さすらいの青春(158)
𝓛𝓮 𝓖𝓻𝓪𝓷𝓭 𝓜𝓮𝓪𝓾𝓵𝓷𝓮𝓼
————————【158】———————————
Enfin, le dessert terminé*¹ , nous pûmes*²
tous les deux bondir*³ dans la cour.
Cour d'école, après midi, où les sabots
avaient enlevé*⁴ la neige... cour noircie*⁵
où le dégel*⁶ faisait dégoutter*⁷ les
toits*⁸ du préau*⁹... cour pleine de jeux*¹⁰
et de cris*¹¹ perçants*¹² !
—————————(訳)————————————
やっとデザートも終わって、私たちは二人
とも食卓を立つことができ、校庭にすっ飛ん
で行きました.午後になって多くの生徒の走
り回る靴で雪が掻き消されて黒くなった校庭、
解氷が雨天体操場の屋根からしたたり落ちて
いた校庭.遊ぶ子らの姿と甲高い声で溢れた
校庭にすっ飛んで行ったのでした.
—————————⦅語句⦆————————————
*1) le dessert terminé:(副詞句) デザートが済んで.
—— 質問です.
——どうそ.
——前置詞がないのに、副詞句なのか?
——はい.le dessert s'étant terminé の s'étant
が脱落した分詞節と考えられるからです.
前置詞は?
——前置詞がお好き?ではavec を!
avec le dessert s'étant terminé,
avec でないとだめか?
——いいえ決まっていません.
なにしろないのですから.
*2) pûmes:(直単過/1複) < pouvoir ~できる
*3) bondir:(自)❶跳ぶ、跳ねる、飛んでいく、
❷急いで行く、突進する
*4) enlevé:(過去分詞) <enlever (他)
取り除く、取りのける、奪い取る
*5) noirci, e:(形、p.passé) 黒く汚れた
< noircir (他) 黒くする、汚す
*6) dégel:[デジェル] (m) 雪解け、解氷
*7) dégoutter:(自) (de から) したたる
La sueur lui dégoutte du front. /
ラ スュール リュイ デグーット デュ フロン.
汗が彼(女)の額からしたたり落ちる.
*8) toit:(m) 屋根
*9) préau:(m) 雨天体操場、(屋根のある)校庭
*10) jeux:(m/pl) < jeu (m) 遊び
*11)cri:(m) 叫び、大声;
pousser des cris / 叫び声を上げる
*12) perçant, e:(形) 突き刺すような、鋭い、
froid perçant / 刺すような寒さ、
cris perçant / 金切声
esprit perçant / 鋭い頭脳の持ち主
< percer (他/自) 穴をあける
————————《ひとこと》———————————
la cour ですが2回目以降は、無冠詞です.
つまり1回目の la cour の la の続きだと
言っています.お風呂屋さんに譬えると、
1回分の風呂代で2回も3回も入る厚かま
しいやつです.しかも、2回目からは、
c'est. ここは過去形で c'était ぐらいつけて
やればいいのですが、それもなし.これで
映像効果を狙っているわけでしょう.いらぬ
ものは一切取り払って校庭の状況を読者の瞼
に見せつける手法.この小説が映画化された
こともさもありなん.これで困るのは訳す側.
ポンポンとcour をばらまかれても、文のま
とまりをつけるのに苦労します.他の訳本を
見てみましたが、訳文の方も開き直ってか、
そのまま訳出されていました.
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