ネットでのライブレビューで結構絶賛されてるこのライブイベントについて、やっぱりどうもなにか違和感というか、疑問ばかりを感じていた自分なのですが、そんな自分もキャロル・キング目当てに行ってきましたよ、3 Great American Voices。
どうやらその日ごとに出演順が違うということで、目当てのキャロルはいつ出るんだろう?と気をもんでいると、この日の出番は最初。
客電がおち、スポットライトを浴びながらキャロル・キング登場。素敵な笑顔で現われたキャロルは、一瞬にしてその笑顔だけで武道館をあたたかい雰囲気にしてしまう。そんな彼女がピアノに向き合うと期待に胸を高鳴らせながら固唾を飲む観客。
"Beautiful"から始まり、"Up On The Roof"、"So Far Away"、"You've Got A Friend"と歌われる珠玉の名曲たち。曲が終わるごとに楽しそうに話す彼女を見ていると、それだけで心が満たされる。思うにキャロルの歌は発表当時よりさらに現代生活において有効である。人間関係が希薄なうえ、ギスギスしがちな現代の社会生活の中で、彼女の歌が発するメッセージはダイレクトに胸に迫ってくる。それは他者と積極的に関わろうとするポジティブな姿勢であり、弱い自分を吐露する勇気であり、愛に基づくヒューマニズムである。単にいいメロディだとかノスタルジックな思い出だとか、それだけではない歌がもつ普遍的な力。それこそがキャロル・キングの歌なのだ。
さて、そんなキャロル、さすがに高い音になると往年の歌声は出ない。かなり厳しい瞬間もあったが、ぼくはそこに彼女の意地を見た。キーを落として歌うなら簡単に出来る。歌い方を低く抑えればそれなりに歌いきれる。が、彼女はところどころ抑えることはあっても、基本的にはオリジナルの歌い方にこだわった。声が出なくとも精一杯歌おうとするところに、彼女の自分の歌にかける執念を感じたのだ。声が出なくても強引に歌いきろうという姿勢は彼女の年齢と音楽キャリアとを考えるとおそろしく攻撃的で、年齢的な衰えはあっても音楽にかける情熱はさらに研ぎ澄まされているように見えた。
ライブ中、終始穏やかな笑顔を見せていた彼女が一転、"I Feel The Earth Move"で一心不乱に激しく鍵盤を叩いていたときのアグレッシブな顔には、音楽と向き合う一人の求道的なアーティストの姿があった。
フルステージを望む身としては短い時間だったが、それでも彼女の音楽キャリアがまだまだ終わっていないことを確認できただけでもじゅうぶんな収穫である。と、それよりなにより、短時間ながらもやはり素晴らしい曲を聴かせてもらったことは大きな大きな喜びだ。次の来日があるのかどうかわからないけれど、ぜひともまた観たい。今回聴けなかった曲はまだまだたくさんあるのだから。
どうやらその日ごとに出演順が違うということで、目当てのキャロルはいつ出るんだろう?と気をもんでいると、この日の出番は最初。
客電がおち、スポットライトを浴びながらキャロル・キング登場。素敵な笑顔で現われたキャロルは、一瞬にしてその笑顔だけで武道館をあたたかい雰囲気にしてしまう。そんな彼女がピアノに向き合うと期待に胸を高鳴らせながら固唾を飲む観客。
"Beautiful"から始まり、"Up On The Roof"、"So Far Away"、"You've Got A Friend"と歌われる珠玉の名曲たち。曲が終わるごとに楽しそうに話す彼女を見ていると、それだけで心が満たされる。思うにキャロルの歌は発表当時よりさらに現代生活において有効である。人間関係が希薄なうえ、ギスギスしがちな現代の社会生活の中で、彼女の歌が発するメッセージはダイレクトに胸に迫ってくる。それは他者と積極的に関わろうとするポジティブな姿勢であり、弱い自分を吐露する勇気であり、愛に基づくヒューマニズムである。単にいいメロディだとかノスタルジックな思い出だとか、それだけではない歌がもつ普遍的な力。それこそがキャロル・キングの歌なのだ。
さて、そんなキャロル、さすがに高い音になると往年の歌声は出ない。かなり厳しい瞬間もあったが、ぼくはそこに彼女の意地を見た。キーを落として歌うなら簡単に出来る。歌い方を低く抑えればそれなりに歌いきれる。が、彼女はところどころ抑えることはあっても、基本的にはオリジナルの歌い方にこだわった。声が出なくとも精一杯歌おうとするところに、彼女の自分の歌にかける執念を感じたのだ。声が出なくても強引に歌いきろうという姿勢は彼女の年齢と音楽キャリアとを考えるとおそろしく攻撃的で、年齢的な衰えはあっても音楽にかける情熱はさらに研ぎ澄まされているように見えた。
ライブ中、終始穏やかな笑顔を見せていた彼女が一転、"I Feel The Earth Move"で一心不乱に激しく鍵盤を叩いていたときのアグレッシブな顔には、音楽と向き合う一人の求道的なアーティストの姿があった。
フルステージを望む身としては短い時間だったが、それでも彼女の音楽キャリアがまだまだ終わっていないことを確認できただけでもじゅうぶんな収穫である。と、それよりなにより、短時間ながらもやはり素晴らしい曲を聴かせてもらったことは大きな大きな喜びだ。次の来日があるのかどうかわからないけれど、ぜひともまた観たい。今回聴けなかった曲はまだまだたくさんあるのだから。