古い自転車を引っ張り出す。すっかり空気が抜けている。パンクはしていないようだから空気を入れれば乗れるだろう。早朝の電車で出かける。駅までの足に自転車が欲しかったのだがいくらロックをしたってkoga-miyataを駅の駐輪場に一昼夜置いておく度胸はない。古自転車なら社長に場所ふさぎだから捨ててしまえと言われているくらいだ、盗まれたって痛くないぞ、と思うのだがこれだけひどいと誰も盗っても行かないだろうな。
晴れているが気温は低い。自転車には寒いがまあいいや。朝うっかりとカメラを入れ忘れた。今回は写真なしだ。
7:30発のしらさぎで東京へ向かう。今回の社長の出張は国内出張としては異例の長さで土日を挟む。土日は私も東京へ行って遊んでしまおうと言う計画。
国立新美術館にて開催される「
加山又造展」がメインで後は東博妙心寺展とエビスガーデンプレイスをのぞこうかという話。
良く晴れて冬晴れというより春の日差しがまぶしい道中だ。
東京駅から上野へ向かう。東京国立博物館は妙
心寺展だ。
私にとって妙心寺はめったやたらに広い境内に方丈が散在し何がなんだかわからないところでだった。常時仏像や絵画をオープンにしているところではなかった。つまり観光寺院ではなかったのだ。在り様は大徳寺などと同じだろう。大徳寺がとんでもない障壁画を持っているのと同じで(何年か前の大徳寺聚光院の襖絵の展示会を見損ねたのは今でも残念だ。)いろいろ持っているのだろう。
展示の前段は禅宗の心得一つない身には何がなんやらわからず、書が読めないのみならず読めたところで意味不明。頂相もあまりいただけないし、、、が後半が面白かった。
白隠なんてどんな坊さんか知りもしないのだが、なんとユーモラスな絵を描くことか。いつも子供と遊んでいる山寺の和尚さんが実は大変偉いお坊さん、なんてイメージはいいな。
狩野山雪「老梅図襖絵」蕭白・若冲に比べれば、、と思っていたのにこれはこれでたいした奇想。梅の木の枝振りには画家の絵心をくすぐる造形の面白さがもともとあるのだろうが、これは又なんと樹をいじめたデフォルメであることか。
狩野元信の花鳥図は8枚組み。襖だったのを外して軸に表装してある。引き手の後がわかる。永徳展に比べればはるかに空いているので全体を見渡せるのだが、どういう風に襖として部屋に組み込まれるのか想像できない。でも間違いなく
狩野永徳のおじいちゃんので、大徳寺聚光院襖絵の原型だ。
山楽の竜虎図屏風も良かった。特に龍図の構成はひどく近代的に見える。
東京国立博物館から根津の地下鉄駅まで谷中を通って歩く。下町資料館なんてのがあってガイドブック片手の人たちがぞろぞろ歩いている。東京の下町を歩こう、なんて雑誌や本が結構出ているが、本当に観光地のようになったんだ。なんだか京都へでも来たような気分だ。
ホテルから夕方早めに出て代々木上原へ向かう。ジーテンに予約を入れていたのだ。
早くつきすぎたのでジーテン近くの古本屋をのぞく。ココには商店街が健在だ。30年ほど前とほとんど変わっていないという。いっぱい春の花を並べた花屋、魚屋、酒屋、八百屋、薬屋が目に付く。地方都市でこれほど商店街が寂れたのは車社会であるからだ。公共交通機関が呆れるほど整備された東京と言う街だからこそ商店街も生き残っていられる。
ハマグリの蒸し物・マコモダケの炒め物・海老の包み揚げ・銀杏の甘酒炒め 板春雨の海老巻蒸し・卵とトマトの炒め物 こんなものだったかな?3人分です。 ビールと老酒。紹興酒は「女児紅」とかわいい名前の壷だった。お料理は前回ほどの新鮮味はなく、贅沢なことに少し飽きた。何かレシピどおりにやればできそうで、、、。でもあの蒸し方は無理だな。カウンターだったので調理場が良く見えた。驚くほど大きな蒸篭だ。それが常時蒸せる状態でセットされている。あれが見れたのは良かったな。しかしこの店やはり狭すぎて落ち着きが悪い。予約でいっぱいだし、これ以上の規模では味を維持しかねるだろうことも判る。でももう少し空間の余裕は必要だ。
ジーテンを出て恵比寿に向かう。恵比寿の駅からは空港のように動く歩道が延びている。万博じゃないか、などというと歳がわかるからやめておこう。
贅沢な空間と言うのはやはり心地よく素敵に見える。恵比寿ガーデンプレイスのビアステーションに入る。屋内のビアガーデンといった感じで活気がある。夕食ここでも良かったな。実はガーデンプレイスのフレンチのレストランに予約を入れようとしていっぱいで入れなかった。だからジーテンにしたのだった。
そんなハイブロウっぽいところでなくても
ビアステーションでよかったんだな。
確かにビールは美味い!のだ。
ここのメインビル内で、また今度社長のドアファンの仕事がある。
今回のホテルは六本木のヴィラファンテーヌ。翌朝界隈を散歩する。今日も良く晴れているが風が冷たい。東京は坂の街だ。泉ガーデンはアップダウンのある地形を利用し整備されている。汐留もそうだがGLがどこかもわからない、そもそもそういう考え方をしないのかな? 洗練された場所である、という感じは、同時にどんだけお金をかけたんだ!という感じを等価に感じる場所でもある。
国立新美術館へ向かう。10:00の開館前に着いたが、もう並んでいる人がいる。ただ列は長くない。
加山又造は琳派展で見たときには非常に良く見えたが、今回はそうでもなかった。
墨絵風のものは夫に言わせると余白を残さず描く墨絵はなく、水墨画としてこれは禁じてのものだ、という。私には裸婦像が面白かった。
上野の東京国立博物館に行き、もう一度妙心寺展を見、常展をのぞき帰る。