


エジプトのパピルスが翻訳され、恐るべき「呪文の書」の内容が明らかに(イタリア研究)
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1700年前の古代エジプト時代のパピルス文献が最近になって翻訳された。そこには、愛や富や権力を得ようとして神や悪魔を呼び出すための古代の呪文が多数記されていたという。
そこには怖ろしい魔術の決まり文句が書かれており、これに呪いをかけたいターゲットの名前を連ねるだけで、相手を陥れることができると信じられていたようだ。
これらの呪文の書は、オクシュリュンコスの町で100年以上前に発見された、膨大なエジプトパピルスコレクションのほんの一部である。
最近、イタリア、ウディーネ大学のフランコ・マルトミーニによって解読されたふたつのパピルスに書かれていたのは、手順の必要事項を記入するために使われた一連の呪文だという。これらの呪文は、特定の誰かをターゲットにするというよりは、決まり文句として表わされている。
呪文をかけようとする者は、全体の概要をつかみ、呪いをかけたい相手の名前を添えるだけで、あとは手順に従う。
意中の女性を自分のものにする呪文
例えば、意中の女性を自分に恋するようにさせるには、
彼女の"心臓を焼く"という呪文を唱えるという。
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古代の愛の呪文が書かれているパピルス
教えには、
"浴場に焼かれた生贄を置き・・・
テュポーンの血で書き、浴室の乾いた天井に塗る
地と水、汝の中に住む悪魔とこの浴場の運命によって、
激しく炎を燃やし、彼女が汝のところに来るまで、
彼女を燃やさなくてはならない"
とある。
また最近、解読されたもうひとつのパピルスにも、愛を得たり、相手を性的に惹きつけるために使われたらしい呪文もある。
"ハトの卵に次のような呪文の言葉を書きつけて・・・
ずっと彼女がわたしを愛するようにさせる"
ハトの卵は媚薬のようなものだったのかもしれないという。
また別の翻訳には、呪文を実行するのに、小さな銅板に魔術の言葉を刻みつけたり、ターゲットの服に縫いつけたりするよう義務づけているものもある。
敵を黙らせる為の呪文
さらに、敵の怒りを抑えたり、弁護士のおしゃべりを止めるための呪文などもある。
"生きたカメレオンをつかまえて吊るし・・・
植物の根をいぶして・・・
カメレオンの口に石を押し込み・・・
あらゆるもののために身を尽くせば、
これ以上ないほどの強い抑制者の護符を得ることができる。
これはすべてのものに適用できるが、特に訴訟の相手の場合、
石を押しつければ、彼らはしゃべることができなくなる"
マルトミーニら多くの研究者は古代の文献の解読に努めてきた。これらの文献はエジプト探究協会やイギリスのオックスフォード大学が所蔵している。研究者たちは、これらの呪文は紀元3世紀に書かれたと考えているが、その作者についてはわかっていない。
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左は好かれるためのお守り、右は排泄に関する医療法
文言は当時のエジプトでは普通に使われていたギリシャ語で書かれていた。呪文のすべてが、欲望をかなえるためのものとは限らない。おできやライ病、ポリープ、帯状疱疹、扁桃炎などを治すための医療法の場合もある。排泄系の治療の多くは、翼のある生き物の排泄物がベースになっている。扁桃腫瘍の患者には、"ワシの糞をワインに混ぜて飲む"とある。
これは、エジプト探究協会のグレコローマン言行録の一部である、オクシュリュンコスパピルスに、まもなく発表される。
オクシュリュンコスパピルスとはエジプトで発見された、たくさんのパピルスの断片のことだ。50万点以上が、エジプト探究協会やイギリスのオックスフォード大学の研究室に所蔵されている。100年以上昔に、バーナード・グレンフェルとアーサー・ハントによって発掘された。近年は、ボランティアによって膨大なオンラインのデータベースを利用して、これらの文献が翻訳されている。