人が見ているものを見る - ソーシャルブックマークの世界

Webの世界では、大量の情報からいかに早く望むものを見つけるか、というのが永遠の課題になっています。これまでにいくつもの検索エンジンが世に出ては消えていきました。いまは何となく情勢が固定化しているような気もしますが、それとていつまで続くのかわかりませんし、そんな状態に待ったをかけるべくさまざまな技術が提案され続けています。その中で、これから有望だなあと思うのは、「知っていそうな人に聞く」というアプローチです。いまgooの代名詞になりつつある「教えて！goo」もまさにその1つですね。

「人に聞く」作戦は、技術としては全く新しいものではありません。この分野のさきがけと言っていい「はてな」は4年近く前からありましたし、それ以前にも研究としては山のようにありました。しかししかし、これらがポピュラーになったのは本当につい最近のことです。ではそれまでの技術に何か問題があったのか？答えはNoで、きのうのエントリーと同じことを繰り返しますが、ユーザの振るまいがすっかり変わってしまったというのが実際のところだろうと思っています。

で、「はてな」にせよ「教えて！goo」にせよ、質問者が質問し、回答者が答えるという双方向のコミュニケーションによって情報がまとめられていくわけですが、もっと他に方法はないのか、もっと「楽な」情報の集め方はないのか、ということで最近注目を集めているのが「ソーシャルブックマーク」、略してSBMです。ソーシャルブックマークの仕組みはごくごく単純なもので、普通ならブラウザの中に（＝自分のコンピュータの中に）ためていたブックマーク（お気に入り）を、ネット上に公開してしまって他の人からも閲覧できるようにしようという、ただそれだけのことです※。

※あまりに単純なので、もちろんこういうものは昔から「オンラインブックマーク」という名前で存在していました。それがいまなぜ取り上げられるかについてはちゃんと考察しないといけないのですが、直感的には対象となるWebの情報が増えすぎたこと、それを見ている人の数が多くなったこと、RSSによって再利用性が高まったこと、などが考えられます。まあブログが流行った理由と人力検索の時代が来た理由と全く同じですね。

このサービスを使って作られた他人のブックマークは、本当に役に立ちます。例えばブログの技術に詳しい友人が作っているブックマークを毎日チェックしていれば、その分野の動向はほとんど手に取るようにわかります。そして何よりありがたいのが、というかこれがこのブログでこの記事を書いている本当の理由ですが、それらのブックマークはRSS形式で配信してくれています。なので、RSSリーダーに友人のブックマーク（のRSS）を数人ぶん登録しておけば、そのRSSリーダーが自分専用のポータルサイトとして機能するのです。

現状では、ブックマークを公開している人はあまり多くないので、得られる情報はやや偏りがあるかもしれません。また、人のものを読むばっかりで自分で公開しなければなかなか広がりませんし。ソーシャルブックマークサービスでは、ブックマークを公開する本人が利益になる（＝よりよい情報が集まってくる）ように「タグ」という魅力的な仕組みが備わっていて、これはまた後日説明したいと思いますが、何はともあれ始めてみてはいかがでしょうか。手始めに、ぼくのブックマークを公開します（あまり頻繁につけてないですが）。このページの下の方に「RSS」アイコンがあるので、これをRSSリーダーに登録してみてください。「人が見ているものを見る」という快感？を少しでも味わってもらえればと思います。

ぼくが使っているのは「del.icio.us（デリシャス）」という海外のサービスですが、日本でも「はてなブックマーク」や「LiVEMARK」というサービスが始まっているので、読むだけの人も自分でも公開してみようという人も、まずはサイトを眺めてみてください。ソーシャルブックマークを公開するには、会員登録をして、そのサイトの説明に従っていつものブックマークのやり方を少し変えるだけです。

グルコース社としては、こういった「人が見ているものを見る」世界を実現するためのプロダクトを前から作っていたので、悔しいといえば悔しいです（笑）。でも、こういう流れでソーシャルブックマークが注目されはじめたことについてはありがたいので、これを利用してglucoseの機能強化をいろいろやっていく予定です。詳細は…内緒です。

おおむかい拝