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News Week スイス当局の最新レポート コロナワクチン副反応の4割が深刻な影、女性は男性の2倍

2021年02月21日 17時18分30秒 | ビル・ゲイツ/コロナ/WHO

News Week スイス当局の最新レポート コロナワクチン副反応の4割が深刻な影、女性は男性の2倍

 

https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2021/02/post-95619.php

コロナワクチン副反応の4割が深刻な影響、女性は男性の2倍 スイス当局の最新レポート

News Week 2021年2月12日(金)18時00分

岩澤里美(スイス在住ジャーナリスト)

 

<いよいよ日本でも開始が近づいたコロナワクチン接種。気になる副反応の実態は?>

 

スイスでは、昨年末から新型コロナウイルスのワクチン接種が始まり、現在までに人口の4.8%にあたる約41万3千人が接種した。スイスの治療薬の認可監督機関スイスメディックは、1月22日にワクチン副反応に関する初の報告書を発表し、2月5日、その情報を更新した。現時点での副反応は63件で、そのうち26件が深刻だと判断された。

 

20件が呼吸困難や血管性浮腫、6件が死亡

副反応63件のうち37件(59%)は頭痛、発熱、悪寒など軽いものだった。26件(41%)は深刻で、20件が呼吸困難、皮膚の腫れ(血管浮腫)や皮膚炎(アレルギー反応)、インフルエンザの症状などで、6件が死亡だった。死亡者は85歳から92歳で、みな持病(現病歴)があり、ワクチン接種が死因だったという具体的な証拠はなかった。

 

性別では32%が男性で、57%が女性だった(一部の届け出には性別の記載なし)。スイスメディックは、引き続き、ワクチンの有効性はリスクを上回るとしている。

 

スイスでは、まず米ファイザー・独ビオンテック製のワクチンが、次いで1月に米モデルナ製が承認された。届け出された副反応の多くはファイザー製によるものだという。これは単に、ファイザー製が先でモデルナ製が後から始まったためだ(フリーペーパーの20ミヌーテン)。スイスメディックは、目下、英アストラゼネカ製のワクチン承認を検討している。

 

現在1日あたりの新規感染者数は、減少傾向にある。スイスは1月中旬から感染予防措置が厳しくなり、飲食店に加えて生活必需品以外の商店や文化施設・スポーツ施設は閉鎖、原則的に在宅勤務義務付けというセミロックダウンに入った。これは2月末まで続くが、変異株による感染者急増が警戒されているため延長される可能性がある。

 

接種希望者が増加

スイスでは、ワクチン接種希望者が増えている。1月初旬に新型コロナウイルス世論調査の第6回目が実施されたが、「すぐに接種する」と答えた割合は41.4%で、10月の第5回目調査の15.6%から劇的に変化した。

 

世論調査責任者のミカエル・ヘルマン氏は「前回の調査時は予防接種に懐疑的な人たちが非常に多かったですが、いまは、少なくとも国民の一部は予防接種ユーフォリア(ものすごく接種を受けたい)という状態になっているといえます」と話した。接種しないと答えた人は前回の28%から24%に減った。

 

接種派が増えている様子は、先の20ミヌーテンのワクチン接種に関するオンラインアンケートからもうかがえる。2月7日の時点で、42%が「すぐに接種する」と回答した。「開発までのスピードが心配だが受ける」19%、「予防接種は全般的に嫌だが今回は接種する」6%を合わせると接種派は67%になった。

 

医療現場 ワクチン接種希望者ばかりではない

ワクチン接種は、とりわけ医療現場で働く人たちには推奨される。しかし、医療現場にもワクチンに懐疑的な人たちはいる。スイスの医療従事者向け情報サイトのメドインサイドは、ワクチン接種が始まる前、(1)医師、(2)看護スタッフ、(3)医療助手(患者情報や医療品の管理ほか採血や注射、X線撮影などを行う)、医療セラピスト、病院総務従事者の計約700人((1)(2)(3)の比は3分の1ずつ)にアンケートを行った。その結果、「すぐに接種する」の回答は30%強で、「すぐに接種しない」の回答は55%近かった。

 

またスイス放送協会によると、ワクチン接種開始前、250人の看護スタッフが働くある高齢者施設では、ワクチンを接種すると決めているスタッフは20%しかいなかったという。

 

メドインサイドは、1月、心臓外科医、集中治療室スタッフ、内視鏡検査専門家、精神科医、高齢者施設スタッフ、スイスメディックのスタッフなど200人にもアンケートを実施した。もしもワクチン接種が義務になったとしたら、それは辞職する理由になり得ると答えた人は53%にも上った。

 

だがメドインサイドでは、接種に対する考え方にはばらつきがあり、少なくともチューリヒ州など一部の地域では医療従事者は接種にとても積極的だとしている。これについて精神分析家のベーター・シュナイダー氏は、接種を拒絶する人たちは1日で接種賛成派に変わることはないとしつつ、ワクチン接種が現実的になればなるほど受けようという気分になるだろうとコメントしている。

 

メドインサイドは、医療現場でのインフルエンザの予防接種率が低いことにもふれている。その理由として以下を挙げている。

 

  • インフルエンザワクチンの有効性は、年によっては50%未満である。
  • 病院のスタッフは、インフルエンザの予防に関しては、手指消毒やマスクの着用などほかの対策がより効果的だと考えている。
  • 外部者が看護スタッフの間でインフルエンザの予防接種率が低いことを指摘し、接種すべきだと言うことで、多くの看護スタッフはプレッシャーを感じ抵抗感を覚えている。
  • 自分は強くて健康な体をもっていると信じている。
  • 自分の体について決定を下す権利は自分にある。
  • 看護スタッフが予防接種を受けたら、その看護スタッフへの信頼が薄らぐのではないかと心配だ。

 

しかし、新型コロナウイルスはインフルエンザと異なる点がいろいろある。有効性が格段に高い新型コロナウイルスのワクチン接種は、スイスの医療現場でどこまで広まるだろうか。

 

スイス在住ジャーナリスト岩澤里美[執筆者]

岩澤里美

スイス在住ジャーナリスト。上智大学で修士号取得(教育学)後、教育・心理系雑誌の編集に携わる。イギリスの大学院博士課程留学を経て2001年よりチューリヒ(ドイツ語圏)へ。共同通信の通信員として従事したのち、フリーランスで執筆を開始。スイスを中心にヨーロッパ各地での取材も続けている。得意分野は社会現象、ユニークな新ビジネス、文化で、執筆多数。数々のニュース系サイトほか、JAL国際線ファーストクラス機内誌『AGORA』、季刊『環境ビジネス』など雑誌にも寄稿。東京都認定のNPO 法人「在外ジャーナリスト協会(Global Press)」監事として、世界に住む日本人フリーランスジャーナリスト・ライターを支援している。www.satomi-iwasawa.com

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