ユーミンの法則

2009-03-30 15:04:30 | インポート

はだかの木 はるのはっぱを よういする

と詠ったのは、
ワタシの大学時代の友人であり、ミュージシャンでもある、
「そしきあや」の息子、小学1年生である。

この感覚の豊かさ…。この子の将来が楽しみでならないカマ叔母(勝手に親族)である。

朝早く、久々立ち寄った近所の公園の樹を見て、
新しい季節のサイクルが始まる気配を感じる。
そんな、「そしきあや」で始まった一日。

*****

夜間飛行。
レコード棚が設置されたので、ウチにあるレコードを大量に搬入した。
久しぶりに聴くレコードばかりで、改めて聴いてみると新鮮だ。
「音楽は寝かすと良い」というけれど、本当だな。
こんなイイ歌、あったんだ~…郷ひろみ…。
「君にお月さまをあげたい」宇野誠一郎センセー作曲のヒップな歌謡曲。
こんな名曲を眠らせていたなんて…(ま、唄えないけど)と、
大音量でかけているも、お客は誰も来ない…。サンデーナイト。
フと一枚のレコード「Yuming brand」が目に入る。
普段は歌謡曲ばかりで、ニューミュージックはかけないけれど、
まぁ、今日は誰も居ないしイイかぁ~しかもコレ、いいアルバムなんだよなぁ~、
と針を落とす。
そう言えばこのLPは、大学時代に、そしきあやから借りたまま、
返しそびれてたヤツなんだよな…と思い出しながらユーミンに浸っていると、
ダンダンダン…と階段を登ってくる音が!

そしきあや、登場。ギャァァァ!

開口一番「あ!グッドタイミング!」
とあやが言うので、「え!?(あたふた…)」と聞き返すと、
「最近、ユーミンのカヴァーやろうと思って聴いてたの」
と言うので検討違いだったが、ワタシは動揺を押さえられず、
「いや、グッド(バッド?)タイミングなのはこちらのほうで…」
と、借りたままでいた事を懺悔した。

そうして、久々に聴いたユーミンは、
両面に一度だけ針を落としただけで、あやの元へ返っていった。

*****

店を閉めて、ウチのテレビを久々に付けると、
ユーミン×アンダルシアという番組をやっていた。
シンクロは、続く…。




地下があるビルがある

2009-03-25 11:28:41 | インポート

リサイタルの準備は続く…。

夜間飛行勤めによる酒とタバコに、最近深く反省する日々。
親からもらった特製ウコンを、仕事合間にジンジャー割りで飲んでいる。
ウチの両親、ウコンを栽培しているんです!
それも、まだウコンブームのずっと前から。
ワタシが中学生の頃だったか、
父親が毎日、サイダーに混ぜて飲んでいるのを眺めていました。
興味本位で「少し飲ませて」と口にして、そのマズさに驚いた(子供だし)。
しかもウコンって…。ウ●コじゃあるまいし…(誰でも思うよね)、
と子供ながらに意味不明な食べ物であったが、
今となっては良薬口に苦し、むしろニガ味サイコー!という感じである。
ウチの父親は、今思えば健康マニアだったのか?
ウコンの前は「酢大豆」というのを漬けていた。
コレは、子供ながらにウマいウマイとお菓子のように食っていた。

「歌手は体が資本ですよ」と良く言われる。
全くその通りである。
昔みたいにいつまでも声が出るとは限らない。
楽器を弾く人たちが、ちゃんとお金を掛けてメンテナンスしているのに、
歌手は体一つあればやっていける…、なんてのも甘い話で、
やっぱりワタシなりに「体」をメンテナンスしなくてはいけないのだろう。

体の凝りもヒドくって、いいマッサージを探しているんだが、
最近お願いした人の、ゆる~いマッサージに逆に筋肉が強張った。
「もっと、ガッツンガッツン押して!」と言いたかったが、
「あ…あぁ、いや~ハイ、気持ちいいですねぇ~…」なんて嘘をつき、
結局ワタシはそういう気遣いのストレスでまた凝ってしまうのだろう。
この性格を直せば、簡単に凝りはほぐれるんだろうなぁ。

気持ちだけ先走る季節。
もう春が来ているのだと思い込ませる季節。
かなり厄介な時期である。危険危険。

サイクリング…、行きたいのに行けてないなぁ。
一人酒、行きたいのに行けてないなぁ。
それもこれも、リサイタルが終るまで我慢我慢。
リサイタルが終ったら、直ぐさま「大垣」に行くと決めている。
きっと、その頃には本当の春が来てるのだろう。

ワタシは今、天と地をひっくり返す旅に出たい。


トートバッグの秘密

2009-03-18 10:17:17 | インポート

リサイタルもあと一ヶ月を切ってしまった。
そして、春ももうすぐやってくる…!
作曲家さん様々なれど、それぞれピッタリな季節というものもある。
冬は、浜圭介さん、聞きたいなぁ~。
夏は、そうだな、鈴木邦彦さんとか、いいなぁ~。
秋は、中村泰士さん、なんかどうだろう…。
そして、春はもちろん、筒美京平さんで、決まり!
(強引な宣伝文句)

とてもイイ曲が揃いました。
みなさま、是非いらしてくださいネ。
予約受付中です~。

*****

先日、いとこの結婚式が東京で行われるというので、
両親が東京に来ることになった。
会うか会わないか、迷った挙げ句、
ヒップな占い師たちの薦めにより、会う事に決めた。

そんな決戦(?)の日の朝、
長いナイトフライトもようやく朝日を迎え、
無事に着陸しようとした瞬間、
「店、まだ開いてますか?」と一人の男が入ってきた。午前5時。
昼には両親と会わなくてはいけないし、
いつもなら、もう閉めます、と言うところであったが、
何故かそれを許してしまう。
すると、次々と男達が入ってきた。
階段から現れる顔が、イケメンのオンパレードで、
何でこんなに?というくらい、絵に描いたようなイケメンだった。
総勢、7名。カウンターには、イケメンだらけ。
イケメンBOXセットを購入、という感じ。

何かのドラマの撮影が終了したという話をしていたので、
もしかして、松尾スズキの「美しい男性!」のメンバーか!?
と思っていたがそうではなく、
民放のとあるドラマだということが判明した。

ワタシは最近のドラマは観てないし、
もっと言えば、ガキんこ臭いドラマなんぞ興味がなく、
もちろん、ガキんこ臭い俳優や女優にも興味はなかった。
しかし、彼らの話を聞いていると、
抱えている問題はワタシと全く同じであり、
今の世の中を支配している質の低い制作物に嘆いていた。

どの世界でも、同じことを思っているのだな。

彼らのように真剣に表現にぶつかっている人たちが、
とてもくだらないものにアウトプットされている現実がある。
ミュージシャンもそうなのだろうか?
ワタシが「ケッ!」と思っている人も、
実は本当の姿や魅力が見えていないのだろう。

彼らをそんな目で見ていたことを、少し反省した。

そして、そんなイケメンの一人が、ワタシに言った。

「きっと、こんな世の中は一人では変えられないんですよ。
 でも、きっと、そういう想いを持った人たちが繋がって、
 大きなパワーになり、何かを変えれると信じてます。」

ワタシが思っていることと同じことを、
彼らも思っていたのだなぁ。
そして、こんな世の中で力を握っている、知性も美学もない人間を、
そろそろヤっつけなければ…。

イケメンの造形の美しさに見とれながら、
朝日はますます強くなる。午前8時。

*****

試練の3月。当日。
いつも使わない大きなトートバッグには、
様々な資料が入っていた。

久々に会う両親は、加速するように老け込んでいた。
そんな二人を見ると、少しばかりバッグが重々しく感じた。
駅近くの韓国料理店に行く。
いつものことだが、両親を連れていく店は、
何故か子供だましな店を選んでしまうことが多く、
東京なのに、どこか田舎臭く感じてしまう。

いつ、バッグの中身を取り出そうか…、と思っていたが、
両親は、最後までワタシの素性を聞き出そうとしなかった。
きっと、二人でそうすることを決めていたのだろう。
一生懸命、他愛も無い会話をしてくれていた。
いとこの結婚式の話もしなかった。

ケータイを持ったらしく、
メールの使い方やら、登録のしかたやら、
そんなことを終始話していた。

この時ばかりは、ケータイというプロダクトに感謝した。
立派なコミュニケーションツールである。

最後に、健康にだけは気をつけろと言葉を残し、
モノレールの駅で別れた。
トートバッグの中身は見せず終いであったが、
これでよかったんだろう。
両親の気遣いに身を任せよう。

千里の道も一歩から。


試練の3月

2009-03-10 19:50:01 | インポート


先週、クニコティークと一緒に、
ル・テアトル銀座に「ザ・ヒットパレード」を観に行った。
しかも、初日の公演。
会場には、あの時代を作り上げた方々の顔がチラホラ。
運良くも、今回ミニ・リサイタルで取り上げる、
筒美京平センセーもいらっしゃった!
しかも、橋本淳センセーと一緒に!
大袈裟な表現、してもいいですか?

「神、降臨。」

て感じでした。
後ろ姿へラヴラヴパワーを送ってみたのですが、
果たしてお二人には届いてくれたでしょうか…?

ザ・ヒットパレード。本当に素晴らしかった!
当時のナベプロが、どれだけ熱くパワフルであったか、
また、それが時代をうまく掴んでは、いつしか時代とズレていく、
様々な葛藤と人間模様、そして「芸能」という世界が詰まっていた。
そして、宮川泰センセーの息子でもある、宮川彬良さんのバンドが、
これまた素晴らしかった!
あまりネタバレになるとアレだが、
ザ・ピーナッツの宮川泰センセー編曲の秀作「Lover come back to me」が、
生演奏でかつ宮川彬良さんの演奏で聴けたのは、涙ものであった。
しかもザ・ピーナッツ役の瀬戸カトリーヌさんと池田有希子さんの歌が、
全然退けを取らないヴォーカルでこれまた素晴らしかった。
みんな座って聴いてたけれど、ワタシはもう踊りたくてウズウズしてて、
せめて下半身だけ…と、椅子の下でひっそり踊ってました。
ワタシが憧れているあの頃のビッグバンドが、
今の時代に生で聴けるこの至福。
さらに宮川彬良さんのアレンジで、様々な名曲をメドレーで唄っていたが、
このアレンジが、複雑でありながらも美しく、
宮川彬良さんのセンスが輝きまくっていた。

強いて、この日の愚痴を言わせていただくと、
ワタシは眼鏡を持ってくるのを忘れて、
舞台上のみんなの顔が良く見えていなかったのだ!(超サイテー)
普段は裸眼で慣れてしまっていて、舞台でもコンタクトもしていないが、
実はワタシは目が超~悪く、視界全部がぼやけている。
原田泰造さんも戸田恵子さんも、声でしか判別出来なかった。
ザ・ピーナッツの二人なんて尚更で、
どっちが瀬戸さんでどっちが有希子さんだか最後まで分からなかった!
「月ちゃ~ん」「日出ちゃ~ん」と呼び合う部分で強いて判別…。(涙)

この日ばかりは、目が悪いことを恨んでしまった。

*****

数日後、夜間飛行に最近よく顔を出してくれるモーリーさんが、
その有希子さんを連れて遊びに来てくれて、
直接あの舞台の感動を伝えることが出来た。

昨夜の夜間飛行は、「陽」のパワーを持つ人たちが続々現れた。
月曜は奧亭で占いをやっているJON(犬)さん目当てに集まった方々が、
お店に流れてきた。
ヴィヴィさんとトースティと白玉さんとリリィちゃんが、
カウンターに並んで座っていたのだが、
「ワタシもJONさんに見てもらいことがあるんですよネ…」
と、内容をみんなに話していると、
「それは、絶対○○したほうがイイ!」と満場一致して、
JONさんところに行く前に、答えが返ってきた。

ワタシはあまり人に相談することをしないタイプなのだが、
この日は何故か、4人の「陽」パワーの集結のせいか、
心が解き放たれていたような気がした。

カウンターの中で一人、
目の前の強烈な4人衆と向かい合いながら話を聞いていると、
カウンターの中と外が逆転し、ワタシがお客のような錯覚になり、
まるで、笑うせぇるすまんのように時空の隙に迷い込んで辿り着く、
ヒップな占いの館に見えてきた。

与えられた試練は乗り越えるべし。
ヒップな4人の占い師よ、ありがとう。


ジョージに捧ぐ

2009-03-04 15:34:06 | インポート


以前お伝えした、ワタシが監修したCD、
「新宿・盛り場・これくしょん」が、本日発売でした。
二枚組、一枚は渚ようこさんが監修、
ゴールデン街のママが選ぶ、というコンセプトで、
渚さんのお店「汀」DISC、そして、
ワタシのお店「夜間飛行」DISCがあり、
それぞれの「新宿」「酒場」をテーマに選んだ。

合わせて34曲。3000円。安~い♪

グッと染み入る、歌謡曲の数々を楽しんで頂きたいです。
もちろん、お酒を呑みながら…。

*****

このCDは、選曲・監修だけでなく、
アートディレクションもさせて頂いた。
渚さんと、コロムビアの方と一緒に何となくデザインのイメージを話していたら、
昭和40年代の新宿の写真が使いたいなぁ、ということになって、
あの頃の新宿で、盛り場の写真と言えば「渡辺克巳」さんであろう、
と意見が一致した。

昨年の2月、ワタリウム美術館で「渡辺克巳写真展」があって、
そのイベントで歌を唄わせてもらった事もあり、
さらには、あの渡辺さんの写真に写っている「オカマ」ちゃん達に、
強烈なシンパシーを感じていたので、
今回のデザインは、渡辺克巳さんの写真を全面押しで進めてみた。

「ゴールデン街」「渡辺克巳」とくれば、「ジョージのママ」であった。
数多くのオカマさんが写っている中で、
ジョージさんはひと際美しく、ゴールデン街での有名人である。
今回の企画でジョージさんの写真を使っていいか許可をもらいに挨拶に行くと、
「あら、それだったら、渡辺克巳が撮ったもっとイイ写真があるから、
 これ使いなさいよ!」
と、引っ張り出したアルバムから選ばせてもらった。

めくっている中で、強烈に目に飛び込んできた一枚の写真。
美しすぎる…。

思いもよらない素材が手に入り、早速ブックレットの表に使うことに決めた。

パッケージの表には、ゴールデン街の風景を使う予定だったのだが、
入稿直前で、保管されていたはずのその写真が何故か出て来なかった。
予定を狂わされてしまったが、
ジョージさんの表紙のブックレットのインパクトがあまりにも強くて、
コレをパッケージの表にも使おう、という事で一件落着。
ジョージさんも、この写真を渡す時、
「一番目立つとこに使うのよ!」と言われていたので、
きっとジョージさんも出来上がったCDを見たら喜ぶだろう、
と、発売日まで直接渡せるのを楽しみにしていた。

しかし、
ジョージさんは、2週間前に、亡くなってしまった。
もう少し生きていてくれたら、
このCDを見てもらうことが出来たのに…。
悔しさを通り越して、力が抜けてしまった。

「一番目立つとこに使うのよ!」という要求は、
色んなトラブルはあったが、何故か実現し、
今、若き日のジョージさんが、店頭に堂々と並んでいる。

ジョージさんらしい、と思った。

通りではよく挨拶はしていたが、
今回の企画があって、初めてお店でお酒が呑めたし、
色んな話を聞かせてもらえた。
ワタシの曲も一つCDに入れるという話をすると、
昔ステージで唄った小坂明子の「あなた」を凄く気に入ってくれていて、
「それだったら『あなた』を入れたらいいじゃない!」
と、しきりに言ってくれた。
(さすがに新録という訳にはいかないので「夢でいいから」にしました。
 入れれるものなら入れたかったナ。)

*****

ゴールデン街でオカマとして生き抜いたジョージさんへ。
ワタシも一人のオカマとして、
最後にこうやってジョージさんへの敬意を形に出来たこと、
とても嬉しく思っています。