that sound...

好きなもの・気になったもの・身近な生活

12/13 ケルティック・クリスマス

2008-12-15 21:03:53 | ライヴ

 毎年恒例のケルティック・クリスマス。今年はハウゴー&ホイロップ、ダーヴィッシュの2グループに、ピラツキ兄弟のステップ・ダンサーズという布陣。

 まずハウゴー&ホイロップ。今年の活動をもって解散を発表した2人。解散直前の演奏だから感傷的にもなるかと思いきや、これがまた味わい深さに充ち満ちた素晴らしい演奏。去年観たときよりずっとずっと深みを増した演奏は、まだまだ2人が進化の過程にあることを物語るものだった。演奏時間は短かった(というより短く感じた)けれど、2人がつくりあげてきたものの自信と貫禄にとにかく圧倒されっぱなし。感傷的なものは一切なし、ただただ演奏を楽しんで去っていったハラールの後ろ姿に解散という悲壮さはまったくなかった。

 さて、次に出てきたダーヴィッシュは、今まで一度も聴いたことがないグループ。
 演奏はしっかりしていてうまい。が、それぞれの音に特別な個性を感じることはなく、模範的な演奏という枠にとどまった印象だった。
 ただヴォーカルのキャシーはグループのガイド役でもあり、彼女のリーダーシップがグループに勢いや弾みをつけていたのは注目すべきところだった。まるで八百屋のおばちゃんのようなべらんめぇ口調のMC(出身地スライゴーの訛りなのか?)はとても気さくでフレンドリー。が、歌になるとまったく別の美しい声で堂々とした歌いっぷり。その対比がまたたまらない魅力になっていた。
 途中から出てきたステップ・ダンサーズも強烈なアクセントになり、コラボとしてはかなりおもしろいものを見せてくれた。

 最後にはハウゴー&ホイロップ、ダーヴィッシュ、ステップ・ダンサーズの共演。みんな楽しそうに演奏していたけれど、一人一人の音はたくさんの音の中で行き場を失っていたような気もする。キャシーがハウゴーとホイロップの名前を間違えて紹介するなどその場の空気がメタメタな感じがおもしろかったが、演奏もぶっつけ本番な気配濃厚な上に、すごく緩く、ズルズルしたものに…。アンコールで最後にやったクリスマスソングもユルユルで、場を統制する仕切り役や演奏のまとまりなど一切なかったのは残念な結果となった。

 それにしてもハウゴー&ホイロップの解散は痛い。なにしろ2人はこのデュオ以外にもいろいろな活動をしている多忙な身。ハウゴー&ホイロップの活動に専念しているわけにもいかず、他にもやるべきことがたくさんあるという理由での解散らしいが、今後、2人の縦横無尽でスケールの大きい演奏が聴けなくなるのはさびしいかぎりだ。この日本での演奏を最後に解散していく2人をやさしく見送ろう、この日の演奏を観るまではそう思っていた。
 ところがこの日の演奏が想像以上にすごかった。以前に比べて格段に研ぎ澄まされていたその音の深みは、このデュオの深化はもちろん、未来の発展をも予見させるにじゅうぶん過ぎるほどのものだったのだ。
 この日のハイライトは間違いなくハウゴー&ホイロップだった。輝きを見せながら解散していく彼らを観れたこと、それが今回のケルティック・クリスマスだった。

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TOM TOM CLUBはクールで楽しい

2008-12-05 23:16:12 | Weblog
 年明けにデヴィッド・バーンが来日するらしい。なんでも今回の来日は、今までにブライアン・イーノとコラボした曲ばかりをやるライブで、トーキング・ヘッズの曲もたくさんやるとのこと。これは興味がわいてくる。
 ソロになってどんな活動をしているのか、気にはなっていながらも彼のソロ作を一枚も聴いたことがない、とても熱心なファンとはいえない自分だけれど、トーキング・ヘッズの曲をいまのバーンがどのように表現するのかがとても楽しみだ。イーノと組んだ新作も内容がとてもいいとの評判で、久しぶりの共作からバーンの中でなにが芽生えたのかもライブで確認したいところだ。

 ってことで、久しぶりにトーキング・ヘッズを引っ張り出して聴いております。

 そこでいまさらながら、なんだか気になったのがリズム隊の夫婦。
 「なにを考えてるのかさっぱりわからない、見るからにヘンな人。だけど頭がめちゃめちゃ良さそうだし、すっごい才能の持ち主」なイメージのデヴィッド・バーンは、昔も今も印象は変わらない。でもそんな才人をサポートしていた残りの3人、特にリズム隊のクリス・フランツとティナ・ウェイマスはそんな才人の背後でかなり思慮深く、また冷静にバーンとバンドの様子を見ていたことが窺い知れる。バーンの強烈なキャラクターに比べると地味な印象だけれど、この3人の、狂気に寄り添うインテリジェンスももっともっと評価されてしかるべきだ。

 そんなことを感じ、いまになってトム・トム・クラブのデビューアルバムを買ってみた。

 トム・トム・クラブはデビューのときから知っていたけど、デビュー当時はなんだかヘナヘナなアマチュアユニットにしか思えなかった。(ま、そういう自分も当時はなんにも知らない子供でしたが…) 歌はド素人丸出しだし、ふざけてやってるようにしか聞こえなかったのだ。

 が、いま聴いてみるとこれがえらく楽しい。ヘンな才人、デヴィッド・バーンの後ろ姿を見つめていたこの夫婦が、そのカリスマから解放されて作った遊び心あふれた音。今となってはロウファイでチープな音だが、それがまた良くて、その遊び心は新鮮に響く。サウンドプロデュースはものすごく丁寧で、ツボを押さえた音作りは計算されていると思うし、ギターで参加しているエイドリアン・ブリューのコードカッティングも心憎いアクセントになっている。

 ただただ楽しい音楽。これをやろうとしたのがこのグループなのだろう。デヴィッド・バーンからも、トーキング・ヘッズからも離れた夫婦のプライベートパーティ音楽。インテリジェンスが作った趣味の世界は、ノンプレッシャーなミュージシャンシップから生まれた産物ということか。一時期は曲を書くプレッシャーにひどく苦しんでいたというバーンだが、そんな彼とはまったく別のトーキング・ヘッズがここにある。

 楽しいなぁ。。
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