銀うさぎの庭(お人形日記)

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「コード・ブルー」第11話

2008-09-12 | テレビ等の感想

「コード・ブルー」最終回・第11話『生と死』の感想です。

一部ネタばれを含みますので、まだドラマをご覧になってない方はご注意下さいませ。

高速道路のトンネル内での多重衝突事故という大規模な事故現場を背景に、
翔陽大学附属北部病院救命救急センターのドクターたちの決死の活躍とそれぞれの成長を描いたお話でした。
個々の事例は長くなりますので、省略します。
今回、ドラマの時系列は全く無視して感想を書いております。


一番気になったのは、やはり、ガソリンが漏れてトンネル内に充満した時、退避命令にもかかわらず、
指導医の三井を始めとして、藍沢たち全員が一人の患者の治療を続けたことでした。

トラックの下敷きになったその男性の治療を今中断したら、ほぼ確実に亡くなってしまう……と分かっている状況で
置き去りにして退避することは医者としても人間としても、ものすごく辛いことだと思います。
しかし、ガソリンの引火による危険性を考えると、一刻を争う事態だったのではないでしょうか。

ガソリンが非常に引火しやすいことは一般に良く知られています。
ガソリンスタンドの静電気除去シートの存在は多くの方がご存じかと思います。
また空気よりも重いので、今回のような密閉された空間に近いトンネル内では、かなり広範囲に広がっていたのではないでしょうか。
事故車の電気系統のショートでもあれば、蒸気となったガソリンが一気に燃焼爆発し、大規模な二次災害を引き起こした可能性を否定できません。

結果的に爆発は起こらず、無事に救出した患者さんをストレッチャーに乗せてトンネルから出てくるドクターたちの姿はまさに「ヒーロー」でしたが、その認識の甘さに私としては納得できない気持ちが残りました。

事故後、例によって安全管理委員会でレスキューの退避命令を無視して治療を続けたドクターたちの責任が追及されました。
救命センター部長の田所良昭(児玉清)が委員たちの矢面に立ちます。


「事故や災害現場に医師が行く、ドクターヘリに危険が避けられないのも事実です。
どうすれば安全にドクターヘリを運航できるのか、そこを皆さんともっと議論を深めたい。
廃止ではなく、存続を前提として」

「フェローたちに何らかの懲罰を課すべきではないですか」
と詰め寄る委員に対して、

「彼らに必要なのは罰ではなくて、再教育なのではないでしょうか」と田所は答えました。



緋山がヘリで重症患者を搬送中、容体が急変し、黒田の指示を仰ぎながら処置をするシーンがありました。
ドクターヘリやドクターカーなど、医者が現場に赴くタイプの医療ですと、当然ながら予想外の事態が起きることがあります。
病院のように多数のスタッフの協力もありませんし、医療器材や治療薬に頼ることもできません。

そう考えますと、ドクターヘリやドクターカーなどに搭乗するドクターは一通りの治療ができる、かなりベテランさんでなければならないのです。
ドクターヘリ・ドクターカーの普及を考えた時、ここに高い壁があることに気づきました。
熱意があり、かつ優秀な人材の確保は、設備や金銭の問題以上の難問だと思いました。


最終的に、それぞれの登場人物たちが個人的に抱えている家族、恋人との関係はきれいにまとめられていました。
さわやかなハッピー・エンドで良かったと思います。


多少不満が残るとすれば、外科医としての腕を失った黒田の苦悩があまり感じられなかったことでしょうか。
比較するのは申し訳ないですが、海外ドラマ「ER」の名外科医ロバート・ロマノ先生もやはり事故で左腕を失いましたが、本当に苦悩していました。

黒田先生も息子の健一君に「お父さん」と呼ばれたりして、満足していたようですが、ちょっと違うような気がしました。
周りのスタッフが温かく黒田を受け入れていたり緊急時には司令塔として活躍したりして、本人なりに気持の折り合いをつけているのでしょうが、
半生を外科医としての修練に捧げて来た筈なのに……と思います。
まあ、「人知れず苦悩しているのに決まっているでしょ。行間を読め」と言われれば、その通りなのですが。

それにしても、健一に黒田が実の父であると教えて父子の対面をさせてあげた元奥さん、すてきな方だ!と思いました。
当初、ヒステリックな登場の仕方でしたが、最終回は本当に魅力的でした。
健一も素直に黒田を父親として受け入れていて、これは普段から奥さんが黒田のことを悪く言ってはいなかったのだな~と勝手に行間を読んでみたり。
黒田も惚れ直したでしょうか?



ラスト、ホワイトボードに書き込まれた、

   死者 12名
  重傷者  6名
  軽傷者 42名

の文字を前に、助けられた命と助けられなかった命に思いを馳せるドクターたち。
無機質な文字で描かれた数字の一つ人つに逆にそれぞれの命の重さを感じられました。


屋上で青い空を眺めながら語り合う黒田と相沢。


「人はいつか必ず死ぬ。
医者にできることは結局、死ぬまでの時間を、ほんの少し延ばすだけのことなんじゃないでしょうか」


と医療の限界に悩む相沢に、黒田は一つの答えを与えます。

「その通りだ。それが十分かもしれん。
一時間、一日、一年かもしれん。
だが、そのわずかな時間が時に人生の意味を変える。
そのために腕を磨く。そのことはけして間違っちゃいない。俺はそう思っている。
それが全てってわけでもないがな。
腕を切ったのがお前で良かった。俺は生きて、息子に会えた」


生きているっていうことは、それだけで素晴らしい……と実感できる黒田の言葉でした。
もちろん、QOL(人生の質)も大事ですから、それはまた別のドラマに期待したいと思います。


そして、事故現場で、全力を尽くしても負傷者を助けられなかった時、


「ここで悲しんでいられない。俺たちは助けられる患者を助けるんだ」

と次の負傷者を救うためにすぐに相沢は立ち上がりました。
臨機応変に様々な症例に対応でき、なおかつ即断即決できる藍沢はとてもERドクターに向いていると思いました。



昨日の9月11日は、アメリカの同時多発テロ、9.11の日でした。
この時にも救助に入った多数の消防やレスキューの方々が二次災害に巻き込まれてお亡くなりになりました。
「コード・ブルー」の最終回が9月11日に放映されたのは偶然なのか意図されたものなのかは分かりませんが、
事故や災害の現場で働く方々について色々考えさせられました。
以前にも書きましたが、その方たちの安全を心からお祈りしたいと思います。

また、ドクターヘリ・ドクターカーにつきましては、普及には様々なクリアしなければならない難問があるかと思います。
しかし、他局で地域の拠点病院が閉鎖の危機!というドラマが放映されていたように、
今後は病院の統廃合によって、限られた大病院で広域をカバーしなければならない時代が来ると思います。

もちろん一番良いのはその他局のドラマのラストのように拠点病院の存続ですが、
既に現実に、県境をまたいで患者のたらい回しがされ、結局命を落としてしまった、という悲しい事件もありました。

理想論かもしれませんが、命の価値に地域差があってはなりません。
一つの解決策としての、ドクターヘリ・ドクターカーの認知と普及を願いたいと思います。

そして、2009年新春にスペシャル番組が放送されるようですので、この辺りも是非掘り下げて欲しいです。

それでは、私の拙い感想にお付き合い下さった方がいらっしゃいましたらここでお礼を申し上げたいと思います。
ありがとうございました!

*画像はジェニーです。

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