日々・ひび・ひひっ!

五行歌(一呼吸で読める長さを一行とした五行の歌)に関する話題を中心とした、稲田準子(いなだっち)の日々のこと。

あふれんばかりの、米

2009年01月24日 | 引っ越しな日々
新しいマンションんとこの関連会社から、
インテリア相談会の案内が郵送されてきた。

オーダーカーテンとか、
吊戸棚とか、
床のワックスとか、
水周りの消臭、除菌とか……。

いや、もう、余裕無いですし……と、思っていても、
いざ見てしまうと、揺らめきだすのが人の心。

最低限必要なものはなんなのか、
夫や、親と話し合い、
膨らむ購買欲をそぎ落としてから、
営業のミキティーさん(安藤美姫に似てるから)と、
マンションギャラリーで、
相談会の前段階の相談(ややこし……)をさせてもらう約束をしていた。

朝イチに、行く。

     ★

行ってみると、
マンションギャラリー横の、
駐車場前には、
イベントのテントが張られていた。

今日と明日の土日に来られたお客さんには、
抽選会だとか、焼きそばだとかを振舞うとか、
そういえば、ポストに入っていたチラシに書いてあったと、
思い出す。

ま、成約済みのアチキには、
関係ないでやんすよね~、と思いつつ、
ギャラリーに入る。

     ★

「……まぁ、関連会社ですんで、
そんなに大きな声では言えませんが……」

と、声を小さくして、
ミキティーさんは、
いろいろ親切に、親身に質問に答えて下さった。

「……あ、相談会って、何回もあるんですか」
「はい。それに内覧が終わってからでも十分いけますよ」

などなど、
いろいろ、あちこちに、話を飛ばしながら、
30分ほど話をし、区切りをつけた。

「ありがとうございました。参考にします」

と、今日は忙しいだろうと思って、
早々に立ち上がろうとしたら、

「あ、抽選会とか、やってってくださいね!」
と言われる。

私は平日にマンションギャラリーをめぐっていたので、
こういうイベントには参加したことがなかった。

なんだか、くすぐったい。

形式的に
参加申込書に名前などを書き込んでいると、

「一等賞のお米、当ててくださいね!」

と、ニコニコとミキティーさんは言ったが、

「いや、もう、お米、いっぱいあるんですよ~。
去年の暮れに両親が親戚の結婚式で、
田舎に帰って、
その時に新米を買ってきてくれて……、
あれ、10㎏以上あるんじゃないかな……」

丁度親がそれを持ってきたとき、
そんなお土産を知らない私は、
スーパーで米を10㎏買ったばかりで。

米びつには、スーパーの米。
袋に入ったまま、ガスコンロの前に、お土産の新米。
この上、一等賞のコシヒカリ5㎏をもらうと、
どれかの米に虫がわくんじゃないかと、ヒヤヒヤする。
(さらに親には『米、まだあるから、なくなったら取りに来い』と、
言われている。プレッシャー……)

場所もとるし。掃除するたびに、移動が大変だし。

なので「2等狙いですね。メロンがいいや」

いや、なんだったら、3等のみかん、りんご、でこぽんの
詰め合わせだっていい。

とにかく、米は避けたい。

     ★

あぁ、くすぐったい、くすぐったい、と思いながら、
ちゃっかり、お菓子の袋詰めもしたりして(子供かよ・笑)

ワタシ的には、
もう帰ってもよかったが、
メインのくじ引きは、11時からだから、
焼きそばでも食べて、待っててくださいと言われて、
休憩の出来るテントの椅子に腰掛ける。

イベント会場には、
私と年配のおじいさんしか、
一般ピープルはいないようだった。

後は、営業さんとか、
その上のお偉いさんの陣中見舞いっぽい雰囲気の人ばかり。

年配のおじいさんは、
本当にマンション購入を考えている人なんだろうか、
という雰囲気だった。
まぁ、見た目で判断するもんじゃないけれど。

試食の仕事をしていると、
「どーせ買わないんでしょ?」と、
なるべく希望を持たないところから、
人を見るようになるなぁとつくづく思う。

あぁ、でもでも。

不況なのはわかるけど、
住宅ローン控除だって、話ばかりで可決されてないけれど、
ちゃんと売れ残らず入居してほしいと願ってしまう。

せめて、自分のマンションだけは(笑)

おじいさん、隣人になりませんか?(あんまりお付き合いはしませんが・笑)

     ★

時間が来たので、
隣のテントの抽選会場へ、
おじいさんと私は向かう。

1等2等3等ハズレ(←ラップでした)の説明を受けて、
最初におじいさんから、
六角形のガラガラを、ガラガラと。

ポロンと出てきた。何かの色がついていた。

私以外の人たちが、歓声と拍手をする。

「おめでとうございます!3等です!」りんご・みかん・でこぽんだ。

ようやく私も拍手を送る。

おじいさんは、素直に喜びを表さず(←いや、さっきから無表情)、
3等の果物が入った箱をもらう。

で、次は私の番。

一通り混ぜようとガラガラを右に回し、
次にゆっくりと左に回した。

何にも狙わず、何にも願わず、
ポロンと落ちた玉は、真っ赤。

それが何を意味しているのかにも、
別に興味すらわかずに、漠然と見てたら、

「おぉ!これは!」という、
係りをしていた男の営業さんが声を上げた。

「一等賞です!!」……つまり、米。
また周囲で「おぉぉ~!!」と歓声・拍手。

……いや、ちょっと待ってよ!
ウチに米が沢山あるのに加えて、

「あの、でも、私、今日歩いてきたんですけど!」

徒歩約15分の道のりを、5㎏の米を持って歩けというの!?

「いや、もう、美味しいお米ですから、
ぜひ、持って帰ってください。おい、袋あるやろ!」

陣中見舞いであろうお偉いさんが、ミキティーさんに指図した。

「すごいですね!おめでとうございます!」

と大きい声でミキティーさんは私を褒め、
でも、一緒に歩きながら、
小さな声で「……本当はメロンの方がよかったんですよね~」
と、いたずらっぽく言ってきた。

私はため息のように「はい……」と答えるしかなく。

     ★

思った以上に、5㎏の米は重く、
右手で持ったり、左手で持ったり、
両手で抱えたりと、
体のバランスをめちゃくちゃにしながら、
市中引き回しの刑を終えたような暗い表情で、家にたどり着いた。

腕から肩にかけてが、ものすごーく痛い。
40歳になる前に、四十肩になるかもしれないイキオイで。

「……とりあえず今日は、カレーにしようかな」

もしも年貢の納め時の人がいたら、
少し分けてもいいですよ。

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