「心にナイフをしのばせて」著者=奥野修司
渾身の一冊です。
この本に登場する誰しもが、私の身近に存在するような気がします。私はあなたであり、あなたは私なのです。典型的な家庭。普通の人々。パッヘルベルのカノンが流れます。寡黙でストイックなお父さんは、まるで私の父のよう。父は、やはりすい臓ガンで死にました。母は息子に生きる喜びを託したし、祈ることで安らぎを得ようとしました。よき兄ではなかったし、よき妹でもありませんでした。それはきっと、私の母や妹も否定しないと思います。誰しもが、この本の中に登場するような気がします。誰しもが同じような場所に立っているような気がします。むろん、お前らなんぞにわかってたまるか、と言われたならば、黙るしかありませんが。
ルールがひとつだけあります。ナイフは心の中にしのばせておかなければなりません。思い出して欲しい。被害者のご家庭では、どんなことがあっても、家庭内暴力はありませんでした。自殺未遂や、リストカットなど、自らを傷つけることはあっても、決して他者を傷つけたりはしませんでした。言葉による暴力しか描かれていません。だからこそ、このタイトルになったのだと思うし、また、だからこそ、最後の一言になったのだと思います。「会うときは、自分の命をかける覚悟で会いたい」という最後の言葉が、リアルに響きます。
報復は罪なのでしょうか。暴力は悪いことなのでしょうか。死刑は悪いことなのでしょうか。重罰化は悪いことなのでしょうか。少年法に問題はあるのでしょうか。
私にとっては、フィクションであろうがなかろうが、そんなことはどうでもいいように思え、また、この本も著者のあとがきは、なくもがな、という気もしました。でも<一人でも多くの方に本書が読まれることを願っている>という気持ちが、抑えられるものではなかったいということくらいは、承知しています。
私も、一人でも多くの方に本書が読まれることを願っています。なぜなら、この本は渾身の一冊だからです。
渾身の一冊です。
この本に登場する誰しもが、私の身近に存在するような気がします。私はあなたであり、あなたは私なのです。典型的な家庭。普通の人々。パッヘルベルのカノンが流れます。寡黙でストイックなお父さんは、まるで私の父のよう。父は、やはりすい臓ガンで死にました。母は息子に生きる喜びを託したし、祈ることで安らぎを得ようとしました。よき兄ではなかったし、よき妹でもありませんでした。それはきっと、私の母や妹も否定しないと思います。誰しもが、この本の中に登場するような気がします。誰しもが同じような場所に立っているような気がします。むろん、お前らなんぞにわかってたまるか、と言われたならば、黙るしかありませんが。
ルールがひとつだけあります。ナイフは心の中にしのばせておかなければなりません。思い出して欲しい。被害者のご家庭では、どんなことがあっても、家庭内暴力はありませんでした。自殺未遂や、リストカットなど、自らを傷つけることはあっても、決して他者を傷つけたりはしませんでした。言葉による暴力しか描かれていません。だからこそ、このタイトルになったのだと思うし、また、だからこそ、最後の一言になったのだと思います。「会うときは、自分の命をかける覚悟で会いたい」という最後の言葉が、リアルに響きます。
報復は罪なのでしょうか。暴力は悪いことなのでしょうか。死刑は悪いことなのでしょうか。重罰化は悪いことなのでしょうか。少年法に問題はあるのでしょうか。
私にとっては、フィクションであろうがなかろうが、そんなことはどうでもいいように思え、また、この本も著者のあとがきは、なくもがな、という気もしました。でも<一人でも多くの方に本書が読まれることを願っている>という気持ちが、抑えられるものではなかったいということくらいは、承知しています。
私も、一人でも多くの方に本書が読まれることを願っています。なぜなら、この本は渾身の一冊だからです。