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好きなもの・気になったもの・身近な生活

ディラン来日でも観に行けず

2010-01-29 19:47:56 | Weblog
 ボブ・ディランのチケットがプレミアム化している。久しぶりの日本ツアーはディラン本人の意向により大阪・名古屋・東京のZeppになったが、それにしてもディランほどの超大物がやるにはキャパシティが小さい。しかも立見で12000円、2階指定席で20000円という、この不況のご時世でヒジョーに強気な値段設定。立ちっぱなしで窮屈な思いをさせられるライブで1万を越えるチケット…。いったいどんなライブなのかと思うが、ディランのことだから『いつものライブ』になるはず、というかそれ以外になりようがない。2時間ほど淡々と歌い、なにも喋らず去っていくいつものスタイル(ただし、セットリストは毎回変わる)。今世紀に入って、またその活躍っぷりが凄まじい勢いを見せるこのオッチャンのそんな「いつものライブ」は是が非でも観たいところだが、それはともかくとしてこのチケットの値段には二の足を踏む。Zeppは東京しか行ったことがないが、一階の後ろの方では大して見えないんじゃないか? 確実にステージが見えるところといったら一階の前方と二階指定席くらいか。個人的にはオッチャンの顔は見えなくてもぜんぜん構わないし、音だけちゃんと聴こえればそれで十分だが、しかしこんなことを考えるとやはりこのチケットは高いという思いが強くなる。ゆったり座ってしっかり観たいっていうのが自分にとってのディラン・ライブだけれど、そうなると20000円の指定席しか選択の余地はない。ネット・オークションでもどんどんと高値をつけていくチケット。不況といっても羽振りのいい人はたくさんいるんだなぁと驚くが、でも、年齢や体力によって2時間も立っていられない事情もあるのかもしれない。そんな人はやっぱり高値でも指定席にせざるを得ないか…。前に来日したときはチケット1万もしなかったのに…。

 これが彼の最後の日本ツアーというのでもなければ、とれなかったチケットを高値でなんとか手に入れる必要もあるまい。生きてさえいればまたいつか来日するはず。なにしろディランはライブするために生きてるような人間だ。そう考えながら(というより、そう自分に言い聞かせながら)、次の日本座席公演を気長に待つことにします。オッチャン、元気でいてね。

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トリビュート・バンドとは

2010-01-12 20:21:12 | Weblog
 トリビュート・バンドのアイデンティティはどこにあるのか、というと、やはりそれはそのトリビュートしようとするバンドをどう聴き、どう捉えているか、そのアティテュードに尽きる。もちろんそのなかには敬意も含まれる。それらがありさえすれば、いくらそのバンドをおちょくったり愚弄したステージを作りあげようとも、それは立派なトリビュートである。トリビュートの対象となるバンドの容姿や動き、癖などをいじり倒して笑いをとることも、そこに敬意がなくては中途半端な戯れ事に成り下がる。芸能としてはとてもシリアスなものでもあるのだ。
 それとは逆に、対象バンドのなんたるかをしっかり捉えようともせず、いくら真摯に向き合ってますよ的な態度で真っ向から演奏したとしても、それはただの自己満足なコピーなだけで、そこに見るべきものはなにもない。

 『LEGEND OF ROCK』というトリビュート・バンドのイベント・ライブに行ってきた。たくさんのバンドを見たが、それぞれのバンドのトリビュートの気持ちを感じることができるのはそれだけで楽しい。完全な再現を目指す演奏であったり、音をずらしたり抜いたりすることで遊びを作る演奏であったり。それらを作りあげる強いこだわり、積もり積もったマニアックな執着心などが混然一体となる刹那の高揚感。バンドの姿勢はそれぞれだが、それらが強く感じられるライブは理屈抜きにおもしろい。

 ただこの日に見たバンドでひどくがっかり、幻滅したバンドがあった。細部にこだわるバンドの姿勢は立派だが、ヴォーカルが一人孤立、ただ歌っているだけのステージはとても見られるものではなかった。トリビュートするバンドへの思いがまったく見えてこない歌い方、ただのコピー、というかすっかりカラオケなのだ。トリビュートに対する考え方が皆無なのでは?と思われるたった一人のためにバンドがただ胡散臭いだけのものになってしまっていた。つまらないという気持ちより、うんざりしてしまうライブ。再現しようとするバンドがとても好きなバンドだし、だからこそ期待していただけに、「それはないだろう・・」と。

 やっぱりトリビュート・バンドの存在価値はきめ細かいアティテュードなのだ。
 そういった意味で、この日に初めて見たヴァン・ヘイレンのトリビュート・バンドのVON HALENは最高である。
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KRAFTWERKの到着を待つ

2010-01-10 11:51:55 | Weblog
 いわゆるテクノ音楽ってヤツがどうにも好きになれない自分にとって、電子音の音楽は鬼門の分野なんですけど、リマスターの評価が軒並み高い今回のクラフトワークの再発には興味津々で、年をまたいで悩んだ挙げ句、オフィシャルサイトからのボックス購入を遅ればせながら決意しました。
 なんでもその音が劇的に向上したらしいじゃないですか。音楽の性質上、音響テクノロジー向上の恩恵を受けやすいのがテクノ音楽の長所でもあったりしますが、彼らのアルバムは制作されたその時代からいってデジタル録音されているわけでなく、古いフォーマットでのレコーディングだったわけで、それが現代のテクノロジーによってどんな仕上がりになっているかがとても楽しみです。
 彼らがデビューした当時はテクノロジーの部分で制限がまだまだたくさんあったんでしょうけれど、それでもおもしろい音楽を次々に創出していました。未発達なテクノロジーは彼らのクリエイティビティに対しなんの障害にもなっておらず、彼ら自身が録音されたものを表現の発露の明確な場としてしっかり認識していたのが見て取れます。彼らのアーティスティックな気概をビシビシと感じる、グループの確固たる方向性には惚れ惚れとしてしまいますが、そんな信念のある電子音はユーモアの感覚も多分にあり、実に人間的なあたたかさに満ちています。
 いまから見るとローファイな機材で発表された過去の作品が、現代のテクノロジーによって改められるスリル。リーダーのラルフ・ヒュッターがいまリマスタリングすることの意味、それを味わえるリマスターであることに多大な期待を寄せて、ボックスの到着を心待ちにしている年明けです。
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