風車ビルだより

今は風車のない風車ビルからの風だより

アルベール・カーン コレクション よみがえる100年前の世界

2009年12月12日 | 本/映画
以前カーンのコレクションをテレビで紹介していたのを見たことがある。
その時は第一次世界大戦時の兵士の日常を写したものが多かったと思う。
これは、その時見た写真の多くも含み、世界各国の人々の姿を切り取った写真集である。

多様であること、多様であることが当たり前であることを人々が正しく認識すれば紛争への抑止力になるはず、というカーンは考えたらしい。そしてそれは恐らく正しいが、それだけでは足らないのだ。
現在、20世紀初頭の世界の人が思いもよらぬスピードでものすごい量の情報が駆け巡る。地球の裏側の国の街角で人々が今何をしているのかを、私たちは居ながらにして見ることができる。カーンやカーンのカメラマンたちのように世界旅行に行く必要がない。それでもそれは紛争への抑止にはなっていない.

カーンのカメラマンたちは当時のヨーロッパから見て辺境の地も歩き、奇妙見えたであろう衣裳の人たちも撮っている。しかし、珍奇なものをあさり歩いているという印象はない。
時代は違うのだろうが、ライデンの民族学博物館で感じたような不快さ、世界の隅々まで行って珍奇なものをかき集めてきてやっていたのだ、とでもいうような臭みは感じない。むしろ、非常に心惹かれるものが多い。

アルベール・カーンは貧しく生まれ育ったが、巨額の富を稼ぎ富豪となる。しかし世界恐慌で破産し、晩年は不遇であったという。
しかし彼は膨大な資金を写真に注ぎ込んだことを悔いはしなかったのだろうと思う。


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