蟻の巣通信 by GIGA SPIRIT

美容師のための美意識開発 蟻牙スピリッツがお届けする蟻の巣通信です!ホームページへはBOOKMARKからどうぞ!

背中のゲバラに

2012-10-24 | ★GIGA嵐の予感と五感★

2012年10月24日(水) 晴☆

…昨日の劇的天候がウソのよう。窓からは穏やかに光る朝の海が見える。ブラインドをカーテンに取り替えたせいで左右の不要な光を消せるようになった。逆に上下の調節がきかない。当たり前だ。海が見える目の高さと手元の光だけでいいのに、と思って、Tシャツとポロシャツをつるしてみた。不細工だけど実質的には具合がいい。でも? これで毎日つるすシャツを変えれば、下の通りから見たら暗号めいて怪しいだろうな。船の国際信号旗みたいに…。寝起きの血圧調整にしては、けっこう面白いアイデアだった。
▼湘南新宿ライン→池袋→東武東上線。こんなコースで初めての街へ。夜のサロンセミナー会場は、駅前のショッピングビル内だった。だから実質そこで見かける人たちと当夜の人気サロンの美容師だけで、僕はおおよそ、その街のファッション前線を判断する。美容師が地域のファッションリーダーになっているかどうかは、サロンの大事な将来予測だ。皆さん見られる職業の意識を有効に。センスの見本になってほしい。
▼アリミノのフォトコンと作文コンテストの授賞式に。服をデザインする人~試作や縫製などで職人技を使う人~できた服をショップで売る人。彼らはすべてファッション産業の人です。美容師は、創る~作る~売る。この行程をすべて一人でやる。クリエーターと職人と販売サービスを一個の人間でまかなう。だから大変。だから評価されていい。だから差がつく。何よりも、いまどきファッション(服)を上位において、自分はただの職人ですなんて萎縮した考えの人はいないでしょう。だってお客様は服を着て店に来る。その服と内面は限りなく一致している。ヘアを作るとは、服の持つイメージのコードや美意識を読み取ることなんだから。
※特に美容学生は初めが肝心です。夢なんて言葉は使わない。もっと、欲望を大きく持て。
▼その帰り、東横線横浜駅の地階ホームから地上へあがるエスカレーターですれちがった下りの人……小柄な白人中年男性。ん?振り返って背中を見て「お、久しぶり!」と思わず声をかけそうになった。緑のアーミージャケットの背にチェ・ゲバラのイラストが描いてある。退院後初のパリ行きのとき、成田空港のAFサテライトで写真を撮らせてもらった。「撮ってもいいよ」と自慢そうに言ったっけ。アーチストか。僕は風神雷神図のスカジャンをもっているけど、しょせんコンピューター刺繍。機械的リアルは手描きのアートにかなわない。ずっと下の方に行ってしまったカラフルなゲバラが笑ったように見えたな。メルシーとかサンキューとかグッドラックとか、声に出さなかったけど、一瞬の感謝の情が湧いた。
★うちの季節はずれの夕顔はますます盛ん。2~3日前は白い大きな花を8個も咲かせていた。夜間のウオーキングをする人たちの間で話題になっているらしい。


朝の曲

2012-10-19 | ★GIGA嵐の予感と五感★

2012年10月19日(金)

…まぶしくて目が覚めた。(自宅)窓から見える長浦湾は一面の銀の鱗。対岸の倉庫群は影の中で三角屋根の片方だけが光る。これからの好きな風景だ。こんなときにぴったりの曲がほしいと思う。とりあえずそこらにあったもので作った立体のコラージュが写真。気分は7割くらい表現できてる。誰か朝のいい曲を教えてほしい。
▼日本橋三越へ「イジス写真展」。その前に高島屋の脇に出ている靴磨きへ。新品初日にこすったつま先をきれいに塗ってもらうため。その日の必要度からいけばこっちが重。小柄のおばちゃんのプロの腕に感謝!
で…気分が良くなったせいか、レトロなパリの風物は廃墟も貧しさもすがすがしかった。誰の写真か知らないまま、忘れがたい記憶になっているものがいくつもあった。そうか、この人だったかと小さな感動。長年ほったらかしの謎、好きなものの空白がスポッと埋まった。
▼ココア出版の会員メルマガ「ビューティクリップ」に今年の最終原稿、<美容師っぽい>を入稿。71年から見てきた美容師像(見られ方)の変化を短い原稿に、正直に書いた。
▼年1回の青春“江ノ島会議”。今年は肌寒いあいにくの曇天。「富士見亭で西日を見る会」は中止。弁天さまを拝んで山を下り、江ノ島水族館へ。前評判通りけっこう楽しめた。縦構造重視の水槽は迫力満点。最後は一軒しかない駅前のバー&レストランでかわいく飲んで散会。簡単には「ただの老人」になれない世代の悲哀と開き直りを大いにに笑って。
▼コンテストシーズンだ。夜の中堅クラスに「明日××に出るんです」という2人が。アイパッド見ながら念のためのアドバイスをする。そこへ南の方のサロンから電話。「スタッフ3人が入りました!」と喜びの報。! アイデア段階の作品を見てほしいと訪ねてくる者も。挑戦するものの顔は皆輝いている。
★20年代/60年代。ファッション他多くの流行ものに影響している二つのディケード。服飾以上にへアが重要な記号にもなるので大事だ…とベテラン組にも、オーナー組にも。しかしこの二つが浮上すること自体、混迷の証だ。本音は楽観への願望さえ消えかかる今の状況に「もう信じるしかないでしょう」という開き直りだ。でも美容師はやけっぱちな下方修正なんかしちゃいけません。逆です。絶好機です。ヘアで語れる100年をヘアショーで表現してみたらいい。今こそ歴史は美容の見方だ。




缶詰の日

2012-10-10 | ★GIGA嵐の予感と五感★

2012年10月10日(水)晴

…白い大きめの朝顔?くらいに思っていた夕顔が、実は夜になると大きく、妖しく咲く。「異」!その大きさと怪しさに驚いている。擬人化された歌や物語が容易に想像できる。通りを行く人にも楽しんでもらっているらしい。それにしても今どき咲く花なのか? 種をまいた本人は、そういうことには全然興味がない。咲けばいいんだって。
▼台風に追われて北の街へ。写真は翌朝の大木のイチョウの根元。強風でちぎれ落ちた銀杏の緑が鮮やかだった。「極」。その夜は日本ハムのパリーグ優勝が決まり、ちょっとした騒ぎだった。タクシーに乗ると街のうれしさが伝わる。「幾」「絶」!
▼渋谷で新しいクラスがスタート。“旧街道”道玄坂を登っていくつもりが、気がつけば近道(マークシティ)を抜けていた。10年ぶり?の朝の東横線は、無意識のうちに長年の(通勤の)習い性を思い出させたらしい。しかし帰りも、気がつけばマークシティの中で遅い午後の軽食。足が向かなかった…道玄坂に。何だかただ汚くなった気がする。昔、途中の風景が好きだった。ある建物が壊されてから変わった。坂道の良さを感覚的にわかっていない人の計画だ、ありゃ。一杯の白ワインで、風景のノスタルジーにひたった。「時」!
▼今朝、TVで今日は「缶詰の日」だと言っていた。明治10年10月10日に、初めての缶詰工場ができた日だとか。昔から缶詰が好きで、変則5畳のアパートに一人暮らししていたとき、主要家具=机の引き出しはどこも缶詰で一杯だった。輸入物にこっていて、ジャムやペースト、サーディンは南欧、西欧、北欧、東欧、米国、カナダ、ソ連と主要各国が揃っていた。コラージュ用にとっていたラベルは、もう一枚も残っていない。惜しい。ルーマニア産のローズペタル(薔薇の花弁)ジャムはビンの形もラベルの絵も良かった。あの素朴なヘタウマ感覚…と、妙なものに感傷的になった。「幾」「時」。
★珈琲屋の親父から連句の挙句が届いた。これで3年がかりの一巻が終了。異例の長期戦は不足、懲りすぎ、ずれいっぱいだろう。でもそれだって大いなる反省会(=飲み会)の素材だと思えば、ちょっとしたアテ、つまみだ。この時代に手紙、はがきの往復は間延びの要因だった。しかしこれも、流行のハンドメイドの一つだ。「擬」「極」。