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3/19 Don Felder @ Billboard Live Tokyo (2nd set)

2012-03-22 21:44:22 | ライヴ
 いままで何回か来たビルボードだが、1stセットが終わったあとのロビーにあれほどのムンムンとした熱気を感じたのはこの日が初めてだ。その熱気は狭いライヴハウスでの熱いロックンロール・バンドのそれと同じ。終演も時間オーバーだったようだし、いったいフェルダーはどれほどのステージを観せたのか。
 これから観る2ndセットに俄然期待が高まる。まさか1stセットで全てを出しきって、抜け殻になどなっていないことを祈りつつ……。

 開演前、ステージを見回すと両サイドにたくさんのギターがあるのが見える。フェルダーと、もう一人のギタリスト、ベン・マウロのギターはそれぞれ10本くらいあっただろうか。曲ごとに使い分けるギターのなかでも一際目立つのが白いダブルネック。"あの曲"で使うのはわかりきったことではあるけれども、やはり実物を目にするとワクワクしてくる。

 そして開演。いきなりそのダブルネックを抱えて出てきたフェルダー。なんとオープニングで「Hotel California」である。たまたま席に恵まれ、目の前、数十センチでフェルダーを見るポジションについたのだが、その近さから見る光景はとにかく刺激的だった。あのギター・フレーズが耳より先に目に飛び込んでくる。マウロとのツイン・リードが目の前で展開されるのを見入っているとただただ呆然、夢見心地である。馴染んだフレーズをそのまま、ギターの音もレコードで聴いたあの音だ。
 1曲目から観客の温度は一気に上がり、しかしステージ上のフェルダーとバンドはクールに演奏していく。次々に繰り出されるイーグルス・ナンバー。歌はさすがにフライやヘンリーほどではないにしても、そこには生々しいライヴの臨場感がある。去年観たイーグルスのライヴが無機的なルーティン・ワークのように感じられたのに対し、このフェルダー・バンドの演奏は曲をグッと自分たちの音として引き込み、そして楽しんでいて、まさしくいま響くライヴのサウンドそのものであった。フライ、ヘンリーとの共作とされている曲もガンガン繰り出し、"イーグルスのフェルダー"としての気概を感じるステージ。いまでは見なくなったトーキング・モジュレーターを使った「Those Shoes」もステージを彩り、楽しいショウに仕立て上げていた。また、意外にもヴォーカルがソックリだったスティーヴィー・レイ・ヴォーンのカバー「Pride And Joy」は驚きの選曲。その壮絶なギターのとんでもない力強さたるや恐ろしいほど。
 そして、なにより驚いたのはバンドのコーラス・ワークだ。すべてにおいて計算され、コントロールされたコーラスはイーグルスのそれと向こうを張るもの。「Seven Bridges Road」では煌めきながら降り注ぐような歌声のその美しさは筆舌に尽くし難い。
 演奏能力の高いバンドは硬軟混ぜた曲のそれぞれの表情をくっきりと映し出し、フェルダーのギターはなんの衰えもない。盤石な演奏でありながらスリリングなステージ。高いミュージシャン意識が作る徹底したライヴ・ショウを見せつけられ、ただ感服するのみだった。

 気づくと会場は熱気でムンムン。1stセットが終わったあとの熱さは2ndセットのあとも同じだった。あんなステージを見せつけられたらあんなムンムンにもなるはずだ。予想以上のロックなステージは、フェルダーがイーグルスに持ち込んだ要素そのもののようで、そういう意味では実に象徴的なパフォーマンスであったといえる。いまのイーグルスに足りないものはやはりドン・フェルダーなのだ。


3/19 SETLIST

1.Hotel California
2.Already Gone
3.One Of These Nights
4.Pride And Joy
5.Peaceful Easy Feeling
6.Tequila Sunrise
7.Over You
8.Seven Bridges Road
9.Those Shoes
10.Heavy Metal
11.The Long Run
12.Witchy Woman
13.Heartache Tonight
14.Life In The Fast Lane

<Encore>
15.Take It Easy

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