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Takの秘密の木

誰にもいえない気持ちは、誰もしらない秘密の木の洞に、こっそり語って蓋をするんだって。@2046

Space Brothers

2012-05-13 | ドラマ・映画・舞台の感想
映画『宇宙兄弟』を観て来ました。
ネタばれ避けたいので、がっつりした感想は上映が終わる頃に書きたいと思います。…

堤さんがどこかで仰ってたように、「若い人がきらきらしてる映画。そして、最近の若い俳優さんは演技がうまい!」と思いました。(笑)
小栗さんはもちろん、岡田(将)さんも、普段のあのふにゃっとした感じからは想像できないぐらい、しっかりとした男っぽい弟を演じてました。
結構、泣けました。
それもヘンなところでなぜか涙が出て涙が出てしょうがなかった。
兄弟愛もいいんですけど、ロケットの打ち上げシーンと月から見た地球のシーンで涙がどんどん出てきてしまって。・・・・
監督の狙いがそこであったのなら、すごくうまく表現できていたのではないかと思います。
グリーンカードというシステムもおもしろいですね。
あれは本質的には何を意図したものなんだろう・・・・とちょっと気になりましたけど。
パニックにならない?動揺を見せない?それとも命令には絶対服従?・・・・どういう資質が宇宙空間には必要なんでしょうね。ちょっと興味深かったです。

堤さん演じる星加さんは、にこにこした無邪気なおいちゃんでした。
もしかしたら、堤さんの素にかなり近い役柄だったかも。
登場シーンの後姿ですぐにわかりました。あの歩き方で。(笑)
宇宙の話の時に、管制室のおっさん連中がほっこりするシーンがほっこりしました。

ま、そんな感じです。
観客は若いカップルが多かったです。


さて、テレビの地上波では『プリンセストヨトミ』の初放送がありましたが。・・・・
ついで感想を見ると、賛否両論ですね。
「まったく理解できない・・・・」と「感動した。泣けた。」では、両極端と言っていいでしょうね。
たぶん、「父と息子の関係」という部分が分かるか分からないかがポイントなんだと思います。・・・・・
そこが理解できないと、松平が翻意した(大阪国を認めた)理由がわからないし共感もできないし、もちろん感動なんかしないでしょう。まさしく、ぽかー・・・・・んでしょうね。
私は娘なので、本当に理解しているかどうかといえば疑問ですが、「父と息子という関係性には何か独特のものがあるなー・・・・」と常々思うことはあります。
血の繋がりを女性のようには実感できない男性にとって、継承することや受け継ぐことの意味、何を持ってそれを感じるかって、とても重要に思えることもあるんでしょうし。・・・・・
しかしこうやって見ると、容疑者Xを除いて、堤さんの出演作品って賛否両論のことが多いような。(苦笑)
それでも、堤さん御自身に関しては、かなり萌え転がった女子たちが多く見受けられたような気もしますが・・・・・。そうなんですよ・・・・・・めっちゃくちゃかっこいいんですよ、この方。(笑)

本編前には、オンエアを告知する最新の堤さんがちらりと映りましたが、相変わらず若々しくていらっしゃる。
すこーーしふっくらされたかな?
舞台『シダの群れ』もだいぶ賛否両論とお見受けいたしておりますが。・・・・・やっぱりカッコいいことには間違いはないようですね。
私はどんな感慨を抱くことができるのかなー・・・・・・・。
楽しみです。

ロミオ&ジュリエット

2012-05-05 | ドラマ・映画・舞台の感想
『ロミオ&ジュリエット』を観て来ました。

演出:ジョナサン・マンビィ
美術・衣装:マイク・ブリットン
台本:青木豪
出演:佐藤健(ロミオ)、石原さとみ(ジュリエット)、橋本さとし(ロレンス神父)、キムラ緑子(乳母)、長谷川初範(キャピュレット)、賀来賢人(ティボルト)、菅田将暉(マキューシオ) 等
上演:赤坂ACTシアター


これまでいろいろな人が演じるいろいろな形態の「ロミオとジュリエット」を見て来ましたが、年々思うのは、これは本当によくできた戯曲だなー・・・・・・ということです。

若手俳優の登竜門的作品というか、もしくは通過儀礼的というか・・・・マイル・ストーンとして、これほど適した作品はないと思う。
佐藤健さんが初舞台作品としてこれを選んだのは、とても賢明であり当然でもあると言えるのではないでしょうか。

主役であるロミオとジュリエットって、若手にしかできない役柄だと思うんですよ。
少なくとも20代前半までの俳優にしかできない。
この二人の悲恋のリアリティって、やっぱ恋に恋しての初めての生身の恋の熱情というか、若いゆえの勢いとか、若いゆえの潔癖さとか狂気とか、むちゃくちゃに突っ走ってしまえることの説得力って、10代だからこそだと思う。
いい歳した人が、たとえどんなに上手く演じたとしても、「いい歳してなにやってんだか・・・・ロミオとジュリエットは若手にやらせてやれよ。」と、どうしても思っちゃうし。(苦笑)
恋愛沙汰で死ぬだの生きるだので盲目的になれるのは、若いからこそリアルで、だからこそ憐れなんですよね。
そして、昔ジュリエットを演じた人が、その後、乳母役を演じる、というようなことはよくあることだと思う。
ベテランはベテランで、神父や乳母役でその力を思う存分に発揮できるというか。・・・・
劇中でこの二人が若い二人の理解者であるように、舞台上でも若い俳優をサポートする重要かつ面白くてやりがいのある役回りを演じることができる。

そしてまた、ロミオの友人たちもそれぞれ個性が際立ってておもしろく、いい見せ場が各々ちゃんと用意されていて、本当によくできてるんですよね。
私はなぜか昔から、マキューシオという人物造詣がすごく気になる対象でして。
それこそ、小田島雄志さんのシェイクスピア全集を初めて読んだ時からの。
いわゆる"機関銃トーク"系キャラクターの大元になった人だと思う。(笑)
ロミオの悪友で、動きはいつも軽快、気の効いた毒舌をまくしたて、でも憎めない人。基本、闊達で愉快な人のような感じがあるのに最後の最期で、「両家とも滅びるがいい!」と、まるで呪いの言葉のようなものを吐いて絶命するのが幼心にショックだった。
だからどんな作品で誰が演じようが、マキューシオの言動にはどうしても注目してしまう。
どういう風に演じられるのか、とても興味を掻き立てられるキャラクターです。
今回はというと・・・・・私的にはちょっと・・・・・・・ごめんなさい。(苦笑)
ファンの方がいたら申し訳ない。初めて拝見するお名前の俳優さんですけど、私は彼が一番うまくない、と思ってしまいました。
かなり重要な役柄なのに、周りの足を引っ張っていたかも。・・・・
マキューシオの死に様があるからこそ、ロミオの逆上があるんですよね。
ロミオがティボルトに復讐をする理由を、マキューシオが体現しなくちゃ流れが成立しない。
それに、死者が出たことでこの両家の争いがどれだけ深刻化しているのか、一気に表沙汰にされて思い知らされる感もある。
ロミオとジュリエットの秘めたかわいい恋愛が、途端にシビアで抜き差しならないものになる。
まさに急転直下。
だからマキューシオの最期の呪詛の言葉は、震撼とさせる響きがあってこそだと思うんです。

今回のマキューシオさんは、舞台経験の少ない俳優さんなのかなー・・・・と。
セリフ回しに余裕がなくて、役柄や演技を掘り下げるまでには至っていない感じがしました。
まあ、まだまだ先は長いと思うので、どんどん成長していったらいいんじゃないかなー・・・・・と思います。

ベテランさんたちはさすがの安定感でした。
長谷川さんやっぱすてき・・・・!と思ってしまう私は筋金入りのおっさん好き。(苦笑)
初代野獣郎こと橋本さん、お馴染みの緑子さんは、観ていて安心感があるし、やっぱ空間を創り上げるのがうまいのかなー・・・・と。
なんだろう・・・・・一瞬にしてそのシーン全体にリアリティを醸しだす何かがある感じがしますね。
スケール感?が適切というか。
石原さんも、その場の空気をさっとまとめる支配力をすでに身につけてる感じがしました。

さて、たけるんは・・・・・。
やっぱ、まだまだ舞台向き演技は訓練中、という印象でした。
アップで細かな表情をもっと観たかったと何度か思ってしまった・・・・。映像向きの演技かな、と。・・・・
全体的にもう少しボリューム、スケール感を上げる必要があるのかも。
立ち姿に手持無沙汰感が滲み出ちゃう感じがちょっとしちゃうんですよね。・・・・いかにも指定された立ち位置に立ってます、視線の方向はこの位置と決められています、というのがほんのり見えちゃうというか・・・・まだ身体に固さがあるのかも。
でも声はいいですね、彼は。
堤さんやRDJrとかにも思うけど、高いとも低いとも言えない声なんですよね・・・・場合によって両方出る。たぶん倍音が多いタイプなんだと思うんです。
それでいてちょっと特徴もある。聞き分け易い声です。イケメン声だし。(笑)
セリフ回しもとても自然で素人っぽい恥じらいとかは一切感じさせないし、もっと経験を積めばどんどん上手になりそうとは思いました。
でも難しいですよね。・・・・・・映像と舞台と、演技のボリュームを調節できる日本人俳優さんってめったにいない気がするので。・・・・・大抵、どっちかに偏り気味というか。・・・・・
私は映画ファンなので、映像で舞台っぽい演技を観せられると、途端に作品からリアリティが消し去られた気がしてうんざりさせられる時があります。
映画は映像として、徹底的なリアリズムで画面の隅々まですべてが実物として造りこまれていることが多いので、その上で舞台のボリュームの演技を重ねられると、周囲のすべてが途端に嘘くさくなって鼻白むというか。・・・・・
でも逆に、舞台の場合は、セットや衣装も「ある態」で簡略化されているものや抽象的なものの場合も多いから、役者の演技でリアリティを加味する面が多いような気がするんです。
演技のボリュームを上げることで、その場全体のリアリティを成立させるというか。・・・・・
堤さんが映像と舞台の両方で高い評価を得られるのは、このボリュームの塩梅が絶妙だからなんじゃないかなー・・・・と。
ラッセル・クロウが以前、「時代劇の場合は、舞台的演技が要求される」というようなことを言っていたんですが、堤さんはその辺の配分も絶妙だな、と。
たとえば侍の口調や所作、SP革命篇での演説シーンなんかでは、舞台的な演技をした方が映えるし、逆にリアルになると思うし。
しかし・・・・・たけるんに舞台演技にもっと染まって欲しいかと言うと、私としては、あんまり染まって欲しくはない、かも。・・・・(笑)
演技に関しては、目つき目の色、視線の動きや口元の動き、微妙な佇まいや表情の変化から読み取る感情や、声の調子や口調のわずかな違いとかが私はとても気になる方なので、舞台スケールの演技だとおおざっぱもしくは大仰に感じて、違和感を覚えてしまうことも多いので・・・・。
先日、映像で見た『寿歌』しかり、あのラストの堤さんの表情を見るのと見ないのとでは、作品全体の印象も違って来てしまうし。
堤さんは舞台のスケールで演技しながらも、映像で間近に寄られてつぶさに撮られても遜色ないリアルな表現をすることができるからすごいんだろうなー・・・・と。
タモリさんがミュージカルをあまり好かない気持ちもよくわかるんですよね。・・・・徹底的なリアリストなんだと思う。

ま、そうは言っても私はタモさんほどはミュージカルは嫌いではないです。
ミュージカル映画で好きな作品もあるし。
それに舞台独特の簡略化や抽象化、インスタレーションのような舞台美術や装置・衣装は、「体感させるファンタジー」の手法としては映画より優れていると思うし。一種のテーマパーク効果?
今回のこの舞台も、ユニークな美術や衣装で、すごく興味深かったです。
基本、ディカプリオが出演した映画『ロミオ+ジュリエット』のフォロワーという感は否めませんが、メインにしてる要素が「イギリス人から見た和風」なので、日本人から見るととても独特の世界観に。(笑)
一応、現代翻案なんですよね。ティボルトたちは革のブルゾンにパンツでナイフ戦だったりしますし、いわゆるギャング風で。
オヤジたちは、イタリアンテーラードのマフィア風。ヴェローナの大公は警視総監のような制服姿。
ロミオはカジュアルで明るい色目のスーツ(というかジャケットとパンツ)。
ジュリエットは、ロミオとの出会いのシーンでは翼を付けていたりするので、ほんと『ロミオ+ジュリエット』っぽいんですが、モチーフはウェストコーストではなく和風、なんですよ。
たとえばモンタギューとキャピュレットが対峙するシーンの背景画は、グラフィティ風に描かれた巨大な竜虎図だったりします。
キャピュレット家のパーティーに潜入するロミオ達は仮面がわりに般若の面をかぶってたり。
ジュリエットのドレスは着物の白無垢生地の鶴文様のような織柄が入ってたり。キャピュレット夫人のドレスは袷があって完全にキモノ風。
それで、セリフは小田島さんの訳に近い、古典的で詩的な原典型。しかし、揶揄や野次のシーンや繋ぎのセリフは現代語になっていたりします。
白い服を着た女性が一人(すべてを見守る精霊?)、常に舞台上に居て、彼女が要所要所でBGMを唄うんですが、これはすべて英語歌詞。ソウルフルな歌声でものすごく上手いんですが、たぶん日本人の方だと思うんですけど・・・・・。
これらすべてひっくるめてほんと独特のカオス感としかいいようがない。(笑)
観劇経験が少ない私には適切な表現が難しいのですが、オフ・ブロードウェイぽい前衛さというか。・・・・・

満員の客席でしたが9割は若い女子という観客なので、歌の英語歌詞は日本語に訳した方がよかったんじゃないかなー・・・・と思いました。
で、現代とはかけ離れたいかにもシェイクスピアっぽい詩的なセリフが延々と続き、突然、今っぽい下ネタ(たぶん英語ではギャングなスラングなんだろうなと)が挟まってきたり。
しかも演出家さんはイギリス人だからか、ちゅーシーンはばんばん入ってきます。
たけるんと石原さんは合計15回ぐらい、かなり熱烈なちゅーをば繰り広げてました。(笑)
おかげで客席の女子たちは翻弄されまくり、というか、どういうスタンスを取っていいのか戸惑っている方々が多かったような印象でした。
たけるんの耽美的なセリフに浸ろうとすると、ギャングなお仲間が出てきてテレビの学園ドラマっぽい雰囲気になり、なのに日本人ではありえないぐらいの濃厚なちゅーの応酬で衣装は奇妙なジャポニズム。
しかも日本ではあまり馴染みのない神父の存在がかなりキーポイントですからね。・・・・・

いやはや。なんかいろんな意味ですごくおもしろかったです。観客の女子たちの反応も含めて。
「やばーーーーーい!やばいよね?!だってたけるってなんかリアルなんだもん。・・・・・この後、ベッドシーンとかもあるらしいよ。」とか「ちゅっちゅちゅっちゅしてるって聞いてたけどさ・・・・・」とか。(笑)
「石原さとみめっちゃかわいくない?」とか「ティボルトかっこいい!」とか。
あ、そうそう。
たけるんは、すっごく華奢で顔もほっそーーーいけど、脱ぐと意外と筋肉付いてました。
典型的細まっちょ。

答え合わせ

2012-04-30 | ドラマ・映画・舞台の感想
特典映像を見るのが好きです。

第一に、好奇心があることが詳しく解説されていることが多いから。
次に、自分が作品から感じ取ったことが正しかったか間違っていたのか、答え合わせをすることができるから。
この二つは大抵重なりあっていることが多いですが。

例えば、『グラディエーター』でローマ軍が火矢を放つシーンや、陣幕の造りがとてもおもしろいと感じた場合。
それがどこまで史実に基づいたリアルなものなのか、それとも美的センスからのファンタジーなのか、誰の発想なのか、とかが気になります。
豊富な特典映像が付いている作品だと、こういう疑問の答えはきちんと収録されているんですよね。製作ドキュメンタリーやコメンタリーの中に。
『グラディエーター』の場合は、火矢の点火の仕方に関するローマ時代の文献や資料はなかったけど、「必要は発明の母」的発想で撮影スタッフがいろいろやり方を考えて、それを時代考証の専門家に見て貰い、状況から判断してかなり理にかなってリアルだというお墨付きを得て、撮影したものだったりします。
陣幕については、私は「黒澤明の作品でよくみる感じの画だな。洋の東西を問わず、こういうものはあったんだな。」と思ったんですが、丁度そのシーンで、リドリー・スコット監督が「ここは黒澤映画的で・・・・」というコメントを言っていたりします。
そういうのを見聞きすると、「あ、私が引っかかったことや、感じたことは(ある意味)正しかったんだな。」と思います。

興味が満たされるという側面も大事なのですが、私には「答え合わせ」という部分が結構重要です。
自分が受け取ったこと、感じたこと、洞察したこと、類推推測したことがどこまで"正しい"のか、裏付けを取ることができるというか。・・・・・
仕事柄、そういう洞察力やシミュレーション能力を生業にしているところもあるので、正しかったか否かの考察は、割と必要でもあります。

役者さんの演技や作家・記者の文章に関しても同じで、その人が言わんとしていることを私はどこまで精確に受け取れているのか、心中・真意・文意・行間を汲みとることができているのかとても気になります。
だから、映画にしても舞台にしても、最初からは人の評論は聞かないし、解説も読みません。
まずはサラの状態で、自分で観て感じて自分の感慨を固めてから、その後、人のものも見る。
そして、特典映像やインタビューを見て、ちゃんと受け取れていたのかどうかを確かめる、という流れになるといいますか。・・・・

先日、WOWOWで放送した『寿歌』には出演者のインタビューが付いていて、何か所か自分の理解の正誤を確かめることができました。
なにしろ難解といわれる作品なので、私が受け取り損ねたものがどんなものなのか気になっていて・・・・。
結果、ラスト近くのシーンだけ周囲の風景が良く見えた気がしたのも、「生きなきゃしょうがない」という思いが聞こえた気がしたのも、堤さんがそう表現したからだというのがわかりました。
要するに、堤さんが舞台で表現したかったもの、堤さんが何を言わんとしていたのかを、私はある程度はちゃんと受け取れていたみたいです。
便宜上、"正誤"という言葉を使いますが、かなり正しく理解できていたみたいなのがとても嬉しい。(というか、自分の感性が鈍っていないことにひとまず安心するんですよね)
そして、堤さんのそういう解釈に、共感できるのが嬉しい。
こういう「答え合わせ」の正解率は、堤さんに限らずかなり高い方だと思います。

しかしこの"正しい"という言葉って、かなりの曲者だと思うんですよね・・・・。
特に、映画や舞台などの作品の場合は、いろいろな正解が存在してしまうので。
もちろん、共演者それぞれに"正しい"解釈はあるだろうし、演出家にとっての正解もあるだろうし、原作者にとっての正解もある。
観客のそれぞれの解釈だって、別に"間違い"があるわけじゃない。
例え、演者さんが表現していることとはまったくの的外れの受け取り方をしている観客が居たとしても、誰にもそれを「間違い」だとは断言ができない。
私が一番興味があるのは、作品を表現する上で前面に出て来ざろうを得ない俳優さんの演技と監督の演出で、次に原作者(もしくは脚本家)の声なので、私にとってはそれらが"正解"となりますけど。
でもすべての人がそういう優先順位を持ってるわけじゃない。
自分の感想・感受性だけが"現実で真実"な人はわりと多いと思いし、別にそれは批判されるものでもないし。
ぜんぜん明後日の方向に受け取っていて、作品の本質に掠りもしてなかったとしても、それが「残念なこと」なのかどうか、それすらも価値観はそれぞれだし。
「私が知らないことは、世間一般でも知られてないことに決まってる。だから認知度が低い方が悪い」みたいな論理の人、実際たくさんいます。

それに、"正解"であってほしくない場合も、結構あるんですよね。
堤さんでいえば『写楽考』なんかはそうかな、と。・・・・・
堤さんの表現に関してはとても感銘を受けたけど、そもそもの、脚本(演出)の、写楽に対する解釈が私には正しいとは感じられなかったので、そうなってくると話はややこしくなるというか。(苦笑)
写楽という人物に対する考察は、私にとって"正しく"はないけど、堤さんが何を表現しようとしたか、もしくは演出家が何を表現しようとしたかは、正しく受け取ることはできる。
でも、正しく受け取ったもの自体が、正しいとは思えないから、正解であって欲しくはなかったというか。(笑)
また、これは堤さんではないけど、演者自身が原作(脚本)の本質を理解していないのではないかと感じることもある。
これはものすごく辛い。
言葉だけを聞いてる分には違うニュアンスなのに、その俳優の言い方だと「そういう意味になってしまっている」状態とか。(苦笑)
あー・・・・この俳優さん、脚本家(原作者)がこのセリフで何を言わんとしているのか分かってないのかも・・・・とか思っちゃうと、白けっぷりが半端ないっつーか。・・・・・
それから、監督の場合。
このシーンは、あの監督のあの作品のあのシーンにインスパイアされてるな、とか、あのシーンをパクったな、とか気づいちゃって、それが本当にその通りだったりすると、心底がっかりする。
ある程度の模倣、オマージュはあって当然だけど、作品全体がパクリの継ぎはぎみたいな仕上がりだと、創造性のなさに虚しくなるというか。・・・・・
やっぱりね・・・・・と思うことは常に楽しいだけじゃないかも知れないですね。

仕事上業務上は「正しいことは良いこと」でシンプルな世界ですけど、現実は正解であってほしくないことはわりと多い。
SPの井上薫だって、できるのならばスイッチを切りたい、気づかずに済むんであれば済ましたかった、と思うことも多いんじゃないかな、と。
『寿歌』に立ち戻れば、戸田さんも仰ってたけど、自分が今置かれている現実を認めたくない、見たくない、真実を知らぬふりをしていれば明るくしていられるのに、という。・・・・
見ぬもの清し、くさいものに蓋をする、とも言えますかね。
知ってしまったら、気づかぬフリができないことばかりなのが現実だから。
真実を知ってしまってからの行動に、その人その人の人間性が出るのかも、とも。

舞台で観た時にはわからなかった、最後の最後の、リヤカーを引いて再び歩き出す時のゲサク(堤さん)の表情が、あまりにも険しくて厳しくて、かなりショックを受けました。
真実を背負った時の人間って、こんな顔をするんだよな・・・・・と。

それから、『寿歌』のインタビューで、戸田さんの考え、戸田さんの解釈を聞く堤さんの姿もとても興味深かった。
プリトヨの時の岡田(将)さんや綾瀬さんに対してもそうだったけど、自分よりはるかに年下で経験も少ない俳優さんたちに対して、堤さんはいつも本当に真摯だよなー・・・・と。
単に鷹揚ぶって大人ぶって幼稚なものを受け入れてあげてる、という感じはまったくなくて、すごく彼ら個々の感性を尊重してるというか。・・・・・教え諭すことや先輩ぶることは一切ない。
むしろ、新鮮な感性や新しい発想を吸収したい、もっと知りたい教えて欲しいと思っている感じ。
心が柔軟で感性が敏感な人なんだなー・・・・・と。
だからこそ、ああいう演技ができるんだろうな、と。



あ、そうだ。
上の話とはまったく関係ないけど・・・・。
「ジェイミーの食育革命」を見た直後に、ファーストフードをむさぼるジョーのCMを見るとかなりの衝撃を受けるね。(苦笑)

魍魎の匣

2012-04-22 | ドラマ・映画・舞台の感想
映画「魍魎の匣」をWOWOWで見ました。

クドカンこわすぎ。気持ち悪過ぎ。
あの人、やっぱすげーわ。心に魔を飼ってるわ。・・・・

実は私はクドカンさんを初めて知ったのは、役者さんとして、でした。
武さんの「キッズ・リターン」と言う映画で。あの風貌なので結構印象に残りました。
その後に、テレビドラマとかで名前を見かけて「へー・・・・・脚本も書く人なんだー・・・・」という感じなので、役者業をやってること自体には特に驚きはないのですが、まったくリスクを厭わない怪演ぶりにはさすがだな、と。・・・・
あれだけやられちゃうと、役者本業の人はクドカンさんの作品に出る時はプレッシャーがかかるでしょうね。
それはとてもいいことなんじゃないかなー・・・・と。
それにさすがに北野作品出演経験者。(笑)
あの、「どの凧好き?」「なんで眉毛ないの?」なんてやり取りのシーンは、ほんとキタノっぽい。(笑)
勘弁してくれって感じの怖さで。(苦笑)

しかし、堤さんが京極堂役を演じる百鬼夜行シリーズは、2本とも映像はとても美しいですね。
そこはなんだかとても驚きというか。・・・・・
日本の映画監督で映像派だと感じる人って、私にはあまり居ないのですが、実相寺監督も原田監督もかなり造りこんだ美意識の強い凝った映像を撮る人だな、と。
実相寺監督は、レトロっぽいおどろおどろしさで、原田監督はリアルでフィルムノワールっぽい。
原田監督の撮る画は、陰影が濃く輪郭がはっきりしてて、でも湿り気を感じる光の加減は、イギリス人の監督に多い感じ。
人間の気質的にも天候的にも、イギリスと日本は通じるところがあると常々思っていたので、私にはかなりしっくりくる映像センスでした。
役者さんたちの撮り方もとても綺麗。佇まい、衣装、全体の色調やトーン、計算が行き届いた精緻さはストレスがなくていい感じ。
ロケが多くて吐く息が白いのとか、役者さんたちはたいへんだったかも知れないけど、効果はあると思いました。

ただ映像は良くても内容が・・・・・・。
や、単に私の趣味じゃないってだけですけど・・・・・。
美しい映像でグロテスクなものを描かれると、ヘンに脳に沁みついちゃって辛いんですよね。
美しいだけに刻み込み力が半端ないっつーか。(苦笑)
てゆうか、原作が原作なんだから、見なきゃいいってだけのことなんですけどね。
分かってて見て文句を言うのもなんですが。

ストーリーは、まさに「ブラック・ダリア」と、それに「ボクシング・ヘレナ」を足して2で割ったような感じでした。
ノワール調の映像がますます「ブラック・ダリア」っぽさを助長するというか。
この作品、Rは付いてますよね・・・・?
思春期や幼少期にあまりにも強烈な経験をすると、その後の人生に大きく影響を及ぼすのは事実だと思うから、幼い人にはあまり見せたくない作品。
出来は悪くないと思うし、映像美もなかなかだと思うけど、ヒットして欲しいかというとヒットはするべきじゃない映画というか。・・・・・
こういうジャンル自体を否定する気はまったくないけど、私は、そうそうたくさん観たいものでもないな、と。・・・・

堤さんの京極堂は、賛否両論(といっても、賛8否2ぐらいの感じだけど)ですが、私は堤さんの演技で救われました。
原作の京極堂はもっとクールで病的な雰囲気だと思いますが、堤さんは風采も健康的だし、少しお茶目で快活な印象もあるので、胃の腑に溜まって引きずりそうな石の塊を軽減してくれるというか。・・・・
私はこの手の作品を観ると、ヘタすると1ヵ月ぐらい悪夢にうなされて無駄に消耗する性分なので、一服の清涼感があると助かります。
阿部寛さん演じるエノさんも、原作より健全で男っぽくて、それなりに好きです。宮迫さんの木場も悪くない。椎名さんの関口はなぜか原作よりも病的な感じがしたけど。(苦笑)
この3人のシーンはとても好きです。笑えるシーンもあったし。
特に、
榎木津「時々君の記憶が見たくなるよ」
京極堂「やってみろよ」
榎木津「めんどくさい」
は絶品。笑えたし感慨深かった。たしかに知ったら知ったでめんどくさそーーーー!(笑)
堤さんは、着物姿の所作がいつもほんとため息がでるくらい綺麗ですね。
特にあの締まった手首としゃんとした背筋がすき。
美中年好きにはたまらない作品ではありますね。

姑獲鳥の夏

2012-04-15 | ドラマ・映画・舞台の感想
映画「姑獲鳥の夏」をWOWOWで見ました。

動画サイトの小さい画面の、中国語字幕入り音声ズレズレのぶつ切れ映像で見た時よりは、よっぽど良かったです。(当り前ですね)
あのサーチライト演出とか舞台装置みたいなセットの演出とか、到底受け付けない。安っぽい特殊効果・特殊メイク、映画のレベルにすら達して無い、残念な作品だと思ってましたけど、テレビの大きな画面で細部まで見えると、結構綺麗な凝った画もたくさんあって思っていたほどは悪くないですね。
京極堂のセットや榎木津ビルの内装や調度品なんかすごくよくて、剥がれおちた壁のしっくいやレンガ、ごちゃついた配管、古い製法の陶器やガラスとか、昭和レトロ独特のおどろおどろしさとか猥雑さがいい感じに表現されてて、むしろこの監督好きかも、とも思いました。

プリトヨじゃないけど、私にも変な記憶がひとつありまして。・・・・・
小さい頃に住んでいた家の近所に、大きな門に閉ざされた並木道の奥に洋館みたいな建物があって、友達の間で噂になってた。
ある日、肝試しで友達と偵察に行ったら門が開いていて、玄関前の大きないちょうの木の枯れ葉を掃き集めているおじさんが居た。おじさんは遠くから様子を伺っていた私たちに気づくと、「あっちに行け」というようなゼスチャーをした。
私たちはそれだけで怖くて脱兎のごとく逃げかえってしまったんですが・・・・。
その後、十何年もしてから突然思い出して、家族に「昔の家の近くに、大きな洋館みたいな家があったよね。」と言ったら、誰もまともな返事をしてくれませんでした。
「あった・・・・かもね。・・・・覚えてないわ。」みたいな。
高校の時に、薄らとした記憶を辿ってそこに行ってみたこともあるんですが、結局、その建物は見つからなかった。
未だにそれが夢だったのか本当のことだったのか、わからないんですよね。

この映画に出て来た久遠寺医院が、その洋館の雰囲気にそっくりで少し驚きました。
温室の佇まいや響く夏の蝉の声なんか、なんだかとても既視感があって、なんともいえない心持ちになります。

そう、後を引く感じのある、もっとも苦手ジャンルの映画でしたね。(苦笑)
ホラー系はとにかくダメなんです。
「ブラック・ダリア」とか「キャリー」とか、正直、あんまり記憶に留めて置きたくない。
堤さんにお願いしたい。
そういう系統の作品のご出演は、やはりなるべく控えめにお願いしたいな、と。・・・・・

でも中禅寺秋彦な堤さんはツボりました!
着物姿でネコを抱くだけであれだけのえろすを醸しだす人が他にいるでしょうか!?
はあはあしてしまって、そこだけ3回ぐらいリピートしてしまった。・・・・・
ああネコになりたい。・・・・
そんで顎の下あたりをもにょもにょされたい。・・・・・
膝の上でごろごろ言いたい。

それに監督さんってば堤さんに寄りに寄るもんだから、睫のくりんがよく見えて。
まつげくりんってしてる!くりんって!!
と、へんに興奮してしまった。
瞳の虹彩がきらきらして綺麗・・・・なんて感心したり。
実相寺監督、かなり好きだったのね、堤真一という俳優さんが。
原作者の京極夏彦さんがちょろちょろ出演されているところを見るに、この映画化には文句はなかったんでしょう。
だからこそ監督さん、ますますやる気満々でいろいろ盛り込んだりしちゃったんでしょうけど。(苦笑)
スポットライト演出とコカクチョウ特殊メイクはどうしてもいただけない。
悪くないところもあるのに、やり過ぎで、逆に全体の質を落としてしまった感じ?
キャストは豪華だし、原作者もノリノリだし、良い要素は揃っているのにどこか残念感漂う作品でした。



SBYも見ました。
といっても、本編は流し見レベルですが。・・・・
こっちは大きな画面でみたことを逆に後悔するようなディテールで。
山崎監督(と脚本家さん)はハリウッド映画が大好きなんだろうなー・・・・・とつくづくと。音楽も同様に、いろんなハリウッド映画からいただいちゃった感じでしたね。(あの作曲家さんはねぇ・・・・)
音響はもしかしてスカイウォーカー・ランチ?ボバフェットのスレーヴIIと同じ音源を使ってるような小型機のエンジン音があったような・・・・・。
堤さん出演シーンを編集したら2分ぐらいでした。
守兄さんは玉砕だったのね。・・・・・・日本人だよなー・・・・・・ちょっと山崎努さん演じる艦長がかわいそうだった。自分より若い人を盾にして生き延びて、平気な指揮官はいないでしょ。
なんか「マスター&コマンダー」にそっくりなエピソードとかもあったけど。・・・・ミズンマストが折れて水夫ごと切り離した時の。
「守はハーロックになって帰ってくればいい」とか呟いてる人がいて笑った。
軍服姿は相変わらず絶品でございました。
ごちそうさまでした。

映画の至福

2012-03-18 | ドラマ・映画・舞台の感想
ロバート・ダウニー・Jrの吹き替えは郷田ほづみさんしか認めない。

・・・・・といって、わかってくれる人、ほとんどいないんだよなー・・・・。(苦笑)

どうも六本木局の声優キャスティングする人ってセンスがないんじゃないかといつも思うんだけど。・・・・
それに申し訳ないけど、私は「声優さんが解釈したホームズ像」が見たいんじゃなくて、「ロバダニのホームズ」が観たいから、声優個人の考えやセンス、演技の癖を作品中に盛り込まれると、正直うざいというか邪魔でしかないっつーか。・・・・
特にロバダニの場合って、監督が彼の持ち味を考慮した上でキャスティングしていることが多いから、その肝心の部分に偏向を加えられると、それはもう、まったくの別モノになってしまうというか。

アイアンマンにしてもそうだけど、大抵、カッコよくヒロイックにしちゃうんだよね。日本の声優さんって。・・・・・
たぶんロバダニっていう俳優の来歴すらご存じなく興味もないんだろうけど。
あの人、問題の多い人で、おクスリで仕事めちゃめちゃにして二度も御用になってる、決して道徳的とは言えない、常に正義とは言えない人なんだよね。
でも、昔から演技力には定評があって、人好きのする魅力のある人だから、同業者や関係者が彼の才能を惜しがって何度も何度も手を差し伸べて。
私も昔から好きで、問題を起こすたびに「俳優生命が終わったな」と思ってその度に落胆したけど、でも惜しむ人の多さが、彼の才能と魅力を表しているというか。・・・・・
・・・・私は今でも心配してるけど。(苦笑)「大丈夫かな。悪い虫が動き始めてないかな」て。
プロデューサーやってる今の奥さんだけが頼り。

ホームズってコナン・ドイルの原作読めばわかるけど、コカ●ン中毒だし、ア●ン窟に入り浸ってるシーンもあるし、かなりエキセントリックな人物。
ピストルでVRって壁に穴を空けるシーンも、パブでバリツ(笑)を駆使して喧嘩するシーンも原作にある。
かの有名なグラナダ版のホームズでは、「僕は紳士である」といいながら、パブで男を殴り倒すシーンは伝説。(笑)
だから、私はホームズをただただ品行方正に描いているタイプのものは好きではありません。
特に嫌いな翻案は、金髪碧眼、穏やかな好人物になってるホームズと、小太りおばかのとろいワトソン像。
正直、これほど原作からかけ離れてる解釈はないと思う。
イギリス原作モノがアメリカさんの手にかかるといつもコレ。(苦笑)メアリー・ポピンズやピーターパンもそう。
原作好きでグラナダファンの私ですが、その点、ロバダニのホームズとジュードのワトソンは、意外と原作に近いと思ってるんですよねー・・・・・。(笑)
監督のガイ・リッチーがイギリス人、というのも大きいと思います。
それに監督、グラナダ版のファンでもあるんじゃないかなー・・・・と、なんとなく。
ハンス・ジマーのスコアも、グラナダ版へのオマージュのようなバイオリン・ソロが入ってたりするし。
ジュードは確か、グラナダ版にちょい役で出演してたと思うし。・・・・

そうそう、先日、NHKで放送された現代に翻案したBBC製の「シャーロック」のホームズも、もんのすごい狷介でちゃんと変人で最高でした!(笑)
ワトソンは、退役軍人で用心棒的な要素があって、そこそこ男前で、これも原作通り。
二人の関係性も、かなりギリギリのラインで描いてておもしろかった。(笑)
昔と違って今はかなり寛容な社会になってきてますから、それほど禁忌とされてないっつーか。・・・・

原作でもホームズは、ワトソンが怪我したりするととてもショックを受けるようなシーンがあったりするんですよね。
その動揺しているホームズの顔を見て、「あんな顔のホームズは見たことない、うれしかった」みたいなことをワトソンが書いてる。(笑)

ロバダニ&ジュードのコンビは「シャドウゲーム」でも最高でした!もう一回観たいぐらい。
アイアンマンは1の方が好きでしたが、ホームズは2の方が好きです。
ガイ・リッチー監督は、外見は格闘家みたいなむくつけき風貌ですが、渋い美しい画を撮る人だし、ハンス・ジマーのスコアは間違いがない。
予算の潤沢さの伺えるクオリティーの高い映像、それに負けない存在感のある俳優陣、良い演技。
総合芸術と呼ばれる映画の真骨頂を充分に満喫できる作品でした。
粋を集めるってこういうことだと思う。

これがあるから、映画が好きなんですよねー・・・・。
いい映画にお気入りの俳優さんが出演してると、ほんと、至福。


あ、そうだ。
「シャドウゲーム」では、スイスの、例の滝のエピソードもちゃんとやりますよー。
原作読んでる人なら、「スイスと滝」だけで、あの固有名詞がすぐ浮かぶことでしょう。(笑)

寿歌 hogiuta

2012-02-25 | ドラマ・映画・舞台の感想
[寿歌」観劇感想記事の続きを。

仕事で、ロシア人と中国人が書いた日本語のレポート2本と、英語のレポート3本を読んでたら、正しい日本語がわからなくなってきてしまった今日この頃。・・・・・いかがお過ごしでしょうか。
適切な言葉が出て来にくいし、端々言い回しがぎこちなくなりがちですが、それでも良いという方のみお付き合いくださいませ。



開演2日目の1月6日の観劇を選んだのは、正月中に観たかったから。
タイトルが『寿歌』なので、てっきり正月公演用の演目なんだろうと思って・・・・。

フライヤー等にあらすじは書いてありましたが、白で統一した洗練された衣装を着たビジュアルの三人からして、新年を寿ぐ内容も盛り込まれているんだろうと勝手に想像しておりまして。
しかし舞台の世界ではよくあることのようですが、スチールのビジュアルと、本番の舞台とでは、だいぶ違ってくることが多いみたいで。
他の堤さん出演舞台のDVD/BDでも、パッケージのビジュアルと中身の映像とでは、衣装・メイクがまったく違っているものもよく見受けられるようです。
日程が進むにつれストーリーや演出にも変更が加えられることはザラのようで、それが舞台の醍醐味でもあるのかも知れませんが、この寿歌に関しては、本自体が変更されるということはなかったようです。

とはいえ、この作品、変化してゆくことこそが狙いのような気もしました。

鑑賞以来、この作品を表現するのにもっとも適した言葉はなんだろう・・・・とずっと考えていたのですが、結局思いつかずじまい。
インディペンデント系の観念的な、難解と呼ばれる類の映画もよく観る方だと自負していましたが、ここまで実験的ともいえる本の作品は観たことがありませんでした。
そもそもこの本、俳優の卵たちの演習(教習?)用の教科書として作られたものだとか。・・・・納得です。
実際、劇中では、お互いに一行飛ばし(三行飛ばしだっけ?)でセリフを言い合うシーンや、異常に長い説明台詞を一息で滔々と語ったりするシーンなどがありました。
人の生死などの設定も曖昧で、核戦争後の地球が舞台ですが、それほど強い思想や主義主張が貫かれている話のようにも思えず。
おまけにヤスオ=ヤソ(キリスト)。つまり、宗教的な要素まで加味されていて、全編を通じて強い主張を出そうと思えばいくらでも盛り込むことができる内容。にも関わらず、作家自身の声はあまりはっきりとは聞こえてこない。"明るい虚無"がテーマだという声はありますが・・・・・。
良く言えば超難解、悪く言えば支離滅裂。所詮は教習本なのかも・・・・・ともいえる。

でも、だからこそ、演劇というフィールドでしかなしえない作品なのかなー・・・・・と。
上演されている内に、その時その時代の観客の反応に触発されながら、板の上で何かが生まれ出る可能性があるというか。・・・・
たとえば歌舞伎やシェークスピアが数百年もの間、繰り返し繰り返し同じ物語を演じているわけは、その時代やその観客、その俳優、その演出家の感性によって、まったく違う作品ができあがるからでしょう。
目を見張るような新解釈が生まれ、これまでの解釈が覆されたりする例もままある。
音楽で言えば、バッハの無伴奏チェロ組曲のようなイメージを受けました。
定番とされていたものが従来とはまったくの別物に刷新される。
古典と呼ばれるものは大概、その可能性を含んだ作品が多いような気がしますが。
特に、観客の反応を直接受ける舞台作品は、時代の空気を明確に反映させるでしょうし。

たぶんこの本を演目としてチョイスする人は、それを期待しているのではないかなー・・・・と。
意味不明で支離滅裂な言葉の羅列が、突然なにかの意味を含みだしたり、映し出し始めたり、または演じる俳優が、はたと突然何かに気づいたりするのを狙っているというか。
ですからこの舞台、楽日に近い、後半以降に観た方が良かったかも知れません。

私が観て感じたのは、とにかく役者さんはセリフを覚えるのがたいへんだっただろうなー・・・・・ばかりで。(苦笑)
なにしろ前後のつながりがなく、応答にもなっていない禅問答のようなやりとりが多いので、感情の流れからは言葉を覚えられないと思うんですよね。
セリフから情景を描き出すのも難しいし、かといってどういう表情、身体表現が正しいのかもわからない。
もし"明るい虚無"を描くことが本当に狙いだったのだとしたら、それは成功していたと思いますが・・・・・。
人間、どんなに絶望的な状況下にあっても、その内絶望し続けることにも限界が来て、逆に明るくなったりもするでしょう。(私はアルモドバル監督の作品を観るといつもそれを感じる)
絶望したところでなにもどうにもならないし。
生きてるよりしゃーないんだったら、生き続けるよりしゃーないっつーか。・・・・

一番印象に残ったシーンは、ゲサクが自己犠牲(献身?)を語るシーンかな。
旅人?を助けるために焚火に飛び込んで自らを食べ物として捧げたうさぎの話と、飢えた虎の親子に我が身を捧げた僧?の話。
確か前者は聖書にあって、後者は仏教の教えじゃなかったっけ。
で、そのうさぎや僧の心理を、「だってそれしかできなかったから仕方がなかったんだ。それだけでもできて嬉しかったはずだよ。」みたいなことを必死になって訴える場面。
私にはそれが、震災の時の堤さん自身の気持ちだったような気がして、すごく切なかった。
それと、ゲサクがヤスの背中に弾を打ち込むシーンも興味深かった。
ヤスは不死身で、食べ物を増やしたりもできる、いわば不可能のない全能の人。
彼は本当の痛みや死の恐怖を、もしかしたら知らないんじゃないかなー・・・・・と。
だからゲサクは、それを分からせたかったのかも。
卑劣で、痛みが怖くて、死に向かって苦しくのたうちまわる人間の心理を、本当の意味でわからせるためには同じ思いを体験させるしかなかった。
それはもちろん善意だけではなく、嫉みや同じ苦しみを味あわせたいという人間の卑小さもある。

この二つのシーンに関しては、私はそんな感慨を抱きました。
何が"正しい"解釈のか、未だに皆目わかりませんが・・・・・・。(苦笑)

生堤さん初鑑賞作品がこれというのは、なかなかヘヴィーなものがあったな、と。・・・・(笑)
次の『シダの群れ』は、もう少し分かり易い内容のものであってほしいな、などと思っております。

地下鉄に乗って

2012-02-12 | ドラマ・映画・舞台の感想
この作品は、過去に一度だけ、地上波で放送したものを見たことがありました。
たぶんカットされてたシーンも多かっただろうし、おまけに途中で家に人が来てしまって(苦笑)、結局5割ぐらいしか見れなかった。
当時は大沢さんと常盤さんがあまり好きではなく、「あ、堤さんも出演されてるんだー・・・・とりあえず見とこっと」程度の感じだったので、録画もしていませんでした。

先日CSで放送されたもので、ようやっと全編をまともに見まして。
例のシーン(笑)でも、見れてなかった部分があることを今さらながら知りました・・・・!

真次(堤さん)がみち子(岡本さん)の部屋にやってきて、玄関先で抱きしめるところ。その後の、みち子が信次の肩越しに、何とも言えない切ない表情をそっと浮かべるところは見てるのに、その間の部分が丸々抜けてた。

ひゃーーーーーーーーーーーうっひゃーーーーーーーーーーひーーーーーー
つつみさんのらぶしーんってうまれてはじめてみたーーーーー
ひゃーーーーーーうきゃーーーーーーーーーーー
(大興奮・笑)
つつみさんって・・・・・つつみさんって・・・・・・甘えん坊さんたいぷ?
ちゅーよりはぐする方が好きみたい。
あーーーーあの、スーツ越しワイシャツ越しに見える骨ばった肩のラインとかたまんねえな。
あーーーーー懐深そう。
あーーーーーやヴぁい。やヴぁすぎ。
あーーー無防備顔かわゆ。

とかなんとか胸の中逆巻き過ぎてたいへんなことに。・・・・・
我ながら人様には決して見せられないような顔をしてたことでしょう。しょうもな。

でまあ、作品の内容自体はと言うと、どうなんだろう・・・・。
そもそも、浅田次郎さんの作風って、メランコリックというかノスタルジックというか、「時空を超えたエンターテインメント」とか「タイムスリップファンタジー」とかいう派手派手しい感じを狙ったものではないと思うので、まあ、こんなものかと。・・・・・
真次の母親の、長男に対する言動はまったく共感できないし、みち子の決断には首を傾げる。お時は、できる男の愛人になるのなら、脇腹は作らないぐらいの覚悟が必要。
女性の描き方がもうひとつ私には嵌らない感じかな。・・・・

田中泯さんが思わせぶりな感じで登場するので、キーマンになるのかと期待してたら特に大きな展開もなくて、ちょっと拍子抜け。
岡本綾さんは元々結構好きな女優さんでしたが、無期限休業してしまったんですよね。・・・・
大沢さんの老けメイクはちょっとどうかと。常盤さんはいつもの感じで。

ただ、堤さん自身のお父さんへの思いってのは、相当に強いのかな、と。・・・・・
この作品に出演した経緯がどういうものであったのかは知らないけど、父親との関係をテーマにした作品に出演される確率が、本当に高いと思う。
歳をとればとるほど、その想いは深くなってる感じ・・・・?
大沢さん演じる真次の父親は戦争に行ってる設定だし、厳格な感じだし、堤さん、かなり共感するところもあったんじゃないかと。
真次のように、堤さん自身も、お父さんに感謝の気持ちを伝えたいのかなー・・・・・て。

ALWAYS 大事なことは3回づつ言う。

2012-02-05 | ドラマ・映画・舞台の感想
済1月21日:映画「ALWAYS三丁目の夕日'64」 堤
済1月23日:テレビ「地下鉄に乗って」 堤(24日未明)

2 月25日:映画「トワイライト ブレイキング・ドーン Part1」
3 月10日:映画「シャーロック・ホームズ シャドウゲーム」 ロバート・ダウニー・Jr、ジュード・ロウ
4 月21日:映画「裏切りのサーカス」 ゲイリー・オールドマン
4 月29日:舞台「ロミオ&ジュリエット」 佐藤(健)(~5月27日)
5 月 4日:舞台「シダの群れ 純情巡礼編」 堤、小池(徹)(~5月27日)
5 月 5日:映画「宇宙兄弟」 小栗、岡田(将)、堤
8 月  :映画「プロメテウス」 リドリー・スコット
8 月  :映画「アベンジャーズ」 ロバート・ダウニー・Jr
8 月25日:映画「るろうに剣心」 佐藤(健)、江口、香川
9 月15日:映画「天地明察」 岡田(准)
12月  :映画「レ・ミゼラブル」 ラッセル・クロウ、ヒュー・ジャックマン(全米公開?)


えー、無事、『シダの群れ』のチケットを押さえることができました。
第一希望日だったのでうれしい。
「獲れたよーーーー♪ヽ(*´▽`*)/@オジー風」と太陽に向かって叫びたい気分。
やっぱコクーンはある程度キャパあるから、『寿歌』の時よりはいくらか取りやすいのかな?

あーーーーにしてもとりあえずは一安心。席の場所がまだわからないところは不安だけど・・・・。
堤運ないのかも・・・・・と悲しみに暮れかけてたところだったから嬉しさ倍増。
たけるんのロミジュリも既に押さえ済みだし、充実の春がくるー。


さて、先日、ようやく観て参りました、ALWAYS'64。2Dで。
このシリーズを映画館で観るのは初めてです。前2作もテレビで編集されたものしか見たことがありませんが。・・・・・

全体としては、なかなかおもしろかったです。
期待してなかったせいもあるかも知れないけど、お金払ってスクリーンで観たことを鑑賞後に虚しく覚えるようなところは、まったくなかった。私も'64が一番好きかも。
それにやっぱ本職の映画監督が撮った映像は、画が綺麗だなー・・・・と。
それはVFXやCGやプリントのクオリティの話ではなくて、透徹する美意識がきちんと存在している感じがする、というか・・・・観ていて稚拙さを覚えさせないアングルや奥行きや、セット・小道具のリアルさ造り込みが、観ていてまったくストレスがない。
これは実は松っちゃんの『さや侍』を観た時にも感じました。
ただ、室内のシーンの時に、もうちょっと視点を引いて欲しいと感じたところもありました。が、逆に、当時の日本家屋はあのぐらいのスケール感で人と人の距離が近かったのかも、とも。・・・・

わざとらしい斬新さや奇を衒うことがプロフェッショナルなわけではなくて、基本的には違和感のない、居心地の悪さを覚えずに観ていられる映像こそが、プロなんじゃないかと。
手ぶれ映像とか、尖鋭ぶったアングルとか、別にそんなに要らない。(私は)
3Dも・・・・・もういいかも。(苦笑・いろいろ観たけどそれほど効果的に思えなかったので、'64は2Dにしました)
自然さを表現出来ている上で、だからこそのはっとさせられるようなセンスだったりすると、それが才能なんじゃないかと。
リラックスして観ていられて、ストーリー自体もとても人情的なものだし、とても楽しめました。いい作品だと思います。

この監督、思っていたよりは悪趣味じゃないんだな、と見なおしました。(←何様)
でもー・・・・・・、でも敢えて言わせてもらえれば。・・・・・
ちょっと粘着質な感じがして・・・・・・。東京の人間って、もっとあっさりと、一見もっとそっけない感じがあるかも。
もちろんみんながみんな同じ人間なわけじゃないんで、個人差はあるけど、特にあの時代の男性は愁嘆場を人に見られるのは嫌がる人が多いんじゃないかって。竹を割ったような性格、気風の良さを見せたいもんだから。
茶川にしても鈴木オートにしても、ちょっとじめじめし過ぎっていうか。・・・・
監督の性格なのかなー・・・・と。
大事なことは3回言わなきゃ気が済まないって感じだし。(苦笑)そもそもALWAYSって作品自体が3なんですけどね。・・・・ちょっとクドイというか。
淳之介と編集者のやり取りも3回、茶川家の白黒テレビのくだりも3回、六ちゃんと菊池先生の朝の挨拶シーンも3回、同じエピソードを3回繰り返すのが少々しつこいと思っちゃって。・・・・・
六ちゃんの結婚絡みのシーンだって、最初に菊池先生を鈴木オートが殴ったシークエンスだけでも充分なのに、その後の正式なご挨拶のシーンと、式当日のシーンと、3回とも結構な尺とって"鈴木家と六ちゃんの絆"語りがみっちりと入ってて。・・・・
2度まではいいけど、3度目ともなるとちょっとうんざりしてくる。エピソードの深度、伏線回収だとしても、2,3回目はもう少しさらっとしてもいいんじゃないかと。
そこまでねっちりやらなきゃ観客に伝わらないもんかなー・・・・・・て。
セリフでも、「そこまで説明しちゃうんだ?」とか、「それ、口に出して言っちゃうんだ?」とか思ったところが何か所か。
淳之介を見送った後、角を曲がったところでの茶川のセリフとか。
一番蛇足だと思ったのはアクマ先生の「ほんとうの幸せってなんでしょうなー・・・・」かな。
それは敢えて口に出して言うことなのかな・・・・・て。金よりも物よりも大切なものは、とか?
ありがたい話っぽく語り出す宅間先生の人柄もどうかと思っちゃったし。道徳の授業じゃあるまいし。
3回繰り返すのは関西風に言えば天丼ってことでいいのかも知れないけど、2度言えば十分伝わってることを3度言う感じがクドくて、東京っぽくないっていうか。・・・・
言わずもがな、とか、つーっていえばかーっていうのが江戸っ子気質でしょ。

それに今オンエアされているCMが、その最もクドい部分を敢えてのように抽出してさらに煮詰めてクドくしてるもんだから、逆に損してるんじゃないかと。(苦笑)
堤さんの「殺すぞ」のセリフや六ちゃんの花嫁姿に涙ぐむシーン、CMで使われているところよりもその直前の部分の方がよっぽど良かったと思ってしまった。・・・・
正直、CMだけを見てた時は、「堤さんってこんな大仰な演技する人だっけ?」って、ちょっと驚いていたんですけど、前後を観てつながりがわかるとまったく嫌な感じは受けない。
なんで敢えてあのシーンあの部分を切り取ったんだろう?と、むしろそっちの方が驚き。(笑)
CMで使われたセリフの直前に、俯いたままで「菊池。・・・・・・・殺すぞ」と鈴木オートが低く呟くところがあるんですが、それがもう絶妙なんですよ。
そっちの方が、ドスは効いてるし、表情が見えないだけに本心が分からなくて気になるし、よっぽど視聴者の興味を惹くんじゃないかと。
いくらベタが売りの作品とは言っても、ベタは大声で喧伝して主張するようなもんでもないんじゃないかなー・・・・・と。

しかし堤さんの鈴木オートは、とても素敵でした。
私はどちらかというと知的な役をやってる時の堤さんの方が好きなので、鈴木オートにはそれほど思い入れがないんですが、どうしたんでしょうかねー・・・・堤さん。お色気が。(笑)だだ漏れで。
いつもの肌着だし、らくだに腹巻だし、決して良い格好してるわけじゃないんですが、なーんか色っぽいっす。
というか、ほんと「男前」って言葉がこれほど似合う人はいないなー・・・・と。
色男っていうほど甘いわけじゃないけど、首元がすっとしててでもほどよく筋肉質で、端正な男前。ハンサムさん。
そりゃトモエさんも惚れるわ。
大画面で観るとますますそう感じました。
それに音響がいいと低音部が響くから尚のことよい。(笑)
堤ファンは絶対観なくちゃダメでしょう、これ。



あ、メトロについて書く場所がなくなっちゃった。・・・・・
メトロはまた別の記事で。

1月クールのいろいろ

2012-01-22 | ドラマ・映画・舞台の感想
済1月15日:ドラマ「運命の人」 本木、大森南朋
済1月20日:テレビ「ALWAYS続・三丁目の夕日」 堤
 1月21日:映画「ALWAYS三丁目の夕日'64」 堤

1 月23日:テレビ「地下鉄に乗って」 堤(24日未明)
3 月10日:映画「シャーロック・ホームズ シャドウゲーム」 ロバート・ダウニー・Jr、ジュード・ロウ
4月   :映画「裏切りのサーカス(仮)」 ゲイリー・オールドマン
4 月29日:舞台「ロミオ&ジュリエット」 佐藤(健)(~5月27日)
5 月 4日:舞台「シダの群れ 純情巡礼編」 堤、小池(徹)(~5月27日)
5 月 5日:映画「宇宙兄弟」 小栗、岡田(将)、堤
8 月  :映画「アベンジャーズ」 ロバート・ダウニー・Jr
8 月25日:映画「るろうに剣心」 佐藤(健)、江口、香川
9 月15日:映画「天地明察」 岡田(准)
12月  :映画「レ・ミゼラブル」 ラッセル・クロウ、ヒュー・ジャックマン(全米公開?)


1月クールのドラマは今のところ『運命の人』しか見れてません。
大河の清盛は2回目を再放送で見ました。会社の同僚たちには、「前期のものよりはぜんぜんマシ!」というような言われ方をしていましたが・・・・・。
平安モノは難しいとか?
たしかに、いわゆるコスチュームプレイ(時代劇)って、洋画でも当たりはずれの落差が激しくて、周期的にやたらと量産される時期と完全に避けられる時期が交互にくるような印象がありますが・・・・。
外れてるモノはだいたい、あまりにも隔世の感があり過ぎて、まったくの絵空事に見えてしまってる時かなー・・・・・と。
まあ、そもそもが"隔世"で"絵空事"なんですが。(苦笑)
でも歴史系ファンタジーの強みやおもしろさって、過去のことを描いているようで実は現代を映し出すことに成功しているようなケースかな、と。
私はそれを"リアリティー"という一言で括ってしまいがちなんですど、人間って時代が変わっても変わらない普遍的な部分があって、それを掬い上げて現代人にも共感や感銘を与え知恵を齎した時に、何か新しいものが生まれるというか。・・・・
最終的にその成否を左右するのは何なのかっていうと、やっぱり、脚本や監督が本質的には何を描きたいのか?が、結局は作品全体の軸を貫くのではないかと。
監督がただのファンタジー好きで、自分の趣味嗜好をただただ可視化したいだけのものだと、ファンタジーのみでは飽き足らない人からすると、とても幼稚に空虚に映ってしまう。

でも。・・・・どうなんだろうなーー・・・・・・・・。
ただただファンタジーの世界に耽溺したい人、エンターテイメントを現実逃避の手段としか思ってない人の比率って、全体からするとどの程度なんだろう。
それも時代や時勢によって違うんだろうなー・・・・・と。・・・・

先日、NHKの番組に山田洋次監督が出演されていて、どんどん時代劇の製作が減って人材も居なくなり始めている、昨今の日本の映像業界の問題について語られていました。

基本的に、私は、いわゆる"時代劇"と呼ばれるものは嫌いです。
ずーー・・・・・と嫌いでした。だから大河もろくに見てないし、もちろん民放の時代劇ドラマもほとんど見たことがありませんでした。
形骸化した勧善懲悪的ストーリーや、古い考証や観念のままの当時の文化生活の描写や、真実味のないお約束的な殺陣とか、悪趣味な衣装やメイクには虫唾が走ります。
誇張されたファンタジーが一般化してしまっていて、時代劇そのものが陳腐化してしまっていたというか。・・・・
でも、藤沢周平の時代小説を読んだら、目からうろこが落ちたのです。
えっ・・・・・!時代劇こんなにおもしろいか!?・・・・と。
これまで、落語や歌舞伎や浮世絵や黒澤明の映画の中でしか魅力を感じたことがなかった。
時代劇はひとくくりにしてつまらないと決めつけていたものが、まったく別モノの、生き生きとした光景として目の前にひろがっていたんです。
藤沢作品には、それこそ、洋画のコスチュームプレイの傑作を観ているかのような印象がありました。
山田監督の時代劇シリーズは、その感覚を忠実に再現してくれていて、私からすると、新しい日本の時代劇の幕開けのような作品かな、と思いました。
以来、時代劇にリアリティーを持ちこむ監督はだいぶ増えたような気もします。
山田監督ご自身も仰っていました。
太秦の人たちの仕事っぷりはすばらしく、彼らがいなければ時代劇は一分も作れないのは確か。
彼らの自負はもっともだし、尊重されるべきだけど、刷新し成長させて行かなければならない部分も多分にある。・・・・と。
その兼ね合いがとても難しくて、維持承継すべき部分と、改革しなければただ陳腐化するだけの部分とのジレンマに、山田監督もとても苦慮している様子に見受けられました。
最後に、「ちゃんばらもとても素晴らしい。でも、藤沢周平の町人の話、職人たちの話ももっとおもしろく描かれるべきことがある。それを知って欲しいし知らせることができるものを作りたい」というようなことを仰ってました。

去年はJINがヒットしたことで、だいぶ時代劇界は活気づいたようですが、なかなか後が続かないのが現状ですね。・・・・
JINは太秦は使わず、お約束は極力やらずに時代考証をやり直し、「現代人がタイムスリップした」というファンタジーを上手く使って、逆に江戸時代を身近でリアルなものにしたという要素がよかったのではないかと、私は思います。
隔世の話を、いかに隔世でなくするか、というのが時代劇再生の鍵なのではないかなー・・・・と。


私にとって『ALWAYS』と『運命の人』って、"昭和時代劇"として見ると対照的な作品です。
ファンタジー寄りなのが『ALWAYS』、リアリティー寄りなのが『運命の人』かな、と。・・・・
同じ昭和を描いてもこれほどまでに違うものか、と。
まあ、『ALWAYS』はマンガ原作の人情劇で、『運命の人』は山崎豊子氏の社会派で実際に起こったこと、もしくは起きていることを描いているわけですが。・・・・
昭和って、平成の今の世にまで地続きのことがまだたくさんあるんですよね。
だから昭和をあまりにもファンタスティックに美々しく描かれても、なんだか居心地が悪いと言うか、私には座りの悪い心持ちがすることがしばしばあるというか・・・・。
絆とか、夢とか、温かい人間関係とか言うけど、それは平成の現代にもあるところにはずっとあるし、昭和って元号で囲ってピリオドを打っていいものなのかなー・・・・と。
バブル時代の負の遺産、しわ寄せは、現実未だに引き摺っているわけだし。(バブルって昭和でしたよね?)
ファンタジーはファンタジーとして楽しんで、ほっとするのも素敵だけど、2面性はどこにでもあるから、そこはしっかりと括目して(笑)見極めて、生産的な次につなげたいなー・・・・と。
温故知新で、「平成浪漫」として後の世に語られるようなものを、今、自分たち自身が創っていかなくちゃならないんじゃないかなー・・・・と、不肖、思ったりいたします。

そんなわけで(どんなわけだ)最新作の'64についてはまだ観ていません。
堤さんのインタビューによると、現代を予見させるような部分も少し出てくるとか。・・・・
ネットの評判を見る限りではとても良さそうなので楽しみにしています。
来月2月中に観に行こうかな、と。
2月はこれと、『シダの群れ』のチケ獲りに奔走する日々になるのかしら・・・・。ああ恐ろしい。
今度はもう少し間近で生堤さんを拝見できる席が獲れるといいなー・・・・と。
たけるんの『ロミオ&ジュリエット』については、先行抽選であっさりゲットできてしまいました。
発券しないと席が分からないのが不安ですが、とりあえず確保はできて一安心。
3月はホームズなロバダニ漬けになる予定。
4月は、堤さんが連ドラにご出演との噂も出てるようですがどうなんだろう・・・・。
SP撮影の噂もありましたが、どうやら渡瀬さんの方だったみたい・・・・?(笑)

昭和レトロな2本

2012-01-15 | ドラマ・映画・舞台の感想
「大正浪漫」という言葉があるように、昭和もファンタジーとノスタルジーを込めて語られるようになってるなー・・・・と思う今日この頃。
このご時世に、日本の高度成長期を懐かしみ憧憬とするのは正直あまり気持ちの良くないものがあって、今までその潮流を良しとしないで来ました。
基本的に、懐古趣味な人ほど保守的で非生産的という印象が強いので。・・・・・

でも、『ALWAYS』と『とんび』の2本を見て、確かにもうこんな風景は東京ではほとんど見られなくなったよなー・・・・・とつくづく思いました。
木造の平屋も、文化住宅?といわれるような形態の団地も、都内ではほとんど見られない。
私は古い建築物が好きなので、ワリと意識的にそういうものを見ている方だと思うけど、ちょっと前までは同潤会アパートがあったし、東京タワーも現役で、閑静な住宅街なら古い日本家屋もちらほらはあった。
秋葉原や新宿も、有楽町も、昭和の猥雑な雰囲気を残す界隈も結構あったりした。
でも、今はどこもすっかり小奇麗になっちゃいましたねー・・・・。
新宿コマ劇場も閉館され、今度、東宝系シネコンができるようですが。
や、映画ファンとしてはすごく嬉しいんですけどね。歌舞伎町方面はなかなか足が向かなかったのは事実だし。東宝系の大きなシネコンが今までなかったのが不思議なぐらいだし。
だけど『ALWAYS』のクリスマスや正月の風景を見てたら、こんな雰囲気、昔はまだ残ってた気がするけど、いつの間にかなくなっちゃったよなー・・・・と。
具体的に何というわけではないけど、街の辻辻や、薄ら雪の積もった朝の空気感とか。
でも初詣に行ったり、お正月をおせちつつきながらまったり過ごしてたりすると、やっぱ変わんないなーと思ったりもするんですけど。(苦笑)
両親が健在であることをありがたく思うべきなのかな、と。・・・・


そんなわけで今回初めてまともに見ました。『ALWAYS三丁目の夕日』。
なぜ山崎監督が、昭和の東京に対してあれほどのノスタルジーと執着?を抱いているのか知りませんが、たぶんにファンタスティックだとは思いますが、昭和レトロブームの火付け役となった金字塔的作品なんだろうなー・・・・・と。
そのファンタンジーに、すんなりとはまってる堤さんは素敵だな、と。
初登場時のスーツに中折れ帽姿が、往年のハリウッド映画のスターを思わせるカッコよさでいっそロマンチックでもありました。
同じスーツ姿でも、スマートで峻厳で追い詰められてヒリヒリとした尾形さんの面影はどこにもなく、熱いけどざっくりしたところもある悪気のない下町のおっさんを演じてました。
志ん生の落語にあるけど、江戸っ子は「口は悪いけど腹は悪くない」んですよね。
洒落っ気があって新しモン好きで切り口上で一見居丈高っぽく見えるけど、意外と情が深くて繊細で、恥ずかしがって多くは語らないけど黙って力を貸してあげたりもする。たけしさんなんかが正にそのタイプ。
結構、堤さん、嵌ってたと思います。茶川にお金貸してあげるところとか・・・・もっと当たりが強くてもいいぐらいだけど、雰囲気出てるなー・・・・と思いました。


そして、同じく昭和頑固おやじを堤さんが演じた『とんび』。
これ、つい上を見ると前編と後編で評価がまったく分かれてておもしろいですね。
私は、前編はベタ過ぎると思って少しがっかりして、後編は一転してとても良かったと感じたタイプなのですが、まったく逆の評価をしている人も見受けられます。
前編は、ヤスが懇意にしている住職の説法説話が、どうにも私にはベタベタに感じられてしまって、かなり白けてしまったんですよね。
"人々の尊敬を集める知恵溢れる高齢の僧侶"に語らせる内容として、作者はあれを描いたわけでしょうけど・・・・・まあ・・・・作家自身はそういう人なんでしょうけど・・・・・私にはそれほど感じ入ることができるような説法ではなかったというか。・・・・
なんか作家自身の青さ人間性を、逆に感じてしまったというか。・・・・
ああいうのは、本当に難しいと思うんですよね。例えば、『グラディエーター』の中で、賢帝マルクス・アウレリウス老に何を語らせるか?とか。・・・・・それを考えるのは、現代人で重責を担ったことなどない若造で一般人だったりするわけで。・・・・
あの説法が性に合わなかったというのは、作者である重松氏の考え方やセンスが私に合わないからだ考えられるので、これは後編も嵌らないかな・・・・とかなり不安になったりもしました。
重松氏の作品は、これから先も読まなくてもいいかな、と思ったり。
でも、後編はとてもよかったんです。私にとっては。(笑)
前半は、ベタでステレオタイプなお涙ちょうだいの父子モノで、特長も独自の哲学も感じられない作品だなー・・・・とよく堤さんこの作品を選んだなー・・・・と思いましたが、後半はとてもおもしろかった。
特に、よくできた息子に甘えるオヤジ像が。・・・・(笑)
中学の時に仲がよかったとある人を思い出しました。親のデキが悪いと子供が良い子になる、というのはワリとリアルな話だと思います。
周囲が、ヤスを息子から自立(笑)させようと一人暮らしお試し期間を作ったり冷たく突き放したりして、共謀して画策する姿もおかしいやら物悲しいやら温かいやら。
実際は結婚もしてないし子供も居ない堤さん。ご本人も父親を演じる不安を口にされていましたが、なんの違和感も覚えさせず、典型的演技に逃げることもなくかといって大げさなこともなく、ブルーワーカーでひたすら息子を愛する愚直な男を自然に体現していました。
おまけに、おじいちゃん姿まで。(笑)
ついこの前まで、エリートでクールな尾形さんや松平副長を演じていた人とは思えないぐらい。
風雨に晒された樫の木みたいな顔や、過ぎ去ったやるせなさやもどかしさや、まっすぐに生きて来た朴訥さを映す黒い瞳が、ギラギラした壮年期のそれではなく、ヤスらしいその年代らしい厚みを帯びてて慕わしかった。
期待を裏切らない、本当にいい俳優さんだと思います。
それから、作品全体としては、昭和を再現するロケ地やセットや小道具大道具類もすばらしかったのですが、なにより運送業という業態の移り変わりをつぶさに見れたことがとても興味深かったです。
木箱・荒縄の荷を、身一つの人力で先を争って運ぶ姿から、ヘルメットに作業着のフォークリフトで運ぶ姿に変わり、最後の方では、バーコードで荷分けが全自動になり人力が必要とされなくなるまでに。・・・・・
ヤスの髪に白いものが増え、歩く姿からは覇気が薄れてくる。
時代の移り変わりが、なんともいえない懐かしさとともに自然に胸に染み込んで来ました。
細部にまでこだわりのある、誠実に造られた良い作品でした。

寿歌

2012-01-07 | ドラマ・映画・舞台の感想
6日に『寿歌』を観て参りました。

新国立劇場 小劇場
作:北村想さん
演出:千葉哲也さん
出演:堤真一さん(ゲサク)、橋本じゅんさん(ヤスオ)、戸田恵梨香さん(キョウコ)

この手の演劇の感想ってみなさんどうされているんだろう・・・・?あまりネット上では見かけない気がするけど。・・・・
まだ始まったばかりなので、ネタバレされたくない方もたくさんいるだろうと思われます。
おまけに、映画やテレビとは違い、"観た人"の人数が桁違いに少ないので今の段階であまりぶっちゃけるのもどうかと思いますし。
某事務所のコンサートみたいに何度も行かれる方も少ないだろうし、詳細なレポは適当ではない、のかな・・・・・?

あたりさわりのない周辺状況などをまずは少々。
小劇場なのでロビーも小さく、ぎっしりお花が並んでいる前に入場待ちのお客さんがたくさんいるので、じゃんじゃん写メができるような状況ではありませんでした。
私が見た範囲では、堤さんへは、岡田(准)さん、小栗さん、織田さん、お台場の亀P、お台場のドラマ班、お台場局(会社名義)、スマステ、某SグループのKさん、堤さんが出演されているCMの企業、等々からのお花がありました。
鶴瓶師匠からは、戸田さん宛てのお花がありました。(笑)堤さん宛てのもあったそうですが、私は見ていません。
客層は某Sグループのコンサートと丁度似たような感じの年齢層かなー・・・・と。女性が8割ぐらい。
でもかなりお年を召した男性のお客さんがぽつぽつ居るのが、ちょっと違うところかな。
男性客は、チャラ男風の人はまったくおらず若くてもスーツ着たような会社員風の人が仕事帰りによった感じか、もしくは、役者を目指してる人風な感じで。
出演者に対して、わーだのきゃーだの不躾な嬌声を上げるような観客はもちろんおらず、とても快適に観劇することができました。もちろんうちわ(笑)など掲げる人はいません。
じゅんさんファンの方もかなり居らしたようで、反応よく温かい拍手が湧いていました。
戸田恵梨香さんは舞台は2作目とのことですが、随分と難しい作品を選ばれましたね・・・・と。
でも若さゆえの屈託のなさがうまく生かされていたような気がします。
それにテレビで見るより彫りが深くて、眼窩が高く少し横顔が男性的な印象がありました。でも、真正面から見ると卵型の輪郭で眼も優しくて、女性らしくて可愛らしい感じ。いろいろな役ができそうで、今後も期待できる女優さんって感じですね。
さて、堤さんは・・・・・。

・・・・ま、私が書くことなど何にしても大したものではありませんが、一応、以下反転にします。
衣装についても言及するので、知りたくない方はご覧にならないようにお願いします。
がっつりした作品への感想は、上演が終わった時期に改めて書きたいと思います。





堤さんは、なんだかおもしろい役柄でした。
これまで観たどの堤さんとも違う。
おかん?!・・・・って感じで。(笑)
戸田さん演じるキョウコとは夫婦という関係ではないんですね。相方・・・・でもなく、かといっておとんという感じでもなく、おかんっぽい。
衣装は、とんび(にっかぼっかに地下足袋)+リクシル(ちゃんちゃんこ)、髪型は寝癖みたいな毛房が偏ったような感じでカッコいい成分は皆無。
その上、姉さん被りに割烹着着てご飯炊いたり、かいがいしく世話を焼き、まめまめしくテーブルクロス畳んだりするもんだから、「あんたはおかんか?!」って。(笑)
私的にはもう少しカラダの線がわかる衣装で見たかったかな・・・・。だって堤さんのカラダつきってせくしーじゃん。もったいない。
それに、堤さん風邪引いてるのかしら?と思いました。
第一声がちょっと絡んだ感じがして、最初、少し声が出にくそうだったような。
それに頻繁に鼻をすすっているようだったので、たぶん役柄や癖ではないのではないかと。
鼻風邪?
でも堤さんってスロースターターだな、と。・・・・・
他の作品を観た時もすごく思ったのです。立ちあがりはなんとなくスタンスが定まりにくい感じがあるけど、中盤から後半にかけての神がかりっぷりが凄いな、と。
この舞台も中盤辺りからは完全に情景、世界観を作り上げていました。
ウサギとトラのくだりと、最後の方の、キョウコにヤスオを追わせて一人になってからの独白シーンは、ゲサクが見ている風景がこちらからも見えるようでした。
ウサギの話は、震災の時に堤さん自身が感じた心境が反映されているのかな・・・・と少し思ったり。
夢遊病シーンのじゅんさんとの絡みは小学生みたいでかわいかったです。
刀持つと心なしか生き生きしてくるような・・・・?(笑)
超超長セリフのシーンもすごかったですね。一息で言い切った、って感じ。(笑)



そうだ、大事なことを・・・・
今日はとんび前篇の放送日ですよーーー!!!

年末のいろいろと新年のさまざま

2011-12-30 | ドラマ・映画・舞台の感想
済 12月23日:映画「永遠の僕たち」 加瀬、ガス・ヴァン・サント
済 12月27日:テレビ「容疑者Xの献身」 堤、福山
済 12月28日:テレビ「きらきらアフロ」 堤

1 月 5日:舞台「寿歌」 堤、橋本じゅん、戸田(~2月2日)
1 月 7日:テレビ「孤高のメス」 堤、夏川
1 月 7日:ドラマ「とんび 前篇」 堤、古田、塚地


クリスマスに「永遠の僕たち」を観ました。
クリスマス向けっぽいタイトルですが、クリスマス向けの内容ではなかったです。(苦笑)

私は中二病という言葉が好きではありません。
それを喜んで使う人のセンスも、常々どうかと思っていました。
しかしこの作品は、「これを中二病と言わずして何を中二病というのか?」・・・・という感じで。
他の言い方をするとすれば・・・・・ジュヴナイルもの?・・・・・ヰタ・セクスアリス?・・・・やっぱり違うな。やっぱ中二病がぴったりだな、と。・・・・
作品全体の雰囲気は、トム・フォード監督の「シングルマン」ととても似ている気がしました。
ファッションフォトを繋いだような映像とか、テーマが、愛する人を突然失った人間の戸惑いと再生なところとか・・・・。主役のデニス・ホッパーの息子が、「シングルマン」の最後の恋人役のニコラス・ホルトになんとなく似ていると思ったせいもあるかな・・・・。
(ちなみにこのニコラスさん、「アバウト・ア・ボーイ」のいじめられっ子を演じた人だそうで。驚くべき美しき成長っぷり・笑)

ガス・ヴァン・サント監督の作品は、「マイ・プライベート・アイダホ」「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」 「パリ、ジュテーム」「ミルク」の4本を観ていますが、「ミルク」で思い切り振り切ったような大人のゲイのシビアさから、一転青春モノに立ち戻ったかのような印象。
しかし、「マイ・プライベート~」の頃と違うのは、"若い二人だけの世界"の雰囲気系作品に終始はせずに、第三者の存在を置いて客観的な視点を入れた所かな、と。
その第三者の役が、加瀬亮さん演じるヒロシという幽霊。

元々一番観たかったのは加瀬さんだったのですが、彼はすばらしかったです。
彼の役柄も彼の演技も、とても良くて、ガス・ヴァン・サント監督の日本への想いが込められている気がして、嬉しくて涙が出てしまいました。
監督がなぜそこまで日本に思い入れがあるのか、また、なぜ加瀬さんを選んだのか、詳しい経緯は知りませんが、加瀬さんはまさに"あらまほしき日本人"を体現してました。(もしかしてサント監督は北野ファン?)
ヒロシは、知的で抑制が利いていて、繊細で敏感で端正な、好ましい日本人青年です。
どんな国のどんな人種の人間でも、彼には好感を抱くでしょう。
欧米人の監督がそういう日本人像を描いてくれたことが嬉しかったし、加瀬さんがそれを過不足なく表現していたのには感動しました。
英語も完璧で、何のひっかかりも感じずに観れたのも良かったです。
普通に英語で演技ができるので、逆に日本人であることをヘンに意識せずにいられるし、作品の内容に集中できる。
加瀬さんは「アウトレイジ2」にも出演するのかしら?
北野監督の目利きっぷりは相変わらずと言っていいのかな・・・・・?(笑)
今後の活躍が楽しみな俳優さんの一人です。


さて、27日は「容疑者Xの献身」が再々々?放送。
翌日も仕事だったので前半1時間ほど見て後は録画に任せてお風呂に入ってしまいましたが、ついが凄いことになってました・・・・。
「堤」検索のTLが3000件ほど溜まってて、追うのは諦めました。トレンドには、「堤真一」と「堤さん」「石神」が同時ランクイン。(笑)
やっぱヒット映画の認知度って高いんだなー・・・・とつくづく。
この勢いに乗って、未見の人はSP革命篇もぜひ見て欲しいなー・・・・と。
もちろん、新年の「とんび」も。

石神は堤さんが辛い役で、見ると苦しくなりますが、誠一郎役の時の堤さんはまったく逆の立場。
花岡に秘めた恋をして苦しむ石神が、「吉原御免状」では、勝山に恋い焦がれられる誠一郎に。
堤さんと松雪さんは共演が多いけど、役者さんってほんとおもしろいですね。
そもそも、堤さん自身が「冴えない石神役を完璧に演じてるけど、湯川役も問題なくできるよね」とか書かれてるのを良く見かけますけど・・・・。
今度の「シダの群れ」でも堤・松雪は再共演ですが、この作品ではどんな関係性になるのか・・・・楽しみです。


つるべタクシーについては、また別の記事で。
47のおっさん、めっさかわいかったーー!

Art Beat

2011-12-18 | ドラマ・映画・舞台の感想

バンデラスな堤さん。
正確には『バンデラスと憂鬱な珈琲』の演出のマギーさんと対談する堤さん。
たぶん当時45?ぐらいかな、ほんと若いよねー・・・・・。なんか透明感があるし。かといって精神年齢が低そうってわけでもないし。渋い役やれば渋いし。なんなんだろうこの人。
あ、椅子も描けばよかったな・・・・。

78歳のお母さまが観て大喜びしてくれたのが本当に嬉しかったみたいな堤さん。
「ミュージカル、ええなあー!あれは本当にお客さんたちもみんな喜んで!」とお母様。(笑)かわいい。
堤さんが出演した舞台はほとんど観てくれてるらしいのですが、どうしても暗いものが多いせいか、これはすごく楽しんでくれたとか。
なんか・・・・・考えちゃいました。
お母様から観ると、息子が不幸な生い立ちやトラウマや重い過去を抱えた役が多いのには、なんか思うところもあったりすんのかなー?て。
そんな不幸な人生を送らせた覚えはないのに、なんでウチの息子ってこんな役ばかり?とか思われたりもするのかしら。(笑)
でも、お母様ごめんなさい。
懊悩する堤さんの姿はもんのすごーーーく色っぽいのです。
とくに背中がよろしいのです。
苦渋に染まる表情もたまらんものがあります。
確かに楽しくてわくわくするミュージカルもいいなー・・・・と思いましたが、苦虫噛みつぶして辛さに耐える姿もすばらしいのです。
結局のところ、どんな堤さんもすばらしいんですけど。
『とんび』『Always』と、来年頭は昭和頑固おやじ系が続きますが、これはこれでまた切ない味わいがあってよろしいですな。(←何者)

土スタで『とんび』予告見ました。
なんか・・・・・なんか・・・・・なんか・・・・・はーー・・・・・っ・・・・・・・。
元もと父息子モノと犬モノにはめっぽう弱いのれす。
ダニエル・デイ・ルイスが出た『父の祈りを』とかも号泣しちゃったし。
あー楽しみ。だけどこわい。


さて、予告といえば。
天地明察』のトレーラー(ティザー篇?)がアップされましたね。
美しい明眸の春海こと岡田くんがいました。
あの眼は宝だな、と。

ほぼ同時期に『るろうに剣心』のトレーラーも公開されました。
こっちも期待の持てる感じに仕上がっててかなりテンションあがりました。
殺陣シーンすごい。
ついでも殺陣にはかなり力を注いだような書き込みがあったけど、確かに。
重量感と鋭さがあってリアルだった。
大友さんが惚れ込んでるらしいたけるん、いい俳優さんになりそう。


殺陣と言えば、ようやっと『必死剣鳥刺し』を見ました。
豊川悦司さん好きです。
でも、意外と、あまり悲壮感の漂わない方だなー・・・・と思いました。
それがいいのかわるいのかはわからないけど、こと藤沢周平モノに関しては、やっぱもう少し侘しさや肌寒さ、冷涼な湿気がそこはかとなく漂う方が好きかな・・・・と。
それに、私的には殺陣が期待ほどではなかったです。北川さんの『花のあと』の方が良かったな、と思ってしまいました。・・・・・
なんか、軽い感じがしてしまったような・・・・・?
鋼が、スチールとかアルミ製って感じで、振りまわした時斬った時の質量が感じられない。
身体の重心の取り方とスウィングの仕方のせいなのか、豊川さんも吉川さんも体格が立派だから、実際は刀剣に重みがあったとしても、軽々振ってるように見えてしまったのかも知れないけど・・・・。
振付自体は、間合いが近いのが気になったけど(でも室内だから敢えてかも)、よく造り込んであったような気もしたけど、なんか一閃一閃が軽いような気がして。
染五郎さんの『蝉しぐれ』の時とよく似てる。
ちょっと拍子抜けだったかな。・・・・

刀剣といえば、先日、NHKBSで放送してる『たけしアートビート』で刀鍛冶の吉原義人さんという方を取り上げていて、それを見てますます鋼の刃の重みってものを痛感しましたね。
『吉原御免状』のスチール撮影のシーンでは、本身を使ってましたけど、本物の刃の存在感と緊張感、美しさはやはり竹光とはだいぶ違うようです。
映画の本番の撮影で本身を使う必要はないけど、役者さんは、一度は真剣を握って見ることはとても重要だと思います。
それにあの美しさはやはり世界に類を見ないものだと思うし、魅惑的なものです。

余談だけど、この『たけしアートビート』って番組、とてもおもしろくて毎週楽しみにしています。
これまでの放送の中で特に印象に残っているのは、タップダンサーのセビアン・グローバー、ストランドビースト創造者のテオ・ヤンセン、ガラス作家のブルーノ・アマディ。
アートを介すると、人と人は一瞬にして普通じゃできないような濃いコミュニケーションをとることができるのを目の当たりにできる、というのもこの番組の見どころかな、と。・・・・
『アマデウス』という映画の中で、「僕自身は下卑た人間だけど、僕の創る音楽はそうじゃない!」というようなセリフがあったけど、武さんって御自身も少しそういうところがあって、でも会いに行くアーティストさんたちは皆武さんの映画を観ている方々だから、武さんに対してまったく垣根を作らず、たぶん普通だったら見せない言動までしてくれるというか。・・・・
ま、そもそも、映画監督・北野武が相手だからこそ、取材に応じてくれているのだと思うし。
そこには、「ああいう作品を創る人だから」という視点が、あるのじゃないかと。
それは単純な、"バイオレンス作品だから狂気じみてる"とかいうものでもなくて、もっとその底の底に流れてる美意識とか矜持とか・・・・・堤さん風にいうなら、「生き方」みたいなものかなー・・・・と。
作品が語るものってすごい濃密。反面、赤裸々で怖い、という側面もある。
演技にしても歌にしてもアートにしても、同じかも知れないなー・・・・と。

バンデラスと憂鬱な珈琲

2011-12-11 | ドラマ・映画・舞台の感想
これを見るためにWOWOWに入りました。

『タンゴ・冬の終わりに』もぜひ放送してください!
堤さんの過去作品で一番観たいのがこの『タンゴ~』なのに、DVDはないしテレビ放送予定も(今のところ)ないし・・・・・。
お願いします。お願いします、WOWOWさん!
もし映像を持っているんだとしたら『タンゴ~』も放送してください!
関係者各位もお願いします!


・・・・ということで、視聴料金払ってまで見たバンデラスですが、実は結構迷いました。
まずタイトルからして正直あまり興味を惹かれなかったし、演出・脚本がマギーさんと福田雄一さんと聞いて・・・・。
マギーさんの本はブス恋とこち亀で何度か見たことがあります。
福田(雄)さんは33分探偵と東京DOGSで。
ま、この4本の感じからして、だいたいどんな作品なのかは想像がつくというか・・・・・。
お二人とも、ドラマや映画の脚本家や劇作家というよりも、放送作家という印象が強い作風ですよね。
バラエティの中のコント台本って感じ。
軽いノリのサブカル風味がそこそこはおもしろいけど、作品としては特に感じ入るほどじゃないし、リアリティの欠片もないっつーか。・・・・どたばたコメディにリアルを求める方がおかしいのかも知れませんが。(苦笑)
その生々しさのないマンガっぽさが、売りというか特徴なのかも知れませんが・・・・でも軽妙洒脱、とまでは至っていないような。ナンセンス?・・・・シュール、でもないし。・・・・・
意外に人情色が強くて、下衆っぽい嫌な感じは受けないんだけど、でも毒のなさが物足りなくもあって。
だからリアルさに欠けると感じてしまうのかな?

別にシリアスでシビアでリアルであればあるほどいい、というわけでもないけど、あんまりにも実がない感じがすると、なんだか観ていることに虚しさを覚えてしまう時がある。
・・・・というんで、このバンデラスも見るべきか見ざるべきかだいぶ考えてしまいましたけど、でも出演者がいい(特に小池栄子さんが見たかった)ので、見てみることに。
大抵5000円以上はする舞台のDVDのことを考えると、3000円かそこらの視聴料は安いし。

で、見てみた感想は。・・・・
思った通りの作風だなー・・・・という印象だったけど、可もなく不可もなくでも気楽に愉しめる他愛もない作品もありはありなのかな、と。
堤さんは、ご自身も仰ってたけど重い内容暗い役が多いので、こういうのも偶にはいいのかも。
ドラマの脚本の時より、よく練り込んである本だったような気もするし、オチはかなり好きです。
それに貴重な「歌って踊る堤さん」が見れたし!(笑)
劇中劇の、素人役者がミュージカルをやる「演技をする演技」のシーンだったけど。
堤さんの歌う姿はなんだかすごく誰かを思い出させるんだけど、誰かわからない・・・・『スウィーニー・トッド』の時のジョニデかなぁ?・・・・ブラピっぽくも見えるし。
歌は下手じゃないけど、上手くはないですね、たしかに。(笑)
でも声はいいから訓練すればミュージカルもいけるんじゃないかって思っちゃったけど。今からじゃ50の手習いになっちゃうか。
衣装は基本ベージュのスーツに赤いタイ、キャメルの革靴にトレンチ、ハットという感じでカッコいい。スタイルがいいから何着ても似合う。
バグズ軍曹の時の、革ブルゾンにティアドロップサングラス、軍帽姿も嫌いじゃない。
このバグズは特に、今まであまり演じたことがないようなタイプなんじゃないかなー・・・・なんかヘンなタフガイ感がおもしろかった。
香田さんと同じパイロット(空軍爆撃機)の役だけど、香田さんとはまったく違うタイプの指揮官で。(笑)
ミュージカルな堤さんとバグズな堤さんは初めてみる感じでとても印象的でした。

まー・・・・・でも、他の方々もキャラが濃ゆい人ばかりで。(苦笑)
小池さんは期待通り、濃いわけたたましいわ強烈だわおもしろいわで。笑わせていただきました。あそこまでやりきられると、やり過ぎ感も逆になくなるってもんですね。
蝉之介さんは顔からして濃いし、克己さん、段田さんは、相変わらず巧みで。
中村倫也さんは初めて拝見しましたけど、この濃い面々の中で若さを生かした存在感が光ってました。
トラックの中の痴話げんかシーンが好き。(笑)受難なバンデラス。
迷惑な同乗者ってパターンは大概おもしろい。ロバダニのデューデートとか。
それから、高橋由美子さん。歌も踊りも上手なんですね。
先日、つい上で「『英国王のスピーチ』を舞台で日本人キャストでやるとしたら誰がいいか」という呟きをしている人がいて、ジョージ6世=堤さん、ローグ=橋爪さんと書いてらしたけど、エリザベス妃は誰がいいかは書かれてなかった。
高橋さん、いいかも・・・・と思ってしまった。
前向きで腰が座っててしっかりしてて、でも可愛らしいところもあって・・・・・と考えると、大竹しのぶさんとか小泉今日子さんとかありがちな人しか思いつかなかったけど、高橋さんも良さそうだなー、と。
にしても、ジョージ6世な堤さんとローグの橋爪さん、観てみたいなー・・・・!


本編の後に入ってたマギーさんと堤さんの対談については別の記事で書きたいと思います。
役が入ってない堤さんは、憑きものが落ちたかのような独特の透明感があってとても綺麗ですね。
お母様の話もすごくおもしろかった。