【黒石をジッと見つめる の巻】
■下手をひねるコツとは?
■「(下手が不安に思っている)石をジッと見ることだ」。かつて、そう言ったプロがいました。
■本当は生きている黒石ですが、下手は不安になってきて急がない一手を入れてしまう。そうして大勢に遅れるというわけです。
■確かに。わたしが5子局、6子局を打っていて、終盤に入って「少し白が足りない」と思っていると……。「危ないな。手を入れとこう」と独り言のヒトがいます。数えて持碁(盤面引き分け=白勝ち)です。あの一手がなければ、と悔しがる。時々おられますよね。初段目前で足踏みしているのは、こんな所に原因がありそうです。しっかりヨミを入れましょう。
■逆に、上手が自らの不安定な白石を、ジッと見詰めてから、手を抜けば、下手はやってこない? ここまでくると、インチキといわれそうです。ガツンとやっていきましょう。
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■本物の芸を、もう一つ。
■大正8年、本因坊秀哉名人と岩佐銈(けい)六段。秀哉の2子局をこなす芸は絶品でした。当時の強豪を抑え込み、「白の名局」というべき譜を数多く残しています。
■岩佐は明治11年生まれ。明治後期から最も勢力のあった囲碁組織「方円社」の6代目社長。大同団結組織となる日本棋院の設立を成し遂げました。温厚にして酒をよくたしなんだ好人物。本因坊道策に傾倒し、棋譜を全て並べることができたといいます。
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▼終局
右辺は白の大石が死んでいます
でも白地もなかなかのものです
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▼ダメも詰めて、もう打つ所なし
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▼相手の死んでいる石を一度、ふたに全部入れてしまいます
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▼今度は逆に、ふたに入れた石を相手の陣地に戻し、埋めていきます。最初に埋めていく場所は「小さい所」「中央」です。
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▼整地が終わりました
白2目勝ち
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■いかがでしたか?
■黒が終盤まで勝勢でしたが、下辺で失策を重ね、左辺のムリなウチコミで1子が持ち込みになり、さらに4目損。白が尋常にヨセ切って、2目勝ちです。
■形勢が二転三転する「名局とは言い難い碁」ですが、力のこもった面白い碁でした。