不思議活性

詩と漫画  『つげ義春漫画と私』 1

  『つげ義春漫画と私』 
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 『ねじ式つげ義春作品集』2002年 第二刷発行を読み。

 2002年(平成14年)と言えば、働き盛りの自分でしたが、まだまだ平成不況のなかでした。そんな生き苦しさからの気晴らしからか、つげ義春漫画の決定版とも言える『ねじ式つげ義春作品集』を手にしたのです。早いもので、それから20年は過ぎました。
 今回、リタイアとなり久しぶりに、読み直しました。私がつげ義春の漫画と最初に出会ったのは高校生の頃でした。実際に「つげ義春漫画」を読んでいただければ、そのすごさがわかると思うのですが、私なりに「つげ義春漫画」について、ちょっと、書いてみたいと思います。

 まず、1968年発行月刊漫画ガロの増刊号『つげ義春特集』より。つげ義春論としての佐藤忠男氏の文を紹介いたします。

 つげ義春のマンガは、出家遁世の志を遂行しつつある隠者の芸術であると思う。彼の作品の舞台は、あるいは人里はなれた山奥であり(『通夜』『西部田村事件』『峠の犬』『初茸がり』そして『沼』)、都会も場末の、草むすあばら家であり(『李さん一家』『不思議な絵』『西瓜酒』『運命』)、売れない絵かきがバアのホステスの女房と一緒に住んでいる裏町の家であり、(『チーコ』)、そしてついには、都会の下水の穴のなかである。(『山椒魚』)。
 それらは、現世の享楽や出世競争に絶望したか、あるいはさいしょからそれらを斜めに見ている隠者の住まいにふさわしい、その絵はまた、われわれ日本人にとって、きわめてなつかしい心象風景を思いおこさせる。わびしい山。暗い森。草むす家。なかでも傑作は、『李さん一家』に描かれた、朝鮮人の李さんの奥さんの表情であろう。

 佐藤忠男さんの解説は、まだ続いていくのですが・・・・。
 以下、私なりに、幾つかの「つげ義春漫画」を紹介いたします。

     * * * * * * * *

 『ねじ式』(ガロ1968年6月増刊号)


 この『ねじ式』ですが、メメクラゲに左腕をかまれてしまった少年が、その漁村で一人の婦人科医に出会い、その左腕の切口を塞ぐ手術をして貰うお話なのです。隣村へ行こうとして機関車に乗ったり、金太郎アメ売りのおばさんに出会ったり、婦人科医と裸になって手術となり、そのねじ式による手術の後、そのねじを締めると、少年の左腕はしびれるようになったのです。

 そのようなストーリーなのですが、初めて読んだときは、何だかわけもわからない支離滅裂なお話だなと思ったのです。その頃、シュールという言葉を耳にしていたので、これがシュールと呼ばれるべきマンガなのだと・・・・。
 で、今回読んでみて、改めて、説明は必要ではなく、「まさか こんな所に メメクラゲが いるとは 思わなかった」のページから、・・・・最終ページまで読んでいただければ、それでいいのだと思った私です・・・・。




 『紅い花』(ガロ1967年10月号)

 『紅い花』は、森の茶屋で店番をしているサヨコが月経を迎え苦しんでいるのを、同級生のマサジがおぶって山を下りて行くところで終っています。物語は、山へ釣りに来たお客の登場から始まるのですが。お客は、つげ義春本人とみてもよいのではと思うのです。
 サヨコとマサジのふれあいが、ちょっとロマンチックに描かれている最後の場面には、言葉もありません。


・次回に続く・・・。
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