不来庵書房 裏庭倉庫

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今更TRAVELLER5(2)

2021-05-11 | RPG
さて、需要があるのかないのかさっぱり分からないこのシリーズですが、まあ気楽に書いていきます。

そもそもが汎用SF-TRPGとして開発されたClassic TRAVELLERなのですが、本来はサンプルだったであろう第三帝国※1絡みの設定が40年以上を経てあまりにも膨大なものとなり過ぎ、しかも現在版元各社から入手可能なルールやサプリメントなどは全て英文なので、多分恐らく日本人には今更ついていけない世界になっています。
しかし心配には及びません。少ないながらも日本でもファンサイトやブログがありますので、ライトに遊ぶ分には問題ない程度の情報は比較的容易に集められます。商業出版を考えなければ、それこそルールブックを用いて自作してしまえば済む話ですし。
とはいえ、雷鳴版トラベラーとか、昔のホビージャパン版とか、その辺がヤフオクなどで入手できれば少し楽かな。
以下、いわゆるClassic TRAVELLERを前提に、トラベラーの向き不向きを偏った視点からご紹介します。

汎用SF-TRPGとうたう以上、トラベラーは結構色々な遊び方が可能です。とはいえ、どちらかと言えば古典的スペースオペラ寄りのシステムです。
シナリオ次第ではスターウォーズ・シリーズの再現も可能でしょう(と言っても、フォース(超能力)絡みのルールが少ないので、ルーク・スカイウォーカーをキャラクターとして再現するにはちょっと不向きかな。ハン・ソロならほぼ完璧に再現できそうです)。超光速航行や超光速通信絡みの違いをレフェリー(ゲームマスター)側で吸収すれば、スタートレックや宇宙空母ギャラクティカの世界を楽しむこともできそうです。

日本のSFだと、古いですがクラッシャージョウやダーティーペアあたりはピッタリハマりそうです。
その他、古典的な宇宙ものの作品であれば大抵シナリオ化できそうです。

宇宙空間を移動して歩くのはキャンペーンゲームに任せ、セッション限りの単発シナリオとして用いるなら、多分ラブストーリーからサスペンスもの、医療ドラマなど、現代物のテレビドラマのプロットの多くが流用可能でしょう。何でしたら時代劇でも西部劇でもOK。テックレベル(その星系の技術水準)に合わせてさえあれば問題ないです。・・・・・・分野と内容によっては、より適したルールシステムがあるとは思いますが。

逆に、スーパーロボット大戦絡みはちょっと難しいかも知れません。ティーンエージャーがスゴいロボットを与えられて無双する展開は、キャラクター設定が事実上22歳以上確定なトラベラーのルールでは極めて困難です※2。
同じ理由で、キャラクターを学生と設定した学園ものや、アイドルがらみのあれこれも困難ではないかと思います。教師ものなら特に問題なくできるかな。

不向きなもの、ルール上のサポートが薄いものを挙げますと、所謂ジャパニメーションでありがちな宇宙戦闘機・小型ロボット同士の宇宙空間でのドッグファイトは、細かい再現がほぼ不可能です。艦隊同士の砲雷撃戦ならばさほど問題はないのですが・・・・・・
また、サイバーパンクも無理があるかなと。電脳空間に関するルールはほぼ丸ごと自作する必要があります=そこまでするなら、トラベラーに拘らず例えばシャドウランにした方が絶対楽です。

和製ファンタジーRPG、或いはナーロッパを舞台としたなろう小説のようなハックアンドスラッシュには、はっきりと不向きです。むやみにモンスターならぬ原住生物を倒しても、モンスターを倒す毎に経験値が上がってレベルアップというシステムではない※3ので何の得にもなりませんし、ゴールド(金貨)を落としていくこともありません。そもそも、トラベラーのキャラクターは戦闘になるとかなり死にやすいです。また、クラス(職業)による武器や防具へのボーナスはありません(その代わり、<バトルドレス>技能や<ライフル>技能など、武器の種類ごとの技能レベルはあります)。細かいことを言えば、宝箱の類を勝手に開けて中身を取り出す行為は占有離脱物横領にあたります(駅前に放置されていた自転車を勝手に拝借する行為がこれにあたります。要は立派な自転車泥棒ですね)ので、治安レベル※4の高い世界では当局の取り締まりの対象となります。
超自然的存在(邪神とか神とか)を出す展開もできなくはないですが、神秘的要素は極めて薄くなり、かなり雰囲気を損なうと思います。近現代もので超自然的存在が出てくるシナリオを用意するなら、例えばクトゥルフの呼び声にした方が絶対に向いています。・・・・・・クトゥルフくらいなら、多分宇宙海軍の大型戦闘艦が装備する中間子砲で撃てば退治できそうです(異論は認める)し、ダゴンその他の眷属だと軍事用個人火器(グレネードランチャーや、何ならフュージョンガン※4他のハイテク火器)で仕留められそうです。

また、SFでもあまりにも進みすぎた技術にはルールが追いついていなくて対応できないかも知れません。
例えば、宇宙戦艦ヤマトはそのままではルール的に再現できません(ヤマトは、1作目の設定では1回500光年のワープを1日最大4回できましたから、1日の移動距離は最大で約2000光年でした(後に改装されて更に能力が向上しています)。クラシックトラベラーの世界では1回のジャンプの所要時間は1週間、ジャンプ距離は最大6パーセク、およそ20光年弱ですから、1日あたり最大でも3光年くらい)。
銀河英雄伝説などの和製スペースオペラも、超光速リアルタイム通信が当たり前な作品をシナリオに流用する際は、展開をよく考える必要があります。

総じて、アメリカのドラマっぽい「普通の」大人が知恵と勇気で難局を切り抜ける展開が向いている感があります。
(「普通の」と言っていたのに、実は特殊部隊出身とかハーバードで学位取ったとかの「優秀な」大人であることもありますが、アメリカものの主人公には、バックグラウンドに無理や無茶が少ないという点では現実味のある設定が多いと思います)
日本の近年の創作物にありがちな、チート設定持ちの少年少女が異世界で無双する展開にはあまり向いていません。多分その手の展開をお求めの向きには、別のルールシステムのTRPGが向いています。

※1GDWやFFE公認の設定ですと、ジル・シルカ(星々の帝国)という、人類と相互に交配可能な近縁種であるヴィラニ人が作った星間帝国が第一帝国とされます。その後ジル・シルカと地球連邦が戦って(この戦争を舞台とした『インペリウム』というボードSLGがあります)、地球連邦が勝利しジル・シルカを征服して建国したのが第二帝国、別名人類の支配。短期間で崩壊した人類の支配の後、暗黒時代を経て興隆したのが第三帝国と呼ばれる西暦5000年代の銀河帝国です。A.H.なるちょび髭の独裁者とは特に関係ない、はず。

※2なぜ22歳かというと、キャラクター作成時に既に18歳で、その後いずれかの経歴部門で1期4年を務めないと、有用な技能を1つも習得できないからです。古書店やオークションを巡って、ヤングトラベラー(高梨俊一氏が発表した、中高生年代のキャラクターを作成するルール)の掲載されたTACTICS誌を入手できれば、10代のロボット/戦闘機パイロットが活躍できる展開を再現できるかも知れません(仲間内でのことなら、レフェリーがハウスルールで同等のキャラクター作成システムを作っても良いかもです)。

※3トラベラーでは、そもそも経験値やキャラクターレベルの概念がないです。もしキャンペーンシナリオの最中に技能レベルや能力値を上げたければ、それなりの時間と費用をかけたり、<教官>技能持ちのキャラクターに時間をかけて教わるなどして、別個に訓練や教育を受ける必要があります。

※4要するに、刑法適用や治安当局の厳しさの度合い。治安レベルが低い世界だと軍用個人兵器を無許可で持ち歩こうが何をしようがお咎めなしですが、治安レベルが上がると例えば機関銃・軍用火器の携行禁止から拳銃の隠匿携行禁止(アメリカの一部)、銃器の携帯全面禁止になり(日本のような)、極めて高い治安レベルですと警察官に会う度に身分証明書の提示を求められたりすることになります。「身分証明書を拝見・・・・・・何、旅行者だから当星系政府発行の身分証明書を持っていない、船員証でどうだ、だと?怪しいな、所持品を検査させてもらう・・・・・・ほう、古代種族の遺物らしいものを所持しているな。当星系の文化財保護一般法第2346条122項aの違反なら、量刑は7年以下の懲役または100万クレジット以下の罰金だ。詳しい事情を聴かせてもらいたいので、署まで御同行願おうか」

※4高温のプラズマを射出するプラズマガンを進化させ、核融合条件に達したプラズマを打ち出すのがフュージョンガン。いわゆるアンシェントドラゴンのブレスよりも多分強力でしょう。

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