このところ梅雨が明けたはずの、7月に入って西日本で豪雨が続いている。21日、記録的な集中豪雨に見舞われた山口県内では、土砂が特別養護老人ホームに流れ込むなどして計5人の命が失われた。各地で家屋が崩れ、国道の車は土砂に埋もれた。「まるで津波のような土石流だった」。恐怖の瞬間に、避難者らは顔を引きつらせた。 防府市真尾の特別養護老人ホーム「ライフケア高砂」には、裏山で崩れた土砂がガラスを割って屋内に押し寄せた。ドーナツ形の施設のロビーは泥まみれで、直径10~20センチの石がいくつも転がり、施設の外まで車いすや布団が流し出された。
消防車や救急車を含む約20台の車両が土砂に埋まった国道262号 佐波山 ( さばやま ) トンネル付近では、流れ込んだ土石や流木で道路は寸断された。 広島市から福岡市に向かう途中で土石流に巻き込まれた福岡県志免町のトラック運転手は「トンネルの手前で、大人の腰ぐらいの高さの濁流が来て、倒木や大きな石も押し寄せてきた。自分の4トントラックは動かなくなり、トラックの脇を作業服姿の男性ら4~5人が流され、道路標識などにしがみついていた」と当時の状況を語った。 自宅が冠水した助産師の女性(65)は「津波のような濁流だった。これからどうやって暮らせばいいのか」と途方に暮れていた。山口県防府市を襲った集中豪雨災害で、同市が死者・行方不明者計7人を出した特別養護老人ホーム「ライフケア高砂」のある同市真尾(まなお)南郷地区に対し、避難勧告を出さなかったことがわかった。市は「救援活動を優先させた」と説明しているが、同地区では二次災害の恐れがある中、住民が危険な状況に置かれ続けていたことになる。
また、活発な梅雨前線の影響により、九州北部を24日夕から夜にかけ襲った記録的豪雨で、25日昼までに、新たに福岡県飯塚市、福智町で2人の死亡が確認された。
今回の豪雨による死者は福岡、長崎両県で計4人となった。また、家屋の倒壊などで福岡県 篠栗 ( ささぐり ) 町で女性2人、北九州市八幡西区で女性1人、広島県東広島市で2人の計5人が行方不明になっている。
福岡管区気象台によると、梅雨前線は25日も九州北部に停滞し、同日夜にかけて激しい雨が降る見込み。
同気象台によると、各地で観測史上最大の雨量を記録。福岡市博多区では24日午後7時25分までの1時間に116ミリ、長崎県壱岐市で103ミリ、飯塚市で101ミリと、観測史上最大の時間雨量を記録した。
気象庁などによると、25日午前11時半までの3日間の雨量は、飯塚市で339ミリ、篠栗町で327・5ミリ、長崎県壱岐市で313・5ミリ、佐賀県唐津市で283・5ミリなど。各地で軒並み200ミリを超えている。
大雨警報の基準は各地域ごとに設けられている。飯塚市の山間部では1時間70ミリで警報を出すが、想定を超えた豪雨に見舞われたことになる。気象庁は雨がやんだ地域でも、地盤が緩みやすくなっており、山崩れなど災害の恐れがあるとして注意を呼びかけている。
篠栗町篠栗では、元沢亮三さん(68)方が倒壊し、妻の正子さん(61)と娘の綾子さんの行方がわからなくなっているほか、北九州市八幡西区の牟田コタカさん(67)が裏庭の様子を見に行ったまま帰らないと、家族から市消防局に通報があった。近くの川に流された恐れがあるという。
福岡県警によると、飯塚市花瀬で24日午後9時20分頃、「男性が水路に流された」と110番があった。飯塚署員が捜索したところ、近くの空き地で男性の遺体が見つかり、西鉄バス筑豊(本社・飯塚市)の社長柴田政範さん(60)(福岡県 嘉麻 ( かま ) 市)と判明した。
福智町弁城では、永末英信さん(73)方など住宅2棟の計5人が土砂崩れに巻き込まれた。永末さんを除く4人は無事救出されたが、永末さんは25日未明、心肺停止の状態で見つかり、その後、死亡が確認された。
福岡県 前原 ( まえばる ) 市の丸田池で見つかり、その後死亡が確認された女性は、同市前原駅南3の店員岩本幸恵さん(54)と判明した。
広島県では、東広島市志和町 内 ( うち ) 、無職梅田里子さん(91)方の裏山の斜面が長さ約150メートル、幅20~30メートルにわたって崩れ、土砂が梅田さん方を直撃し、母屋が全壊。梅田さんと長男の静則さん(67)の行方が分からなくなっている。25日午前9時50分までの市内の24時間雨量は観測史上最大の215ミリを記録した。
西日本は毎年、梅雨前線や台風で大きな被害が出ており、お気の毒であるが、今回も大変な惨事である。
消防車や救急車を含む約20台の車両が土砂に埋まった国道262号 佐波山 ( さばやま ) トンネル付近では、流れ込んだ土石や流木で道路は寸断された。 広島市から福岡市に向かう途中で土石流に巻き込まれた福岡県志免町のトラック運転手は「トンネルの手前で、大人の腰ぐらいの高さの濁流が来て、倒木や大きな石も押し寄せてきた。自分の4トントラックは動かなくなり、トラックの脇を作業服姿の男性ら4~5人が流され、道路標識などにしがみついていた」と当時の状況を語った。 自宅が冠水した助産師の女性(65)は「津波のような濁流だった。これからどうやって暮らせばいいのか」と途方に暮れていた。山口県防府市を襲った集中豪雨災害で、同市が死者・行方不明者計7人を出した特別養護老人ホーム「ライフケア高砂」のある同市真尾(まなお)南郷地区に対し、避難勧告を出さなかったことがわかった。市は「救援活動を優先させた」と説明しているが、同地区では二次災害の恐れがある中、住民が危険な状況に置かれ続けていたことになる。
また、活発な梅雨前線の影響により、九州北部を24日夕から夜にかけ襲った記録的豪雨で、25日昼までに、新たに福岡県飯塚市、福智町で2人の死亡が確認された。
今回の豪雨による死者は福岡、長崎両県で計4人となった。また、家屋の倒壊などで福岡県 篠栗 ( ささぐり ) 町で女性2人、北九州市八幡西区で女性1人、広島県東広島市で2人の計5人が行方不明になっている。
福岡管区気象台によると、梅雨前線は25日も九州北部に停滞し、同日夜にかけて激しい雨が降る見込み。
同気象台によると、各地で観測史上最大の雨量を記録。福岡市博多区では24日午後7時25分までの1時間に116ミリ、長崎県壱岐市で103ミリ、飯塚市で101ミリと、観測史上最大の時間雨量を記録した。
気象庁などによると、25日午前11時半までの3日間の雨量は、飯塚市で339ミリ、篠栗町で327・5ミリ、長崎県壱岐市で313・5ミリ、佐賀県唐津市で283・5ミリなど。各地で軒並み200ミリを超えている。
大雨警報の基準は各地域ごとに設けられている。飯塚市の山間部では1時間70ミリで警報を出すが、想定を超えた豪雨に見舞われたことになる。気象庁は雨がやんだ地域でも、地盤が緩みやすくなっており、山崩れなど災害の恐れがあるとして注意を呼びかけている。
篠栗町篠栗では、元沢亮三さん(68)方が倒壊し、妻の正子さん(61)と娘の綾子さんの行方がわからなくなっているほか、北九州市八幡西区の牟田コタカさん(67)が裏庭の様子を見に行ったまま帰らないと、家族から市消防局に通報があった。近くの川に流された恐れがあるという。
福岡県警によると、飯塚市花瀬で24日午後9時20分頃、「男性が水路に流された」と110番があった。飯塚署員が捜索したところ、近くの空き地で男性の遺体が見つかり、西鉄バス筑豊(本社・飯塚市)の社長柴田政範さん(60)(福岡県 嘉麻 ( かま ) 市)と判明した。
福智町弁城では、永末英信さん(73)方など住宅2棟の計5人が土砂崩れに巻き込まれた。永末さんを除く4人は無事救出されたが、永末さんは25日未明、心肺停止の状態で見つかり、その後、死亡が確認された。
福岡県 前原 ( まえばる ) 市の丸田池で見つかり、その後死亡が確認された女性は、同市前原駅南3の店員岩本幸恵さん(54)と判明した。
広島県では、東広島市志和町 内 ( うち ) 、無職梅田里子さん(91)方の裏山の斜面が長さ約150メートル、幅20~30メートルにわたって崩れ、土砂が梅田さん方を直撃し、母屋が全壊。梅田さんと長男の静則さん(67)の行方が分からなくなっている。25日午前9時50分までの市内の24時間雨量は観測史上最大の215ミリを記録した。
西日本は毎年、梅雨前線や台風で大きな被害が出ており、お気の毒であるが、今回も大変な惨事である。