日々・ひび・ひひっ!

五行歌(一呼吸で読める長さを一行とした五行の歌)に関する話題を中心とした、稲田準子(いなだっち)の日々のこと。

『守り人・旅人』シリーズ(上橋菜穂子・新潮文庫)

2009年01月12日 | 五行歌以外の文学な日々
ファンタジーというジャンルを、
読んだ記憶がないので、
おそらく、小さい頃ですら、
読んだことはないと思うんだけど。

ちょっと惹かれても、手に取るまでには至らず。

中学生の頃に、
『ネバーエンディングストーリー』(『はてしない物語』)が、
映画化されて、
お友達の中では、
『モモ』について熱っぽく語ってくれる子もいたりしたんで、
ミヒャエル・エンデが、
気になる存在になってた頃もあったけど、
結局、手に取らずじまい。

『ハリポタ』は完全な読まず嫌い。

『ハリポタ』は、
一番初めの映画を見たとき、
「この世界は、馴染めないかも……」という、
偏見を持ったから、原作に至っていない。

どうも、こう……、
イギリス風の世界観に、入っていけない壁を感じて。

例えば、空中で、クロケットの試合(?)をしているシーンとか見れば、

「クロケットに馴染みが持てねー。
将棋だったら、まだいいのかなぁー。いやせめてチェス……」

とか、アホなところ(本質ではないところ)で、つまづいて。

     ★

ところがところが。

去年の秋から年末にかけて、
めちゃくちゃ、ハマッたファンタジーがある。

ファンタジーというか、児童文学というか。

知っている人は、めちゃめちゃ知っているであろう、
上橋菜穂子さんの『守り人・旅人』シリーズだ。

きっかけは、これもまた、映像。

シリーズ第一作目の『精霊の守り人』が、
2007年の4月~9月にかけて、NHKのBSでアニメ化されたのを見て。
(去年、地上波で再放送していた)

これがまた、めちゃめちゃよくって!!

『攻殻機動隊』シリーズのアニメが好きだったので、
それを作ったところが作るアニメだったというところから、
入ったんだけど。

で、そのアニメが、
10冊近くあるシリーズの一番最初だけ、と、
知ってから、興味をそそられて、
子ども向きの児童文学書から、
大人向き(ひらがなが漢字になっていたりとかね)の文庫化された原作を、
読んでみたくなって、
去年の春頃には、手元にあったんだけど。

アニメがよすぎて、
「イメージ壊れたらどうしよう」という不安だとか、
東大阪歌会のある二次会の時、楽人さんが、
「女主人公のセリフの言い回しに違和感があって、ちょっと……」
(大雑把に言うと、べらんめぇ調なのね。気になる人は、気になるみたい)
って聞いてたので、躊躇しちゃって。

が、去年の秋、ようやく。えいっっ!!と読み始め。
現時点で、文庫化されている4冊分を一気に読み終えたんだけど、

「しまった!!文庫で、全部完結するまで、読むんじゃなかった!!
続き読みてぇぇぇぇ~!!」

と、ちょっと後悔した。

     ★

ファンタジーって、読み手が求めるリアリティーのヅボを、
どう押さえているかっていうところかも。

『守り人・旅人』シリーズで合致した、
私のリアリティーのツボは、文化だった。

限りなく和風なテイスト。
日本の古代・近世・少数民族のアイヌっぽい風土が、
ベースにあったのがよかったと思う。

全く一緒ではなく、近似値的なところが。

そこから足場が組まれて、
第二段、第三弾と、読み進むうちに、
他民族の国々が描かれて、
その国々の文化の差異が、
気候・風土・侵略の歴史などから、
緻密に説明されていくと、
ホント、世界観に、違和感なく入れて。

魔法全般はダメだけど、
神話とか、シャーマニズム・アニミズムは、
染み込み易い自分の体質を知った。

物語の中の、土臭さ。ホコリっぽさ。

舞踏で言うなら、
バレエではなく、地面にがっつり足をつけて踊っている感じが。

宮崎駿のアニメでも、
『もののけ姫』が一番好きだっていうのも、
そういうところがあるんだろうな。

映画の、
『ロード・オブ・ザ・リング』(『指輪物語』)の第一作を見たって、
「あ!これ面白い。二作目もでたら見よう!」
と、『ハリポタ』よりは興味を持っても、
見忘れたら、それはそれで、どうでもいい感じになっちゃうし。

自分の嗜好が、こんなにはっきりしているとは、と、
今更ながらに、この本で教えてもらった。

文庫本の続きは、
今年の夏に発売されていると聞いているが、
原作とは微妙に違う、設定や、エピソードが盛り込まれてる、
アニメでもいいです(※アニメの続編は今のところ聞いちゃいませんが)。

はやく、私に、続きを!

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