囲碁漂流の記

週末にリアル対局を愉しむアマ有段者が、さまざまな話題を提供します。初二段・上級向け即効上達法あり、懐古趣味の諸事雑観あり

上手のインチキ

2019年05月14日 | ●○●○雑観の森
黒石をジッと見つめる の巻】
 
■下手をひねるコツとは?
 
■「(下手が不安に思っている)石をジッと見ることだ」。かつて、そう言ったプロがいました。
 
■本当は生きている黒石ですが、下手は不安になってきて急がない一手を入れてしまう。そうして大勢に遅れるというわけです。
 
■確かに。わたしが5子局、6子局を打っていて、終盤に入って「少し白が足りない」と思っていると……。「危ないな。手を入れとこう」と独り言のヒトがいます。数えて持碁(盤面引き分け=白勝ち)です。あの一手がなければ、と悔しがる。時々おられますよね。初段目前で足踏みしているのは、こんな所に原因がありそうです。しっかりヨミを入れましょう。
 
■逆に、上手が自らの不安定な白石を、ジッと見詰めてから、手を抜けば、下手はやってこない? ここまでくると、インチキといわれそうです。ガツンとやっていきましょう。
 
         ◇
 
本物の芸を、もう一つ。
 
■大正8年、本因坊秀哉名人と岩佐銈(けい)六段。秀哉の2子局をこなす芸は絶品でした。当時の強豪を抑え込み、「白の名局」というべき譜を数多く残しています。
 
■岩佐は明治11年生まれ。明治後期から最も勢力のあった囲碁組織「方円社」の6代目社長。大同団結組織となる日本棋院の設立を成し遂げました。温厚にして酒をよくたしなんだ好人物。本因坊道策に傾倒し、棋譜を全て並べることができたといいます。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
▼終局
 右辺は白の大石が死んでいます
 でも白地もなかなかのものです
 
▼ダメも詰めて、もう打つ所なし
 
▼相手の死んでいる石を一度、ふたに全部入れてしまいます
 
▼今度は逆に、ふたに入れた石を相手の陣地に戻し、埋めていきます。最初に埋めていく場所は「小さい所」「中央」です。
 
▼整地が終わりました
 白2目勝ち
 
■いかがでしたか?
 
■黒が終盤まで勝勢でしたが、下辺で失策を重ね、左辺のムリなウチコミで1子が持ち込みになり、さらに4目損。白が尋常にヨセ切って、2目勝ちです。
 
■形勢が二転三転する「名局とは言い難い碁」ですが、力のこもった面白い碁でした。
コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 上手のワナ | トップ | 世界の中心で、愛を叫ぶ »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
三味線 (アンダンテ)
2019-05-14 07:50:02
そういえば、コンピュータ碁(のしょぼいやつ)が上手を持つと人間より弱い感じがするのって、心理戦が使えないからですかね…
返信する
弱いだけ (fumi-bow1956)
2019-05-14 09:21:50
AIソフトも玉石混交です。今のソフトは1万円でも強く、全く勝てません。安物はアマ初段もありません。一方、リアル碁の「上手の三味線」はあくまで昭和の話。今の碁会所(ちゃんとした席亭に限る)ではイエーローカードものです。もっとも同好会ではありそうですが。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

●○●○雑観の森」カテゴリの最新記事