一休さんの遺言「平気へいき、なんとかなるサ」

2007-07-08 10:28:34 | Weblog
一休さんの遺言というのが一人歩きしている。

 一休さんが臨終の時、村人たちに立派な箱を遺した。
 「これは、ワシの遺言じゃ。おまえさん方、本当に困った時に
  この箱を開けなさい。いいか、本当にホントウに困った時じゃよ。
  きっと役に立つであろう」と。
  
 何年か過ぎて、兵乱やら、凶作、水害、飢饉に村は苦しめられ、
 そのつど、一休さんの遺品の箱を開けるべきか、いやいやまだまだ
 と議論された。そして、もうどうにもならなくなった時、「この箱
 を開けてみよう。きっとお宝がはいっているに違いない」と衆議
 一決し、いよいよ開けてみることになった。蓋を開けると、また箱。
 いくつもの蓋を開けて、最後に出てきたものは、一枚の紙きれ。
 そこには、「へいきへいき、なんとかなるさ」と書いてあった。

 村人たちは、驚き呆れ、がっかりしたが、[そうか、今までもなんとか
 切り抜けてこれたではないか、もっとガンバロウ」と得心した。

という話。誰が言い出したのか、企業家のコラムや、「生き方」セミナー
などで、さかんに引用されるようになった。
「一休の書」として額にいれた商品まで出回っている。
                            
水を指して悪いが、一休のどの書物を探してもこの話は無い。

  一休さんの最後の言葉は「死にとうない」だった。
  さすがは一休さん。凡人にも「一休さんだって死にたく
  なかったんだ」と思うことで、心の安らぎを残してくれ
  たんですね。
  
というような話も、ひと頃出回っていたが、これもその史実はない。

「一休は死なぬ、未来永劫生き続ける」というのが、最も一休を
表している話ではないか、と私は思っている。


一休は600年前の実在の禅僧だが、その後江戸時代にいくつもの
『一休話』が創られ、明治、大正、昭和になっても人気は落ちず、
東映のTVアニメでどんどん創作された。
最近そのアニメが放映されないので、小中学生の間では知らない人も
増えてきて残念だが、このアニメが海外では大変な人気となっている。

タイでは「ソニーの名は知らなくとも一休さんの名はみんな知っている」
という。

そうなのだ、一休は、こうしてどんどん創られることによって、
人々の心の中に、今も生き続けているのだ。








             




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