講座の準備をしていたらなぜか古事記の「因幡の白兎」の段で手を止めてしまい
読み始めてしまいました。
そしてこれまで一度も気にした事のない「八上比売(やがみひめ)」のことが気になりだしました。
因幡の白兎の話は、大国主神がまだ「大穴牟遅神(おおあなむぢのかみ)」と呼ばれていた頃の話で、傷ついた白兎を助けた話です。
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「因幡の白兎の話」
たくさんの異母兄弟であるヤソガミと末っ子の弟神のおおあなむぢのかみは、
因幡の八上郡に住む絶世の美女とうたわれた「八上比売(やがみひめ)」にプローズする為に旅をしていました。
人の良いおおあなむぢのかみは、いつも兄達にバカにされ今回の旅もまるで従者のように扱われています。
たくさんの荷物を一人で背負って一生懸命に歩いているのですが、どうしても兄達より遅れてしまいます。
その日も、兄達に遅れて歩くこと数時間?・・・いやもっとあとかも(笑)
「またこの調子だと兄達に『トロイ』だの『愚鈍』だのと言われ、怒られるだろうな…」と思いながら、「大穴牟遅神(おおあなむぢのかみ)」は道を急いでいると、草むらから「エ~ン、エ~ン」と泣いている声が聞こえました。
最初は無視しようとしたのですが、余りにも悲壮感が漂うので気になって声をかけました。
すると、真っ白な大きな耳をだらりとさせた、ウサギが警戒するように顔だけを覗かせました。
目には一杯の涙です。
「どうした?」ときくと、「おおあなむぢのかみ」のおっとりとした、優しげな風貌と声に安心したウサギは草むらか出て来て「かくかくしかじか・・・」と話を始めました。
沖ノ島にいた白兎は、ここに渡る手立てがなかったため、一計を案じました。
ちょうど海にサメがいたので、利用としようと思ったのです。
「サメさん、サメさん、我々ウサギとサメさんのどちらの数が多いか比べてみませんか?」と言うと
「わたし達が多いに決まっている!」と笑いながら、すぐに仲間のサメ達を呼び寄せました。
ウサギは「しめしめ・・・♪」と心の中で小躍りしながらサメを数えるふりをしながら背中をピョンピョンと跳びながら、渡っていきました。
もう少しで地面に辿り着くという時に、普段は怖そうな顔した頭のいいサメが
あまりにも簡単に自分の嘘に乗ってきたのが面白くて、おかしくてつい
「実はここまで来る手立てが欲しかったから君たちを騙したんだよ」と思わず吹き出してしまいました。
そのとたん、最後のサメが怒ってウサギを襲い、毛皮を全部剥いでしまいました。
もうその後は痛くて痛くて・・・気を失いかけていたら
八十神が通りがかり、親切に治療法を教えてくれました。
ウサギは、とても嬉しく思い、喜んで言われた通りやってみると・・・
さらに酷い有様になってしまったのです。
話を聞きおえると「おおあなむぢのかみ」は、ウサギをとてもかわいそういに思いました。
「できるだけのことは教えてあげるよ」といって、詳しく治療法を伝えました。
ウサギは、今度こそ間違いないと感じて
川の水で身を洗い、ガマの穂の花粉を敷いて寝ると・・・本当に元に戻り毛が生えて来ました。
大喜びで、何度もお礼を言いながら「八上比売(やがみひめ)はあなたのプロポーズを受けるはずです」と言って去っていきました。
「八上比売の話」
因幡に着いた「おおあなむぢのかみ」は、兄達に遅れること数時間・・・・いや数日か・・・。
八十神がことごとく「八上比売(やがみひめ)」からプロポーズを断れ・・・しかもあろうことか、みんなで愚鈍だとバカにしていた弟神と結婚すると言われたので兄達はみんなカンカンに怒ってしまいました。
そこで、弟神にはわからないように異母兄弟達が組んで、彼を亡き者にしようと計画を立てます。
…というところから「おおあなむぢのかみ」殺人事件が2度起こり、その度に母親とその協力者達とで助けて何とか命を繋げるのですが、このままここに居ては同じことの繰り返しになってしまうと、根の国のスサノオの元へと旅たたせます。
そこで運命の出会い・・・スセリビヒメが現れます。
スセリビヒメはスサノオの娘です。
スセリビヒメに助けられながら、数々の試練を乗り越えた後、二人は駆け落ちしてやがて結ばれます。
そのとき、スサノオの命令で彼を酷い目に合わせた兄達を全部やっつけ、名前を「大国主神」に改めます。
その後、約束通り八上比売を出雲に呼び寄せ夫婦の契りを交わします。
が、しかし、幸せの時は短く・・・あまりにも正妻のスセリビヒメの嫉妬が激しいので身の危険を感じた八上比売は、最初の妻であったにも関わらず、国元へと帰ってしまいます。
その国元へ戻る途中で子供を産みます。
場所は、現在でいうところの出雲と因幡の中間時点である米子あたりだといわれています。
その子供を木の股に挟んで残して来たので木俣神(キマタノカミ)、別名・御井神(ミイカミ)と呼ばれる様になりました。
その時代の諸事情を考えると実によい環境を選んだとわかります。
なぜならその頃、国は出雲系(国津神)と伊勢系の二つに分かれており、因幡は伊勢系の傘下にあり、米子は両方の勢力の中間時点のため、大国主神も八上比売も子どに会いやすく、また夫婦としての繋がりも維持できるという絶妙な位置だったのです。
これは、八上比売の国元での政治的立場を考慮すると、伊勢系と出雲系のどちらの関係も良好にしておく必要がありました。
どちらか一方に偏ると、いつ攻めてこられるかわからないからです。
スサノオが健在の間は、出雲が勢力を誇っていましたが、時代を経るにつれ徐々に求心力が衰え、大国主神の治政になると伊勢系が席巻し始めました。
結局、国譲りがあり伊勢系で統一されました…とさ…。
※最後の語尾だけ昔話風にしてみました(笑)
以上「因幡の白兎と八上比売の話」は、こんな感じで話が終わりましたが、かなりニノが端折って勝手に話をアレンジしてお伝えしましたので(´-`).。oOお許しを!
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結局、八上比売ってどうなったん!!というのが最初の気がかりで
大国主神と別れた後もどうも結婚したとという記述は無いようで
「絶世の美女」とうたわれながらそのまま独身???子供も一人???とか疑問に思ったのです。
やあ、そんなバカな!勿体ない!
一見彼女の行動は冷たくも感じます。
子供を置いて去っていくなんて・・・しかも木の股って・・・どうよ?!と思いませんか?
ですが、諸諸考えるとなかなかどうして・・・。
非常にバランス感覚に優れた知性的な女性のイメージがあります。
そこでタロットを使ってどんな女性であったのか占ってみました。
するとすぐに飛び出したのが「剣の女王!」
おおぅ~~まさにそんな感じ。
知的で孤高の女王というイメージがピッタリです。
念の為に、もう1枚引くと大アルカナの「力」でした。
包容力や、忍耐、精神的なみんなの支えとなる人・・・・そんか感じの人です。
うひゃ~~本当にわたしのイメージと同じだわ~となりました。
その土地の権力者の娘で、しかも出雲を治めている大国主神と夫婦だったというだけでも
国元の彼女に寄せる周囲の期待は非常に大きかったと思います。
時の権力者によっていつどうなるかわからないそんな時代を生き抜く為にも
上手く立ち回る必要があったのです。
そんな大変ことを彼女は一人で受けて立っていた・・・という気がしてなりません。
スセリビヒメの嫉妬を受ける日々・・・
そして大国主神の妻達と、彼を奪い合い、時として愛をうける日々・・・
なにせ彼は全国に180人もの子供を作ったと言われている人ですから
そりゃ~、そこここに女性がいたのでしょう。
古事記を読んでいても「腹立つわこのボンボン!」と何度となく思います。
そんな生き方でも、女性としては、ある意味「幸せ」なのかもしれませんが、
頭のいい女性、才能のある女性にとっては、あまりにもつまらない生き方だと思いませんか?
恐らく、八上比売も国元での責任もあるし、こんなつまらないことに時間を費やすのは勿体ない!とか感じていたのかもしれません。
そんな彼女なので余生は好きなことしながら生きていたに違いないと思います。
…それでこの記事を書き終えてからつくづく感じたのが、過去世において似たような体験をしたようです。
配役はわかりません。
もしかしたら嫉妬に狂ったスセリビヒメ役かもしれませんし
大国主神役かもしれません。
それこそ八上比売役かもしれません。
ここでのテーマはたくさんあります。
「嫉妬」「他者に翻弄される人生」「権力」「尊厳」などなど…。
いづれにしても…ここまで書けてモヤッとしていたものがスッキリとしてきました。
彼女にまつわる神社やモニュメントはたくさんありますのでいつか巡ってみたいものです。
最後まで読んでくださってありがとうございました。
それではまた!
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