本の執筆に取りかかったのが2012年11月。前回までにご紹介したとおり、元になる種々の資料を流用しながら思いつく項目を挙げていき、文章を積み上げていきました。2013年5月に3分の2ほどを書き終えたところで筆が止まってしまい、1年ほど手をつけられずにいました。再開したのが2014年8月。そこから1ヶ月間、集中して書き、ようやく2014年9月に第1稿を完成させることができました。今回、作業経過を振り返るにあたり、「書くのに1年くらいかかったっけかな~」とぼんやり思っていたのが、実は2年ほどを費やしていたことが判明したのでした……。
本文が出来上がれば、次に書くのが出版企画書です。本ブログの第3回で説明した時には、「どういう内容の本で、どういう長所があってなぜその本が売れるのかをアピールするためのプレゼン資料」と書きました。出版社に持ち込むにあたり、いきなり本文を送っても見てもらえません。どこの誰ともわからない素人の長文を読んでくれるほど、どこも暇ではないからです。したがって、本の内容をわかりやすく要約し、アピールするための資料が必要となります。
出版企画書の書き方は、ネットで調べました。もちろん、しっかり決まった定型があるわけではなく、いくつか見つけた事例でも細かい違いはありました。それらを検討し、自分なりに必要な要素を取捨選択して、構成を考えました。
今回、少々恥ずかしいですが、僕の作った企画書を披露しちゃいます! ただし赤色部分は、このブログで紹介するための説明ですので、実際の企画書には含まれません。そして、またのちのちご紹介しますが、これをさらに修正したものを作り、そこでようやく出版が実現しました。ですので、最初に作ったこちらは、まだまだレベルの低いものだったと言えそうです。
出版企画書
2014年9月
春名 孝
■タイトル
まさしく、本のタイトルです。確定していなければ複数(今回だと3つ)を候補として書きます。
・「ペットシッターという幸せな仕事をしています」
・「ペットシッターを知っていますか」
・「もふもふペットシッターの素敵な日常」
■サブタイトル
タイトルに付ける説明書きのようなもの。本の表紙のタイトルのそばに書かれるものを想定しています。タイトルと合わせ、「およそどのような本なのか」が分かることとなります。
・「こんなに便利なサービス、こんなに素敵な仕事。ペットシッターという選択があるんです」
・「『預ける』から『来てもらう』へ ~ ペットに優しい選択をしてみませんか」
■キャッチコピー
本を宣伝する際の売り文句。こんなに面白いんだよ、すごいんだよ、貴重なんだよ、と出版社にアピールするためのもの。さらに、本が出版された後の宣伝で使われることも想定します。
・「ペットにはくつろいで過ごす権利があるんです。飼い主さんには安心できる権利があるんです。ペット好きにはぴったりの仕事があるんです。これまでほとんど語られることのなかったペットシッターという仕事を、とことん詳しくご紹介!」
・「外出時にもう悩む必要はありません。『預ける』から『来てもらう』へ。発想を変えればすべてがうまくいきます」
■本書の内容
本の具体的な内容を、わかりやすく簡潔に書きます。
ペット好きの方のための実用本です。旅行や出張、入院の際、ペットを預けるのではなく、自宅に来てお世話をしてもらう「ペットシッター」というサービスを、詳しく紹介します。また、ペット関連の仕事をしてみたい方にも、業務内容から開業手順など、経験にもとづいて詳しく説明します。
■企画意図
なんのためにこの本を出すのか、世の中のどこに役に立つのか、をアピールします。
・ペットシッターという仕事をより多くの人に知ってもらい、ペットホテルに預けられて体調を崩すペットを救いたい。同時に、飼い主さんに、よりよいペットとの生活を楽しんでもらいたい。
・ペット関連の仕事に就きたいと思う人に、ガイドとなる一冊を出版したい。
■読者ターゲット
想定している読者層です。なるべく広い層を書きたいところです。
・メインターゲット:ペットの飼い主、または飼いたいと思っている人。とくに、旅行などでどこかに預けたり、預ける予定がある人。(=ペットシッターを頼んでみたい人)
・サブターゲット:ペットを飼っているいないに関わらず、ペットに関する仕事に興味のある人。(=ペットシッターになってみたい人)
■本書が売れる理由
出版不況は深刻で、出版社は確実に売れると見込める本しか出そうとしません。そのための判断材料となる事項を並べます。ここは、なるべくたくさんあればあるほどよいかと思います。
・不況下にあっても、ペット産業は安定しています。人と人との関係が希薄になった世の中で、家族同然、いや家族以上に愛情を注げるペットの存在は、どんどん大きくなっています。かわいいペットを少しでも大切に扱いたいという気持ちは強く、ペットにかける出費に際限はありませんので、こうした本を購入してもらえる方はたくさんいるはずです。
・なにより、ペットシッターの業務内容について詳しく書かれた本はほとんど存在しません。(amazonで検索しても数冊程度です。)しかも、通り一遍でほとんど役に立たない内容のものばかりです。本書は、ペットシッターの紹介本としては日本初と言ってよく、知識と経験に裏打ちされた豊富な内容が含まれています。
・ペットホテルに預けて体調を崩すペットはたくさんいます。悩みながらも解決できずにいる飼い主さんもたくさんいます。ペットシッターという言葉を聞けば読んでみたいと思う人多数、知らない人も「なんだろうこれは」と手にとってくれる人多数です。
・ペット好きな方が多ければ、ペット関連の仕事に就きたいと思っている人もたくさんいます。就職活動中の学生はもちろん、子育てが一段落した主婦の方や、退職後の第二の仕事としてペットシッターを目指す方など、興味をもってもらえる人はたくさんいます。
■類書
既刊の、似たような内容の本があるかどうか。既に同じ本がわんさかあるようなら、その本を出す意味はなくなります。ペットシッターの本はわずかしかなく、これも大きなアピールになったと思っています。
(1)「ペットシッターをめざそう! (使える!資格ガイド)/サンマーク出版編集部」(サンマーク出版.2011年)
(2)「幸せ老犬生活―カリスマペットシッターが教えるお世話・介護の新常識/全国ペットシッター協会」(主婦の友社.2012年)
(3)「実践ペットビジネス入門/生田目康道」(JPR社.2007年)
■類書との差別化
上記項目と合わせ、既刊の本とどう違うのかを示します。
上記のうち(1)には、ペットシッターになるための方法が書いてありますが、専門家でない方が調べて書いた、ごく浅い内容でしかありません。(2)はペットシッターが書いたものですが、内容は主に犬のしつけや介護が中心です。(3)はペットビジネス全般のもので、ペットシッターに関する記述はわずかです。
■宣伝方法
本の出版後、著者自身で宣伝するルートがあるかどうか。ここに根強いパイプがあれば、出版社が本を出す後ろ盾になります。
この本が出版されれば、当社の本店支店をふくめた全顧客(800人程度)にメール等でお知らせできます。その他、Webサイト、Facebook等で広く宣伝ができます。地元の岡崎経済新聞(ネットニュース)とも繋がりがありますので、依頼すれば掲載してくれるものと思います。
■原稿完成の予定
どれくらいで原稿が完成するのか。僕の場合は既に第一稿が完成していましたので、話も早く進んだと思います。文字数も示すことで、どういうサイズの本になるか、出版社としても掴むことができます。例えばこれが5千字ほどの分量であれば、一冊の本にするのは難しいと判断されてしまいます。
文章は完成しています。文字数は7万8千字程度です。
■企画者の要望
著者側で何か要望があればここに書きますが、僕は特に大きな要望はなく、当たり前のことを書きました。
本のサイズや定価、ページ数等には、とくに希望はございません。かわいいイラストや写真を付加し、手にとりやすく読みやすいものとなることを希望します。必要であれば、写真撮影にもご協力いたします。
■著者名
もしペンネームがあれば書きます。
春名 孝
■著者プロフィール
出版の実績があれば、絶対にそれを書くべきです。過去に本を出したというだけで、企画に目を通してもらえる率は上がるでしょう。出版実績がなければ、とにかく興味を持ってもらえるような経歴を並べる必要があります。
愛知県名古屋市と岡崎市で、ペットシッター業を営んでいます。2005年の開業以来、400人ほどのお客様と出会い、600匹以上のペットのお世話をしてきました。
1967年2月21日生まれ、47歳。国立名古屋大学卒業後、地元のテレビ局「メ~テレ(名古屋テレビ放送)」に技術職として入社。マスター室勤務、放送準備室勤務、社内システム構築などの業務を経験し、12年間勤めた末に退社。南米大陸の果てまで野生のペンギンを見に行くほどの動物好きが高じて、「ペットシッター・ジェントリー」開業を決意。