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大好評に終わった「歌舞伎衣裳ワークショップ」!!

2016-09-28 | 広報部

9/17(土)松竹衣裳の海老沢専務をお招きして、歌舞伎衣裳ワークショップを開催いたしました!!!

会場には、「藤娘」と「雲の絶間姫」の衣裳を展示。

     

 今回は、松竹衣裳さんのご厚意で、自由に写真・動画の撮影ができたため、参加者のみなさん、普段間近でみることができない衣裳の前で刺繍の美しさや着物の色に“うっとり”しながら、前から後ろからと様々な角度から撮影されていました。

 

 こちらが、今回講師を担当いただいた海老沢専務です。

(とってもダンディーで魅力的な先生と参加者からも大人気でした)


海老沢専務の講演では、主に歌舞伎衣裳にまつわる歴史や舞台裏についてとてもわかりやすくお話してくださいました。

特に印象に残ったお話は、役者さんと衣裳担当は「対等」であり、お互いが「その道のプロ」であることを認め合い、「本物」にこだわりをもって仕事をしているとのことでした。いくつも衣裳があるうえに、同じ衣裳でも役者さんによって着付け方が異なるため、一人前になるのには20年かかるのではないかというお話。マニュアルもない世界なので、体で覚えていくしかないそうです。まさに職人さんですね。

 

 こちらは、説明に使われた衣裳。

今回は特別に、展示された衣裳以外にも何点か会場に持ってきてくださり、実際の衣裳を見ながらその衣裳にまつわるお話をたくさん伺いました。なぜその色が使われているのか、裏地へのこだわり、さらに染め物の特徴等。知らなかったことも多く、大変勉強になりました。参加者の中からは、「ぜひ歌舞伎衣裳の講座を開いてほしい」というお声までいただきました。

 

そして、今回のワークショップ一番のメインである「引抜」。

今回は、鳴神の見どころである「ぶっ返り(※1)」という技法の「引抜」を参加者から代表で1名の方に実体験していただきました。(体験してみたい方が多数いらっしゃったので、じゃんけん対決で決定!)

この大蛇のような帯。

こちらはお付きの方2名で縛り上げていましたが、とても重たいそうです。実際に着た感想をお聞きすると、「思っていた以上に重たいです。布団に何重にも巻かれているようです」と。この重たさで役者さんたちは演じるのですから驚きますね。

 

こちらは、実際に糸を引き抜く様子。

舞台では、すっと抜けるようにみえている糸も、抜くにはコツがあるそうです。加者の中から代表で4名の方に、実際に糸抜きに挑戦していただきましたが、あれ?あれ?という感じでゆっくり引き抜かれました。引き抜き用の糸も衣裳担当さんの手作りで、さらに汗が糸に染み込むと抜けにくくなることから蜜蝋がぬってあるそうです。細部にわたり工夫が見られます。

 

舞台では、「さっ」と抜けるように見えていますが、本当はこんなに大変だったんですね。そのあと少し質問タイムを設けて終了!

 

最後に皆さんで集合写真を撮りました。

とても充実した内容のワークショップでした。アンケートでも参加者皆様から「たいへん満足」と評価いただき、

「日本の伝統の機能美を感じることができました。」

「普段経験できない体験が出来ました。実演も良かったのですが、講演の内容が非常に興味深く、歌舞伎を見る楽しみが増えました。」

「海老沢専務のご説明がはじめて知る内容ばかり。通常では知りえない舞台裏なども聞けて楽しかったです。」

など、たくさんのお声をいただきました。

ぜひ、また「歌舞伎」や「日本文化」にまつわる講座やワークショップ等を企画できればと思っています。

お楽しみに♪

 

※gaccoでは、「歌舞伎の経済学」が特別再開講中です。こちらもまた違った歌舞伎の世界が覗けて楽しいですよ。まだ受講されていない方は、ぜひ受講してみてください。

 講座URL:https://lms.gacco.org/courses/course-v1:gacco+ga053+2016_08/about

 

 (※1)「引抜」と「ぶっ返り」

引き抜きとは、舞台上で、衣裳を一瞬にして変える演出の1つで、衣裳をあらかじめ重ねて着込み、仕付け糸で留めておき、直前に後見(舞台上で演技を補助する係)が留めてある仕付け糸を抜き取ります。また「引抜」の中には、「ぶっ返り」と呼ばれる手法があり、こちらは上半身の部分を糸で留め、この糸を抜くことで衣裳がパラリとめくれ、腰から下に垂れる仕掛けになっています。この演出は、登場人物が本性を現したり、性格が変わったりすることを視覚的に表現しているそうです。


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