走行中に減速したときに回転数が落ちて点灯したとの事です。
BMWミニ クーパーS MM16 2009年式 78700キロ

アイドリングは特に問題はなさそうですが警告灯が点灯したとのことでしたので、まずは診断機を繋いでみます。
同業者のところに入庫した時には警告灯が点いていて、エラーコード2745が確認出来たみたいです。

純正オーディオから社外ナビに変更したことによるエラーが記録されてるだけで、今回点灯した警告灯に関するエラーコードは出てませんでした。

純正オーディオから社外ナビに変更したことによるエラーが記録されてるだけで、今回点灯した警告灯に関するエラーコードは出てませんでした。
ちなみにですが、前述のエラーコードは混合気が薄い場合に出るコードになります。


警告灯が点いた状況を再現するために試乗をしてみますが、特に不具合も出ず警告灯も点かないです。
再び診断機を繋ぎアイドリングの状態を色々と確認していくと、各シリンダー毎のミスファイア率の項目で微妙な反応が出てます。




アイドリングの状態で回転数的にも感覚的にもそこまで不具合を感じないし、この数値でミスファイアが起きてるとは思えないのですが、念の為にイグニッションコイルとプラグの点検。

プラグの1本に破損が見られたので念の為、全数交換します。

ですが交換後も特に変わりなく…
どうしようかなと運転席に座りながら考えていると…
エアコンがonになってました…
入庫して来たときからonになってて、てっきりその状態で不具合が起きたと勝手に思ってましたが、警告灯が点いたのは入庫の前日。その時にエアコンがonになってたかどうかの聞き取りを忘れてました。
エアコンを作動させるとアイドルアップが働き回転数が上がりますので、今回の件と関係してる可能性は十分にあります。
早速エアコンを止めて確認すると…


アイドリングが乱れて回転数が上下するようになりミスファイアの数値がさっきと違い上がっていきます。ただ特定のシリンダーではなく各シリンダーが順番に…という感じ。


燃料の噴射状態を確認してみます。


燃料の噴射状態を確認してみます。
しばらくモニタリングしてると燃圧(レールプレッシャー)の実測値が規定値を大きく外れて補正値(フローコントロールバルブデューティー比)が高くなることがありましたので、より詳しくモニタリングするためにグラフ表示に変更してみます。




時間軸で確認するとブレがよくわかります。





時間軸で確認するとブレがよくわかります。

こうなってくると疑わしいのはこのエンジンでよく故障する燃料の高圧(ハイプレッシャー)ポンプ不良。
完全に高圧ポンプが壊れたときは燃圧がもっと極端に下がったりエンジンがかからなかったりして、高圧ポンプ系のエラーコードも記憶されるんですが、まだ初期症状なのか低回転でしか症状が出ていないみたいです。
高圧ポンプは高額な部品で修理代が高くなってしまうので、現時点では警告灯も点いてなくエアコンをonするとアイドリングも落ち着き乗って乗れないこともないので、念の為修理をどうするか確認させて頂きました。
結果は、まだ車を買ったばかりでこの先も長く乗るということで、交換をお願いしますとの返答が来ましたので修理に取り掛かります。
まずは周辺部品を外します。


真ん中に見えるのが高圧ポンプ。


真ん中に見えるのが高圧ポンプ。
カムシャフトの回転を動力源にしています。

外した高圧ポンプ。

新品との比較。


外した高圧ポンプ。

新品との比較。

取り付けていきます。

脱着時によく壊れる高圧パイプも一緒に交換します。


交換後に診断機で再びモニタリング。

脱着時によく壊れる高圧パイプも一緒に交換します。


交換後に診断機で再びモニタリング。
始動直後。

水温安定後。

高圧ポンプ交換前と比べると燃圧が規定値付近で安定して、補正値もブレが無くなりました。

水温安定後。

高圧ポンプ交換前と比べると燃圧が規定値付近で安定して、補正値もブレが無くなりました。
実際のアイドリングも若干のブレはありますが、年式や走行距離を考えると許容範囲かなと思います。
最後にエラーコードが出ていないことを確認。

整備完了後に試乗をして問題が無いことを確認して修理完了となりました。

整備完了後に試乗をして問題が無いことを確認して修理完了となりました。
今回の件は最初の問診をしっかりとしておけば、もっと早く原因に辿り着くことが出来たのではないかと思います。これは慣れや思い込みによる自分のミスですね。
これからは初心を忘れずにしっかりと故障診断を進めていきたいと思います。
皆様からのご依頼お待ちしてます。