まだ通ったことのない山の中腹を回り込むような空中道路が20km強程あるのだがそこをバイクもろとも空中浮遊(ほぼ0G)走行でこんな暴風バイクで経験した事なく谷間の陸橋で完全に瞬間Gゼロになりフロントが一瞬浮く これでリアも浮いたら瞬時にバイクもろとも空中に舞い上がるだろう 遠方にあるからと完全になめてた台風14号 14号は遠方で雨は降らせないとのことでMD22出したけれど山の中腹での暴風パワーは先日の10号(ハイシェン)並みかそれ以上 とにかく真東からの瞬間的暴風が超強烈で空に吹っ飛ばされそうなパワー 幾度も麓まで降りて迂回しようか頭よぎったが何となく妙に試してみたいフィーリングも後を絶たない MD22でセパハン並みに前傾し頭を右斜めに倒しトップブリッジに押し付けて右足はステップから外し地面を擦りながら重心と車体共に右に寝かせながら二速で時速20~30kmくらいで歩を進め続ける リアが浮いた瞬時に右地面に転がり体が暴風に巻き上げられないよう道路に伏せMD22は谷間の上空に放棄するつもりで歩を進める とにかく強烈でもの凄い右側面暴風で心臓が常にバクバクする 左側ガードレールの向こうは奈落の底でこれまで強烈な強風の中バイクで山を走ってきた経験はそれこそ山ほどあるけれどここまでの危険を感じた経験はついぞ無かった しかしこれも現実 なんとかやり過ごしたい思いも強い ほかに自動車はまったく居らず稀にすれ違う農家の軽トラは超低速でまじまじとこちらの異常体勢を見ながらすれ違う 山影はまだかまだかと思いながら歩を進めるがとあるコーナー曲がった瞬間驚愕の風景が目に飛び込む 谷の上の陸橋では無く 山と山の間に掛かる1キロ強の少し曲がりながら更に上昇する空中大陸橋だった 高度は非常に高く上空に一本だけある大陸橋 あまりの光景に後続車の有無も確認せずまま咄嗟に急停止 そしてこれ以上大陸橋の入口に入らぬよう瞬時に無心でUターンし始める自分に気付く 体は恐怖で極度に硬直 Uターン折り返し寸前センターライン上で身を低く停止し数秒考える 風はどうなのか その瞬間山の木々を見るとそこまで振られてないようにも見えた この中腹の道路ももう半分は来てる筈だ それに低速走行を続けたのでもう時間もあまり無かった ナムサン?みたいなノリで改めて陸橋に差し掛かった 道路端のフェンスは高さ1.8m程で一旦宙に浮いたら山間下方からの暴風横風で120kgのMD22と自分などゆうにそれを超えてしまう高さ 手前の山から離れたらすぐに暴風が襲ってきて次第に最も強烈な暴風になり無意識に大声で叫びながら一速でジリジリと前進した とにかく身を低く これ以上は無いほどバイク上で身を低くした ギヤは常に一速で暴風瞬時Gゼロでエンストしないよう半クラに細心の注意をはらう 四方八方からの猛烈な轟音と振動の中やっとのこと陸橋の真ん中付近まで来るも強烈に凄まじい暴風でヘルメットが顎ヒモを引き千切って飛んでいきそうな挙動を起こしバタバタし始める そんな中少し先を見ると最も上昇傾斜率の高い先の空中道路の光景に恐怖で一瞬腰が抜けそうになる ここからは一か八かの無心だったが兎に角ここからが一番強烈でほんの一瞬リアも浮いたが何とか抑え込み陸橋を超えた 今日ほど低重心でコンパクトな重量級オンロードバイクを羨ましく思った日は無いだろう オフロードバイクは横からの超暴風に対して無力すぎる そこからも超暴風は続くが峠は越えほどなくして下山開始する 下山中も幾度も強烈な暴風に煽られたがなんとかやり過ごす それからの下の道はまるで別世界のように何事もなかったかのような平和な状況でこのギャップに驚いた こんな経験は最初で最後だろう こんな日に通ったことの無い空中道路を選択した自分のセンスの無さが自分の人生を物語ってるのかもわからない
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