独り言

日常生活で起こったことやニュースを発信していきたいと思います

消費税は企業減税のための増税!だまされるな!国民いじめのまやかしに!

2017-10-21 11:44:23 | Weblog

消費税増税に反対するブログ

消費税の財源の8割以上が法人税減税に消えている!消費税10%への引き上げを中止しよう!(コメントは、異論や反論も大歓迎です)

2017-10-17

消費税増税は法人税減税の穴埋めに過ぎない

消費税収の8~9割が法人税減税に消えている

 安倍政権は「人づくり革命」として、消費税を10%に増税する代わりに企業の法人実効税率を中国並みの25%程度まで引き下げることを明言した。

 希望の党の小池代表もアメリカのトランプ大統領や、フランスのマクロン大統領を見習って法人税減税を推進している。

 日本では消費税が導入された当時から法人税減税が急速に行われていて、法人税の基本税率は1984~86年度の43.3%から2016年度の23.4%に引き下げられ、国税地方税を合わせた法人実効税率も、1984~86年度の52.92%から2016年度の29.97%まで引き下げられている。2018年度からは基本税率が23.2%、法人実効税率が29.74%となる予定だ(表9を参照)。

表9 消費税増税と企業減税は同時に実施されている

1989年

消費税(3%)を導入

1989年

1990年

法人税を42%(基本税率)から40%に引き下げ

法人税を40%から37.5%に引き下げ

1997年

消費税を3%から5%に引き上げ

1998年

1999年

 

2012年

法人税を37.5%から34.5%に引き下げ

法人税を34.5%から30%に引き下げ

 

法人税を30%から25,5%の引き下げ

2014年

消費税を5%から8%の引き上げ

2014年

2015年

2016年

2018年

復刻特別法人税の前倒し廃止

法人税を25.5%から23.9%の引き下げ

法人税を23.9%から23.4%に引き下げ

法人税を23.4%から23.2%に引き下げ(予定)

2019年

消費税を8%から10%に引き上げ(予定)

 1989~2016年度まで日本人が払った消費税は計327.2兆円なのに対し、法人税は国と地方合わせて、税収が29.8兆円であった1989年度と比較すると計272.1兆円も減収した(図41を参照)。

 更に、森永卓郎氏の『消費税は下げられる』(角川新書、2017年)によれば、2014年からの消費税8%引き上げによる増税額(地方消費税を含む)のうち、初年度の増収額は8兆2462億円だった。

 それに対し、法人税は実効税率1%当たり6243億円の税収(法人事業税・住民税を含む)をもたらすため、実効税率を2010年度の40.86%から2016年度の29.97%に引き下げ、復興特別法人税を前倒し廃止したことによって、7兆7991億円もの法人税減税が行われていたことになる。

 つまり、消費税の財源は税収ベースで83.2%、税率ベースで94.6%が法人税減税の穴埋めに消えてしまったのだ。

 マスコミの多くは「国の借金を返すために増税しなければならない!」「社会保障を充実させるために増税しなければならない!」と煽っているので、消費税の問題に関心を持って増税に反対している経済学者の本を読んだり、個人で講演活動を行っている方の話を聞いたりしない限り、消費税の財源のほとんどが法人税減税の穴埋めに消えている事実について知る機会が少ないは問題だろう。

法人税を減税しても海外への投資を増やすだけ

 消費税増税の代わりに、法人税を引き下げて企業に余力が生まれたとしても、増税で消費が停滞してデフレに陥るため、企業の利益は需要不足の日本ではなく海外へ投資される可能性が高い。

 例えば、日本の建設企業が海外の工場へ投資すれば、配当金として投資収益が日本に戻ってくるが、そのほとんどは株主に還元されたり、内部留保に蓄積されたりして企業で働いている従業員の報酬や国内建設には向かわない。その結果、国民の所得格差が拡大し、資金の海外流出によって経済効果はむしろマイナスに転じるのである。

 実際に、日本は政府による国内への設備投資の額を表す「公的固定資本形成」が1996年の46.7兆円から2016年の25.0兆円に減少する一方で、企業による海外への投資の額を表す「対外直接投資」は1996年の2.9兆円から2016年の18.4兆円まで増加した(図42を参照)。

 

 安倍政権は「法人税減税で浮いたお金を内部留保ではなく、設備投資に回すよう企業に呼びかける」と言っているが、それなら内部留保に課税して政府の公共投資を増やしたほうが法人税を減税するより効果的ではないだろうか。

 また、希望の党は消費税増税凍結の代替財源として内部留保への課税を検討しているのは良いが、それと同時に公共事業の削減も推進しており政府の投資を増やすことには否定的なようだ。

 経団連などは内部留保について「自由に使える預貯金とは違う」「設備投資や企業買収などで既に使われている」と説明するが、400兆円を超える額には現金・預金など換金可能な資産も多く含まれていて、一部を活用することは可能である。 

 その上、内部留保が増加する一方で、企業や家計の住宅に対する投資を表す「民間住宅投資」の額は1996年の28.1兆円から2016年の15.8兆円まで減少していて、「内部留保の多くが設備投資に使われている」という説明には無理があるだろう。

企業が海外進出するのは人件費が安いから

 更に、「法人税が高いと企業が海外に逃げ出す」というのも嘘で、日本は80年代後半から法人実効税率を引き下げているが、海外に拠点を置いて活動する企業の数を表した現地法人企業数は1985年度の5343社から2015年度の25233社にのぼっており、企業の海外進出はこの30年間で4.7倍にも増加している(図43を参照)。

 法人税が高くて企業が他国に逃げるなら、今より1980~90年代のほうが企業の海外進出が多くなければいけないが、実際には法人税の高い時代のほうが企業は国内で仕事をしていたのだ。

 

 帝国データバンクは2011年8~9月に、海外進出率の高かった製造業七業種の企業のうち、海外への進出が確認できない4306社にアンケート調査を実施した。

 回答のあった1565社のうち、海外へ進出する意向を示したのは245社で、その理由(複数回答)は「海外市場の開拓」が173社(70.6%)、「取引先企業の海外移転」が82社(33.5%)、「円高」が78社(31.8%)、「安価な労働力の確保」が58社(23.7%)という結果になっており、「有利な税制(法人税や優遇税制)」を選択した企業は21社(8.6%)に過ぎない(図44を参照)。

 

 また、経産省の「海外事業活動基本調査」(2015年度)でも、海外進出を決定した際のポイントについて企業に3つまでの複数回答で聞いたところ、法人税が安いなどの「税制、融資等の優遇措置がある」を選択した企業は9.1%と一割にも満たなかった。

 「円高」などその時の経済状況に左右される理由を除けば、海外に進出する企業の多くが法人税の安さより「海外市場の開拓」や「安価な労働力の確保」を求めているのが実情のようである。日本とアジア諸国の賃金格差が数倍以上存在する場合、人件費の安い地域に生産拠点を移すのは自然なことだろう。

 もし、企業の国外流出を防ぎたいのであれば、法人税減税よりも海外に進出する企業に対して課税を行うべきではないだろうか。

法人税率を戻せば消費税増税する必要はない

 安倍政権がアベノミクス自画自賛する理由として、よく「企業が過去最高の収益を上げている」という発言がある。確かに、企業の経常利益は2016年度で75.0兆円と過去30年間で最も多く、バブル期であった1989年の38.9兆円より1.9倍も増加している(図45を参照)。

 消費税を増税して個人消費が大幅に落ち込んでも、景気が悪化したように感じないのはこうした背景があるようだ。

 しかし、国の法人税収は80年代後半以降に基本税率の引き下げが繰り返されたこともあり、1989年度の19.0兆円から2016年度の11.1兆円まで減少してしまった。もし、2016年の経常利益に1989年当時の税率(40%)が適用された場合、単純比較で法人税収は36.6兆円にものぼっていたことが予想される。

 これは2016年度の法人税収と消費税収を合わせた27.9兆円より多いため、法人税率を一昔前の水準に戻せば、消費税を引き下げても社会保障費を捻出することは可能なのだ。

 

 10月22日の衆院選に向けたマスコミの報道では、どうしても「安倍首相 VS 小池都知事」の構図を作り出そうと必死に感じるが、彼らが法人税減税を推進していることに変わりはない。

 このブログをご覧になっている方々には、是非とも消費税増税法人税減税の両方に反対している政党に一票を投じてほしいと思う。

<参考資料>

「人づくり革命」推進の企業 減税

https://www.houdoukyoku.jp/clips/CONN00371074

小池都知事会見詳報(1)「日本に足りないのは希望」

https://mainichi.jp/senkyo/articles/20170925/mog/00m/010/002000c

消費税廃止各界連絡会

https://www.facebook.com/zouzeistop/

海外事業活動基本調査 -2015年度実績-

http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/kaigaizi/result/h27data.html

法人企業統計調査

http://www.mof.go.jp/pri/reference/ssc/results/index.htm

 

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Business Journal>企業・業界>安倍首相の贈収賄に発展か

2017-10-16 11:46:05 | Weblog

文=青木泰/環境ジャーナリスト 2017.10.7

安倍首相と加計孝太郎氏(Kodansha/アフロ)

 9月6日に今治市の「今治加計獣医学部問題を考える会」(黒川敦彦共同代表)の市民が、加計学園に違法に市有地を譲渡し、補助金の支給を決めた菅良二市長を相手取り、その撤回を求めて住民訴訟を提訴した。山場を迎える加計問題が、安倍首相による衆議院解散・総選挙の引き金になった点を追跡し、現状の課題を整理したい。

 9月19日、安倍晋三首相は自民党の二階俊博幹事長に対して衆院解散を通知し、9月28日の臨時国会冒頭での解散を行った。「もり・かけ(森友・加計)問題」隠しとの指摘が相次いでいる。この「もり・かけ問題」は、安倍首相による縁故者への便宜供与、国家の私物化が共通した問題である。公金を不正に流用し、便宜を図っていたのだが、この問題は安倍首相による大義なき解散にどのように影響を与えたのか。

 森友問題については、すでに本サイトで報じたように、9月15日に東京地検特捜部が2つの市民団体の告発状(それぞれ背任罪と公用文書毀棄罪)を受理し、大阪地検特捜部に移送し、財務省などへの捜査が不可避となった。いよいよ森友問題の核心である2万トンの埋設ごみを仮装して8億円を値引き、国有財産に損害を与えた背任罪とそれを隠そうとした公用文書毀棄罪に捜査が入り、その最大のターゲットが佐川宣寿国税長官(前財務省理財局長)である。もちろん、便宜供与した安倍首相への捜査に進展する可能性もある。

 加計問題が安倍首相を衆院解散に追いやった要因として、次の3点が挙げられる。

(1)衆議院予算委員会閉会中審査における質疑での安倍首相の答弁

 食事とゴルフを何度も共にした安倍首相と加計孝太郎加計学園理事長。料金負担は「私の時も先方の時もある」と利害関係者からの接待(賄賂)を認め、関連して「加計学園の特区申請を知ったのは、今年(2017年)1月20日」と、これまでの発言と異なる内容を述べた。

(2)新設を認めるかどうかを審議する文部科学省の大学設置・学校法人審議会(設置審)の「認可保留」決定と継続審査の上で、10月下旬に答えるとした。

(3)今治市での住民監査と行政訴訟の動き、そして建設設計図からわかってきた獣医学部の実態解明の進展。

 7月24日に開かれた閉会中審査における加計学園問題への集中審議質疑のなかで、民進党の大串博志議員の質問を受け、安倍首相は、加計氏から接待を受けていた事実を認めた発言は決定的であった。その後の「今年の1月20日に加計学園の特区申請を知った」という発言は、これまでの答弁と違える発言だった。

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安倍首相は国家戦略特区によって岩盤規制に穴を空けたというが、実態は国家・行政の私物化でしかなく、だからこそ解散・総選挙に入った       

 

 参議院予算委員会(5月9日)や同決算委員会(6月5日)での答弁では、「国家戦略特区に、その申請を今治市とともに出された段階で承知した」と答え、今治市が獣医学部新設を提案した15年6月に知っていたと答えていた。質問主意書での同様の質問への回答とも内容が異なっており、以前から加計学園の特区申請の話を聞いていたという話になれば、賄賂―贈収賄の構図が成り立ってしまうため、それを避けるための発言だったと考えられる。

 8月25日、文部科学省の設置審は、加計学園の認可申請を「認可保留」として審査継続にし、結論を10月下旬に持ち越した。この審査継続によって、当初予定されていた衆院選3補選(新潟、愛媛、青森)は重要な意味を持つことになり、補選の行方次第によっては安倍首相の政治力が低下し、継続審査の結果にも影響することが考えられた。そこで安倍首相は、総選挙ならば議席数は減っても影響力は継続できると考え解散に至ったとみられる。

 9月6日の住民訴訟では、学園への市有地(評価額36億7500万円)の無償譲渡、および建設費に対する最大96億円の補助金の撤回を求めていた。「今治加計獣医学部問題を考える会」は、加計学園建築物の設計図を入手し、この補助金によって建設される施設単価が通常の2倍以上に見積もられていたことを知り、安倍首相による便宜供与の実態を各種メディアを通して明らかにしていた。結局、加計学園は単価を倍額以上に水増しした建設費の「半額」の補助金を受け取ることにより、実質1銭も使わずに学園建設できる供与を受けていたことになる。

 この住民訴訟は、加計問題での「便宜供与」の実態に直接触れる訴訟であり、いよいよこの問題が裁判・行政訴訟で争われることになった。しかも、この便宜供与の開始のボタンを押したのは安倍首相であり、これまで国が隠してきた内閣府や官邸と今治市との事前の打ち合わせの内容が明らかになってくれば、利害関係者への便宜供与が贈収賄事件へと発展する裁判にもなってくる。

 安倍首相は国家戦略特区によって岩盤規制に穴を空けたというが、実態は腹心の友である加計氏が理事長を務める加計学園に巨額の公金をつぎ込むという、国家・行政の私物化でしかなく、だからこそ解散・総選挙に入ったといえる。

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加計学園は岩盤規制に穴を空けるどこか、従来の公共事業の利権に群がる官民癒着構造そのものでしかなかった

裁判所へ訴状提出に向かう原告2名

今治市民が訴えた住民訴訟

 9月6日、松山地方裁判所に住民訴訟を提起した市民は、「今治加計獣医学部問題を考える会」の共同代表の2人であり、その一人の黒川敦彦氏は、今回の訴訟の目的を次のように語る。

「訴状に書いたように、今治市が譲渡した評価額約36億7500万円の返還と、最大96億円になる高額な補助金の支出の差し止めです。住民監査請求した後にも、調査の結果、ひどい実態がわかってきています。」

 補助金額は、建設費192億円の半額を加計学園、残りの半額のうち県が34億円、今治市が62億円を負担し、県が出さない場合は市が96億円を支給する内容となっていた。しかし県は、その予算化すらしていないため、そのまま今治市が96億円を負担することになりかねない。

松山地方裁判所

 さらに黒川氏は、「市は、補助金支給の決定をした3月3日の段階で、担当職員が建設費の見積書すら入手していなかったことがわかりました。金額の妥当性を検討すらせず、加計学園の言うがままに補助金金額を決定していたのです。」それに加え、「専門家によれば、今回のような鉄骨を基礎にした建設物では、建設単価は坪当たり70万円前後、高くても100万円ほどにしかならない。ところが加計は約150万円もかかると算定していたのです」と事実を語った。

 岩盤規制に穴を空けるどこか、従来の公共事業の利権に群がる官民癒着構造そのものでしかなかったといえよう。

 今治市から133億円もの公金がつぎ込まれるという点が、ほとんどメディアでも問題となっていないが、6月12日に住民監査請求を行った「今治加計獣医学部問題を考える会」では監査請求の前に、今治市が取り組んだ大学誘致にあたり、市民がどのように考えているかを電話により市民アンケートを取り(約5700軒)、その結果、全回答826件の内、「住民のためにお金を使ってほしい」という声が約6割を占めていた。1300億円もの借金を抱えた今治市は、その赤字を1割近く増やすような今回の事業計画について、市議会で十分な論議をすることもなく補助金等の支給を決めていた。

 しかも加計は、設置認可の権限を持つ文科省に申請した翌日から、その認可の結果を待たずに工事を開始していたのである。法律上の手続きも行わず、無償譲渡した土地の上に補助金を頼って建設する獣医学部校舎と研究施設。文科省の認可が下りなかった時には、今治市は、無償譲渡した38億円のほか、その時点まで支払った補助金分の損失を出すことになる。

 監査請求はその点を問うものであったが、今治市の監査委員会の棄却の決定理由は、「認可が下りる前に補助金の支給をしてはいけないという法律はない」という驚く内容であった。法令に基づき事業を行うことは、地方自治法(第2条第14項)の定めでもあり、認可が下りていない事業について公金を支給することは、この法律に違反する。ところが監査委員会は、「支給してはいけないという法律はないからやってよい」という決定を下していた。

 学部新設の許認可権を持つ文科省が、設置認可について現在進行形で審議しているものに対して、認可されるものとして工事に入るのは、法律上の手続きを無視した違法な既成事実づくりであるといえる。2018年4月1日の開校を考えた加計学園の勝手な都合に合わせる措置でしかなかった。内閣府でさえ、今の手続きの進行状態の下では19年4月開校が順当と語っていたのである。

 自治法上は、住民は自分が住む自治体(都道府県や市町村)における不当なお金の使い方の是非を求めて住民監査請求を行い、それが棄却や却下されても、監査請求を行ったことを条件に、裁判に直接訴える住民訴訟を行うことが保証されている。住民監査請求は、住民訴訟を行う上での「前置」といわれる。

 9月6日、今治市の市民は、先に提出していた住民監査請求が棄却されたのを受けて、同趣旨で松山地裁に訴訟を起こしたのであった。筆者が専門的に取り組んできた清掃工場の焼却炉建設への補助金の仕組みと比較しても、考えられないような自治体による手厚い補助金である。市町村が建設する焼却炉への補助金は、通常国が3分の1(発電効率が高い場合は2分の1まで)が補助される。しかし市町村の事業であっても、都道府県はせいぜい10分の1ほどでしかない。

 それが建設費の半分を、市が責任を持って支給するというのである。これでは、規制緩和による有望な民間事業の掘り起こしというよりは、公金の投入による特定の民間企業へのテコ入れとなってしまう。

 行政訴訟が始まることによって、このようなずさんな行政運営の実態とともに、内閣府からの指示があってのことか、それとも勝手に今治市が忖度した結果なのかが明らかになってくるであろう。

設計図

設計図からわかった「世界最先端」のお粗末な実態

 では、そこまでして開校しようとしている岡山理科大学獣医学部の教育・研究内容は、世界の最先端をいく充実した内容になっているのであろうか。前出の黒川氏らの市民団体が入手した建設物の設計図からは、鳥インフルエンザなどの感染症防止のための世界最先端の研究という建前とは裏腹に、ひどい実態がわかっている。

「当初の計画では、最上階にはワインセラーやビールディスペンサーが設置され、100人規模のパーティーが可能な設計になっていました。まったく研究施設には似つかわしくないものです。その後、これについては設計変更したということです」(前出・黒川氏)

「ワインセラーやビールディスペンサーが大学内に置いてある例は、聞いたことがありません。学生数が数万、数千人の大学なら、来賓施設があってもおかしくないでしょうが、生徒数が1000人にも満たない獣医学部のキャンパスに宴会場をつくる必要はありません。来賓パーティーをやるなら市内のホテルを借りればよい。これは文科省の設置基準に引っかかりますよ。加計学園は、教育や研究の内容よりも接待を気にしていると思われても仕方がない」(寺脇研・京都造形芸術大学教授/「日刊ゲンダイ」<8月21日号>より)

 黒川氏が続ける。

「先端バイオ研究施設として鳥や人間に共通する感染症、鳥インフルエンザや口蹄病などの研究施設として必要な防御施設、バイオハザード施設が、お粗末そのものであり、設計仕様からみると有害なウイルスの感染防止用施設として設計されていないことがわかりました」

 筆者は月刊誌「紙の爆弾」(鹿砦社/8月号)でも取り上げたが、加計学園が地方都市の首長を頼り、土地の無償譲渡を受け、なおかつ100億円前後の補助金を受けて学校建設するのは、銚子市の千葉科学大学(薬学部、看護学部)に続き、今回の今治市の事例が2件目である。まるで大学設置ビジネスが本業のように見えてくる。

文科省の設置審、認可決定までの壁

 これまでの経緯を改めて整理してみよう。加計学園は3月31日に文科省の設置審に認可の申請を出し、8月25日に出された設置審での審査結果は「認可」とはならず、「審査継続」「認可保留」となった。計画の見直しが必要になり、10月下旬以降に延期されることになった。設置審における審議において問題となっているのは、以下の点である。

(1)閣議決定された石破4条件(1.既存の獣医師養成でない構想、2.ライフサイエンス<生命科学>など獣医師が新たに対応すべき分野における具体的な需要、3.既存の大学や学部では対応できないこと、4.近年の獣医師の需要の動向)を満たすのかが問われた。特に新設獣医学部が既存の獣医学部では対応できない新たな研究内容を備え、獣医師の新たな需要が見えるかどうか。この2点は、大変重要な審議点であり、本来、国家戦略特区諮問会議の討議のなかで行う必要があったが、確認がされていないため、設置審での内容の検討が必要になる。

(2)石破4条件を守っていない場合、安倍首相が国家戦略特区諮問会議の議長として加計学園を諮問したこと自体、内閣は閣議決定に縛られるという内閣法違反に違反している恐れがある。

(3)今回の獣医学部設置計画や建設設計の内容や職員配置が適切か否か。加計学園が18年4月1日の開校に向けて、施設建設計画や学生募集、運営計画などの工程表、設計図、特に研究施設、バイオハザード(防止)施設の計画内容の評価。

(4)設置審での「設置認可」を待つことなく、今治市の公金を使って建設が進められていることについての是非。

 森友問題と加計問題は、前者は刑事裁判、後者は行政訴訟とかたちは違うが、裁判で正式に争われることになった。それが、安倍首相を衆議院解散に走らせた。国家の私物化、そして解散権の乱用を問う総選挙といえよう。

(文=青木泰/環境ジャーナリスト)

【加計問題をめぐる経緯】

2015年6月 獣医学部新設に関して閣議決定。「石破4条件」

2016年1月 今治市が国家戦略特区に

     3月 京都府と京都産業大学が、獣医学部新設を提案

     6月 前川氏、文科省事務次官に就任

  9~10月 「総理の意向」内閣府からの働きかけ

    10月 文科省、石破4条件堅持の見解

 11月1日~ 加計学園、新設予定地でボーリング調査

  11月9日 国家戦略会議で「広域的に獣医師系養成大学等が存在しない地域」

に限り新設を認める方針決定。実質加計学園にのみ絞られる

2017年1月 特区事業者に加計学園を決定。(20日)

   3月3日 今治市市有地の譲渡や建設費補助を正式決定

  3月31日 加計学園、文科省に設置認可申請

     4月 加計学園、今治キャンパスの工事に入る

  5月17日 朝日新聞 「総理の意向」メモ スクープ

     5月 菅官房長官 「怪文書」、 文科省 同文書「確認できない」

  5月25日 前川前次官 「総理のご意向」文書はあった。記者会見

        ― 読売新聞 前川氏について「出会い系喫茶」記事―

     6月 現役職員 次々と証言

   6月8日 文芸春秋 「驕るな!安倍」前川次官告発文書。

   6月9日 菅官房長官 定例記者会見 文科省再調査発表

  6月12日 今治市民 住民監査請求

  7月24日 衆議院閉会中審査 安倍首相の加計氏から「接待」を受けたことがあると加計学園の特区申請を知ったのは、「1月20日」の訂正発言

  8月10日 今治市監査委員会 監査請求を棄却

  8月25日 文科省・設置審「認可保留」、審査継続。10月下旬に見解との発表

   9月6日 今治市民 監査請求をベースに行政訴訟

 

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