【“善人”の心にトゲを刺す!「本編」 ~ 人に七癖、我が身に八癖 ~ 自分のことは棚に上げ ~ 「入段」させるには早過ぎたヒトたちの巻】
■最後の砦だった複雑系ゲームの王様「囲碁」において、
AI(人工知能)が人類最強クラスを超えて、まもなく4年になる。
プロ棋士の多くは、AIを「先生」と呼んで参考にする始末。
AI流を全く無視し、昭和の伝統的布石を愛用する少数派もいるにはいる。
成績は? 後者だってそこそこ打てているのだから、これまた不思議だ。
■わたしは、AI流布石のいくつかを愛用している。
が、最強AIソフトやネット碁の対局は好まない。
通勤電車「15分」で9路盤対戦ソフトを数回楽しむ程度である。
やはり顔の見える人間相手のリアル対局でないと、味気ない、面白くない。
◇
■本拠地同好会のA有段者。人生の大先輩、気さくな方。
2年ほど前、対局棋譜を採り感想付きで清書し、お渡ししてから、
親しくさせていただいている。
棋力は右肩上がりで、もう一つ上の段でもおかしくないほど。
棋力はともかく、極めてよろしくないクセがあります。
碁石をコンコンと碁笥にぶつけて考えるのです。
対局相手から一言あってしかるべきですが、この会ではそれがほぼありません。
コンコンが出ると、わたしだけ?は指差し・ダメ出しします。
何度か繰り返すと、彼は次第に不機嫌になる。
逆ギレする前に、わたしは黙る。
一週間後、何事もなかったかのように、すっきりした顔で「また、教えてな~」。
そして、また悪いクセが……。 やかましい。
「コンコン碁は、よしましょね」
■これはAさんだけではありません。
B高段者は、碁笥の中に手を入れて石をかき混ぜます。
ガチャガチャ、ガチャガチャ、ガチャガチャ。
こちらの考慮時間中でも、ガチャガチャやっている。
まだ、そう親しくもないので、黙っています。
でも、だんだんイラっとしてきます。
長年やらかしてきたためか、こういう方は時々います。
「ガチャガチャ碁は、よしましょね」
■多趣味活動家のC有段者。
挽回不能と悟れば「負けました」とか「ありません」というべきでありましょう。
が、形勢絶望となると、決まって彼は唐突に「感想」を語り出します。
お付き合いで返事をし、しばらく会話が続く。
そして「はい、ありがとうございます」と言って、いきなり石を崩します。
ジャラー、ジャラー、ジャラー、ジャラー。
わたしは、相手が負けを認めたことが、ようやく分かります。
まずいですな、これは。一番まずいかもしれません。
「ジャラジャラ碁は、よしましょね」
■D有段者。真面目で、日々、新聞碁を並べている。
形も筋もいい。 ただし部分的には……。
ヒトの良さが出るのか、弱点は「正直すぎる碁」である。
わたしがツケを打ったら、必ずハネる。
ヒドイ目に何度か遭って、今度はツケを打ったらヒイて守る。
要するに、全体も見ず、部分的ヨミもなく、「形だけ」で打とうとしている。
こちらのヨミ筋にハマるタイプで、わたしは負ける気が全くしないのです。
相手のヨミを外して、初めて勝負ですよ。
五段以上と打つと当然、悲惨な展開になる。
これまた「ご機嫌ナナメ」に。
上手相手に「(あなた)ポンポンと早く打ち過ぎ!」
プンプン怒って噛み付くことがあります。
自分の悪手連発を「相手の着手の早さ」のせいにしちゃいけません。
「プンプン碁は、よしましょね」
■「負けたなあ」を連発しながら打ち続けるE有段者。
それなら投了しましょう。「負けました」といいましょ。
「……なあ」は何ですか。打ち続けたいなら、黙って打つべきです。
「相手の間違いを期待している」と思われても仕方ありません。
相手の時間を奪うのは罪深いことです。残り少ないのですから。
潔く負けを認めて、もう一度お手合わせを願うべきでしょう。
「ムダグチ碁は、よしましょね」
◇
■「諫言」は難しいものです。
こういった皆さんは自他ともに認める<善人>でありましょう。
普段は「すまし顔」なのに、勝負絡みとなると「つい熱くなり、悪いクセが出る」。
カワイイといえばカワイイ。
ただし反則ではないので
イエローカードといっておきましょう。
レッドカードは、
肝心な局面で交点に石を置かない▽打ち直し・待った▽対局中の評論▽横から口出し。
「あなたの反則を見逃す代わりに、私の反則も見逃しておくれ」でしょうか。
お里が知れます。
自分にも相手にも寛容な? 地域の同好会だけにしておきましょう。
碁会所や大会なら、追い出されます。
■1年以上前に目撃したことです。
F有段者から「一局やろうよ」と手招きされたG有段者(一段格下)。
Gさん、黙って小さく首を横に振って返事をしません。
見ていたわたしは、唖然。そして吹き出しました。
二人の間には、過去に「何かがあった」のでしょう。
Fさんの「何気ない何か」に、Gさんは我慢ならなかった。
「何気ない何か」とは、これまで書いてきた様な事でしょう。
いくつか思い当たります。
自分はよくても、相手には不快な行為があります。
書いているわたしも、だんだん自信がなくなってきました。
皆さん、人生の荒波をかいくぐってきた強者ばかりです。
よ~く相手を見ています。怖いです。
自分も 相手も 楽しめるように 打ちましょう。
では、ごきげんよう。あす、お逢いいたしましょう。さようなら。
「相手が過ちを犯した時は、誠意をもって忠告するがよい
見て見ぬふりをするようでは、友人の資格などない
だが、忠告は『一度だけ』にするのがよい
しつこくすると、今度は自分がいやな思いをするものだ
それが『君子の交わり』というものである」
「よき友と末永く付き合う秘訣は何か?」と弟子の子貢から問われ、
孔子様は、こう説いたものである