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般若心経の呪の起源、大明呪は密教とは関係がない

2016年01月02日 19時28分25秒 | 空=言葉=宇宙の英知=大明呪 般若心経
般若心経の呪の起源、大明呪は密教とは関係がない

般若心経には、大明呪と呼ばれる呪文「掲諦 掲諦 波羅掲諦 波羅僧掲諦」が説かれていますので、呪の起源に関してまとめてみました。

この点に関して、早稲田大学名誉教授の長谷川洋三先生は、著書「般若心経はなぜ人を癒すのか-誰をもすぐに救う陀羅尼蔵の経典」のp.22-23で次のように述べておられます:

インドで密教が台頭しましたのは4世紀ですが、般若心経は西暦223年に支謙により漢訳されているのです。
つまり、密教が台頭するより100年以上前に漢訳されているのですから、般若心経そのものがインドに誕生したのは、それより更に古い時期であることが分かります。
では、般若心経に密教的要素が濃厚に見られる点をどのように解釈したら良いのでしょうか。
講談社現代新書「密教-悟りとほとけへの道」に見られる次の記述は、その点をきちんと解決してくれます。

「密教-悟りとほとけへの道」p.32
密教の一要素である仏たちに対する真言や、護摩(火炉に捧げ物を投げ入れて願望成就を祈る儀礼)の行法などの起源をたどれば、古代インドのリグ・ヴェーダやアタルヴァ・ヴェーダなどの聖典が成立したヴェーダ時代(紀元前1200-500)頃にまでさかのぼることができる。

右の記述からしますと、インド最古の時代からマントラやダラニは用いられていたことになります。
そこから、

「密教-悟りとほとけへの道」p.32
呪術的要素を否定したといわれる釈尊をはじめとする初期仏教の中でも、護身用の呪句として容認されたバリッタ(毒虫などから修行僧を守る呪句)、さらに法華経や般若教などの大乗経典中において説かれる陀羅尼も、密教の原型的要素と考えることができる。

という事態もでてくることになります。
従いまして、このお経はインド文化の最初期からあるマントラという基層部分と大乗仏教が結びついた時点で成立したものと考えるのが一番よいのではないかと考えられます。
つまり、般若心経は密教誕生よりはるかに昔に作制されたけれども、密教と共通のマントラを取り入れたお経ということになります。
(長谷川先生の著書の引用終わり)

般若心経の大明呪と呼ばれるサンスクリットの呪文「掲諦 掲諦 波羅掲諦 波羅僧掲諦」は、この呪を説かれたのは如来であられる観世音菩薩(正法明如来)様であり、仏教の正当な呪であると考えられます。
この呪は、4世紀の密教の台頭以前に書かれているため、密教とは直接の関係はないと考えられます。
むしろ般若心経よりも後に成立した密教の側が、般若心経を取り入れて、護摩を焚く加持などの際に唱えていると考えられます。

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