アニメの「とんちんかんちん一休さん」では、一休が
将軍さまと智慧くらべする話が度々出てくる。
「一休とんち話」の代表格は「屏風の虎」だが、江戸
時代の「一休噺」には、将軍をやっつける話は無い。
幕末に足利三代の像の首が切落とされた事件の幕府の
対応のように、足利であっても、将軍様をこ馬鹿にす
ることは、畏れ多く憚れたことであろう。
一休が、義満ではなく8代将軍義政を諌める話は、
曲亭馬琴の『南総里見八犬伝』に登場する。一休が
虎の絵に例えて、将軍の享楽を揶揄する話で、虎を
捕らえるという話ではない。
『屏風の虎』は、明治の講談で初めて出てくるので
ある。『この橋渡るべからず』にしても、明治以降、
一休は大ブレークして、次々と絵本やら講談が生ま
れる。
水上勉の『一休』も、大正2年刊『一休和尚行実譜』
という講談本を紹介して一休の話を展開させている。
「奥書に元禄2年刊の原本があった」と書いているが、
どうもあやしい。
『虚竹の笛』の『和漢竹管往来』同様、『行実譜』も
水上勉の創作であったかもしれない。いかにもあり
そうな「原典」を創作して、それに拠ることで史実と
思わせるのは実に巧妙な手法だ。
将軍さまと智慧くらべする話が度々出てくる。
「一休とんち話」の代表格は「屏風の虎」だが、江戸
時代の「一休噺」には、将軍をやっつける話は無い。
幕末に足利三代の像の首が切落とされた事件の幕府の
対応のように、足利であっても、将軍様をこ馬鹿にす
ることは、畏れ多く憚れたことであろう。
一休が、義満ではなく8代将軍義政を諌める話は、
曲亭馬琴の『南総里見八犬伝』に登場する。一休が
虎の絵に例えて、将軍の享楽を揶揄する話で、虎を
捕らえるという話ではない。
『屏風の虎』は、明治の講談で初めて出てくるので
ある。『この橋渡るべからず』にしても、明治以降、
一休は大ブレークして、次々と絵本やら講談が生ま
れる。
水上勉の『一休』も、大正2年刊『一休和尚行実譜』
という講談本を紹介して一休の話を展開させている。
「奥書に元禄2年刊の原本があった」と書いているが、
どうもあやしい。
『虚竹の笛』の『和漢竹管往来』同様、『行実譜』も
水上勉の創作であったかもしれない。いかにもあり
そうな「原典」を創作して、それに拠ることで史実と
思わせるのは実に巧妙な手法だ。