, qui traversait
maintenant la couverture, Meaulnes eut
repris ses esprits, il s'aperçut que le pay-
sage avait changé. Ce n'étaient plus ces
horizons lointains, ce grand ciel blanc où
se perdait le regard, mais de petits prés
encore verts avec de hautes clôtures.
————————(訳)—————————————
今や毛布をも浸透してきた寒さのお陰で、モ
ーヌは覚醒を取り戻したのだが、そのとき彼
は、景色が変わってしまっていることに気づ
いた.それはもはや遠くの地平線でもなく、
大きな白い空も視線から消えて無くなってい
た.その景色は、高い垣根で囲まれ、まだ緑
を残した小牧場の点在だった.
————————⦅語句⦆———————————
grâce:(f) ❶優雅さ、淑やかさ、
❷恩恵、厚意、❸感謝.
grâce à ~:~のおかげで;
Grâce à vous, tout s'est bien passé.
あなたのおかげで万事うまく行きました.
aperçut:(直単過/3単) < apercevoir
apercevoir:(他) 見える
s'apercevoir (pr) 気づく
s'apercevoir de ~ :~に気づく
s'apercevoir que + 直説法:~に気づく
Je ne me suis pas aperçu qu'elle pleurait. /
私は彼女が泣いていることに気が
つかなかった.
s'apercevoir de son erreur /
自分の誤りに気づく
【主文が否定、疑問のときは時として接続法】
perdait:(直半過/3単) <perdre
perdre:(他) 失う、なくす
se perdre:(pr) 道に迷う、途方に暮れる
regard:(m) 視線
clôture:(f) 囲い、冊、垣、垣根
pré:(m) 牧場、小牧場、草原、野原
————————— ≪解釈1≫ —————————————
ce grand ciel blanc où se perdait le regard:
* se perdait と le regard が倒置になっている
ので戻すと
ce grand ciel blanc où le regard se perdait
視線が道に迷う(視線で追えない)大きな白
い空、つまり、さっきまで見ていた白い大空
が見えない、と言っています.
会話やお話なら普通に「見えなくなりました」
でいいのですが、「文学作品」ですから、味わ
いある文にするため、いろいろ表現に味付け
しております.
——文学って、めんどくせーやつだな.
——でも全部分かりやすくしてしまったら、
ただの 報告文になって、木偶の棒を
相手にすることになりますけど….
——わかったよ、うちのかみさんが出かける
ときにゴテゴテ化粧するようなものだな.
——ゴテゴテ? 奥様に叱られますよ.おら
知らね.
————————— ≪解釈2≫ —————————————
mais de petits prés encore verts avec de hautes
clôtures:
* mais とde の間にle paysage が省かれています.
——省くな!
——誰に言っているんだ?
——ごめんなさい.
* prés にご注意.近くにという意味ではあり
ません.pré(牧場)がたまたま複数形で使わ
れているため同じ形態になりました.
「高い垣根で囲まれた、まだ緑が残ってい
る牧場の光景」だったと言っています.
——複数形ということは、「~の点在の光景」
と訳してもいいのか?
——いいと思います.訳文もそうしています.
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