ぼくは大好きで、たぶん長編のほとんどは読んだことがあるはずです。
「国民的」と評される作家の一人、司馬遼太郎には苦手なものがありました。
よく言われるのが「昭和が書けない」ということ。
司馬遼太郎の小説の舞台になっているのは、源平合戦、中世(戦国時代)、幕末、そして明治時代。昭和は、なし。
でも、歴史小説家なのだから、自分の生きた「昭和」を題材にしなくても別によさそうなものです。池波正太郎が昭和を舞台にした小説を書かなくったって、だれも不思議に思わない。
ところが司馬遼太郎は、自分で言ってしまいました。
「『昭和』は描けない」と。
これには、自分が過ごした軍隊の経験が関係しているそうです。
司馬遼太郎は、戦車兵として戦地に送られました。
それはそれは恐ろしかったそうです。
そりゃあ、戦争なんだから怖かっただろう、というようなことではありません。
日本はとにかく資源がない。
そういう国でも、戦争となれば自前で戦車を作ります。
資源のない国が自分で戦車を作るとどうなるか。
装甲が薄い、口径の小さい大砲を載せる、したがって軽い、燃費もよろしい。
これが自動車ならいいですが、何しろ戦車。
戦うのが目的です。
ところで司馬遼太郎の所属した軍隊が戦うことになっていたのは、今はなきソ連軍。
装甲のごっつい、巨大な大砲を積んだ戦車です。
燃料をガンガン使って道なき道をガシガシ進んでくる。
司馬遼太郎 & Friendsにとって最悪なのは、日本の戦車がいくら至近距離で大砲を直撃させてもソ連戦車には傷くらいしかつかず、逆にソ連戦車の放つ砲弾は、一撃で日本戦車を紙くずのようにしてしまう。そもそも日本戦車の大砲よりも、ソ連戦車の大砲のほうが射程距離も長いので、同じ土俵にさえ上がれない。狭くて暗い戦車のなかで、自分たちの砲弾の届かない相手を見晴るかすだけ。
蟷螂の斧とはまさにこのこと。書いてて泣けてきます。
なんでこんなことさせられてるんだ、おれたちは~、というむなしさから、こういう軍隊を産んだ「昭和」に対する嫌悪があるそうです。
さっきも書いたように、歴史小説家なんだから同時代を書かなくてもだれも不思議に思わないはずですが、司馬遼太郎は、「だから昭和はいやなんだ」と言ってしまいました。言いたかったんでしょう。むしろ。
もちろん、昭和になって軍隊が突然ヘンになってしまったわけではなくて、それは明治以来の「伝統」ってものがあるはずで、なのにそういうことをいわないので「司馬遼太郎は明治を美化しすぎてる」なんてことも言われたりするわけです。それはまああたってるところもあるでしょう。
こう、長々と書いてきましたが、書こうとしたのは違うことでした。
話が飛びますが、エレファントカシマシというバンドがあります。
『扉』というアルバムをある友人が勧めてくれて、大変気に入ってよく聞いているんですが、これがまた「おとこ」くさい。
どこがと言われるとどう答えていいものやらと思うのですが、なんとなくライブ会場には女性は少ないような気がします。
その友人、見た目はオレンジレンジのYamatoという人にちょっと似てるんですが、エレファントカシマシに限らず、近年のテーマは「漢(おとこ)」だそうで、映画も任侠もの。高倉健ではなくて鶴田浩二をこよなく愛する。カラオケで「古い奴とお思いでしょうが…」と『傷だらけの人生』を歌って周りをひかせるお茶目なやつです。
そうやって「漢」を追い求めている彼が最近、司馬遼太郎の小説をよく読んでるそうで、ひとしきりその話題で盛り上がったとき、ふとこうもらしました。
それにしても、出てくる女、都合よすぎね?
なんでみんなうまいこと竜馬に惚れンだ?
世に『竜馬が行く』好きの男は多いですが、これを正しく指摘できるひとはそう多くない。たしかに司馬遼太郎は、女性を男に都合のいいものとして描きすぎる。
ぼくも小説家としての司馬遼太郎にとって致命的なのはこっちだと思います。
それにくらべりゃ昭和なんて書けなくったってたいした問題じゃない。
「国民的」と評される作家の一人、司馬遼太郎には苦手なものがありました。
よく言われるのが「昭和が書けない」ということ。
司馬遼太郎の小説の舞台になっているのは、源平合戦、中世(戦国時代)、幕末、そして明治時代。昭和は、なし。
でも、歴史小説家なのだから、自分の生きた「昭和」を題材にしなくても別によさそうなものです。池波正太郎が昭和を舞台にした小説を書かなくったって、だれも不思議に思わない。
ところが司馬遼太郎は、自分で言ってしまいました。
「『昭和』は描けない」と。
これには、自分が過ごした軍隊の経験が関係しているそうです。
司馬遼太郎は、戦車兵として戦地に送られました。
それはそれは恐ろしかったそうです。
そりゃあ、戦争なんだから怖かっただろう、というようなことではありません。
日本はとにかく資源がない。
そういう国でも、戦争となれば自前で戦車を作ります。
資源のない国が自分で戦車を作るとどうなるか。
装甲が薄い、口径の小さい大砲を載せる、したがって軽い、燃費もよろしい。
これが自動車ならいいですが、何しろ戦車。
戦うのが目的です。
ところで司馬遼太郎の所属した軍隊が戦うことになっていたのは、今はなきソ連軍。
装甲のごっつい、巨大な大砲を積んだ戦車です。
燃料をガンガン使って道なき道をガシガシ進んでくる。
司馬遼太郎 & Friendsにとって最悪なのは、日本の戦車がいくら至近距離で大砲を直撃させてもソ連戦車には傷くらいしかつかず、逆にソ連戦車の放つ砲弾は、一撃で日本戦車を紙くずのようにしてしまう。そもそも日本戦車の大砲よりも、ソ連戦車の大砲のほうが射程距離も長いので、同じ土俵にさえ上がれない。狭くて暗い戦車のなかで、自分たちの砲弾の届かない相手を見晴るかすだけ。
蟷螂の斧とはまさにこのこと。書いてて泣けてきます。
なんでこんなことさせられてるんだ、おれたちは~、というむなしさから、こういう軍隊を産んだ「昭和」に対する嫌悪があるそうです。
さっきも書いたように、歴史小説家なんだから同時代を書かなくてもだれも不思議に思わないはずですが、司馬遼太郎は、「だから昭和はいやなんだ」と言ってしまいました。言いたかったんでしょう。むしろ。
もちろん、昭和になって軍隊が突然ヘンになってしまったわけではなくて、それは明治以来の「伝統」ってものがあるはずで、なのにそういうことをいわないので「司馬遼太郎は明治を美化しすぎてる」なんてことも言われたりするわけです。それはまああたってるところもあるでしょう。
こう、長々と書いてきましたが、書こうとしたのは違うことでした。
話が飛びますが、エレファントカシマシというバンドがあります。
『扉』というアルバムをある友人が勧めてくれて、大変気に入ってよく聞いているんですが、これがまた「おとこ」くさい。
どこがと言われるとどう答えていいものやらと思うのですが、なんとなくライブ会場には女性は少ないような気がします。
その友人、見た目はオレンジレンジのYamatoという人にちょっと似てるんですが、エレファントカシマシに限らず、近年のテーマは「漢(おとこ)」だそうで、映画も任侠もの。高倉健ではなくて鶴田浩二をこよなく愛する。カラオケで「古い奴とお思いでしょうが…」と『傷だらけの人生』を歌って周りをひかせるお茶目なやつです。
そうやって「漢」を追い求めている彼が最近、司馬遼太郎の小説をよく読んでるそうで、ひとしきりその話題で盛り上がったとき、ふとこうもらしました。
それにしても、出てくる女、都合よすぎね?
なんでみんなうまいこと竜馬に惚れンだ?
世に『竜馬が行く』好きの男は多いですが、これを正しく指摘できるひとはそう多くない。たしかに司馬遼太郎は、女性を男に都合のいいものとして描きすぎる。
ぼくも小説家としての司馬遼太郎にとって致命的なのはこっちだと思います。
それにくらべりゃ昭和なんて書けなくったってたいした問題じゃない。
わからなくなる時があるよね。
じゃあ何だ?というと、文屋(新聞記者)だ、というのが
いちばんしっくりきたりして。
昭和といえば早くもバブルを扱う映画がかかるらしいけど、
どんなマーケティングしてんだ、アレ?
いくら邦画が調子いいったってね、コケるよ絶対。
ぼくもエレカシのライブに行ったことあるけど、
男女比率はだいたい半分くらいだったかな。
それでもやっぱり男が多いな、という印象をもったよ。
次は「俺の道」あたりを聴いてみては?
>昭和といえば早くもバブルを扱う映画がかかるらしいけど
あ~。そんな映画があるのか。
これもまた「古きよき時代」なんだろうかね笑。
ぼくはあの時代のいろんなことがキライだったので、まず見ないだろうな。
どうしてもストーリーを補足する装置になってしまう。
義理のために情愛が犠牲になるのがポイントだからね。
女に背中を向けて死地に赴き、血だらけになって、去っていく・・・。
私情をあっさり捨てる美意識が武士道だとすると、
義理のために私情に対する負い目が増大し、
その辛さに耐えるのが任侠道。
最終的に私情を捨てるのは同じなんだけど、
兄弟分になったり、エンコ詰めたり、殴り込みかけたり、
こう、やむにやまれず、って感じがね。
「俺の道」はエレカシのアルバムの中でも、
かなりロックの色が強いんで、好きなんですよ、ええ。
しかし、こんな話をまたゆっくりやりたいねえ、ノロさん。
最近は武士道ばやりだけど、日本男児の生きる道としては任侠道ってのも忘れられませんな。
>義理のために私情に対する負い目が増大
これはポイントかも。
特に「負い目」というあたりが気になるねえ。
そういえばどうでもいいけど『ブラックジャックによろしく』というマンガの主人公の彼女は仁侠映画好きだよ。だからなんだって言われるとなんでもないんだけどね作者が好きなんだろうって以外には笑。
またそのうちそっち行くんでよろしく!
こっちにも来てくれ。何日いたっていいよ。