日本代表のバヒド・ハリルホジッチ監督は15日、今月の欧州遠征で23日にマリ、27日にウクライナと戦う招集メンバー発表し、その席上で日本代表、あるいは日本人選手の課題として「怪我が多いこと」を
懸念している。
ハリル監督は、この2試合に向けて26人を選んだ。その理由の一つは「最終リストに入れるかどうかの見極めもしなくてはいけない」こと。5月31日に最終23人を発表する予定であることを明言したが、
それに向けて少し多めの人数を実際に手元で確認し、これまでに招集したことのあるメンバーも合わせて選考を行う。
このプロセス自体はなんら不思議がない。例えば同時期に欧州遠征を行うオーストラリア代表も26人を選んでいるし、浦和レッズに移籍加入が決まったMFアンドリュー・ナバウトなど初招集の選手も
含んでいる。しかし、ハリル監督がもう一つの理由として挙げたのが、「怪我」というキーワードだった。
「前回の合宿でもそうだったが、2、3人は怪我をする。長い移動で疲労回復も難しい」
各ポジションの選出メンバーを発表する際にも、このキーワードは何度も聞かれた。例えばDF遠藤航(浦和レッズ)について「昨日のゲームで少し問題が起きた。今、検査している」と話し、
MF大島僚太(川崎フロンターレ)についても「彼もよく怪我をするが」と言及。さらに「(香川)真司と清武が今はいない」、「少し残念なのが、グラウンド上で代われる役割として今野(泰幸)に
期待していたが、怪我をしてしまった」と、選出外の選手たちについても話した。
国内組を襲うW杯前の過密日程、候補選手が抱えるジレンマ
少し範囲を広げれば、今回に復帰を果たしたDF森重真人(FC東京)も大きな負傷からの復帰直後であり、ラージリストには名前を連ねているであろうFW齋藤学(川崎)も長期離脱中だ。
最終的にハリル監督は「まだまだ最終的にリストは決まっていない。これから怪我の状況もあるし、本大会に出場する監督さんは皆同じだろう。ただ、日本代表は少し怪我が多いと思う」と語るに至った。
ハリル監督が今回、名前を挙げた以外にも、DF吉田麻也(サウサンプトン)もまた今回の代表活動には怪我により参加できない。ワールドカップ(W杯)アジア最終予選の最中にも、MF長谷部誠
(フランクフルト)が負傷で離脱した。長谷部に関しては試合中の全力プレーによる不幸な接触だったが、そうした怪我人の多さはハリル監督の計算を狂わせ続けてきたのだろう。
今年は言うまでもなくW杯イヤーだが、AFCチャンピオンズリーグに参加しているチームだけでなく、ルヴァン杯に出場するチームを含めて春先から過密日程を戦っている。この代表活動期間を終えると、
ルヴァン杯の参加チームは4月1日から5月19日まで、全ての週末とミッドウィークに公式戦を戦うことになる。ACL組もグループステージを突破すれば同じ状況を迎えることになる。年間日程を消化するための
やむを得ない措置とはいえ、ハリル監督の懸念する怪我人が増える条件は整いすぎている。
選手たちにとっても、W杯に最高のコンディションで臨みたいという思いは強いはずだ。その一方で、継続的に出場してアピールをしなければ、そもそも最終メンバーに入れない可能性が高まる。
監督、選手ともにジレンマがあると言えるのかもしれない。
果たして、ハリル監督と代表候補選手たちは最終メンバー決定までの約2カ月半でどれだけ怪我をせずに過ごしていけるのか。それは、日本代表がロシアの地で活躍できるかにおいて、根本的な部分に
あると言えるはずだ。
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