公文で九年

公文式教室を9年間経営していた学習塾経営者です。
公文教室とはどういうものか私の視点で公開したくなりました。

引継ぎ教室

2013-02-16 | 読者からのコメント・おたより
教室を引き継いで頑張ってきたけれど・・・・・・
というご相談をうけました。
記載されていたメールアドレスへ返信できなかったこともあり
よく聞くはなしでもあるので
記事として取り上げさせていただくことにしました。


おたよりの内容では、最初は新設教室で、
のちに他の教室を引継ぎすることになり、現在は2教室で指導しているとのこと。

≫引継ぎした教室では、引き継いだ後になって
前指導者が公文の教室日以外に中学生対象に学校の補習を授業形式で行っていたということがわかり
保護者の要望も多く、
また半分以上を占める中学生を一気にやめさせては、評判が落ちるから(当時の地区担当の判断)と、その時使用していた問題集併用することに。
けれど、他にも教室をしているので、週2で公文も問題集もとなると、生徒の集中も、持たず、自習形式でできる問題集にもかかわらず、質問の行列、採点待ち、おしゃべり、人の解答の丸写し、等々…
新しい地区担当には、「問題集は次の中1からはやらせないでください。そのくらい言えるでしょ。」と、簡単にいってくれるけど、公文のプリントだけで、定期テストの点はとれませんよね。生徒たちも保護者も点をとるために、通ってきてるんです。
家では勉強しないから。
去年、勉強しないで隠れておしゃべりしてた生徒を怒鳴り付けて、四人いっぺんにやめさせてしまいました。保護者からは、プリントも問題集も中途半端だったと捨て台詞を投げられ(あたっているので言い返せない)。
生徒が怖い、保護者が怖い。誰にも相談できず、公文もやめたいけど、勇気がない。
小学生は進度はともかく、やれている。最初に開設した教室の中学生3名の成績は申し分なし!だから、公文をやめる勇気もないんです。

今日の教室で生徒に言われてしまいました。「お母さんが、公文では校高はいけないってさ!」本当にそうかもしれません。≪

大変ですね、そういう教室って。お疲れ様です。
引継ぎ教室の怖いところが浮き彫りになっているので、
例題としてご相談内容を一部引用させていただきました。

それにしてもこの場合、赦せないのは公文以外の指導を続けさせた地区担当です。
公文以外のテキストを使用して生徒指導をした場合、
指導者を辞めさせる事すらある重大な契約違反のはずです。
それを承知していながら、生徒数を減らしたくないということで、
さらには教室日以外の対応はできないのを知っていながら続けさせたということは
大問題だと言えると思います。

この際、一番いいのは、引継ぎ教室の指導者は降りて
もとからの教室オンリーにすることだと思います。
そちらの教室のほうは「公文式」のみでやってこられたのでしょうから。

くもんの指導というのは、本来、高校入試での志望校合格を目標にしたものではありません。
一般の受験塾とは違い、子どもの能力を高めるための学年超え学習であり、
先取り学習内容が学校での成績確保に有利だとしても、
それはオマケのようなもので、そのこと自体が目標であるわけではないのです。
ですから、公文式で鍛えられた子どもは自分で勉強することができるので
高校受験にしても大学受験にしても、受動的な学習経験しか持たない子よりは
有利なのですけれど、
「公文じゃ高校にはいけない」というのも、教わるということを期待している場合には事実です。

私がくもん教室をしていたころは、本当の自学自習力を身に付けられなかった生徒は
六年生卒業前後に他の塾へいき、
かなりやれるようになっていた子達でも中三の頃には他塾へ行くようにおすすめしていました。中にはうちと他塾を掛け持ちしていた子もいますけれど。

くもんの原点ということをしっかり見直して、
もし引継ぎ教室の方も続けられるのであれば、
一時的に生徒数が激減してもいい、と腹をくくって、
なんなら、公文教室としての業務違反であると研究会から勧告を受けたので
ということで、くもんプリント以外の対応から手を引かれることです。
だいたい、40%のロイヤルティを支払うために無料奉仕を続ける必要なんてないでしょう。労力(公文教材外の生徒対応のための人件費も含めて)を考えれば、ばかげていると思いますよ。

公文教室引継ぎの場合の怖さ、というのは
前任者のやり方で引き継がざるを得ないことが多い、ということです。
よきにつけ悪しきにつけ、引継ぎ時に在籍している生徒というのは
前任者の指導方法を是としていた生徒・保護者ということですから
新任の指導者に対しても当然同じことを求めているわけです。
その期待に応えられればともかく、
経験値も、公文式指導に対する考え方も違っていたりすれば
同じようにいくはずがありません。
そこをサポートするのが地区担当の役割でもあるはずですが
この例のように、目先の生徒数にこだわるようなのが担当についてしまったりすれば
公文式でない公文教室を引き継ぐハメに陥ることもあるわけです。

地区担を無視して事務局長に相談してごらんなさい、
まともな局長なら、
「直ちに、公文式以外の指導はやめてください」というはずです。
もし、そうでないなら、
すでに公文教育研究会そのものが、公文式指導の理念を忘れているのであって
公文式の看板をあげている価値なんてありません。


第一、くもんのロイヤルティは高いのです。
それを支払うために(生徒数を減らさないために)公文以外の指導をするのって
本末転倒もいいところです。

ということで、ご相談の方へのお返事ともしておきます。





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