はじめのい~っぽ 60'S

今日生きてるのは奇跡!
鬼籍入りまでの軌跡!

詩 「一匹の猫」  塔 和子

2014年01月29日 | 本・絵本・雑誌
「一匹の猫」

私の中には
一匹の猫がいる
怠惰で高貴で冷ややかで
自分の思うようにしか動かない
その気品にみちた華奢な手足を伸ばして
悠然とねそべっている
猫はいつも
しみったれて実生活的な私を
じっと見下ろしているのだ

歩くときも
話をするときも
猫は決して低くなろうとしない
そのしなやかな体で
ちょっと上品なしなを作ると
首を高く上げたまま立ち去るのだ

私は
もっと汚く
もっと低く
もっと気楽に生きようとするが
私の中の猫は
汚れることをきらい
へつらうことをきらい
馴れ合うことを拒絶し
いつも
気位高く
美しい毛並みをすんなりと光らせて
世にも高貴にねそべっている          (「分身」より)

********************************

猫が猫たる所以とは
誰かの意思などより
自分はどうなの?どう感じるのと決定する早さ・潔さにあると思います

私など、悠然と寝そべっているつもりで
横になれば怠惰の塊のように
寝姿にも哀れをかもし出しているけれど

気持ちは
自分の中の他人にヘつらない部分を大切にしたいと思っている
「アタクシ自分流ですの」と群れることを好まない私の一面

大きな黒い帽子に真っ赤な口紅、腰を絞った黒のロングドレスにハイヒール
昔のコカ・コーラのポスターのように
周囲の目線を受け止めながら颯爽と歩いている自分を想像している

猫の気取りは
可笑しいような、うらやましい位の気位を感じさせて
それがとっても好きなんです

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« パラ「富士山プロジェクト」始動 | トップ | 次の記事へ »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

本・絵本・雑誌」カテゴリの最新記事