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ペットシッター・ジェントリー ☆書籍出版までの道のり

愛知県でペットシッターを営んでいます。初の著書『ペットシッターを知っていますか』の出版までの経緯を詳しくご紹介します。

5. 元になったもの その2

2017年11月06日 14時38分52秒 | 出版までの道のり

前回は本の第3章までについて、何を元に文章を書いたのかをご紹介しました。今回はその続きです。

第4章「ペットシッターであり続けるために」では、僕が普段どんな方針で仕事をしているのか、作業では具体的にどんな注意をしているのか、などを記載しています。僕としてはかなり本音を吐露した部分であり、書くのに少し勇気がいりました。
 本文でも書いていますが、僕はこの本を、読んで実のあるものにしたいと強く願っていました。あたりさわりのない内容では、結局誰のためにもならないと思ったからです。だから勇気を持って書き進めました。結果として、おそらく他のペットシッターさんが書かないような独自性のある内容になったと自負しています。本を読んだ方から、「春名さんの人柄が現れていますね」と言われたことがありますが、おそらくこの章のことではないかと思います。また、「こんなところにまで気を配っているんですね」と言われたこともあります。これはおそらく、メールや報告文での言葉遣いのあたりかと思います。

口頭で伝えるのと違い、文章でのやりとりは思わぬ誤解を生じることがあります。そして、そのことに無自覚な人もけっこういます。それでも、他人からもらったメールの言葉がやけに冷たく感じられたり、詰問されているような気持ちになったことは誰にでもあるかと思います。ネットでの議論なども、ほんの些細な言葉のチョイスが原因だったりします。ペットシッターは他の仕事に比べてなお一層、信用が第一であり、すこしでも嫌な気分を持たれてしまえば次の依頼が来ないことにもなります。そのあたりは充分すぎるくらいに気をつけて作業をしており、本章ではそのことを詳しくご紹介しました。

この第4章にも、元になった文書があります。スタッフの研修用に作ったいくつかの資料の中に、ペットシッター・ジェントリーの基本方針をまとめたものがあります。これは、スタッフが研修をほぼ完了し、これから開業するという時点で、最後の研修として使うものです。
 ペットシッター・ジェントリーの一員として働いてもらう以上、僕の考えていることを伝え、共有してもらう必要があります。文書では、基本理念からはじめ、それを元にした具体的な作業例がまとめてあります。研修では、この資料を基に口頭でいくつか補充をするのですが、それらをすべて含めて文章化していきました。

第5章「お客様やペットとのふれあい」では、仕事を始めてからの体験、お客様からいただいたお言葉、それらから得た教訓や信念を紹介しています。心に刻みつけられるような出来事はずっと忘れないものですので、それらを忠実に文章化していきました。お客様からのお言葉は、Webサイトに掲載しているものをほぼそのまま使いました。

巻末の「おわりに」では、ペットシッターの将来や、これから続けていくにあたって思うこと、などを随想的に書きました。報告書の見本を2種類、添付してありますが、これはどちらも実際にお客様に提出したものを、お客様の氏名をイニシャルにした以外はそのまま載せています。

これで元になった資料の紹介は終わりです。次回からはいよいよ、出版に向けてどういうアクションを起こしていったのかを、お伝えしていきますね。


4. 元になったもの その1

2017年11月02日 13時28分04秒 | 出版までの道のり

本を書くにあたり、これまでに自分が書いた文章のいくつかを使うことができました。たとえばその一つが、スタッフ教育用の資料です。
 2010年に岡崎市に引越をして以来、別の地域でペットシッターを養成することにも積極的に取り組んできました。この際、ペットシッターという仕事をほとんど知らずに応募してこられる方もいますし、知っていたとしても、あらためて詳細な作業内容を説明する必要がありますので、最初に2時間ほどの初回講習を受けてもらいます。そのとき使う資料に作業内容のあらましが書いてあり、まずはこの内容を軸に本の執筆を始めました。初回講習はもう何度も繰り返していて、そのたびに口頭で細かい点を補充したりもしますが、そのあたりも全て文章化し、よりわかりやすく詳しいものにしていきました。

それからもう一つ、ペットシッター・ジェントリーのWebサイトの内容も多いに役立ちました。サイトは全て僕が作っており、文章ももちろん僕が書いたものです。とくに「ペットシッターとは」のページは、初心者にもわかるよう作業内容を詳しく書いてありますので、本の導入部はかなりここから持ってきました。ですので、本の冒頭「はじめに」と、第1章「ペットシッターというサービス」は、上記の初回講習用の文章とサイトの文章を骨組みにして作っていきました。

 つづく第2章「ペットシッターになるために」では、僕がなぜペットシッターを目指そうと思ったのかというところから始まり、主に開業前の様々な準備の詳細を紹介しています。ここでは、僕が個人で運営しているWebサイト『Sea Lion Island』に、雑多な形ではありますが文章化したものを掲載しており、これが基盤となりました。可能なかぎり記憶を呼び覚まし、思いついたことをどんどん付加していきましたので、なかなかのボリュームになりました。

 第3章「ペットシッターの日常」は、開業した後の苦労話 が主となり、さらに、普段気をつけていることなどを書いています。これはほぼ完全に一から書き起こしました。苦労したことは記憶に刻みつけられているのか、かなり鮮明にいろんなことを思い出しました。そして、そうやって文章化していく作業は、自分のこれまでをあらためて振り返るきっかけとなり、とても楽しいものでもありました。


3. どこから始める?

2017年10月25日 10時39分13秒 | 出版までの道のり

さて、今回からは、具体的な作業について順にご紹介していこうと思います。

まずは、何から始めたか。もちろん、その本を書く、ということ。それしかないじゃないか、と思われるかもしれませんが、実はそうでもないのです。

当初、僕の想定した作業行程は、(1)本を書こうと思い立つ→(2)本を書く→(3)出版企画書を書く→(4)出版社に売り込む→(5)出版社が決まる、という順番でした。というか、これしか思いつきませんでした。ところが、後で知ったのですが、全然そうでもなかったのです。(1)本を書こうと思い立つ→(2)出版企画書を書く→(3)出版社に売り込む→(4)出版社が決まる→(5)本を書く、というやり方が結構あると知り、びっくりしました。

「出版企画書」って何? と思われるかもしれませんが、これについてはまた別の回で詳しくご紹介します。ここではとりあえず、「どういう内容の本で、どういう長所があってなぜその本が売れるのかをアピールするためのプレゼン資料」だと思って下さい。

後者の行程だと、まだ本文を何も書いていない状態で出版企画書だけ作り、それで出版社もGOサインを出すことになります。これを知って僕は仰天しました。企画書だけで出版を決めるのが、とても無謀なやり方に思えたのです。だって、本当にその人に書けるのかどうかさえわからないのに。まあ、もちろん出版社もプロですから、「このくらいの企画書を書けるなら、本文もしっかり書けるだろう」という算段があってのことでしょう。それでも、短い企画書を書くのと、原稿用紙数百枚におよぶ本文を書くのとでは、訳が違います。

ただ、上記のびっくりは、出版社を調べ始めてから知った次第であり、当時の僕は何も考えず、ひたすら本文を書くことだけに集中していました。とはいえ、何もなく一文字目から書き始めたわけではありません。これまでに自分が作った文章の中で、流用できるものがいくつかありました。次回は、そのあたりを具体的にご紹介しますね。


2. 本を書くきっかけ

2017年10月20日 18時15分15秒 | 出版までの道のり

今回は、僕がこの本を書こうと思い立ったきっかけについてお話しします。(これは、本の冒頭でもすこし触れています。)

2005年、僕がペットシッターを目指し、準備を始めた頃。なにか参考になるような本はないかと探していました。そこで何冊か読んでみたのですが、ごく浅い内容のものか、やや分野の異なる内容のものしかありませんでした。これは、十数年を経た現在でも変わりありません。どんな職業においても、インターネットで多少の知識は得られますが、体系的に学ぼうとするなら今でも書籍が一番です。たいていは専門書がいくつか存在するものですが、ことペットシッターに関しては、役立つ書物は一冊とてないのが、今も昔も変わらない状況なのです。

☆ネット書店で検索してみると、たとえば下記のような書籍が出てきます。

・「ペットシッターをめざそう! (使える!資格ガイド)/サンマーク出版編集部」(サンマーク出版.2001年)
……ペットシッターになるための方法が書いてありますが、専門家でない方が調べて書いたもので、ごく初歩的な内容。

・「幸せ老犬生活―カリスマペットシッターが教えるお世話・介護の新常識/全国ペットシッター協会」(主婦の友社.2012年)
……こちらはペットシッターが書いたものですが、内容は主に犬のしつけや介護が中心。

・「実践ペットビジネス入門/生田目康道」(JPR社.2007年)
……ペットビジネス全般のもので、ペットシッターに関する記述はわずか。

開業後、ペットシッターの仕事を続けていくなかで、経験を積み、仕事に対する考え方も明確になっていきました。常に思うのは、ペットシッターというサービスの知名度の低さです。ペットの飼い主さんでも、ペットシッターの存在を知らない方がまだたくさんいらっしゃいますし、知っていたとしても、「私はペットホテルに預けるから」という方もたくさんいらっしゃいます。そういう方々に、ペットホテルももちろん良いのですが、ペットシッターがどういうものが正確に知って頂いた上で判断してほしい、と強く思っていました。

そのうち、僕の心の中に、小さな考えが芽生えていました。
〈本がないなら、自分で書いてみよう

とにかく、ペットシッターという有益なサービスがあることを、可能なかぎり多くの人に知ってもらいたい。それなら、自分が本を書いて発表すればいいじゃないかと思ったのです。

本書を書こうと思ったもう一つの理由は、ペットシッターになりたい人を増やしたい、ということ。全国にペットシッターはまだまだ少なく、関東圏を除けば、大都市でさえぽつりぽつりと散見される程度です。過剰な競争は求めていませんが、適度にペットシッターが増えることは、業界全体の底上げにつながります。せめてもう少しメジャーな存在になれるよう、業者が増えていけばという思いは常にありました。そのために、ガイドになるような本があれば、ペットシッターを目指そうという人も増えるのではないか。僭越ながら、そんな風に思ったのです。


1. はじめに

2017年10月12日 12時49分34秒 | 出版までの道のり

書籍『ペットシッターを知っていますか』

みなさん、こんにちは。愛知県岡崎市にてペットシッターを営んでおります、ペットシッター・ジェントリー代表の春名と申します。このたび、『ペットシッターを知っていますか』という本を出版する運びとなりました。そこで、まったくの素人だった僕がいかにして本の出版まで漕ぎつけたのかを、こちらのブログでご紹介していきたいと思っています。

※「ペットシッター」って何? という方は、下記のページをご参照ください。
◆ペットシッターとは?

まずは、いったいどこからこの話が持ち上がったのか、というところからお話ししましょう。

一般に、アマチュアが本を出す方法としては、(1)出版社からの要請、(2)著者からの要請、(3)公募の賞、という3つがあります。

「出版社からの要請」とは、たとえばブログの書籍化というケースですね。出版社は、売れる本の題材を常に探していて、人気のあるブログなどをチェックしています。大衆の興味を惹けるような面白い内容、専門性、切り口の鋭さなど、本にできそうなブログを見つけたら、著者に連絡し、ブログの内容を本にさせて下さいという依頼をします。

いっぽう、「著者からの要請」とは、自分の書いた作品を出版社に見せて、本にしてもらうケース。要するに“持ち込み(売り込み)”ですね。ただ、これを受け付けていない出版社も多いです。だって、本を出したい人は山のようにいて、その全てに対応するのは大変ですから。

最後に、「公募の賞」。これは主に小説の分野ですが、江戸川乱歩賞とかすばる文学賞など、出版社主宰の賞に応募する方法です。いわば、出版社と著者、双方の要請を折半したようなものですね。エッセイや体験記などでも、この方法で出版化されることがあります。また、「著者からの要請」で持ち込まれた原稿でも、出版社が著者に対し、「うちには○○賞があるからそちらに応募してください」という具合に促すこともあります。

さて、それでは僕はどの方法だったかというと、ずばり、二番目の「著者からの要請」です。これまで本を出したことがなく、出版社に何らコネもなく、出版社に見出してもらえるような何かを発表しているわけでもない僕には、この方法しかなかったのです。

それでは次回以降、僕が具体的にどういう行動をとり、どういう経緯をたどっていったのかを、詳しくご紹介していきたいと思います。