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ロジャー・ダルトリーは天然な強者である

2012-01-12 17:42:33 | Weblog
 つい最近、テレビで、おそらく2002年くらいのポール・マッカートニーのライヴ・ツアーのドキュメント番組をやっているのを見た。見ていてしみじみ思ったのは、ポールって人はまったくもってライヴの人であるということ。サービス精神あふれるそのライヴはまさにエンターテイメントそのものだ。ツアーごとにセットリストをチョコチョコ変え、観客を飽きさせないその細かい配慮はこの人ならでは。観客を引き込むパフォーマンスはさすがである。

 ところで、放送していたこの2002年のものと思われるツアー映像を見ていると『She's Leaving Home』なんかをシレーっとやったりしていて、そのライヴ向きではない意外な選曲に驚く。しかも、ビートルズ時代の曲で、一応「レノン&マッカートニー」のクレジットはあるけれども、紛れもないジョンの曲。その自作曲のレパートリーの多さにも関わらず、ジョンの曲をポールが歌うことに個人的に違和感は感じるが、ただ、嫌悪感みたいなものはまるでない。そこにはジョンに対するポールの想いみたいなもの、友情みたいなものを感じるからだ。ポールは過去にジョージの『Something』もウクレレを弾きながら歌っていたこともあったが、ここにも亡きジョージへの想いが感じられたものである。ポールはジョンやジョージの存命中に彼らの曲を自分のライヴで歌うことはなかった。いま、ポールがジョンやジョージの曲を歌うことには哀悼の意味がある。ポールが歌うジョンとジョージのビートルズ・ナンバーを披露するライヴは、違和感はあるけれどもけして悪くはない。盟友の曲をポールが歌う姿を観るのも、ポールのライヴの楽しみのひとつなのだ。

 ところで、だ。いままではまったく気にしていなかったので知らなかったけれど、ロジャー・ダルトリーの過去のソロ公演を調べていると、なんとこのオヤジ、1994年に『Daltrey Sings Townshend Tour』などというタイトルのツアーをやっている。内容は、タイトルそのまんま、ピート・タウンゼントが書いた曲を歌いまくるというライヴである。ロジャーがリード・ヴォーカルをとっていたフーの曲でのライヴであるならばこれはまだ納得できる。しかしここで気になるのは「ピートの曲を歌う」というツアー・タイトルだ。なんともヘンなタイトルである。いまやっているツアーの『Roger Daltrey Performs The Who's Tommy』でなく、『Daltrey Sings Townshend Tour』という、言い方がヘンテコ極まりないタイトル。
 そこでセットリストを見てみると、なんとこのオヤジ、フーの曲は当然としても、ピートのソロ曲まで歌っちゃっているのである。ピート単独で自作自演している『The Sea Refuses No River』を取り上げ、堂々と歌うのだ。これ、ロジャーはなんにも関わっていない曲である。このオヤジ、ピートを自分専属の作曲家としてみているのか、それとも「ピートの曲はオレのもの」と思っているのか、まぁとにかくやりたい放題なのだ。ピートもわかっているのだろう、このオヤジが言い出したらなにを言っても無駄だということを。自分が積み上げてきたキャリアにプライドをもっているのか定かではないが、ロジャーは自身の曲に執着せず、事あるごとにピートの曲を歌いまくっている。自分がまったく関わっていない曲であっても歌いたくなったら歌っちゃうのだ。盟友への想いを胸に歌うポールとは違い、ピートのことなど省みずに歌いまくるオヤジ。違和感どころか、なんだか盗っ人みたいな所業に思えたりもする。でもオヤジは躊躇することなく、ピートの曲を引っ提げて堂々とツアーを回るのだ。ロジャー・ダルトリーという男はまったくもってすごいオヤジなのである。

 でも、ホントのところ、だからこそ、この天然なオヤジが愛おしかったりもするのだ。来日の詳細はまだ発表されていないが、ピートの曲を我が物顔で歌うこのカトチャンの勇姿をぜひともこの目で拝みたいものである。初めてソロで回る日本で、カトチャンはどんなパフォーマンスを観せてくれるのだろうか。
 ありがたいことに、前回のロジャー来日の文には多くのアクセスをいただいている。みんな、カトチャンの来日を心待ちにしているのだろう。来日に関しての詳細発表が待たれる。
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