コーヒーブレイクⅧ

おもに、国際政治経済情勢を論じます。宗教論、音楽、歴史(古代史が主)についても論じます。

ロシア経済排除と恐慌、流動性と流通性

2022-03-13 21:58:05 | 国際政治経済
ロシア経済制裁をめぐる世界経済の見通しについて、Twitterで論じてきたことをまとめることとします。

ドルの地位脅かすロシア制裁、準備資産として信頼失う-ポジャール氏
というbloombergの記事がある。この指摘に対して、アメリカ財務長官のイエレン氏が反撥している。それは、ドルは他のどの通貨よりも流動性が高いから、基軸通貨としての地位を失わないということだ。しかし、使われているということと、流通性は異なる。流動性と流通性。超過剰マネーの時代において、流動性が高いことはその通貨の信頼性と比例するものではない。
※流動性というのは、貨幣の流れに注目したものであり、流通性というのは、貨幣の強制流通力に注目したものである。兌換紙幣であっても、中央銀行が準備する金は、ごくわずかである。見せ金なのである。国が保証するということで、強制的に通用させているに過ぎない。貨幣の本質は、後者であり、前者ではない。

過剰流動性があるということは、利潤を求めて動く資本が多いということである。つまり、熱気に覆われているということである。しかし、経済が調整期(その端的な例が恐慌)に入り、資本の動きが鈍くなる(熱気が冷める)と、貨幣価値に対する嫌疑が一般的になる。そのとき、各国貨幣は何によって評価されるかが問題。確実な評価は、過去の栄光で決まるのではない。頭を冷やして考えたらどういう結論がでるかということである。

単刀直入に言うと、ロシアの世界経済からの排除は、恐慌を引き寄せる。大恐慌は、ロシア革命により、ロシア経済が世界経済から隔絶されたことを遠因にして生じたと考えられる。市場の再構築が必要になっだということである。

市場とは、ある一定の条件に基づく価格体系に外ならない。
例えば、激安スーパーが価格破壊しても、それは市場を混乱させない。むしろ、市場の価格調整機能を強化することに繋がる。しかし、根本的、大規模な市場破壊は、市場自体を壊す可能性が大きい。空気中の微細なウィルスが体中に入っても免疫力を向上させるが、たくさんのウィルスを体内に入れると重病化するのと同じである。

恐慌の原因となったドルが、同じ地位を維持することは考えられない。
陰謀論的に言うと、作られた大恐慌により発展した管理通貨制度は、人為的なミスにより崩壊し、人為的でない恐慌を引き起こす。貨幣が紙切れになり、再び、貨幣になる。しかし、管理通貨的な側面は引き継がれる。陰謀は自然な流れでもある。
※大恐慌の前も、ロシアは農業生産国だった。その農業が、社会主義という市場経済から隔絶された独自の官製市場に移行すると、市場は、別の供給先を探すまで俳かいする。新しく創出された供給先は、見返りとなるものが違うかもしれないし、冨の移転が違うと別の問題も生じる。

ロシアとウクライナは、世界の穀物輸出の主要な国である。ニュースでも、世界の穀物輸出の半分はロシアとウクライナが担っていると伝えている。特に、ウクライナは最近の増加が著しい。ウクライナがロシアに支配されたら、少なくとも、穀物については経済排除などできない。もともと、大恐慌は、ロシアの穀物供給が崩れ、市場の基本的な構成部分に打撃を与えたことが背景にあると考えられるだろう。つまり、一次産業部門が構造変化に直面しているときに、金融的ショックが与えられ、金融のバランス調整が、他の産業に波及したのが、大恐慌だと考えることができる。

さらに、石油・天然ガスの資源バランスが崩れたいま、NATOの東欧が今の恩恵を得られることはないだろう。農業国、資源国が不利な交易条件なのは今も同じ。過剰マネーとなった不換紙幣が、価格体系を歪めている側面もある。

G7の人は、みんな恐慌を待ち侘びているのかと思ってしまうほど、思慮が浅い。皆んなで渡れば怖くないのは、信号の話だが、核戦争、恐慌は怖い。

また、日露の関係は少ないので、日本経済があまり打撃を受けないというのは素人の議論。石油、天然ガスの供給不安も大きいが、肝心なものは、つまり、もっと市場性(流通性)が高いものは穀物供給。世界の輸出の半分はロシア、ウクライナだとされる。市場の危機が起こる。安定的な供給が重要な商品市場の崩壊は、貨幣の崩壊につながる。恐慌が避けられない。



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