大乗仏典の多数の如来と菩薩は、真如・宇宙の英知の象徴的な存在
2019年1月2日 青字の部分の改訂・追加
2019年1月3日 末尾に青字で注意を追加・改訂
2019年1月15日 赤字で注意3「1つしかない真如を多くのものに分裂させた愚行」を追加・改訂
歴史的に実在が確認されている如来は、釈尊(お釈迦様、ガウタマ・シッダールタ)だけです。
釈尊は、自灯明・法灯明(仏知見)を説かれ、人の中に存在する法・ダルマ(宇宙の英知、万物の創造主)のみを唯一の頼みとして生きていくように説かれました。
決して、釈尊という個人を頼みにせよとは説かれていません。
そして、釈尊ご自身の像を作ることを禁じられたため、残された仏教徒は、法・ダルマの象徴として「車輪」を使用しました(法輪と呼ばれる)。
ところが、時代が下って、数百年後には、ヘレニズム文化の影響を受けて釈尊の像が作られ始めました。
さらに時代が下って、紀元前後になると、大乗仏典では、様々な如来・菩薩が登場し始めました。
法・ダルマ・真如を人格化して毘盧遮那仏(ヴァイローチャナ=光明遍照)(華厳経)、「大日如来 (マハーヴァイローチャナ=大光明遍照)」(大日経)などと表現したり、高僧は「阿弥陀仏 (無量寿、 無量光)」と呼んだことは、次の資料にまとめられています。この他、病気治し専門の如来である薬師如来も登場し、これらの如来の仏像も数多く作られていきました。
出典:
仏陀が説かれた真理 ― 付 才能開発法(仏陀の教説の実生活への活用例)
沢辺悟明 (著), 沢辺恭一 (著)
出版社: 三学出版 (1983/01)
p.51
仏陀の存在となるのに宗派は関係ない
仏教でいう自覚とは、 パーリ語の原意 「自ら悟る」、 梵語の原意 「真理に目覚め、 真理を悟る」という意味の原語の漢訳語です。
真理のすべてを自覚しようとしたならば、 『法句経」の一七九・ 一八〇偈で 「仏陀の知見は無辺なり」 と説かれ、 『法華経』 の方便品で「真理のすべては仏陀と仏陀のみが知り尽しており、 仏陀以外のものは知り尽せない」と説かれているように、
「八正道」 「戒定慧の三学」 「六波羅密」 などの修行法では自覚し得ないほど無量に実在しています。
その無量に存在する真理のすべ て (真如) が自らの心の中に実在して いるという自覚が 「自灯明・法灯明(仏知見)」 の自覚であり、その真如と一体化するという最高度のヨーガの実践が 「自灯明・法灯明(仏知見)」 の自覚であり、その真如と一体化するという最高度のヨーガの実践が 「自灯明 (仏知見)」 の実践です。
自らの本質が「真如」に変化するまで、くり返し一度でも多く「真如と一体化する」 という修行をすれば 「仏陀の存在」 となることができるわけです。
真理を他に求めることなく自らの心の中に求めるということは簡単なようで、信じ難く理解し難いことなので、釈尊は「四諦」を説かれ、 「十二因縁」を説かれ、「無相 ・ 空」 等々を説かれたのです。
「法華経」 の方便品では 「難信難解なことであるから信じることによって実践しなさい」 と説かれていますが、 仏陀の説かれた真理の正しい理解が得られたならば、当然のことながら信じられるはずです。
灯明とすベき真如については、 たとえば雑阿含経の中の『尊重経』 では、
”ただ正法のみありて我をして自覚して三藐三仏陀を成ぜしむ。我まさに彼(法=ダルマ)において恭敬し宗重し奉事し供養し、 彼に依りてしかも住すベし。”
と説かれているように 「正法」 あるいは 「法」 と呼ばれていたり、大乗仏教では、「法」「仏性」(涅槃経)、「一法」 「実相」 (無量義経、法華経)、「如来蔵」 (勝鬘経等) などと表現し、 真如を人格化して毘盧遮那仏(ヴァイローチャナ=光明遍照)(華厳経)、「大日如来 (マハーヴァイローチャナ=大光明遍照)」(大日経)などと表現したり、高僧は「阿弥陀仏 (無量寿、 無量光)」「妙法蓮華経」と名づけています。
仏陀を存在せしめる本質(真如)を大乗仏教では人格化して 「本仏」とも呼んでいますが、「南無妙法蓮華経」と唱える妙法五字は一般に考えられている経題という意味のみではなく、高僧が残された文書である「諸法実相鈔」 では、「妙法蓮華経こそ本仏にてはおわしそうらえ」 と説かれているように、「仏陀の本質である正法、 すなわち妙法蓮華経」という考え方で名づけられたものであり、同じく「日女御前御返事」でも「妙法五字の光明に照らされて本有の尊形となる」 と説かれているように諸仏の本質の ことをい います。
ですから宗派にこだわることなく、 名称にとらわれずに、 自らの心の中に実在する 「仏陀の本質」 と一体化する行をくり返し実践すればよいわけです。
本尊を他に求めずに自らの心の中に求めるということが大切であり、自分と仏陀の本質は別の存在であるとしか考えられないならば、 「八正道」 から修行し直した方がよいでしょう。
ただし、 ここでいう心の中とは 「自らの身体から離れた心の状態」のことをいいます。
(引用終わり)
さらに、様々な菩薩も登場したことは、次の資料に書かれています:
出典: 実践・般若心経: 大明呪の活用法2012/9/20 巽 直道、 巽 春光
p.85
「新・仏教辞典の解説によると、観音・勢到、文殊、普賢、弥勒、地蔵の諸菩薩は、その資格と内容においては如来と何ら異なるところはなく、仏陀の広大な衆生教科を象徴したもの」とありまから、これらの諸菩薩は仏陀そのものということになりましょう。
(引用終わり)
観世音菩薩と地蔵菩薩は、衆生の救済の菩薩(如来)として知られ、広く信仰されて、日本全国、津津浦浦に仏像が祭られています。
これらの多数の如来、及び如来と同格の菩薩が大乗仏典に登場した目的は、いったい何でしょうか?
法・ダルマとは、無相の存在であり非常に抽象的で形がなく、人間の目には見えませんから、人間の5つの感覚器官で捉えることはできません。
このため、法・ダルマ・真如を人格化して毘盧遮那仏(ヴァイローチャナ=光明遍照)(華厳経)、「大日如来 (マハーヴァイローチャナ=大光明遍照)」(大日経)、「阿弥陀仏 (無量寿、 無量光)」と設定し、目に見える形にし、経典という形式で法・ダルマの作用と機能を説明したと考えられます。
また、法・ダルマが実際に自然界と人を動かし働きかける様々な機能に関して説明するために、薬師如来、観世音菩薩、地蔵菩薩などの如来(菩薩)を設定したと考えられます。
つまり、毘盧遮那仏、大日如来、阿弥陀仏、薬師如来、観世音菩薩、地蔵菩薩などの如来(菩薩)は、法・ダルマの象徴として設定されており、法・ダルマの「別名」であると考えられます。
このため、
法=ダルマ=真如=阿弥陀如来=観世音菩薩(正法明如来)= =薬師如来=大日如来=全宇宙の無数の如来=空=宇宙の英知=万物の創造主=天の父
と考えて良いと思います。
また、釈尊は如来であられ、空と同化された存在ですから、法=ダルマ=真如=釈迦牟尼仏と考えても良いと思います。
このため、南無阿弥陀仏、南無観世音菩薩、南無釈迦牟尼仏、南無薬師如来などのいずれの御名を唱えても、
法=ダルマ=真如=空=宇宙の英知=万物の創造主=天の父
の御名を唱えることと同じですから、どの御名を唱えても同じように法=ダルマ=真如=空=宇宙の英知=万物の創造主=天の父により救っていただけ、同じように救済、極楽往生、浄土往生させていただけると私は信じています。
皆様が信仰されている宗派の教えに従い、聖なる御名を唱え続ければ良いだけだと思います。
注意
1.観世音菩薩の観音力、阿弥陀如来の本願力は、仏教徒の間で非常に有名で親しまれています。
毘盧遮那仏、大日如来、阿弥陀仏、薬師如来、観世音菩薩、地蔵菩薩などの如来(菩薩)は、法・ダルマの象徴として設定されており、法・ダルマの「別名」であると考えられます。
このため、観音力や本願力と呼ばれるものは、法=ダルマ=真如=空=宇宙の英知=万物の創造主=天の父の智慧と力であると考えられます。
2.仏典は、釈尊が書かれたものは一つもありません。これらは、凡夫の僧侶が書いたものですし、仏教以外のインドの土着の宗教、例えばバラモン教(ヴェーダ)の影響を受けた僧侶が書いたものもあります。例えば、大般若経には、バラモン教の僧侶のバラモンを信頼するという表現が出て来る部分もあります。薬師如来の経典である薬師経のように、インドの極端な男尊女卑の思想が入っている経典もあります。
このため、これらの大乗仏典も完全なものではないと思っていた方が良いと思います。
仏典が完全ではないから価値がないというのではなく、各々の仏典は何を伝えようとしているのか、その大意・本意を把握すれば良いのです。
細かい誤りは無視すれば良いだけです。
インドの土着の宗教であるバラモン教やヒンズー教は、多神教ですから、それらの宗教の考えに染まっていた人たちが仏教に入ってきて、多くの如来及び如来と同格の菩薩として、法=ダルマ=真如=空=宇宙の英知=万物の創造主=天の父の智慧と力を表現していったと推定しています。
本来は1つの真如しかないものを、多神教に習って多如来化していったのが、大乗仏教の特徴であると思われます。
3. 1つしかない真如(宇宙の英知)を多くのものに分裂させた愚行
本来、真如=ダルマ=法は、宇宙に1つしかないのですし、それは無為・無相・空の存在であり、五感でとらえることができず、姿形がありません。
それを五感でとらえることのできる「像」として作り上げた段階で、既に真如の本質から外れてしまっているのです。
無相の真如を目に見える形として象徴的に表すために無理矢理に「像」を作るのならば、1つの「像」だけを作り、それに例えば「宇宙の英知」という1つの名前だけをつけ、真如の全ての作用・機能を解説する「宇宙の英知経」という1つの経典(教科書)だけを作成すれば良かっただけの筈です。
しかし、現実には、紀元前後の凡夫の大乗仏教の僧侶たちが、何種類もの如来を設定し、何種類もの像を作り、何種類もの経典を作成し、本来1つしかない真如を非常に多くのものに分裂させて混乱させ、極めて分かりにくくしてしまったのです。
そして、その後継者たちは、宗派仏教に分裂して、互いに優劣を競い、いがみあってきたのです。
これは、凡夫の僧侶たちの犯した大きな誤りであり、現代仏教は釈尊の説かれた教えとは大きく異なる誤った形式になっているのです。
我々は、この愚行に振り回されることなく、宇宙に1つしかない真如(宇宙の英知)を研究して求めていくべきです。
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