2006年10月9日(月)21:50
北朝鮮が核実験実施を発表したことに対し、国内では被爆者や拉致被害者家族らから怒りや失望の声が相次いだ。
■被爆者たちは
「やりきれん。誤報であってほしい」。広島市で被爆し、在日朝鮮人や北朝鮮の被爆者を支援する李実根(リ・シルグン)・在日本朝鮮人被爆者連絡協議会会長(77)は言葉を失った。
4日から平壌を訪れて北朝鮮在住被爆者から聞き取り調査する予定だったが、3日に北朝鮮が核実験を予告したため訪朝を断念した。「自分で確認したい」と9日昼、平壌の被爆者団体に国際電話をかけた。しかし、応答はなかった。「祖国であっても絶対許せない。いかなる国でも核保有や実験を許さない運動を続けてきたのに」
広島県原爆被害者団体協議会理事の阿部静子さん(79)は「北朝鮮の指導者は、今からでも広島で起きた現実を学んでほしい。核実験を国威発揚や国際政治の駆け引きに利用する意図なら、人類を滅亡に導きかねない危険な発想だ」と、怒りを込めて話した。
在外被爆者支援連絡会(長崎市)共同代表で被爆2世の平野伸人さん(59)は「反核運動を進めてきた身としてむなしい。日本政府も、北朝鮮を対話に引き出す努力が足りなかった。北朝鮮の核実験で、国内でも改憲や核武装の論議が盛り上がらないか心配だ」と危機感を募らせた。
秋葉忠利・広島市長は同日、「被爆地ヒロシマを代表し厳重に抗議する」との談話を出した。
この日、伊藤一長・長崎市長は記者会見し、「被爆地の市民は怒りと憂慮を感じている。(北朝鮮は)核兵器の恐ろしさを知らない。自国民の生活をもっと考えるべきだ」と述べ、日本政府に対しても「非核三原則を法制化して国際社会に被爆国の声を説明すべきだ」と注文をつけた。
原水爆禁止日本協議会(原水協)は「北東アジア全体の平和と安全を脅かし、新たな緊張を生み出す危険な行為。ただちに核開発をやめ、6者協議に戻るよう要求する」との声明を発表した。
■在日コリアンは
在日コリアンが多く住み、安倍首相の地元でもある山口県下関市。市内でふぐ加工販売会社を営む在日2世の河浩之さん(44)は核実験のニュースに怒りがわいた。「北朝鮮は暴走するばかり。非難されたり、制裁を受けたりしても仕方ない」
朝鮮半島の南北統一を訴える「ワンコリアフェスティバル」を二十余年開いてきたコリアNGOセンターの鄭甲寿さん(52)=大阪市=は「いかなる理由があろうと残念。国際社会も反発し、南北間の緊張も高まる。朝鮮半島の非核化実現のためにも、北朝鮮は早期に6者協議に復帰してほしい」と訴える。
在日本大韓民国民団(民団)は同日、「核実験は(朝鮮半島の)7000万同胞を人質に恫喝(どうかつ)しようとするもので、祖国平和統一を決定的に阻害する。北朝鮮の暴走は在日同胞全体の日常生活を脅かし、断じて許せない」との談話を発表した。
■拉致被害者家族は
拉致被害者家族会と支援団体「救う会」は同日、緊急声明を発表し、「13歳の少女らを拉致した金正日政権の核武装は、断じて許せない。日本は国連安全保障理事会議長国。安保理で拉致問題を論議し、決議に拉致問題を書き込んでほしい」と訴えた。
茨城県守谷市での拉致被害者救出を求める集会で講演した横田滋・家族会代表は「核実験によって国際社会の制裁が厳しくなるだろう。北朝鮮の体制崩壊につながることになる」と述べた。
奈良市での集会に出席した増元照明・家族会事務局長は「核実験を阻止できず残念。日本政府が、もっと早く各国と連携して圧力をかけていれば良かった」。拉致被害者・有本恵子さんの母嘉代子さんは「核実験するような危険な国にいる娘が忍びない」と語った。
北朝鮮も罪作りな国ですね...
都合良く使い、重大なことについては在外同胞がどうなるかは考慮外、これでは在外同胞の立場もなくし、祖国とは言え怒り心頭に発する気持ちは理解できますね。
