日々・ひび・ひひっ!

五行歌(一呼吸で読める長さを一行とした五行の歌)に関する話題を中心とした、稲田準子(いなだっち)の日々のこと。

タイミングの悪い奴と呼ばれて。

2009年01月10日 | 引っ越しな日々
マンションを購入したいと思っていたわけじゃないけど、
今の家は、2、3年で住むのが限界かな、と思っていた。

実家から近い、という地の利以外は、
最初から好きになれなかったので
(あの時は、明石からの素早い移動が、一番の目的だったからなぁ)。

それでも、引越し作業を思い出すと、
鬱陶しかったので、
「引越したいよ~!」という口ばっかりで、
なかなか行動にまでは至っていなかった。

それが去年、
ジブリ美術館へ行ったのを機に、
アクティブになって(やっぱり旅は、何かを切り替えさせますなぁ)。

9月いっぱい、
マンションギャラリーやチラシを見て、
ダンナを多少強引に引っ張って、
そこを決めた。

親にもいろいろ相談したり、
援助もしてもらえたりしながら、
契約をして。

すべての決断の中心は、私だった。

で、
その頃は、誰も何も言わなかったが、
最近では、両親からも、夫からも、
「タイミングが悪い奴!」と呼ばれている。

     ★

契約をして、
一週間経つか経たないかのうちに、
リーマンブラザースが倒産した。

それでもその直後は、
遠い場所での火事って感じで、
周囲も私も、その世情を眺めていた。

ところが、だんだん、ひたひたと、
金融不安の波が押し寄せて。

お正月の実家では、

「あのマンションは、いいと思う。
が、買うタイミングは悪かったんとちゃうか?
あの成契の時期は、もうちょっと後でもよかったんとちゃうか?

もうちょっと待ってたら、
世の中は買い控えしているんだから、
価格が落ちてから買う、なんてことが、
可能だったかもしれへんで。

あぁ、でも、今からでも遅くはないかも。
下手したら、頭金入れてるけど、
それを捨ててでも(契約破棄をしてでも)、
安くていい物件があったら
買ったほうがいいかもしれへんで」

と、おせちをつつきながら、父が私をつついた。

そう言われたら、ぐらつくが、
でもな。

いろんな物件を見て、最後にあそこを決めた理由は、
直感だったからな。

「あぁ、あたしは、ここに住むしか、道がない」

とでも、いうような、つーっと、すーっと、
どうしようもなく、惹かれる手ごたえがあったから。

価格の安い他の物件に買い換えるってのは、ありえない。

ただ、当初予定してたのより、
ちょっとお高め価格の物件なんで、
安くなる可能性を言われたら、チクチクするけれど。

それでもまぁ、
その、気に入った部屋が、
本当に売れ残るかどうかなんて、わかんないし。

「たら・れば」の話と思って、
正月の大量のご馳走と共に、飲み込んで、流した。

だが、一緒に暮らしていく夫に、
あるリアルなお話を聞かされたときは、
自分でも「タイミングの悪い奴かも……」と、
思わずにはいられなかった。

     ★

夫は引越し屋さんである。

で、新築マンションってのは、
法人担当の営業さんが外回りをして、
「おたくのマンションの引越し、業務提携させてもらえまへんか?」
と、その権利を獲得するべく、日夜暗躍(?)している訳で。

私がその新築マンションの契約をしたとき、
そこのマンションの事業主は、
夫のところとは違う会社と、業務提携をしていた。

もちろん、そうだとしても、
夫の会社で、引越しをお願いしてもいいわけで。

成契後、すぐに夫が、会社の同僚に、
「来年の6月末か、7月になると思うけど、よろしくな」
とさっそくお願いした。

すると、その同僚さんから、
「法人部には、そのマンションの名は言わないほうがいいですよ」
と、釘を刺された。

法人部の営業さんが、業務提携の話を、
そのマンションの事業主に持っていったら、

「おまえんとこの会社程度では、相手にせぇへん。はよどっか行って」

みたいな感じで(注:デフォルメしてます)、
見下げられた感じのやり取りを受けて断られたらしく、
夫の会社内では、評判の悪い事業主となっていたからだった。

まぁそれを聞いても、
へぇ~そうなんだ、っていう程度の、
感じだったんだけど。

なんと、その、ほんの、数日後。

またその同僚さんから、

「おまえんとこが引越しするマンション、うちと業務提携になったで」

と新たな情報が。

聞けば、(金融不安とは関係ない原因で)倒産したのだそうだ。
そのマンションと業務提携をしていた引越し屋さん。

で、日夜暗躍(?)していた法人部の営業さんに、

「すんまへん。今までのことは水に流して、業務提携しておくんなはれ!」

と、事業主側が泣きついてきて(?)、話が急展開したらしく。

へぇ。それならそれで、きっといいんだろうなぁ、と、
これまた、漠然としたイメージで、私は喜んだ。

が、おととい聞いた話は。

     ★

夫が人事異動の話の際、
家を買ったことを上司に言ったら、

「そのマンションは、うちの法人部を通して買ったんか?」

と、聞かれ、
通していないと答えたら、

「あほやなぁ。うちの法人部を通していたら、
販売価格、○十万は、割引になって買えたのに」

と、あきれた感じで言われてしまい。

その時の夫の胸の内に湧く苦さよ。

社員割引とまではいかなくても、
業務提携し合っている会社からの斡旋ということで、
数十万円の割引が可能だったという。

あぁぁぁ……。

手付金を入れてから、成契に至るまでの日数を、
もう数日延ばしていたら……。

あぁ、まさに金は天下の回りモノ~。

     ★

この不況で、夫はどのくらいかわからないけど、
確実に減給になる。

返済の金利が予想していたより、
低くなるのはいいなぁと
これもまた、漠然と喜んでいたけど、
夫の減給で、ローンが組めなくなるっていうのは、
シャレになんねー。

タイミングの悪い奴であることは、認めよう。

だが、私の直感では、
ちゃんとあそこに住めるはず。

天下の回りモノより、
私の直感を信じてほしいと、
励ましなのか、なんなのか、わかんないけど、
夫にはそう伝えている。

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