正月休みは、何故こんなに時間が経つのが遅いのだろう。
いつもは、週末を終えたと思ったらまた週末だ、
と、目まぐるしく一週間がくり返されるというのに、
この数日は、不思議な時間感覚に襲われる。
特に、睡眠時間が不規則なせいか、
一日がいつ終って、いつ始まったのか分からなくなる。
大晦日からまだ一週間も経っていないなんて。おかしいぞ。
年初めの作業として、ホームページの更新。
何気に昔の画像などをアップしてると懐かしくなる。
自分で言うのもなんだけど、
星屑スキャットのフライヤーは面白いなぁ。
ある程度終えて一眠りすると、朝6時。
こんな朝早くにスッキリ目覚めるなんて、そうはない。
ファミレスで朝食。そのままの気分で自転車を走らせてみる。
過ぎ行く人たちは、新年一発目の出勤といった感じか。
みんな、清々しい顔をして歩いていた。
そんな社会人をよそ目にサイクリングをするのが、
結構楽しい。
谷中霊園を走っていたら、とてもいい気分になり、
フと、去年の元旦サイクリングで行くのを諦めた、
柴又の矢切の渡しが頭をよぎる。
そうと決まれば、何となく北東だナ…、
と、ダラダラと走る。
日本堤、向島、東あずま、小松川…。
朝の9時にボーッと座って眺める荒川は、最高だ。
空には雲一つない、贅沢な心地である。
荒川沿いに住みたいな…。
と思ったけれど、
こうやって時間があるときに、
自転車を走らせれば2時間で来れるんだから、
そのくらいが気分転換には適度かもしれない。
小岩あたりを過ぎると、
藤圭子の「恋は小岩とヘタなシャレ~」を、
ヘビーローテーションで口づさむ。
その流れで八代亜紀の「夜の新宿裏通り~」、
となるころには、青砥。
そして、高砂を越えて、
ちあきなおみの「矢切の~渡~し~」になるころ、
目的地、柴又へ到着。
柴又帝釈天までの露店に心がはずむ。
この楽しみは帰りに取っておいて、
目指すは「矢切の渡し」。
そこには、
「『矢切の渡し』饅頭はいかがですかぁ~」とか、
「『矢切の渡し』手ぬぐいはいかがですかぁ~」
みたいな店がワイワイやっているのかと思っていたら、
全然そんなことはなく、
よくある土手の運動公園の中に、
ポツッと小さな船着き場があるだけだった。
そこだけモシャッと木々が茂っている。それだけ。
それがまたイイ感じでアル。
色んな人から聞いていた情報では、
「え?これだけ?」みたいな感じだったみたいだけど、
乗ってみると、結構ゆっくりと進んで気持ちがよい。
柴又から、矢切へ。
矢切は、千葉県松戸らしい。
そうか、あの歌は、東京からも離れるくらいの、
「明日へ漕ぎ出す」駆け落ちだったのネ。
というか、またワタシは千葉県まで足を運んでいるではないか…。
矢切側の船着き場でフランクフルトとラムネを買って、
繋がれた灰色の犬と戯れ、
ひと時の矢切を楽しんで、また、柴又へ。
駅前のイカしたママの店で、つぶ貝と砂肝と熱燗。
念願の柴又紀行を、一年越しに達成出来た。