自分はクラリネットを始めたときから、開きの広くてがばがば息が入るマウスピースしか使ったことがないので(HS**→HS**クリスタル→A2クリスタル→B40→B40→B40)、M30ですら変えるのは大変なことだった。でも変えてわかったことは、クラリネット奏者はマウスピースに限った話じゃないが、すべてにおいて、安定性と柔軟性の二者択一を常にせまられてるということだ。柔軟性を選べば、不安定さがつきまとう。しかし、そのリスクの代償としていろんなことを試すことができる。音色の変化だったり、レガートのかけ方とか・・・。安定性を選べば、音程もよくなるし、安定した演奏ができる。しかし、個性を犠牲にせざるを得ないだろう。リスクをとらなきゃつまらない演奏になりやすいということだ。まあ、不安定なセッティングでやれば、それだけ演奏で苦労するから音楽に頭が回らなくて、演奏もへったくれもないかもしれないが。クラリネット教師が安定性を重視するするのはそういう理由なのだ。今考えると、高校のときに、初心者にB45を吹かせていたのなんて結構おそろしい話で。気の毒なことしたか・・・。今まで奏法の安定性を得るのにすごい苦労して、かなりの量のロングトーンしたりとか、それは、極めて不安定なセッティングでやっていたからなのだった。安定したセッティングでやれば、少し楽することはできる。今まで吹いててそれほど苦しいと思ったことはなかったけど、かなり息を使っていて、ブレスは伸びないし、長時間の演奏も厳しかったということがわかった。元々、非効率なアメ車的?な演奏をしたいと思っていたので(息を贅沢に使うということ)、M30を使うとそれからの変化は大きかった。
カユザックに関して旧ブログで書かれていたようなので、自分の知ってることを書きますと(一番弟子のブルンナー氏から食事の席で聞いたことです)。
カユザックのマウスピースはずーっとバンドレンの5RV。リードはグロタンの3番を調整して使っていたとのこと(もちろん当時はBxxなんていう開きの大きいマウスピースはまだ誕生しておりませんでした)。
60歳を過ぎた頃の録音では、ブルンナーがカユザック名義で影武者としてかなりの録音したそうです。ブルンナーは師匠も仲間の弟子もおどろくほど師カユザックに似た音色とニュアンスを持って吹けたそうです。今もブルンナーはカユザックを目指しており、5RVにグロタンの3番という仕掛けを守っていますし、リガチャーはカユザックに貰ったものを何十年も使用しています。