松原商店街シューズショップカメヤブログ

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ひとくち靴用語辞典《あ》~《お》

2006年05月03日 00時09分39秒 | ひとくち靴用語辞典《あ》~《お》

《アーチサポート》
ウォーキングシューズなどに多く見られる歩行補助パーツ。体重による上からの衝撃を分散して支える足の機能「アーチ」は加齢に伴いその効果が低下していく。そして足が本来持つアーチ構造が開帳足などで崩れてくると、歩行時の足にかかる負担のバランスが狂い、疲労や障害の原因になる。アーチサポートシステムは、靴の土踏まず部などの底面にクッション材などで盛り上げた部分を作り、下がったアーチ部を下から押し上げ本来の機能を補助するために搭載される。

《相寸》
あいすん、と読む。元は着物など和装に使われる言葉で、大人と幼児の中間、ちょっと大きい子供用のサイズレンジを表すが明確に統一された基準は無い。靴用語に使われる場合は主に19cm~23cmくらいまでの範囲を指す。いわゆる「ジュニアサイズレンジ」なのだが非常に古い呼び方で、便宜上の意味合いで使われることがほとんどである。

 《青革》
底革に使われる革の一種だが、一般的なコツコツした革底と違い、室内用に履く靴などに使用された若干ソフトな革。色が薄青緑色なのでこう呼ばれていた。昔の社交ダンスシューズなどはこれを使っていた。現在では他の素材に変わっているのでほとんど見かけない。

《アキレスサポート》
ランニングシューズなどによく見られる機能で、トップライン(足首周りの縁)のアキレス腱の部位を横から挟み込むように踵部が上へ出っ張っているものを指す。走行時に足首が左右に傾くことによるアキレス腱への負担を和らげ、固定する働きを持つ。そのためこの場所に厚めのサポートパッドが付けられることが多い。

 《足足》
「あしあし」という。左右不揃いで生産されてしまった、または販売してしまった靴のこと。主に販売店で使う隠語。あってはならないミス、不良だが、消費者の目に触れない段階での不良品は少ないながらも発生する。因みに大昔は「ちんば」という言い方をしていた。これは差別用語であるため現在では使われない。同業種でもメーカーでは足足とは言わず単に「サイズ違い」という方が多い。

《足入れ》
靴に足を入れた時のフィット感の業界用語っぽい言い方。靴を試し履きした時の第1印象で使われることが多い。靴型が足に程良く合う事と、部分的に極端な締め付け感があったり隙間ができたり、といったマイナスの印象を与える箇所の有無で判断される事が多い。「足入れが良い(悪い)」という言い方をする。

《アニリン》
主に表面に樹脂を塗布した「スムースレザー」とは違い水溶性の塗料で染色した、革本来の風合いを生かして仕上げられた革。アニリン染め。基の皮が持つ皺や色むらがそのまま残るので非常にナチュラルでソフトな革になる。油分に非常に影響を受け易いので手入れは専用のクリームを塗るなど、注意が必要である。手垢などがそのまま革に染み込むので、極端に言うと靴を持つ時に自分の指紋が革に転写されてしまうようになることもある。

  《アメリカン・サイズ》
国によって違うサイズ表示のうちアメリカ方式の採寸で表されたもの。イギリスサイズ(UK)と似ているが基点である0インチサイズがUKサイズより12分の1インチだけ踵寄りになっているため実際に靴を選ぶ時はUKとワンサイズ程度ずれてくる。コンバースなどのスニーカーのサイズ表示を見ると判りやすい

《あんこ》
靴の甲部の成形を保持するための詰め物の通称。主に紙、ビニールでできた風船状のもの、プラスチックなど。甲部に入れるだけなのでシューキーパー程の効果は無いが湿気を吸収する素材を詰めれば保存に最適。

《アンダーラップ 》
紐の結び方のひとつで、いわゆるバッテンになる通し方だが、すべての紐穴で靴の内張りから外へ出していく通し方。外から内張りに向かって差し込んでいく「オーバーラップ」の反対の通し方。オーバーラップに比べて若干緩み易いといわれるが、激しい運動の使用でなければ弾力性を保ちながら適度に優しく締めることができるコチラのほうが良いことも多い。

《市革》
主に革製パンプス、紳士靴に使う部材で、履き口周り、踵の真ん中にある縫い割り部分を補強するために履き口に被せる革のこと。様々な種類が有る。痛みやすい部分なので交換修理できるようになっているものもある。

《市切り》
靴を造る工具の一つで、甲革の裏当て、ライニングのはみ出し部分を甲革のトップラインに合わせてカットするためのカッター。V字の彫刻刀のような形をしている。

 《一枚甲》
通常靴のアッパー部分はいくつかのパーツを継ぎ合わせてつくられるが、一つのパーツだけでぐるっと甲全体を巻くように製甲される靴を指す。継ぎ合わせの縫い目が踵にしか無いためシームレスともいう。

《色落ち》
革の染料が雨や汗などの水分で落ちてしまうこと。一見外側から見てなんとも無いのに靴下などに染色してしまうのは、染料が水性の素材と顔料が混ざっていてそのうちの水性の部分が主に落ちるから。色落ちに対しては国内各メーカーでJIS基準並みかそれ以上の耐久性を革に持たせているが、気候条件などが違う海外製品ではこの基準に当てはまらない場合もあるので注意。

《インステップ》
足の甲部の真ん中辺り、楔骨とその周りのこと。靴を設計する際の最も重要な部位の一つ。足指のような動きの激しい場所ではないが、個人差が大きいのでこの部分をバランスよく設計することが必要である。楔骨の周りをぐるっと囲んだ外周のことを「インステップガース」と言う。

《ヴァンプ》
甲革が爪先上部のパーツとサイド部の2つのパーツから成り、それらが縫い合わされて造られる靴のデザインの総称。モカシンと同じように扱われるが、モカシンは底から足を包み込むように造られ、合わせ目を強調したカジュアルなイメージが強いのに対し、ヴァンプはフォーマルやドレッシーな靴でも使われる。一般的にはローファーと同じシルエットで飾り革の無いデザインの靴を指すことが多い。

《ウエスト》
靴の中央部のくびれた部分のこと。大体土踏まず辺りの部分に相当する。本来は足そのものに使う用語。靴を製造する過程の一つ「釣り込み」で神経を使う部分の一つ。ここが綺麗に仕上がらないと履いた時に不安定な違和感を感じる。

 《ウエルト》
革靴の甲革とソールの縫い合わせ部に細い革のベルトを合わせて縫合していく、その細革の事。これを使用した代表的な製法が「グッドイヤーウェルト」式製法。
安価な靴で、この細革を縫製に使わず、接着部の飾り革として巻きつけるためだけに使う場合は区別して「ナムロッグ」と呼ぶ

《浮き指》
足の筋肉が衰えている高年齢層やまだ足そのものが未熟な幼児期に多く見られる状態。立っている時に地面に対して足指が浮いている状態。爪先でしっかり踏ん張ることができないので歩行時のバランスなどに影響が出てくる。ひどくなると体の他の部分まで影響を及ぼす。


《内ふまず 》
靴の設計時に使われる言葉で、土踏まず部分の足のくびれを指す。「内」があるなら当然「外ふまず」もある。普段靴を使用していてもまず気付くことは無いが、よくみると外側の中央部もごく僅かにくびれていることが判るくつもある。

《馬革》
馬の各部位から生産される革。部位によって強度や品質が大きく異なる。高級革の代名詞として用いられる「コードバン」は臀部の皮を鞣したもの。繊維の配列が均一なため、見事なまでのぎん面の滑らかさが特徴。靴以外にも様々な製品に利用される。

《裏なし》
サブリナなどカジュアルシューズに見られる製法で、甲部に裏革・裏地(ライニング)を使わず甲革のみでアッパーが造られていること。スムースレザー(表革)でアッパーを作った場合裏面(肉面)がそのまま露出している。ある程度厚みのある素材でないとできない。また裏地が無い分足当たりはソフトになる。

《ウレタン》 
靴の本底として一般的に使用されるポリウレタン素材のソールのこと。磨耗性、対滑性など靴の底材としての物性に優れるためスニーカーから紳士靴など幅広く使用される。日本ではポリエステル系の原料を使用した物が多い。短所としては、湿気で加水分解が起きることによる「経年劣化」が起こること。つまり使う使わないに拘らず寿命が有る素材である。

《エスパドリーユ》
南仏が起源とされる、麻を使ったサンダルのこと。これもサボなどと同じく水辺で履かれる靴だった。現在はソールに麻紐を使用したリゾートシューズスタイルの靴を指す事が多い。このような靴は軽量に造られているが、本来は太い麻縄をぐるぐる巻きにしてソール素材にしていたためかなり重かった。

《エナメル》
本革の表面に合成樹脂を塗布して仕上げた素材。革靴の素材の中で一番光沢感が強い。この光沢感が持つ上品さからフォーマルシューズ用の素材としても使われている。エナメル素材の靴は普通の革より丁寧に手入れすることが重要である。保存状態が悪いとエナメル層の下の本来の革部分との収縮の差でひび割れを起こすので専用の靴クリームで定期的に手入れすることが望ましい。。

《エルク》
牛革を手または機械で様々な方向から丁寧に揉みほぐし、柔らかなシワ加工(しぼ)を施した仕上げのこと。本来は鹿革のことだが、牛の揉み革を指す事が一般的。


《塩蔵》
皮の下処理の工程。鞣す前の皮である「原皮」は保存する時に腐敗しないよう塩漬けにされる。原皮に直接塩を撒くか飽和食塩水に浸してから水切りする方法で行なわれる。その状態で鞣しの工場に輸送される。

 《オーバーラップ/アンダーラップ》
靴紐の結び方のうち、もっとも一般的な方法。最初に一番前の紐穴に紐を通し、バッテン状に交差しながら上(足首に近い部分)締め上げていくタイプ。その時に穴の上から紐を入れていくのがオーバーラップ、穴の下から紐を覗かせて行くのがアンダーラップ。

《オープンサイド》
パンプスのデザインの一つで、トップラインはそのままでサイドの部分だけがくりぬかれているタイプ。トップがベルト状に残っているためセパレートではないもの。オープンシャンクとも言う。

《おかめ》
甲部の装飾であるウィングチップの古い言い方のこと。おかめ飾りという。おかめ女の面の形状からきている。

《オックスフォード》
デザインによって起源は様々だが、1960年代にイギリスで流行してから世界的に定着した紳士靴のデザイン群の総称。4~6穴程度の紐使い、2~3cm程度のヒール、上質な革素材で造られた、ジャケットに合わせて履く靴。現在の紐付きビジネスシューズの大半がこの種類に入る。ローファーなど紐を使わない靴もは同時期に現れたがこの範囲には含まれないとする。

《オパンケ縫い》
アッパーと底材を縫い合わせる方法の種類のひとつ。主にラバー素材のソールをアッパーとの接着面より上の周りまで包み込むようにかぶせ、外側から専用ミシンで直接縫いあわせる製法。クラシカルなスニーカーやブーツなどでたまに見かける。スポーツ用シューズの爪先剥がれを防ぐために補強の意味で施されることも有る。

《オブリークトゥ》
靴の木型の種類の一つで、爪先部の親指側が出っ張った形になっているデザインの物。業界用語的には「オブリーク角を付けたトゥ」「内振り」と表す。オブリーク角(角度)とは、足の平を上から見たときに、踵と爪先の中心(大体中指くらい)を結んだ直線をもとに、足の中心ほどを基点に親指側の爪先に向かって補助線を加える。その補助線ともとになる線の角度の開き具合のことをいう。主にコンフォートシューズ系のゆっくり歩く靴に多く用いられる。日本人の歩行時の体重移動がストレス無くできるようにするための設計技術

 《表底》
底パーツのうち、地面に接する部分のこと。本底と同じ。ヒールパーツが独立したタイプのソール形状の靴によく使われる呼び方。フラットソールの靴でも接地面用のパーツに対しては同じく呼ばれる。