gacco放送部(仮)の青木です。
約1ヶ月前のエントリー「(部員メモ)「工業大学の授業?俺には関係ないや」と思っていた文系でサービス開発職のワタクシ」で、芝浦工業大学の先生お二人にインタビューをさせていただきましたが、キャンパスへの往訪ついでに、またまたお話しを伺ってきました。
今回、キャンパスに伺ったのは「イノベーション入門」の講義を担当いただいた4名の講師のうちの、某K先生が、「ログインができない~」、「管理画面の操作方法がわからない~」と、再三メールをくださるもので、「では、直接ご説明に・・・」、、
というのは冗談ですが、芝浦工業大学大学院MOTが、プロモーションビデオを撮影した豊洲キャンパスから、9月からは田町キャンパスにお引越しされたということで、興味本位で立ち寄らせていただきました。
今回も、知的好奇心をくすぐられる楽しいお話しを聞かせていただきました。
(gacco青木)--こんにちは! いよいよ今週26日(11/26)から「イノベーション入門」が開講しますね。
撮影のあった9月からあっという間の2か月でしたが、その間に田町キャンパスへのお引越しもされていたんですね。豊洲キャンパスも広々してよかったですけど、こちらは社会人の方には通いやすそうでいいですね。
(芝浦工業大学 田中先生)
本当にあっという間でしたね。そうなんですよ、当時はMOTの引っ越しも重なっていて、gacco担当の先生方は厳しい毎日が続きました。私も引っ越しの段ボールの山に囲まれながら、資料を作ったり打ち合わせを行ったりしていました。
(芝浦工業大学 加藤先生)
そういえば、稲村先生が途方に暮れた表情で、オムツのパッケージを抱えながらgaccoの会議に参加されたこともありましたね~。
--オムツ?? ですか???
(田中先生)
うんうん、あれはおかしかった! 確かオムツのU社の方が製品開発のお話をしてくださった際に大量に持参されたものを、稲村先生が引っ越しを期に処分されようとしていたんだったかな。
--大学の先生の研究室にオムツって…ものすごく異質な感じがします(笑)。
(田中先生)
確かにそういった印象がありますが、実はオムツは品質向上を求めて各社が日々技術革新を続けている製品分野なんですよ。赤ちゃんの骨格に合わせて柔らかいカーブ構造を持たせてフィットする工夫や、「漏れない」「かぶれない」ための工夫などです。
--なるほど… 。 確かに赤ちゃんは成長するに従って、一日の生活スタイルがどんどん変わってきますから(寝る → 座る → ハイハイ → 歩く等)、それぞれの成長期の骨格や動きに合わせて、オムツのしくみも全く違ってくるのでしょうね。
20年前の赤ちゃんと、今の赤ちゃんでは体格も変わってきているかもしれませんし。
(田中先生)
最近の例だと、ある子ども用オムツに、なんと83件(*)もの知的財産権が一度に認められたものがあります。赤ちゃんのお尻を守るためにも知的財産権は活躍しているんですよ。
(* 特許権29件、商標権36件、意匠権18件)
--一日に何枚も使っては捨て、使っては捨てるオムツに83件の知的財産権!何だか急にオムツがありがたいものに思えてきました(笑)
そう考えると、私達が毎日使っているものの中にはどれくらいの知的財産権が付与されているんでしょうか。がぜん興味がわいてきました。
(加藤先生)
そうですねぇ。台所用品とか、電化製品、あるいは便器の形なども知的財産権がいっぱいだったりして(笑)
(田中先生)
知財というと、一般には、弁理士や弁護士におまかせの世界、と思われるかもしれません。
知的財産権は、人間の知的創造活動によって生み出される、表現、アイディア、技術など実体のないものを保護するために、その考案者に与えられる権利です。
平たく言うと、人間が日々の暮らしの中で、「こうだったらいいな」という気づきや思い、そして、「こうしたら実現できた」という知恵や工夫の蓄積なんです。そして、それらが活かされて、製品やサービスが生まれる。人々の生活が楽になったり、豊かになったりする。
そう考えると、知財ってとても身近なことだし、なんかこう、人のロマンがある世界だと思いませんか?
「イノベーション入門」week2の「知的財産権と特許データベース」を、そういう気持ちで見てもらうと、またいろいろと発見があると思いますよ。
--ところで、加藤先生はご担当のWeek4で、「企業における人の行動や態度」についてのお話をされていますよね。主には組織をどう動かしていくかという。
今回のgaccoでの講座開講のプロセス、MOTの先生方の連携は、Week4で紹介されていたような理論で説明できそうですか?
(加藤先生)
できます、できます!もちろんです!(鼻息荒め)
gaccoに参加することが決まってから半年以内で開講にこぎつけたのは、チームが上手く動いたからだと思います。
--といいますと?
(加藤先生)
まず、「目標」がはっきりしていたのは大きいですね。「より多くの方にMOTを知っていただく」という強い思いが、全MOT教職員の心の中にありました。組織内の一人一人を共通の目標に向かわせることが組織のパフォーマンスを上げるためには何よりも大切です。
先日のブログでもご紹介いただきましたけど、「4人の教員が一つのストーリーを追う展開」にすると決めるに至った過程では、非常に真剣な議論が何度も繰り返されました。それぞれの専門分野を上手くつなげるわけですから調整が難しい部分もありましたが、最終的な目標がしっかり共有されているとそれらの難しい調整も前向きに克服できます。
「モチベーションの理論」も応用できますよ。「具体的で達成しがいのある目標」は人のモチベーションを高めると言われていますが、gacco開講までのプロセスはまさにどんぴしゃです。
例えば、gaccoスタッフ、撮影スタッフのみなさんが、スケジュールを詳細に提示してくださったことで、私達教員は開講までの段取りをイメージすることができ、普段の業務が始まった9月中旬以降も、引越しがあっても、何とかモチベーションを保ちながらgaccoの作業を進めることができました。
--なるほど。「理論」と聞くと、普段の生活に関係ないような気がしてしまいますが、そうでもないんですね。
(加藤先生)
そうなんです!経営学の面白いところは、企業内だけでなく様々な単位の組織で理論が応用できるところです。
例えば学校の先生と生徒、親子の関係などにも応用できますよ。私は学部生の授業やゼミでの卒業論文の指導、あるいは友人から子育てについての相談にも応用しています(笑)
(田中先生)
子育ても、ですか?
(加藤先生)
はい。お子さんをやる気にさせる方法ではモチベーションの理論がそのまま応用できます。また、部活や町内会などのグループの団結を高めたい時などには集団の理論が使えると思いますよ!
--オムツに子育て… これは、ますます、「MOT?俺には関係ないや」ではなくなってきましたね。
時に感情論に走りがちなうちの奥様に、理論を習得してもらわねばなりません(笑)
今日も楽しいお話しを聞かせていただいてありがとうございました!
今日も、シバコウさんに長居してしまいました(笑)
帰りの車中、「イノベーション入門」Week1で導入を担当いただいた稲村雄大先生の言葉がよぎりました。
「イノベーションを、技術革新と訳される事がありますが、むしろ、イノベーションは“新結合”、つまり、“新しい組み合わせ”と解釈するべきでしょう。市場・社会・技術・組織が急速に変化する時代にあわせて、ヒト・モノ・カネ・情報を最適に組み合わせることです」。
今日のお話しとあわせて考えてみれば、まず、家庭も、ヒト・モノ・金のマネジメントですよね。
そして、変化する時代、急速な子どもの成長、衰え行く体力(涙)にあわせて、自分自身がイノベーションすることを意識していかなければ! などと思ったのでした。
この講座が、単なる工業大学による新製品の作り方講座ではない(MOTの先生方ごめんなさい!!)ことを、もうご理解いただけましたね?
イノベーターたるためのフレームワーク満載の講座で、「イノベーション入門」しましょう!
◎11月26日開講しました!開講したばかりですので、課題提出も修了も間に合います!
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