タソガレブログ

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映画「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」感想

2018-02-06 16:37:37 | アニメの感想
twishort より転載
2017/08/29



世間ではいろいろ言われていますが、私はけっこう好きなタイプの作品でした。見た後に色々考察したなる映画でもありましたので、感想や思ったことを色々書いてみました。けっこう長いです。

※ネタバレ注意

シャフトが、思春期の少年少女の心の機微に寄り添ったストーリーを、映像だけで表現したというのがこの作品のすごいところだと思います! モノローグや説明ほぼなく、映像やキャラクターの芝居で構成されていました。
シャフトらしい演出を散りばめながらも、抑え気味で、センセーショナルな映像よりも、登場人物たちの心情に寄り添った世界観に重きを置いているように思いました。
(でも動く螺旋階段のある校舎とか、プールは笑っちゃうくらいシャフトでしたね。
回転するものがたくさん登場してたり。1回見ただけなので見逃しているメタファーがたくさんあるのかも)

ポスターでも映像でも強調されているのが、身長差。女子のほうが背が高く、男子が背が低い。一般的に、女子のほうが精神的にも大人な年齢。絶妙な年齢設定だなって思います。

本作のヒロイン、なずなは家庭の事情もあり、同級生よりも大人びた感覚を持っている少女です。家出じゃなく「駆け落ち」と言ったり「女の子はどこだって生きていける」と言ったり、わかったような物言いをする反面、本当に自立できるほどではなく、大人になりきれない幼さも持ち合わせている。そんな少女に、まだまだ幼い男子 典道が振り回される。最高です。

私はもともとSFジュブナイルが好物なんです。本格SFと違って、SFジュブナイルは事件の引き金が気持ちの問題なことも多くてガバガバだったりしますが、そこが良いとこでして。
『打ち上げ花火~』は「不思議なガラス玉を投げる」ことによって時間を遡り「こうだったら良かった」な世界へ行くことができます。小規模なタイムリープから分岐が起こり、パラレルワールドへ。パラレルワールドは打ち上げ花火の爆発の仕方が異なります。

「もしも玉」は3回発動し、最後に打ち上げられたときは砕け散ってしまいます。最後のはタイムリープにはカウントされないと思います。
砕け散った欠片には映像が映し出され、二人が東京へ行ったり、もっと違う世界(パラレルワールド)があったかもしれないことを示唆していました。

この映画で一番モヤっとしたのは、ラスト。
2学期が始まって出席を取る先生の呼びかけに応じない典道。
これってどう解釈しましたか?

もしも玉が砕けたことによって、望んだ世界へ飛ぶ力はなくなり、二人は現実に戻りました。2学期、なずなは転校しますが、典道は普通に学校へ行くはず。でもそこに典道の姿はありません。

ネットで感想を読むと、サボりだとか、なずなに会いに行ったんではないか、という意見が多く、ちょっと拍子抜けしました。
エンドロールの米津さんの美しい音楽を聴きながら、私が考えていたのは、典道は最後の世界に取り残されたのでは?もしくは、別のパラレルワールドへ飛んでしまったのでは?ということだったのですが・・・考えすぎだったかな。

なずなの最後のセリフは「次に会えるのはどんな世界かな。楽しみだね」でした。まるで次があるかのような。

色んな解釈が出来そうで、バッドエンドでもハッピーエンドでもない曖昧な終わり方でした。考える余地を残しているところが面白いと私は思います。


●そのほか思ったこと

キャラデザがガハラさんに似すぎているのは、もったいなかった。客層を限定してしまったかも。

あと細かいことですが、真っ白なワンピースに着替えて「16歳に見える?」は、うーん。大人に見られたいなら白はないかな?製作者が美少女に白ワンピを着せたかったんだなぁ~と思ってしまったw

典道くんやお友達のキャラデザや動きは、すごく可愛かったです。アニメならではのギャグ顔やオーバーリアクションがあって楽しめました。シャフトが描く「男の子」って今まであまりなかった気がするので、今後の作品でも見てみたいです。

メイン二人の声優はそんなに気になりませんでした。むしろ年相応で良かった。脇が豪華すぎ(笑)

『時をかける少女』の逆視点的な要素があると感じたました。「主人公はどっちの男子が好きなの?どっちを選ぶの?」かが途中まで問題になってるのが似ているかな。そういえば『花とアリス』も、ある意味「もしも」の世界なんですよね。SFはまったく関係ないけど(ただの嘘)。

深夜アニメ好きでなく、ラブコメ映画が好きって人ではなく、映画文化を好んでいる層に届いたらいいなーと思う映画です、内容的には。宣伝力…(~_~;)

以上です。後半ぐだってしまいました。お読み下さりありがとうございました!

 さよ

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