軽やかに

２０１１年６月２４日（金）晴　


▼昨日は二日続きの晴れ間＆ムシムシ真夏日。午前中のクラスは非常窓を開けてやったけど、午後からはもう無理。いくらかでも節電効果を、とサーキュレーターを買ってきた。本番の夏が…いや、どうなるやら。受講者には着替えのＴシャツ持参で、と言っておいた。今こういう体験をすることは意味がある。新たな価値や喜びを知るために。必要なのは復旧じゃなくて新創造ってこと、かな。
▼ココア出版／アリミノでの今年の特別３回セミナーが終わった。ビジュアルと接客をつなぐ基本のキ、要点のみの一気貫通は、初めての人には情報量が多かったと思うけど、忘れた、覚えてない、はぜーんぜん気にしないでいい。胸や脳に残った磁石みたいな核を大事に。必ずそこに欲しいものが集まる。忘れたものは、必要になったらくっついてくる。自分で「これからの美容」を面白くしよう。その気持ちだけはしっかり。
▼新聞にあった作家車谷長吉の顔写真に見とれた。坊主頭のいや、きれいな円形！端正な文章書くんだろうな。今度１冊読んでみよう。…こういうきっかけもあるんです。
▼スタッフの声が大きい。杉崎も山崎も、つられて安藤も。二人は“老母サービス”の習慣から、いよいよ。一人は子育てからの開放感と先天的ネ明性から。僕はそのなかで鍛えられている。マイク無しの「節電」も、協力になるか？
★この自転車、福岡で見かけたものだけど、涼しげで可愛くていい感じ。知らない間にチャリがカラフルに機能的に進化していた。地方の大都市に行くとそれがよく分かる。マナーもちょっと前まで主流だったアジア的ゴチャゴチャから、北欧風すっきりに変化の最中だ。これはデザインの力だと思う。街の風景のディテールが変る。…横浜は福岡に負けてるな。

逆境を好機に

２０１１年６月１６日（木）曇り

▼先日ある人がマンゴーを送ってきてくれた。色、形、重さ、匂い。素晴らしい南の恵みにたくさんの言葉がうごめいたけど、残念ながら詩にも俳句にもならない。ここは素直に自然の力、恵みの豊かさに感謝だ。もちろん送ってくれた人の個性的な顔と生き方を思い出しながら。
そしたら頭は勝手に別のことを考えた。同じように美しい果実や野菜の表面に異を感じる（ことから始まる）「風評被害」だ。良し悪しではなくて、まず「悲しい」。これって何に対する冒涜だろう。
▼一昨日みなとみらい地区の汽車道を歩いていて、見かけた。並木の桜にびっしり付いた黒い実を背伸びしてもぐ。手のひらに乗せて見つめ、さわり、匂いをかぎ、手を少し閉じてぶらぶらと。オジサン…迷ってるんだ。
▼カットしてもらいに今回はちょっと遠征。早く着きすぎて店の近くを歩いてみた。神社があって、鳥居の後ろに黒々とした大きな桑の実が鈴なり！　思わずいくつかつまんで食べてみた。水っぽい…？　そういえば昨日雨がふった…と思ったとたん、頭のどこかでチリっと脳が針のような点を打った。
「洗ってから食え」。いくら親に言われたって、もいだその場で頬ばるのが子どもの掟みたいなものだった。でも、それは昔。今、家の庭にはブルーベリーが実をつけている。やがて熟すけど…もう。天真爛漫な野生が危機に瀕する時代は、苦い。
▼多くの人が反原発か脱原発を心に決めていると思う。その間の時差は自分の心との折り合いだ。感じていながらもどこかで見ないようにして、これまでただ豊かさを享受してきた。そういう自分の後ろめたさを認めた上で、これが間違いなく転機だと思う。
「出るゴミがとてつもなく有害で、その捨て場所がない。それが増えていく」
もう、この事実から眼をそむけることはできないな。
ファッション写真が様々な危険を演出するのも、「過剰な豊かさは貧しさ以上に危険」という警告なのだ。きっと。
★そういえば震災以来ＧＩＧＡ「サロン」クラスでは、皆が、自分で、十分に考え、未来や子孫をできる限りリアルに想像して判断しようと話してきた。いつ国民投票があってもいい準備をしておこう、と。考える美容師にとって、逆境は好機です。

福岡・原宿・横浜で

２０１１年６月１１日（土）雨後曇

▼①ファッション関係の写真…に表現の変化がくっきり。ホンネがありあり。②社会の出来事をライフスタイルゾーンにはめると、時代の本質と方向が見える。両方から美容が今求められている姿が現れる。右肩上がりでもなく安全神話も崩壊した後の（いや、だからこそ）今、希望と元気の素を作る美容が力を発揮する。社会の評価軸がぐっと競りあがるのを実感している。福岡でのシンポジウムで、九州各地の気鋭サロンとそんなことを話してきた。連鎖させよう！この元気を。今を生きるために崩しや奇を作る人間が、まっすぐ前向いてシャキッとしている。その姿がかっこいい。
▼原宿で終日セミナーをやって、表参道までゆっくり歩いて、「感じて」きた。ファッションだけでなくあらゆる商品の生え抜きや老舗が、高級や斬新がしのぎを削る。このハイテンションは気持ちいい。歩きながら充電している感覚を楽しんだ。ずっとこのエリアで仕事していたときよりも温度差や風向きなど、より繊細に高感度に感じる。地方からこの街にやってくるメリットがよくわかる。珈琲屋と洋書屋、レストランカフェ、居酒屋で人を観察してきた。さっそうとした人はまず、ヘアが素敵に決まっている。
▼横浜郵便局前の“ホームレスの人が販売する”「ビッグ・イシュー」を買って、彼と一言二言。しかしその前向き、雄弁、健康、知性…？僕には彼が何故…がわからない。どこかの企業から正社員登用の誘いがかかってもおかしくない。日焼けしてなに人か分からなくなってきたけど、がんばって！
▼節電中の蒸し暑い小さな蟻の巣で、大企業の管理職社員と熱い話をした。クールやアンニュイやシャイ、またはただの気弱、あるいはそれが自分のキャラだと思い込んでいるだけの…（しかし実は）“期待の人材”にどうブレイクスルーしてもらうか、という話だ。
★福岡天神のバス停にオッサンになった永ちゃんが吠えてた。やる気、と本気だよね。この人からもらえるのは。自分を信じて行動する人＝ロマンチストが「突破」するのだ。いつの時代だって。

梅雨の晴れ間に

２０１１年６月３日（曇り）

▼６月だ。梅雨の晴れ間に歩いた。白薔薇と白い紫陽花に目が留まった。湘南の海岸近くで、一斉に咲いたドクダミの原っぱを発見。こっちは地味な白だけど、力強かった。日本再生はこの線かな。
▼ニュース見るのもアホらしくなるようなチンケなドタバタ騒ぎ。政治の崩壊は今年の異変の最大級だ。最近うちのマネージャーの「ったく！」が朝からうるさい。向こう岸の傾きいよいよ度を増すばかりだけど、こっち岸の美容師は今こそ視野広く、必要と「まっとう」に徹しよう。「知の美容」の精度をアップしよう。
▼『＋ＩＮＧ』の石丸君がバックナンバーをダンボールいっぱい持ってきてくれた。僕の連載がある号を全部調べたらしい。途中２回の休載を除いて３２～３３回分ある。ハービー山口さんのモノクロ写真＆エッセーに続く頁という構成で、長いこと書かせてもらいました。読んでくれた方には、とりあえずありがとう。いつか他誌に書いたものなどもまとめて一冊に？とも考えています。ｂｏｙの新メディア／基地／海外サロンの新たな融合と進化を楽しみにしてます。

★★★実は僕のところも、今年は区切りの年。
０１年、独立して美意識開発セミナーを始めて１０年。この間横浜の蟻の巣と、アリミノ＆ココアで何千人もの人と出会った。「美意識の芽」を含む５冊の本を作った。ずっとどこかの雑誌に連載原稿を書かせてもらった。一般ＯＬからアパレルまで異業種でのセミナーもあった。それでも僕は最終的に「美容師のための」という看板を下ろす気はない。で、今後は人の「本」を作ることはない。そこで出版を柱にした株式会社は解散する。五十嵐個人となって身軽に活動するつもり。右足はヘア＆ビューティの批評活動。左足は教育セミナー。軸足は左です。美容師のための「少人数エリートセミナー」、地方のサロン単位の「移動教室」を開始しようと思っている。
※来年からになるけど、興味のある方はどうぞお早目のご連絡を。