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Takの秘密の木

誰にもいえない気持ちは、誰もしらない秘密の木の洞に、こっそり語って蓋をするんだって。@2046

意外な人の登場(追記)

2011-11-27 | ドラマ・映画・舞台の感想
ここ最近見たものの中に意外な人が思いもよらず登場して、しばしば驚くことが・・・・。

まずは『SOUL RED』。
これは松田優作さんのドキュメンタリーフィルムなのですが、脚本家や映画製作会社関係の人々、香川照之さん、アンディ・ガルシアが出てくるのは別に驚きはないのですが、クドカンさんと浅野忠信さんと中村トオルさんが出て来たのには驚いてしまいました。
この三人に関しては、直接交流があったというより、優作さんに憧れていた人たち、後を継ぐ人たちという立場のようでしたが、それぞれの優作さんへの思いを聞いて、とても感慨深く、またある意味納得が行ったと言うか。・・・・
私も優作さんは好きな俳優さんだし、そしてこの三人も好きなので。
映画監督の森田芳光さんの話もとてもおもしろかった。
この方は、もちろん『家族ゲーム』を撮った監督でもあるのですが、堤さん主演の『刑法第39条』の監督でもあります。
因果が繋がるというか。・・・・

その次は『11人もいる』。
光浦さんのお兄さん役で粟根まことさんが出てた・・・・!(笑)
つい最近まで存じ上げなかった俳優さんですが、新感線さんの舞台を見ると必ず出演されているのでさすがにお顔を覚えました。
殺陣が上手な方ですが、ふつーーーに現代人の格好してお兄さん役やってました。(当り前ですね)
やっぱクドカンさん繋がりでの出演なのかな?

その次は『蝶々さん』。
同枠で堤さんの『とんび』をやるので試しにどんな感じか見てみたのですが、野田秀樹さんが役者として出て来たのにはびっくりです。
テレビドラマに出演している野田さんって初めて見た・・・・・。
最初から最後まで英語のセリフでしたけど、とても上手でした。
パックンや川平さんにもへー・・・・・って感じですが、高橋由美子さんにもちょっとびっくり。
高橋さんといえば『野獣郎見参』の美泥役です。
NHKのキャスティングって、やっぱ民放とちょっと違う感じがする。(笑)
1時間15分(正味1時間10分ぐらい?)の前後篇ですが、NHKはCMが入らないのでかなりがっつり感がありますね。
それに結構お金かかってる感のある映像です。
港で見送りシーンのCGはちょっとどうかと思ったけど・・・・・でも全体としてはセットも衣装も造り込みが丁寧で美しい。
『とんび』の予告は流れなかったものの、かなり期待感は高まりました。
(次の『真珠湾からの帰還』には平岳大さんが出演するようですね)


『三丁目の夕日』は初号試写?が終わったようですが、かなり評判が良さそうですし、『宇宙兄弟』のHPはリニューアルされ、これもかなりおもしろそう。
『とんび』も期待できそうだし、2012年がいよいよ楽しみになって参りました・・・・!


(追記)
先日、NHKBSで放送された、『ブレードランナー』のメイキングについても書きたかったんですが、長くなり過ぎるのでまた別の機会にしたいと思いまふ。・・・・・

私はかなりのブレラン狂(リドリー信者?)と自負しておりますが、これまでメイキングと言われるものは見たことがありませんでした。
僅かな編集の違いの、何種類もある本編も、これまで2種類しか見たことがありません。(日本初公開劇場版とユニコーン+版)
実は、ビデオテープはありますが、DVDもBDも持っていないのです。
ブレランについては強烈なマニアがあまりにも多すぎて、逆に引いてしまったところがあるのも事実です。
私はSFや特撮に特化して興味があるわけではなく、リドリー・スコットの途轍もない美意識や映像センスが大好きなだけなので、大抵マニアとは感覚が合わないことが多くて・・・・。(苦笑)
しかし今回初めてメイキング(というかドキュメンタリーフィルム?)を見て、改めてかなりショックを受けました。
リドリーが黒澤明監督をリスペクトしているのは知っていましたし、影響を強く受けているのも作品を観ればよくわかります。
しかし、ここまでそっくりとは・・・・。(笑)
ブレラン製作にあたってのすったもんだは、黒澤監督が『七人の侍』を撮った時のエピソードに酷似しています。
それに、リドリー監督が英国人であることが、ハリウッドの現場でかなり軋轢を産んだことも初めて知りました。彼があそこまでアーティスティックにエキセントリックな人とは・・・・。
現場のスタッフの誰も、監督のビジョンを共に観ることができないから、どうしても"天皇"のように成らざるを得ないんですよね。・・・・だけど完成したものをみるととんでもなくすばらしい。
原作のフィリップ・K・ディックがブレランのラッシュを観て「僕の頭の中を見たのか?」と言ったというエピソードも初耳でした。
音楽を担当したヴァンゲリスの才能はやっぱ突出してすばらしいし。
結局、アーティストを理解するのはアーティストなのかなー・・・・・と。
この気難しい芸術家に何度も起用されるラッセル・クロウという人も、おもしろい俳優だなー・・・・とつくづく。
そして松田優作さんについても・・・・。私が『ブラックレイン』を見たのは、優作さんが出演しているからではなく、そもそもはリドリー監督の作品だからなのです。
『SOUL RED』の中で、リドリー監督の声がちらっと入っているのを耳にして、なんとも不思議な気分になりました。

追記事項。

2011-11-22 | ドラマ・映画・舞台の感想
前の記事に書ききれなかったことをいくつか追記で。(メモ代わりともいう)

□プリトヨ特典映像ですが、階段落ちのシーンもすごかったですね。・・・・・さすが元JACというべきなのか。
堤さんもう若くないんだから、ちょっと心配になっちゃったけど。(苦笑)
本編ではほとんど使われなかったシーンだし。・・・・
普通の主演だったら絶対にやらないと思うけど(怪我して却って迷惑かけるし)、堤さんは元々スタントや黒子をやってきた人なわけで、今もそれをまったく厭わないってことなのかなー・・・・と。それに主演にあそこまでやられちゃ周りも頑張らざるを得ないでしょうね。

□北川さんはわりと好きですが、謎解き~はまったく見ておりません。
今期見ているドラマは、結局11人とメンタリストだけ。11人、おもしろいです。クドカンさんの言いたいことはよくわかる。・・・・気がする。
あのしょーーーーもないおじさん(田辺さんの弟役)、はじめの内はうざくてイラっとしてたけどだんだん癖になってきた・・・・。(笑)ギターうまいし。誰?あの方。
神木くんは想像以上におもしろい。「めんどくさいことを引き受けるめんどくさい長男」。いい。
評判のいいミタも見ていないのですが、でも遊川さんの脚本は好きなのでヒットして嬉しいです。

□原作・唐十郎、演出・蜷川、主演・宮沢りえさんの舞台『下谷万年町物語』観たい。
http://movie.goo.ne.jp/contents/news/NFCN0037002/index.html
藤原さんとかも出てるから、チケ取りまたたいへんだろーなー・・・・・・・。

□グレン・クローズ主演の新作映画『アルバート・ノッブス』観たい。
http://www.cinemacafe.net/movies/cgi/24069/

□マスター・ヨーダがカップヌードルのCMに登場。
ヨーダを日本人キャストにするんなら、大滝秀治さまでお願いしたい。
『影武者』の山県昌景役がめっさかっこよかった。

ピュア雑感7~最終回

2011-11-12 | ドラマ・映画・舞台の感想
最終回。

堤さんが生きててくれてよかったーーーーー・・・・・・・・と。

ほんと、堤さんがちゃんと今、生きて存在してくれてることが何よりも嬉しい。
じゃないと、苦しくてこっちがしんじゃいそうだもの。・・・・・
沢渡はしんでしまったけど、堤さんは生きてる。
よかった。・・・・・・ほんとよかった。
堤さんが元気な役の作品を後で見なおそっと。
SP革命篇にしようかな。(笑)
なんか尾形さんの手紙のこと思いだしちゃって。

しかしひさびさに「そうきたか。」と思える脚本の日本のドラマに会った気がする。
「『鳥になりたい』と言った意味を考えていた」、か。・・・・・・
そこまで真摯で、そこまで洞察力と感受性に溢れた人だったのね・・・・・と、言葉にすればするほど本当から離れて行く気がするけど、沢渡徹という人間を見事に浮き彫りにする、すばらしい幕引きでした。
どうせ陳腐な理由なんでしょ?とひねくれた私のような視聴者を、ぎゃふんと言わせてくる手紙だった。
またそれを過不足なく、表現しきる役者たちのすごさにはぐうの音も出ない。
すべてが揃った時にのみ、生まれるなにかがあるよね。
堤さんが加わることで、何かを削ぐことはまずないと思うけど。
大抵、加わることで作品のクオリティがあがる感じがする。
プロとしかいいようがない。

はーーーーーーーー・・・・・。どうしよう大好き過ぎるーーーーーー。
まだ観てない出演作がいくつかあるのが幸せ。
これからも、いろいろな作品にたくさん出て欲しい。


****************

第10話。

せつない。
せつないせつないせつないーーーーーーーー

昔の男は多くを語らないからめんどくさい。でもそこがいい。
そこが切ないのかも。

「最初の記事は俺が書いたんじゃない」て、一言言えば済む話だってたくさんあったのに、言い訳がましいのがいやだとかさー。
遠山さんも長年密かに寄付してたのに、公表するなとかさー。
遠山さんとこの長男だって、ほんとは嫌だろうに強がってみせたりして、で、結局は傷ついて・・・・。
男気ってやつかしらね。

そういうのすべてわかってて、みんなの気持ちを分かってる上で決断した沢渡。
つらい。
はあ・・・・・。
また泣いちゃったよ。

私、堤さんのこういうのにほんとに弱いみたい。尾形さんにも泣かされたし、石神にも泣かされたし、当麻先生にも、香田さんにも泣かされたし。・・・・・
もう堤さんのばかあぁぁぁぁぁ。どうしてくれるの眠れないじゃないの。
塚っちゃんが『とんび』のインタビューで、「男っていいものねって、思ってもらえれば」とか言ってたけどさ、堤さんそういうの演じたら鉄板だから。
あの端正でそれでいて無骨な風情がまたね。ため息もんなんですよ。

はあ・・・・・
明日は最終回?


****************

第9話。

横顔ほんと綺麗ねー・・・・・・などとおばちゃんのように呟きながら見る。
硬質な色気でね。朴訥フェロモンとも違う。
やっぱ堤さんって、年々えろす成分が増えてくタイプのような気がする。
尾形さんの背中に漂うような、眩暈がするような立ち昇る色気はまだないんじゃないかと・・・・。

しかし篠原さん(の役の人)がちっとは仕事やる気になってくれてほんとよかった。
くーーだらないことをねちねち言ってないで、もっと早くにそうすりゃいいのに。沢渡一人だけに遠山案件やらせないで、さり気に手伝えばいいじゃんて、好きなら尚更そうでしょ?と、どんだけ思ったか・・・・。(笑)
でもそれはそれでどんどん身動きとれないところへ入り込んじゃうわけだけど。
優香のことも遠山のことも、誰も傷つかないわけにはいかない状況に。しがらみに二進も三進も動けない。
うーむ・・・・・苦しい。・・・・・
でも、沢渡は決意したのね。
辛いなー・・・・・・分かっててやるのは背負う覚悟を持っているからでしょ。
そんなに背負っちゃうと辛いよ、ほんと。
誰かが温めてあげなきゃ。


****************

第8話。

うむむ。
思ったよりぐっと恋愛ドラマに舵を切っちゃった印象。・・・・・なんでだろう?
苦手パターン3点盛りだし。
1.うざ女
2.偶然街で見かける
3.酒飲んで暴れて警察沙汰
時代なのかなー・・・・・?
今時隣国のドラマぐらいじゃないとやらないパターンだと思うけど。・・・・脚本にこれが出てくるとどうしても鼻白んでしまう。
1.ちったぁ仕事しろや。と、思ってしまう。・・・・そしたら沢渡が「そんなことしか考えてないのか」って言ってくれたからまだよかったけど。ほんとうざい。・・・・・高岡さんも篠原さんも、今だったら演らないようなタイプの女性だろうな。
2.広いようで狭い、狭いようで広い日本の街。そうそう偶然見かけるなんてことは起きないでしょう。安易。
3.こういうの好きだよねー・・・・・陳腐じゃない?別にそれほどドラマチックにも感じないし。

エンドロールで、脚本家名が連名になってたから、その人の発想なのかなー・・・・・とも。
まあ、展開に行き詰って助言求めたってーのが真相なのかも知れないけど、○○美化もかなり強めの回でちょっと引いちゃった。

でも、優香のママ役の風吹さんと沢渡(堤さん)のシーンはとてもよかったです。
この回に限らず、この二人が絡むシーンはいつもとてもおもしろい。お二人とも上手だからかな。
血のつながったママなだけにやっぱ娘とは趣味が合うのか(笑)、わりと最初から沢渡には好感を抱いてるっぽいけど、でも現実、いろいろとあるから微妙に揺れ動く母心がリアルでおもしろい。
「やっぱりこの人(沢渡)、ちゃんとわかってる。」って感じがね。うまい。
中でも、この回の優香が沢渡の背に隠れるエピソードは秀逸だった。
ママよりおとこを取るのね。(笑)そりゃそうだよね。
その時の風吹さんの表情の絶妙さと来たら・・・・・またそれを受ける堤さんもやっぱ最高にうまいし。

しっかし沢渡はほんと難しいところに入り込んじゃった感じで・・・・。
いっそのこと遠山案件からは手を引いた方がいいんじゃないかと思うけど。
やっぱ復讐心もあんのかな。
尾形さんみたいに。(苦笑)


****************

第7話。

ぴゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!

どうしよう、眠れない。
明日ももちろん仕事なのに眠れないよ。
やめとけばいいのに、ピュアの7話を見てしまった。・・・・・
難しいとこに入り込んじゃったねぇ・・・・・沢渡さんー。いろんな意味で。

「俺も疲れてる。」

いわれてーーーー。
言われたいよ、あんな顔で。
あたしってばMかしら?(笑)

それに、あの懐の深さはぬくぬくするためにあるんだよ、やっぱ。

はーーーーーーたまんねーな。

てか、この程度のことはついに書くべきか。(苦笑)

ざっくりニット男子。

2011-11-05 | ドラマ・映画・舞台の感想
『ピュア』の第3話から6話までを見ました。

持論なんですけど、男性の幼さって口元に一番出るような気がするんですよねー・・・・・・。
もちろん目つき目元も当然なんですけど、なぜか私は口元に一番感じる。
若いと引き結んだような膨れたような・・・・・逆にちょっとだらしなかったり。唇や頬がふっくらしてるからっていうのもあるのかな・・・・わかんないけど。
でもこのタイプの男性ほど、年齢を重ねるほどカッコよくなる気がする。
その幼さみたいなものが抜けて、線がシャープになって本来の造作のよさが浮き彫りになってくるっていうか。

にしても堤さんって不思議。角度によってすごく綺麗に端正に見える時もあるし、いかにも日本男児って感じで鋭すぎて地味目に見える時もある。奥二重だしね。
その端正さが垣間見えると、いかにもお育ちがよさそうに見えるから、ああいう役柄が多いのかな?(笑)
てゆうか、お台場テレビさんは堤さんにその手の役をやらせたがる傾向があるよね。
実は代議士の息子とか、実は政治家秘書の息子とか多くね?(笑)

でもやっぱすげーです。この役者さん。
ドラマを見ている間、完全にその役の人として見てしまっている自分がいるもの。役者本人のことは忘れてしまっている。
彼は沢渡徹さんでしかなくて、そこに堤真一さんは居ない。
だから何にも引っかかりがなくスムーズに作品の世界観にハマれて、まったく無理がないって、やっぱ作品を愉しむ上で最も重要な要素かも知れないなー・・・・と。
脚本・演出・演技が一定のクオリティ以上に達していないと、造り出しえない空気感だな、と。
正直、時折ちらっと、まだテレビカメラ慣れしていないような雰囲気を感じることもあるけど、でもそれ以上に、感受性の鋭さ豊かさがキリキリするほど伝わってきて、胸がきゅーーーんとするとこがある。
それが沢渡という役柄からくるものなのか、堤さん自身のものなのかわからないけど、でも巧いぐあいにキャラクターとオーバーラップしてて、より際立たせているというか。・・・・・
アクターズ・スタジオとかでよく見かける名優と呼ばれる人たちにとてもタイプが似てる気がする。
あまりにも感じやすくて傷つきやすくて繊細で・・・・なんだか、見ているこっちが痛々しくなる感じ。
「傷つきやすい」というと勘違いして、自分の心(自尊心)が傷つくことだと思って図々しく自己主張する人がいるけど、本当は違うと思うんですよね。
人の心の動きや気持ちに敏感過ぎる人が、人の心にショックを受けることが、「傷つきやすい」ということではないかと。
自尊心に敏感なのではなく、他人の心の揺れに敏感な人。
やっぱ自身が酸いも甘いも身にしみているからこそ、敏感になるんだろうね。
こういうセンシティブな雰囲気は、イギリスやオージー系の俳優さんに特に多い気がします。
同じ島国ながら、残念ながら日本人にはまだそういう俳優さんは少ないかなー・・・・・。
だからこそ、堤さんにこういう役柄が頻繁に回ってくるのかも知れないけど。
貴卑そして清濁併せ持ってて重層的で、だからこそデリケート、だからこそリアル、人間味が立体的というか。・・・・

一番ピュアなのは、実は和久井映見さん演じる折原優香ではなく、沢渡徹さんなのかも知れないなー・・・・と。
優香にシビアな言葉を投げかけるシーンでも、言いながらも一番傷ついてるのは実は沢渡自身みたいで、心がふるふると小刻みに震えているように見えた。
和久井さんの演技も想像してたほど鼻につかなくて良かったですけど・・・・。(て、どんな想像してたんだっていう・苦笑)
この手のいわゆる"○○美化モノ"って、かなりダメで警戒してたんですけど、それほど気にならなくて安心しました。
この種のテーマって流行りものみたい次々と造られる時期があったりして、「本当にあくどいな」と感じることも多いんですけど、この『ピュア』はわりとしっかりした誠実な脚本で、当時テレビドラマに出る気がなかった堤さんを動かしただけはあるなと思いました。

脚本は龍居由佳里さん?という方。
中江さんがメインの演出のようですね。白を基調とした冬のロマンティック風味がお得意な感じで。
まだ髪がたくさんある高橋克実さんや高橋克典さん、篠原涼子さん、高岡さん、風吹さんとかも出てらして、なかなか豪華な出演陣ですね。
沢渡の上司の下衆っぽい嫌な奴、GLで香田さんをシフト変更にして飛べなくした嫌味な上司を演じたのと同じ俳優さんなんじゃないかな?(苦笑)
携帯もパソコンもない時代で女性のファッションは所々古さを感じますけど、男性はオーソドックスな衣装でそれほど違和感はないですね。
・・・・どころか、沢渡さんのざっくりニット姿はかなりツボです。
元々好きなんです、フィッシャーマンズが似合う男性。
薄手のニットをタイトにスタイリッシュに着こなす感じもせくしーでいいですが、ゲージの太いニットをざくっと着て負けない存在感も好きです。ぬくぬくしたい。(笑)

沢渡が最後どうなるのか、つい上とかで見かけてしまって知ってしまってはいるんですけど・・・・。
でも経過やディテールは知らないので、今後の展開がすごく楽しみです。
今期一番嵌っているドラマかも。(笑)

天晴という人

2011-10-23 | ドラマ・映画・舞台の感想
『11人もいる!』の第一回を見ました。

クドカンさん脚本の作品を見ると、いつも必ず同じパターンを辿ってしまいます。・・・・・(苦笑)
ベースとなるテーマの選び方があこぎ、というか、狙ってる感がなんか鼻に付く、と最初はいつも思ってしまう。
野球とか落語とかパンクとか弥次喜多とか用心棒とか・・・・。
で、クセのあるくすぐりの詰め込み方、独特のセリフ回しのテンポ、アングラ調の登場人物たち。
いくらなんでも幼児性が強すぎるような下ネタとか。
正直、中盤あたりでうんざりしてくる。

でもなーー・・・・・んか、なーーー・・・・・・んか、結局はそれほどイヤじゃない。
登場人物が、なんだかんだいって性格の悪い人がいないんですよね。
たぶんクドカンさん自体が、悪い人じゃないんだと思います。(笑)
酷くても人でもいい加減でも、なんだか人間の切なさというか、不器用さというか、欠点がない人なんていないわけで、自分勝手さも含んだどうしようもなさも、ある意味リアルだと思って許せてしまうというか。・・・・(現実に傍にいたらかなりやだけど・苦笑)

いろいろくっつけちゃってて分かり難くなってるけど、(もしかしたら照れ隠しなのかそれともプロの矜持なのか)意外と、なかなか穿った深いことを実は言ってたりする。
だから、うんざりを超えたところで、何かが見えてくるのかもしれないと、どこかで期待してしまうところがあるというか。・・・・

このドラマも、大家族とか苦労人長男とか幽霊とか子役とか、なんだかなー・・・・・と思ってしまうところもあるんだけど、でもそれで、とどのつまりクドカンさんがその底で何を言いたいのか、聞いてみたいところもあったりする。
ま、私はクドカンさんの術中に見事にはまっちゃってるってことなんでしょうかね。(笑)


堤さんが出演されている新感線さんの舞台作品では、私はやはり『蜉蝣峠』が一番好きです。
これ、新感線作品では珍しく、脚本がクドカンさんなんですよね。
でも、クドカンさんが好きだからというより、やはり最新(堤さん出演作の中では)だからというのもあると思います。
演出や衣装も、とても洗練されて来ていると思うので。

また、堤さんが演じている天晴という人物が、なんだかとても惹かれるのです。
ネットのどこかで製作発表時の動画を見たのですが、堤さんは、「演じる側としても度肝を抜かれるような展開とセリフで、正直とてもとまどっている。悪役は悪役なんだけど・・・・・・悪役?」というようなことを仰ってました。
売り文句は、「登場人物全員がアウトロー」だとか。


「天晴でごぜーやす」


ネタバレになってしまうので、この作品を未見の方は以下を読まないでほしいのですが、

(反転)
最後に立派を斬るシーンの、天晴の「こういうことになるんだよ・・・!」の言い方が、初見で見た時からとても気になっていたんです。憐憫と悲痛な響きがとても強いような気がして。
天晴って、立派とねえちゃんの夫婦のこと、実はかなり好きだよね?と。・・・・・
立派がねえちゃんをころしてしまうなんて悲劇が起きなければ、天晴は立派を斬る気は、最初からずっとなかったんじゃないかなー・・・・て。
立派はたぶんころしてしまった自分を一生許せないだろうし、だから天晴は「斬ってあげた」という面もあるんじゃないかと・・・・。
中身がじゅんさんのせいか(笑)、天晴は、わりと立派を嫌いじゃないような印象があるんです。
・・・・ま、そうはいっても、平気で一揆の農民斬ったり立派の部下を斬ったりしてるから、いい人ばかりなわけでもないけど。
でも、お泪に対しても、「あいつの親をころしてるから所帯を持てない」なんて言ってたりして、意外と倫理観を感じさせるようなとこもあったりする。
サルキジにも厳しいこと言ってるけど、正体はバラさなかったり。
闇太郎に対しての距離の取り方もおもしろい。
ろまん街のクズを掃除してくれるやつを待ってた、みたいなことを言ってる。
酒を飲んでなくちゃ、自分でも血が通ってない気がする、とか。・・・・・
で、そんな人物設定で、で、外見はロン毛白塗りの美形キャラ。しかもシスコン。(笑)
おもしろいキャラクターです。
クドカンさんも、どういうつもりで書いて、堤さんにどう説明していたんだか。(笑)


でも考えてみると、『舞妓Haaaaaan!!!』の内藤貴一郎も、いいやつなんだかわるいやつなんだか、品があるんだか下品なんだか、バカなのか賢いのか、わからないような人だったな。
ある意味、堤さんの本質を突いているのかも。(笑)

ポストマン・ブルース

2011-10-16 | ドラマ・映画・舞台の感想
SABU監督、1997年製作の『ポストマン・ブルース』を鑑賞。

『うさぎドロップ』の時にも思ったけど、いかにもインディペンデント系!って感じの作風で、・・・・というか、「サブカル風味こそが売り!!」って感じのノリで、実はあまり好みではない監督です。・・・・

たぶん、欧州系映画祭で好かれるタイプの監督はすべて同じ風に見える方々も多いと思いますが、私個人の中ではワリとはっきりした線引きがあって、サブカルノリを売りにしてどんどんニッチ狙いに狭まっていくタイプと、本気で自分の美意識を精製して広く拡散を望むタイプでは、基本スタンスからしてまったく違うと思うのです。
それは舞台演劇にしても同じで、私が小劇団系をあまり好きではないことが多いのは同じ理由からです。
・・・・・ま、結局は個人の好みの問題に過ぎないと思いますけど。・・・・(苦笑)

北野武監督の作品が好きな私としては、なんだかお馴染みの面々が多数出演されていて、なんとも懐かしい気持ちになりました。
大杉漣さん、寺島進さんといえば、かつての北野映画の常連さん。
当時はまだそれほど売れてなくて、北野作品好きには知る人ぞ知るだけど、テレビドラマ等ではほとんどお顔をみかけない類の俳優さんでした。
『ソナチネ』や『HANA-BI』の成功でテレビにも徐々に出始めて、その当初はお二人とも「北野組」を自称されていましたけれど、北野監督はまるで巣立ちでもさせるかのように、売れた途端にお二人を自身の作品では使わなくなりましたね。

北野映画に出演する俳優さんは、大概とてもせくしーで魅力的な人が多いので、なんでもっとテレビとかに出演しないだろうと思ってはいましたけど、やっぱ、見てる人は見てるというか・・・・・。
多少、遅咲きではあるけれど、今はとても売れっ子になられて、いろいろなところで頻繁にお見かけするようになり嬉しい限りです。
『座頭市』で浅野忠信さんを使われた時も、北野監督の目利きっぷりには感銘。(笑)
夏川結衣さんとの浪人夫婦役は、それはそれは危なく美しくて色気があって、たまらないものがありました。
その後、浅野さんは『モンゴル』『マイティ・ソー』と着実に活動範囲を広げられて、やっぱ伝わるものは伝わるもんなんだなー・・・・と。
国際的な競争力の高さというか、絶対的なクオリティの高さというか。・・・・・
日本産のいいところを正に体現してるというか。(笑)
北野監督の独特の美意識、大好きなんです。
あ、そういえば、『座頭市』には早乙女太一さんも出てましたね。
『菊次郎の夏』の時のCONBOYさんも、目の付けどころがおもしろいなー・・・・と思ったし。
勝村さんや「あるよ」のBOBAさんも、北野作品で先に知ったんだったな。

なんだか、『ポストマン・ブルース』とTOYOTAの新CMを見たら、いろいろ思うところがあって、連鎖的に『影武者』『孤高のメス』『座頭市』と立て続けに見直して、どんどん感情が膨らんじゃって支離滅裂になってきちゃった。(苦笑)
『影武者』の隆大介さんの信長はやっぱ最高にカッコいいし、そういえば、『孤高のメス』で当麻先生を詰問する刑事さん役で出演されてたな、と思い出したり。堤さんとは共演済みなんですよね。
で、『孤高のメス』には夏川さんが出演されていて、『座頭市』の夏川さんも美しかったなー・・・・と思ったり。
そういえば、黒澤監督も淀川さんも、今後の日本映画界を頼んだって、北野監督に言ってたよなー・・・・とか。


で、『ポストマン・ブルース』ですが。(苦笑)
北野監督を始めとするアート系映画はかなり観る方なのに、これまで堤さん出演作とあまり縁がなかったのはほんと不思議な気がします。
堤さんが、舞台を主な活動の場としていたってこともあるのかも知れませんが。
繰り返しになりますが、ストーリーも映像の撮り方も、今や懐かしさすら漂うサブカル調という感じで・・・・。
堤さんの若々しさや初々しさは、なんだか眩しいような気持ちになりました。
制服系の衣装が似合うのは、この頃も変わらないんですね。
郵便屋さんの制服がとっても映えて、大杉さんのセリフ「郵便屋ってーのは、モテるんだな。」というのがすごく説得力がありました。(笑)
ま、何も考えずに気楽に見る分には、楽しい作品であったと思います。

SP六本木篇 とか・・・・

2011-10-09 | ドラマ・映画・舞台の感想
お台場製ではなく、六本木局製のSPをちらっと見ました。

ちゃんと通しで全部見たわけではないので、あんまりエラそうな感想を書くのはどうかと思いますが、やー・・・・・・なんというのか、私にはちょっと"失笑"という感じの作品でございました。

そもそも、いわゆる刑事モノと呼ばれるものをめったに見ない嗜好性ですし、テレ朝のドラマ自体、これまでまともに見た覚えがありません。
『ギラギラ』ぐらいかな?ほぼ全話見たのは・・・・。
もちろん蔵之介さん目当てで見てたんですけど。(笑)
今度やる『11人もいる!』も、クドカンさん作なんで見てみようかと思ってますけど・・・・。

いわゆる「2時間サスペンス」というものも、まったく見たことがないんですが、この六本木製SPは、私が思う「2時間サスペンス」と呼ばれるもののイメージそのまんまな感じでございました。
それこそ、最後は崖の上で犯人の自供とかがある感じのノリ?

出ている俳優さんは結構いいメンツだと思うんですけどね・・・・。
渡瀬さんも高畑さんも、わりと好きな俳優さんだし、佐野史郎さんとかも・・・・・・あと、平泉成さんや杉本哲太さんも出てらした。
でも、佐野さんのお顔を拝見した時点で、「あ、真犯人は佐野さんなんだ。」と思ってしまった。(苦笑・『天使と悪魔』のユアン・マクレガーパターンだな)
ストーリーとしては、映画『ボディガード』と『ザ・シークレットサービス』を足して2で割って、製作費を1000分の1ぐらいにした感じ・・・・・?

しかしいくら引退間際の設定とはいえ、渡瀬さんはまったくSPに見えない・・・・。
動きが緩慢過ぎて。立ち姿もなんだかぽよー・・・・んと。もたもたー・・・・・・・・と。
あれじゃあ人は守れないんじゃないかと。・・・・・
あの程度の暴漢なら、刺される前に確保しようよ、と思ってしまった。(苦笑)
おまけに渡瀬さん、かなり深々と腹部を刺されたのに、手術は大成功、わりとすぐに歩き回るは退院してるわ・・・・。
回復力だけは驚異的?みたいな。・・・・

自称キス魔の高畑さんからのシーンは、一体全体なにごと?!という感じで爆笑してしまったし。
高畑さんも、頭の中では堤さんか岡田くんを描いていたんじゃないかと思ってしまった。(笑)
渡瀬さんって今お幾つなのか存じ上げませんけど、年齢にしては若々しい方なのかしら?
イーストウッドだってあの年齢でがんばってたんだから、もう少しどうにかしてほしかったかも。・・・・
つくづく、堤さんって「美貌の中年」なんだなー・・・・って。(笑)
尾形(堤)さんの美しさがすごく恋しくなって、思わずお台場製SP(ドラマ篇)を見なおしちゃいましたけど。
ああ、尾形さんの綺麗な男前っぷりはやっぱ輝いてます。

そうそう、お台場SPをかなり意識してるんじゃないかと思われるシーンもちょこちょこと。
・・・・てゆうか、本物や現場を取材しないで、お台場SPを見ただけで造られた作品かも?(苦笑)
選挙カーの遊説警護のシーンでは、渡瀬さんが微妙にシンクロしていたような??(爆笑)

や、ある意味、いろいろ楽しませていただいて、それが正しい鑑賞スタイルだったのかもしれませんが。


中島さん作の仮面ライダーのことも書こうと思ってたんだけど、またの機会に。・・・・
野獣郎っぽいな、と思いました。

NHK土曜ドラマSP「とんび」

2011-09-11 | ドラマ・映画・舞台の感想
公式HPはまだのようですが、NHKのドラマスタッフブログに記事が掲載されました。

http://www.nhk.or.jp/drama-blog/1310/94831.html


土曜ドラマスペシャル「とんび」

NHK総合
放送■2012年1月7日(土)、14日(土) 全2回 
時間■午後9:00~10:13
原作■重松清「とんび」
出演■堤真一 小泉今日子 池松壮亮 西田尚美 塚地武雅 古田新太 徳井優 平田満 神山繁 ほかの皆さん

なんか、あらすじ読んだだけで涙が出て来ちゃうんですけど・・・・・
岡田くんのGRで、「父親役を自然にやれるようになりたい」みたいなこと仰ってたのは、これもあったんだろうなー・・・・・と。
でも、私何気に堤さんのお父さん役、元々すごく好きなんです。
「フライ、ダディ、フライ」はもちろんだけど、「クライマーズ・ハイ」の冒頭の息子とのシーンとか。ほんの数シーンだけど、なんか好きだった。

古田さんと映像での共演もすごく嬉しいし!
塚地さんも大好き!
平田さんとは共演多いですね。(笑)
西田さんは、GL、クラハイでちょこっとだけ共演してますね。

NHKなら、ドラマでも主演をやられるんですね。(笑)
すっごく楽しみです!


そうだ。
堤さんに「夜明け~」をやって欲しかったとか、ふりんする役やって欲しいとか、ついったでたまに見かけるけど、私は正直その辺は遠慮したい。・・・・
なぜなら。
そんなもんやられた日には、本当に俳人・・・・いや廃人になってしまうからさ!!(断言)
マジで。いやほんとマジで。
やばいじゃん。そんな夢みてて良い歳じゃないもん、もう。
でも、やられたら絶対ドン嵌りになるに決まってるもん。
すっげー観たいけど、観たくない。
想像しただけでヤバイもん。しんじゃう。
なんでフィクション相手にまでぼろぼろにならなあかんの。

今度の「とんび」は男やもめでしょ?
それだけで充分。
それはそれで結構色っぽいんじゃないかと期待してる。(笑)

「愛ですね。ありがとうございます。」

2011-08-28 | ドラマ・映画・舞台の感想
『SP革命篇』が密林から届きまして、見入ってるわけですが・・・・・。

なんというか。
もーーーーいろいろ書きたくて語りたくて胸がはちきれんばかりになるんだけど、なんだか堤さんの演技とかに関して、訳知り顔に書くことはすごくおこがましいような気もして・・・・
躊躇してしまう面もあるし、それに、少しでも多くの人に初見で先入観なしで観てもらって、各々の思いを抱いていただいてほしいような気持ちもあるから、ネタバレはしたくないし・・・・・。
なんだか胸の中が逆巻くんですよ。千々に乱れる。

堤さんって、私程度の小娘からは想定を超えるような演技をされるから、受ける動揺がすごいというか・・・・。
動揺、というのが一番ぴったりくる気がするんですよね。・・・・
バイキング小峠さんじゃないけど(笑)、「ストイックに研究し続けた結果、辿りついたこの深み」なのかもしれないけど、やっぱ年齢を重ねただけのいろいろな想いとか思いとかの重みや奥行きがあると思うし、それらの"経験"を、堤さん自身がどういう感性で何を考えて受け止めて来たかっていう、彼自身の性格、心の軌跡もあるだろうし・・・・・。
そういう膨大さやきらめく欠片が折り重なって、綺麗でぶ厚い地層のようなものが豊かな枝葉の根底にはあって。
シーン、シーンやセリフで表現されるもの、画面が映し出すものは、当然それらのほんの一部でしかないわけで、でも、それが、いかに「氷山の一角」であるかは伺い知れる。

堤さんご自身が、3月26日に振り替えで行われた初日舞台あいさつで仰ってたけど、「愛ですね」という言葉に集約できるのかも、とも思うし。・・・・
私自身、一番最初に書いた感想はそうだった。
岡田くんがメイキングの中で「憎愛」って言ってたけど、人間って相反する思いを同時に心に抱くことが可能で、しかも心の器が大きい人だと、2つどころかもっと多くの考えを同時に内在させることができる・・・・。
大義と私怨と復讐と愛情は、相克するようで相克しない。
誰にだってあることだと思う。
理想や想像を持ってなにかを始めても、目の前の日々の現実がどんどん自分にとっての「真実」や「本当」になってくるから、優先順位が変わってきたりして、理想からすると矛盾が生じてくることなんか。・・・・
こういう矛盾に満ちた「現実」を、なんらかの作品で表現するのってとても難しくて、容易に支離滅裂になるし、自己満足になるし、ひとりよがりになるし、他人には伝わらないし、物語として成立しなくなるのは簡単というか。

これも岡田くんが言ってたことだけど、SPのセリフってとても硬い(かなり文語調というか)から、それを実際に声に出して表現する俳優さんの難しさって、ほんと半端ないと思う。
言い易いようにセリフを変えてしまう人も多いのは事実だと思うし、その方がある意味(その俳優にとっては)「自然」なのかも知れないけど。・・・・・
でも、SPっていう立場や元軍人だったりする人たちにとっての「リアル」は、逆に文語調なのかも知れないし、それは一般人や普通の社会生活をしている人間にはわからないこと。
またその作家にとっての自然やリアルと、俳優さん個人の感覚に差がある場合は、妥協するのはやはり俳優さんの方かな・・・・と私は思うし。
堤さんは、どちからというとそういうタイプかな、と。
「作品は監督のもの」とよく仰るから。
でも、我が身を削って削ってとことん作品に献身するスタンスは、誠実だな、と思うし。・・・・

しかし、議事堂内での尾形のセリフは、まるでシェイクスピア劇のような言葉使いで、これを現代の、それもリアルなセットの中で違和感なく響かせることの難度は想像を絶するものがある。
私は劇場で最初に観た時、「さすが舞台俳優さんだな・・・・・蜷川さんとかの舞台経験がなければ、こういう風には演じられない」と思いました。

これまでにいろいろな堤さん出演作品を観て来て非常にしばしば思うのは、本当に難しい、監督ですらどう表現していいかわからないような心情や状況を、堤さんってよく演じることになるよね・・・・と。(苦笑)
下手すりゃ、「もしかして堤さんに丸投げ?」と感じることも・・・・。(笑)
それだけ、信頼されている俳優さんってことだと思いますが。

オーダー以上のものを創って魅せられるから、プロなんだろうなー・・・・・と。

写楽考

2011-08-20 | ドラマ・映画・舞台の感想
舞台『写楽考』をDVDで鑑賞。

SISが主幹?の作品なのかな?
もちろん堤さんが主演の写楽役で、歌麿役に長塚圭史さん、蔦屋は西岡徳馬さん、十返舎一九役に高橋克実さん。等々。
原作は矢代静一さん、BUNKAMURAシアターです。

これは感想を書くのがものすごく難しい~~。・・・・・・
難しいだろうな、と思ってたので、この作品を観るのは少しためらってもいたんですが。・・・・

写楽って、そもそも個人的にかなり思い入れのある画家です。(あえて画家と言います)
DVD特典のインタビューで、長塚さんがおっしゃってましたが、何か物を造ったりする人間にとっては、写楽という人物に興味を抱かない人はたぶんいないでしょう。
私自身、素人ながら絵を描く人間なので、昔から写楽の存在感はとても大きく感じていました。
私が写楽の絵と初めて出会ったのは、たぶん幼稚園とか小学校低学年とか、物ごころ付くか付かないかの頃だと思います。
もちろん、「浮世絵」だの「江戸時代」だの、それこそ「芸術」だのという概念も知識もまだろくにない時で、たぶんお茶漬けの素のおまけカードかなにかでたまたま見かけたようなレベルの話です。
でも、たしかに、私はそれが「好き」だったんですよ。
とてもその絵に惹かれたのをよく覚えています。
そしてその時の印象は、普通に、商業的な"イラスト"だと思っていたんです。
キャラクタライズやデザイン化された、現代のイラストレーターが描いた商品だという認識だったんです。
その後、学校や何かでいろいろな知識が入ってきて、"江戸時代"を知り、"浮世絵"というものを知り、そこで初めて分かったんです。
「あのイラスト描いた写楽って人、江戸時代の人なの!!?」って。(笑)
ヘンな話、しばらく信じられなかった。あの絵を描いたのが"江戸時代"の人間で、遥かむかーーーーーーしに作られたのものだという事実が。
当時、母に言った覚えがあります。
「写楽って、江戸時代の浮世絵師なの?今の人じゃないの?あれ、筆で描いたの?」
母は、あきれ顔で、
「版画だけどね。・・・・意味わからない。浮世絵師に決まってるでしょ。なんだと思ってたの?」
と。(笑)

だから、写楽を題材にした映画や特集番組は、かなり意識的に見て来ています。
もちろん作品展などがあると観に行くし。画集も家にある。
でも、私自身が写楽研究家になろうとしたことは一度もないんですよね。
写楽の"社会的位置づけ"には、まったく興味がなくて。・・・・・
写楽が誰であるか、は、私には無意味で、私が興味があるのは、あの時代にあのセンスを持ってあの筆致を産み出した原動力そのもの。
写楽が絵で表現しようとした思いや感性そのもの、というか。・・・・・
美術史的な位置づけや、古美術的価値、他の作家と比べてどうか、とかいう芸術体系論的なものは正直どうでもよかった。
写楽が誰であるかミステリーよりも、あの時代にああいう絵を描いた心情や、そういう心情に至ったできごとや時間?が、想像つかないくらいユニークでおもしろいと思ってた。
篠田監督・真田広行さん主演の映画『写楽』も一度テレビで見たことがありますが・・・・。(あまり印象に残ってないんだよな・・・・)

この舞台『写楽考』は、そんな私が一番興味がある、写楽が絵に注いだものそのもの、という部分にスポットを当てていたので、逆にとても複雑な胸中にならざるを得なかったというか。

それが、原作の矢代さんの解釈なのか、それとも構成・演出の鈴木勝秀さんのものなのか、それとも、堤さん個人の人物解釈なのか、私は原作を読んでいないのでわかりません。
でも私には、あまり共感できる写楽考ではなかった、という感じかな。・・・・・
元々が謎の多い人物なので、どんな考察も解釈も、正解はないし間違いもないのですが。
だけど、写楽が絵に盛り込んだ思い、原動力となった感情に、共感はできなかった。
ユニークな一考察としてはおもしろかったけど。
どちらかといえば、長塚さんが演じた歌麿の人物解釈の方が腑に落ちたな、と。

しかし、歌麿はやはり、"江戸時代の浮世絵師"という枠をはみ出るような作品をものした人物ではないし、対して写楽は突出してユニークなだけに、とても難しい面があるのはわかります。
不世出の天才というかぶっとんだ鬼才というか。・・・・・
そういう人物を戯曲で描く時の方法論は、映画『アマデウス』があまりにも確立されたものを創り出してしまった感がありますが、たぶん堤さん自身が、その方法論は避けたいという思いもあったのではないかと・・・・。

特典のインタビューの堤さんが、驚くほどエキセントリックで鬼気迫るものがあったのが、なんだか一番、胸が詰まる思いがしました。
劇中よりも、写楽っぽかったというか・・・・。(苦笑)
(でも私の中の写楽像って、実はもっと陽性なんだよな・・・・・)

新しいものを産み出そうとするチャレンジや苦しみ、それこそが「写楽の心」なのかも知れないし、そういう意味では、特典映像のインタビューも含めた全体で、この舞台『写楽考』という作品は成立しているのかも知れないな、と思いました。

ウォッチャーズ・ハイ(追記)

2011-08-14 | ドラマ・映画・舞台の感想

『蜉蝣峠』終盤の殺陣シーンの、諸手で右下から左上にかち上げ斬り下ろすシーンがすごく好きなんだけど、難しくて描けず・・・・。
その後の、片手で刃を返して振り抜くシーンにしました。
殺陣シーンの堤さんの後姿はとてもせくしー。ダイナミックで華麗で。
前から見た時の露わな脚も素敵だけど・・・・後ろ姿の膂力のありそうな肩の動きも好き。



世間様はお盆休みだけど、帰る田舎がない東京もんはだらだらと日々を過ごしております。・・・・
おまけに、新しい姪っこちゃんがいつお出ましになるかわからない状況。(笑)
で、溜まってる録画を一気見などしてみる。

NHKのドキュメンタリー『ふたり』(宮崎駿・吾朗監督)
映画『クライマーズ・ハイ』(堤真一主演)
ドラマ『クライマーズ・ハイ前後篇』(佐藤浩市主演)

と、立て続けに見て、父と子の関係について考え込む。・・・・・

ウチの兄貴も娘が生まれて来たら、息子ちゃんとはどういう関係になっていくんだか。(笑)
そういえば、「ボクらの時代」で堤さんがお父様のことを語っていたのは、「孤高のメス」の時ではなく「クライマーズ・ハイ」の時だったかも。

宮崎親子の関係も、おもしろいっちゃー失礼になるのかも知れないけど、もうほんと面白くて面白くて。
私は、駿さんの心情の方が共感できるし、彼の言ってることが真実だと思うけど。
彼も人の子なんですよねー・・・・・。
その逡巡や矛盾や愛情や、そして一方にある、冷静な知性や豊富な経験、客観性や目利きの鋭さ、センス・・・・。
「やれることとやりたいことは違う」
適切に要所要所で手を差し伸べ、血のにじむような努力をさせれば、それはどうにかなるものなのか。
奥さまが言ったという「才能を問われる厳しい世界」。
努力や克己、向上心を奨励することと、才能やセンスというものの存在を否定することは、イコールじゃないし。
それに、才能やセンスがあっても、それをブラシアップすることを怠ってダメになる人だって山ほどいる。
努力にも才能が必要なのかなー・・・・・と。
ストイシズムと向上心はイコールだったりするし。
もうしわけないけど、現時点では、吾朗さんよりも駿さんの葛藤の方が大きくて、それは実はとてもゆゆしきことで、それが"才能"の有無にも繋がっているんじゃないかと。・・・・

あ、そうだ。肝心なことを。
震災の時の心情とかスタンスとかも、私は駿監督とほとんど同じで・・・・。
彼が激昂した理由も、「だからこそ、生産点を止めてはならない!」という言葉も、すごく共感できる。
この点は、吾朗さんも駿さんに同意見のようだったのはとても意外でした。
受け継いでるものも、やはりあるんだろうな、と。
(・・・・もしかすると別の観点からの共感だったのかも知れないけど。・・・・)

そして、堤さんがクラハイをやったこともプリトヨをやったことも、やはり必然でもあったんだろうな、と。・・・・



で、『蜉蝣峠』を見ると、どうしても見たくなる黒澤明監督の『用心棒』そして『椿三十郎』。
天晴は、仲代さんが演じた卯之助のポジションに一番近い感じかな、と。鉄砲はさるきじが使ってるけど。(笑)
三十郎の役目は、闇太郎と天晴で分け合ってる感じがする。
しかし三船さんや仲代さんに比べると、堤さんですらも優男だよなー・・・・と。
『椿三十郎』の加山雄三さんあたりからが、草食男子のハシリなのかも。(笑)
劇中で「三十郎。・・・・もっとももうすぐ四十郎だが。」というセリフがあるけど、三船さんは実際この時、40前後だったのかな・・・・?
渋っ!!
そしてぎらぎらしてる。いい意味で。

39

2011-07-30 | ドラマ・映画・舞台の感想
映画『刑法第三十九条』DVDを見ました。

森田芳光監督の作品は、『家族ゲーム』『それから』『間宮兄弟』の3本をこれまでに見たことがあります。
特に狙って観に行くというほど好きな監督ではありません。
映像表現も作品全体としても、別に特に好みということもなく、出演している俳優さん目当てで見たものが多いかな・・・・?
だからかも知れないけど、近年は特に、多作の"職業監督の典型"というイメージが結構強いかも知れない。

映像の特長や美意識、という点では、一番『家族ゲーム』が印象に残ってるかな・・・・。
この『刑法第三十九条』は、その演出にとても近い印象がありました。
でも、『家族ゲーム』ではその斬新さやおもしろさが妙味になった尖鋭的なセンスだと思ったけれど、この『刑法~』ではそれが品が無く少し悪どく感じてしまった。
古い、というか。・・・・(まあ、1999年の作品ですけど)
この手の題材にああいう演出って、なんだか下衆っぽいというか・・・・その辺りが、森田監督のイメージを"職業監督"にしているのかも、とも。・・・・

特典として付いていた監督自身のコメンタリー(?)で、ご本人もその辺に言及してましたけども。・・・・・
敢えてやった演出だと強調されていましたが、せっかく芸達者な俳優さんを揃えているのに、私には、杉浦さんも江守さんも樹木さん一徳さんも「この方たち、こんなに演技が下手だっけ・・・・・」と思えてしまいました。
鈴木京香さんの"地味でトラウマ抱えた心理学者"というキャラクター造形も、とても類型的わざとらしいと感じてしまったし。・・・・
監督ご本人は、「パターン化された演技を排除した結果、よりリアルになった」というようなことを仰っていましたけど、逆だったよな、と。
それに、そういう演出は、この作品において必要だったのかなー・・・・・と。
いろいろな要素をごちゃまぜに盛り込み過ぎてて、端々Too Muchで、ノイズが増えて焦点がブレてしまったような気がする。
それに、題材が題材なだけに、敢えてセンセーショナリズムは抑えてほしいんですよね。
これは、私個人の好みですが。
この手の題材に、センセーショナリズムを持ちこむ監督が、基本的に嫌いなんで。・・・・

しかし脚本は、とてもよくできていたと思います。
よく練られていて、重層的で、どんでん返しもある。
問題提起型の作品は嫌いではないので、森田監督が映画化したいと切望した気持ちはとてもよくわかるような気がします。
演出のせいで、俳優さん達の演技には中盤までうんざりさせられましたが、脚本がしっかりしていたおかげで、ラスト近くではそれら不快感が一気に解消されました。
とても巧妙な構成だと思います。
監督ご本人は「そのための演出だった」と主張されるかも知れませんが・・・・・私は本のおかげだと感じました。(別にサングラスのシーンとか、必要性感じなかったし…苦笑)

監督もおっしゃってましたが、堤真一さんの役はとても難しいものだった思います。
匙加減を間違うと、すべてが崩壊しかねないぐらいの。
この作品の堤さんは、青年どころか少年っぽさまで感じてしまうぐらい若く初々しい面も見せますが、相変わらずそのバランス感覚は絶妙ですね。
少年のような儚さ、脆さ、透明感、潔癖な狂気、青年の精悍さ、情愛、野生動物のような躍動感、老成した達観・・・・あらゆる要素がぎりぎりの均衡を保つ配分で存在してる。

ラスト、京香さん演じるカフカに向けた視線は忘れられません。

もう一歩、彼の深層心理に踏み込んでほしい面もありましたが・・・・・。
だけどそれをやると、それこそ作品の焦点がブレてしまうかも知れませんね。

アテルイ

2011-07-23 | ドラマ・映画・舞台の感想
舞台『アテルイ』をDVDで鑑賞。

ふー・・・・・・む・・・・・むむむ

この脚本の中島かずきさんって方が、私にはちょっと合わないのかも知れないなー・・・・・と。
『吉原御免状』でも感じたある種の鬱陶しさが、この『アテルイ』は原作無しの中島さんオリジナルなだけに、より一層赤裸々に感じてしまったというか。・・・・・
そうすると『野獣郎見参』にもそれは通底するんだろうなと思うと、野獣郎を観るモチベーションもものすごく下がってきてしまう。・・・・

それに、全体としてアングラ臭というか、小劇団系サブカル臭がとても強くて、少しびっくりもしてしまった。『吉原~』よりも前の作品だから当然なのかしら。
私が苦手でずーー・・・・と避けて来たものが、まさしくそこに存在していたという。(苦笑)
染五郎さんが主役だし、堤さんも出てるし、と思って期待してたんだけど、やっぱ小劇団は小劇団なのかなー・・・・・と。
ストーリーはもののけ姫と千と千尋を足して2で割ったみたいだし、スターウォーズ・ファントムメナスのエッセンス加えてみました、みたいな造形だし。・・・・

映画『蝉しぐれ』の時も思ったけど、染五郎さんはどうも殺陣があんまし・・・・・・・かも(苦笑)。
アテルイがダブルブレイドの武器を使うシーンは、衣装も含めてダース・モールのダブルエンディット・ライトセーバーにそっくりだけど、レイ・パークの技には遠く及ばない。及ばな過ぎ。(というか、レイ・パークはプロのスタントマンだからしょうがない面もあるのかもしれないけど。けど。)
殺陣とかのアクション・シーンで、歌舞伎の見栄のようなフリが出てしまうのは、私にはプラスには感じられなかったし。
戟(鑓?)使いは上手だなー・・・・と思ったけど。
でも、総体的に、口跡も演技ももう一つのような気が。・・・・

堤さんの見た目の造形は、クワイ=ガン・ジンみたい。(苦笑)
そもそもSWのジェダイが、日本の武士を元にして造られたものだから、似通ってくるのは当然なんだけど、でもちょっと・・・・・どうなのかなーー・・・・・と。
堤さんは、殺陣シーンでは染五郎さんに合わせちゃってるのか、『吉原~』や『蜉蝣峠』ほどのキレやスケールはまだないみたいな気がする。
でも、若々しい青さ勢いは感じさせて、それはそれで魅力的だったけど。
坂上田村麻呂、何歳の設定なのか知らないけど、すごく屈託なくて青年って感じ。(笑)
実際、堤さん35歳前後ぐらいの頃でまだ若いからのかな・・・・。たしかGLよりも前のはず。
舞台上にたった一人、というシーンがあるけど、まったくスペースのがら空き感を意識させない存在感や惹きは、さすがにすごいと思った。
それに、何度同じ演目をやっても、セリフ回しや演技が決して荒まない人なんだろうなー・・・・と。
玉三郎さんとの対談の時にも仰ってたけど、そのシーンの場所に本当にいるつもりで、目に見え耳で聞こえ、肌で感じたものを、そのまま声に出しているから、常にフレッシュであり真実でもあり、だから言葉じりや言い回しに慣れや惰性が滲まないんだろうなー・・・・と。
自分が見ている情景・風景と同じものを観客に見せ感じさせる能力。
でも舞台俳優独特の芝居がかった大仰さやくどさは、この頃から一切ないんだよな、と。・・・・

吉原御免状

2011-07-09 | ドラマ・映画・舞台の感想
舞台『吉原御免状』をDVDで鑑賞。

うー・・・・・ん。
蜉蝣峠と比べると、なんか新派・新劇っぽいと思ってしまった。・・・・

メイクとか衣装とか、演技とか・・・・・ところどころイマイチ洗練されてない感じがしてしまって、それが私に言わせると、いわゆる"新劇"っぽいなって。・・・・・
堤さんにあんなにメイクしなくていいのに。素っぽい方が綺麗じゃん。
ズラの髪型のデザインも好きじゃない。
衣装も悪くはないけど、もう一声、て感じ。

なんでも演出家のいのうえひでのりさんの打ちだした、時代劇新機軸第一弾だったそうだから、やっぱ実験的な部分や若干の迷いが残ってしまっていたのかな?
歌舞伎→新劇→いのうえ歌舞伎(PUNK?笑)
だからその道筋通りに、丁度過渡期な感じがしてしまって、まだ蜉蝣峠ほどの突き抜け感がないというか。

脚本はオリジナルではなく、隆慶一郎さんの時代小説『吉原御免状』。
中島かずきさんが脚色。
このストーリー自体も、端々、なんか少々鼻に付く部分があって。・・・・(苦笑)
私は歌舞伎と落語の廓噺が大好きなので、吉原を舞台にすることや、花魁や遊女のお色気シーンがあることに関してはまったく問題ではないし(羅生門河岸とかけこーろとか見れたのもおもしろかったし・笑)、黒澤時代劇が大好きなんでちゃんばらも大好物。
でも、なーー・・・・・んか。
なーーーんか、ところどころ不愉快なものを感じてしまう。・・・・・
剣豪シリーズといえば私にとっての頂点は藤沢周平なのですが、ああいう湿った色気の中にある一種の清涼感のようなものが、この作品には感じない。
なんだろう。
特にクグツ絡みのシーンに盛り込まれてる思想が鬱陶しいのかな。・・・・
言いたいことはわかるけど、そういうエッセンスをこの手のエンターテイメントで大声で喧伝するセンスが厭なのかも。
リアリティとフィクションの配合具合が、もう一つというか。・・・・


とまあ、エラそうに聞いた風なことを書いていますが(苦笑)
全体としては大いに愉しめました。(笑)

堤さんには、新しい作品を見るたびに、いつも驚かされる。
「えっ!?こんなにできるの?!」とか「こんな顔もするんだーーー」とか。
それに、古田新太さん。
あんなに器用で機敏な俳優さんだとはまったく知りませんでした。(笑)
二人の立ち回りシーンは、最大の見どころですね。
蜉蝣峠の時も凄いと思ったけど、アレだけのたまたまなのではなく、いつも凄いんですね、古田さんって。(笑)
映像作品や素の風体を見ると想像もつかなかったんですけど、あの人、舞台上では紛うことなき二の線です。(笑)
間合いの取り方と詰め方が抜群にうまいし。
しかしあれだけの殺陣を、板の上で生の一発勝負で美しく演じきるのは、マジですごい。
完全にプロダンサーかアスリートの域。(笑)
長くて複雑な難しい振りを全部完璧に覚えて、きっちり演じないと、危険も大きいし周りにも迷惑かかるし・・・・。
それを華麗にこなして息一つ乱さない二人は超絶カッコいいです。

それから、ストレートプレイをこれまであまり観て来なかった人間の素朴な感想として・・・・・。
あんなマジちゅーをするとは思ってもいませんでした。(笑)
や、どうせ遠目だし舞台だしっていうんで、「やってる態」なんだと決めつけていたんですけど。今の今まで。
だけどむしろ、映像作品よりいっちゃってません?(笑)役者さん。
映像作品の場合は、ライティングやら構図やらで、きっちり角度やら時間やらが決められてて細切れだから、逆に遊びがないのかも・・・・。
わたくし、『恋のチカラ』も『やまとなでしこ』も見ていないので、堤さんのちうシーンって実は初めて見たんですけど、もうびっくりしちゃって動悸息切れめまいが・・・・。(笑)
それに、堤さん朴念仁役(笑)だから、だいたい女性からだし、しかも相手は花魁。
松雪さん、すごしゅぎましゅ・・・・・。糸引いてるし。
ちょっと最初から刺激強すぎって感じ。////

でも一番きゅんとしたのは、助けに来た誠一郎(堤さん)の胸にすり寄る瀕死の勝山(松雪さん)のシーンかな。・・・・・
『幻に心もそぞろ~』の桔梗(木村佳乃さん)やふゆ女(中島朋子さん)の時にも思ったけど、ああいうシーンで女優さんがああいう演技をする(させる?)ことができる俳優さんってほんとにすごいと思う。・・・・・
「この腕の中に居られさえすればいい…!この胸の中にいられれば、他はなにもいらない」
と、女性に思わせる、というか。・・・・・
彼の腕の中に居られれば、それだけで幸せって感じで、一心にきゅーと身を寄せる感じが、なんともいえずリアルで切ない。

堤さん、わかってんのかしら?(笑)今時、そんな男性なかなかいないよー。


あ、そうだ。
特典映像の稽古場面で、女優さんたちが染五郎さんに所作と謡いを教わってるシーンがすごくおもしろかった。
最後に大向うさんみたいに「音羽屋!」って声出してたの堤さんじゃないかな。(染五郎さんは高麗屋だけど)

あ、それから。水野役の梶原善さん好き!
水野はありがちなキャラクターでおいしい役どころだと思うけど、でもぴったり。うまい。

幻に 心もそぞろ 狂おしの

2011-06-21 | ドラマ・映画・舞台の感想
昨夜、届いてた蜷川演出の舞台『幻に心もそぞろ狂おしのわれら将門』DVDを見ました。

最初は特典映像のインタビューと稽古風景だけを見るつもりでしたが、途中で寝るつもりで本編をベッドサイドのノートパソコンでかけておいたら、見事にどんハマりのガン見。(苦笑)
胸のざわつきはおさまらないわ、泪で目の縁はただれるわ、3時間しか寝れないわで・・・・会社では猛烈な頭痛に襲われる始末。(苦笑)
しかし悔いなし。(笑)

やー・・・・・常々蜷川さんの美意識には共感を覚えることも多かったんですが、ツボの押さえっぷり半ぱない。あのキャスティングはあこぎと言えるレベルかも。(笑)
ストーリーとしては、黒澤監督の影武者、乱(これは確かリア王がベースかな?)、シェイクスピアのマクベス、オセロ、ハムレット・・・・これら全部を混ぜたおいしいとこどりみたいな感じだったけど・・・・。
蜷川さんは全共闘とか学生運動とかに思い入れがあって、衣装や演出にそれを匂わす部分もかなりあったと思いますが、正直、私世代にはまったくその辺りの要素はピンときません。
でもむしろ、描かれている心情や空気感自体は、学生運動に限らず、上で挙げたシェイクスピアの物語にも通じるような、人間の普遍的な部分を表現していたと思うので、学生運動要素が共感できなくても全体としてたいへん愉しめました。

以前、たしかクドカンさん作品でだっけ・・・・?
堤さんが「(クドカンさんが)自分に割り振ってくれる役はいつも本当に酷い。人みたいな男の役ばかり。一体自分にどういうイメージを持っているのか不安です。」みたいなことをインタビューで仰ってるのを見たことがあります。
クドカンさんは、「いや、本当にカッコいい人だからお願いできるんですよ。カッコ良ければ良いほど、カッコ悪い役をやっていただけるんです。」みたいなことを答えていたような。(笑)
弥次さん喜多さんの長瀬さんとかもその手だそうで。(笑)
でもこれって、真実だよな・・・・と。
野卑で下劣で粗雑に見えるような役を、本当にそうとしか見えない人が演じても不快なだけだもの。別におもしろくもないし。
どんだけ汚くしてもおバカでも、どこかにはっとさせられる品が垣間見れるから、とても惹かれてしまうものがあるというか。・・・・

堤さんは卑と貴を同時に混在させることができるんだろうなー・・・・・、と。
造作、表情、肉体、佇まい、声、すべてにおいて。
だから周囲の人間が、期待と羨望と、絶望と蔑みの狭間を行ったり来たりさせられるような役を、演じることができるんじゃないかと。

たぶん蜷川さんが意図的に仕組んだことだと思いますが、最初から既に狂った状態の将門として堤さんは登場します。
出番もそれほど多くなく、むしろ桔梗役の木村佳乃さんと三郎役の段田安則さんの方が出ずっぱり。
だから桔梗や三郎の方が感情移入はしやすいんだけど、でもその二人がそこまで拘り捕らわれている「正気の将門」という男は一体どういう男であったのか、知りたくて知りたくて仕方なくなる。
でも、目の前の将門は奇矯な振舞いしかしないし、カリスマの欠片もない。
黙って落ち着いてれば男前なのはわかるのに、ちっともじっとしてないし。(笑)
だから「観たい!知りたい!カッコ良かった頃の将門が!!」と、フラストレーションが頂点に達した時に、待ってました、とばかりに来るわけですよ。その時が。(笑)
だけどそれって、堤さんにかかるプレッシャーはものすごいですよね。
これまでのすべてを、さんざん引っ張り焦らしたものを、挙句の果てで納得させるだけの「正気の将門」を魅せなければならない。

私は一種のカタルシスも感じてしまいました。
桔梗やふゆ女の狂おしいほどの将門への愛も、三郎の呪縛も、すべてこのためだったのか・・・・・と。
にしても、ほんと酷い男です。将門。女を地獄のような想いにのたうちまわらせて・・・・・。でも、しょうがないんです。魅力的だから。
堤さん自身がああいうタイプなんじゃないかとちょっと思っちゃいましたけど。・・・・(苦笑)

でもひとつだけ注文をつけさせていただきたい。
冒頭は、正気の将門で始めてもよかったんじゃないかなー・・・・て。
そうすると、中盤の狂気の将門やそれに対する周囲の人間の思いも一層切なくなるし、で、またクライマックスでがつんと魅せてくれれば・・・・・。
ま、単に、正気の将門をもっと堪能させてほしかったって、だけかも知れません。(笑)