不来庵書房 裏庭倉庫

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【どうする家康】第37話視聴率は10・1%、2ケタ台に復帰

2023-10-03 | ドラマ

視聴率がどの局も全体として長期低落傾向ですが、それにしても低めですね。

他の記事でも触れていますが、小田原城攻めの回でした。

名胡桃攻めも触れられなければ伊達政宗の遅参もなし。前者は北条攻めが我らが神の君の責任ではない、と示すためには必須の事件ですし、後者は後に縁戚関係になるので……

と、考えたのですが、脚本の古沢良太氏が現代ものを中心に活躍してきた人で、時代ものの経験がほとんどないことを考えると頷けるものがあります。

現代モノの映画やドラマですとハリウッド的な脚本術が必須でしょうか。
人間関係は可能な限りシンプルに。
余計なシーンはカット。

これに対し、日本の軍記物では(史実とは異なることもあるが)特定のシーンには欠かせない人物がそこかしこに登場します。有名な例ですと、松の廊下で吉良上野介にもう一太刀浴びせようとする浅野内匠頭を止めるのは梶川与惣兵衛でなくてはなりませんし、本作関連で言えば例えば備中高松の陣で信長公の死を知り号泣する秀吉に「殿も御運が開けましたな」と告げるのは黒田官兵衛でなければなりません。大政所の宿所の周囲に薪を積み上げて脅すのは鬼作左こと本多重次の役目です。これをカットしたり他の人物に集約したりする場合、きちんと時代物の呼吸に合わせて計算して描写しないと違和感と不信感を招きます。

この辺の感覚は中国にもあるらしく、映画『レッドクリフ』で米国スタッフが「登場人物多過ぎ、例えば孫権と劉備はまとめられるだろ」と言った時には周囲ドン引きだったとか。
当然、この意見は却下されました。ただ、あまりにも詰め込み過ぎて結局前後編合計5時間弱になったことを考えると、劉備の軍勢なんて役に立っていないし孔明の活躍も史実ではないなら全カットでいいじゃないか、と、三国志演義に思い入れのない米国人ならバッサリ切っても不思議ではないでしょう。
もちろん、そんな作品は三国志演義に思い入れの深い日中ですと考えるまでもなく大ブーイングの総スカンですが。

これに似て、古沢さんの脚本からは戦国物に関する思い入れがほとんど感じられないように思います。
ガワだけ戦国時代、中身は全くの現代劇。
今回も、関東の連れションで家康に放尿させなかったこと等、細かなところで微妙な齟齬を感じました。
時折見える演出の雑さと合わせ、本作が今三つくらい残念な出来になっているのは、やはり細部まで神経が行き届いているように感じられない脚本が主たる原因のような気がします。

経験を積めば、もう少し歴史物として評価されるドラマを書ける・・・・・・のでしょうかね。
コメント
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